ビジネス・IT サービスを 1 つのプラットフォームに一元化
年間のサービスリクエストを可視化
組織全体でのサービスポータルの利用を促進
物質の構造を解き明かす CERN 科学者
光速に近い速さで粒子同士を衝突させる加速器により、CERN の科学者は、物質の構造を解き明かす国際的な研究を行っています。これらの実験から得られる知識は、科学の進展と、私たちの社会にさまざまな恩恵をもたらしてくれます。常時、100 か国の 500 を超える大学の 12,000 人の科学者が CERN を活用したプロジェクトに取り組んでいます。
CERN は、従業員と科学者が効率よく研究を行えるように、さまざまなサポートサービスを提供しています。サービス管理をリードするレイノルド・マーテンス氏とそのチームは、第 3 のインフラストラクチャであるビジネスサービスを担っています。これには、道路、建物、駐車場、緑のエリアから、財務、HR、モビリティ、ホテル、消防隊などのサービスまで、多岐にわたります。研究室、素粒子加速器、施設、研究施設を含む CERN の IT インフラストラクチャは、それぞれ独立に管理されています。
より効率的でシンプルなサービスプロビジョンモデルを模索
マーテンス氏は、CERN の内部のサービス提供とサポートは、これまでを振り返って、効率的に組織化されていないことに気付きました。CERN の一般サービス・IT チームは、これまで個別に運営されていた複数のサポートグループに頼ることに限界を感じていました。サポートグループが個別化されていたことが、問題の管理、追跡、解決において、混乱と非効率の原因となっていました。マーテンス氏の IT 分野の経験から、ITIL システムを他のサービス提供にも応用できないか、と考えました。
世界中の従業員と科学者のビジネスサービスへのアクセスを最適化
世界中の CERN の利用者がより簡単にビジネスサービスにアクセスできるように、マーテンス氏は、組織の IT サービスとともに、 ITIL プラットフォームに一元化するために、IT 部門と連携しました。この統合を行うにあたって、ServiceNow® IT Service Management を導入しました。この統合プロジェクトの一環として、マーテンス氏のチームは、ドアマットからトイレットペーパーの提供から、車の修理やレンタルにいたるまで、CERN のビジネスサービスで初となるカタログを作成しました。
次に、ServiceNow を使用して、各ビジネスサービスのステップを細かく決めました。例えば、従業員が科学者の一行の移動のためのバスをポータルでリクエストすると、サブタスクメニューがリクエストの依頼者に、ジョブのすべてのステージの情報を提供します。例えば、「リクエストを提出しました」「リクエストが承認されました」「バスを予約しました」「バスが出発しました」「バスがガレージに戻ってきました」「請求書が作成されました」「請求書が承認されました」「請求金額が支払われました」などです。
バスが遅れた場合、リクエストの依頼者は、システムで運転手の電話番号を見つけて、問題を特定したり、組織内に利用可能なバスがない場合は、外部の業者に依頼することができます。この時、チケットが ServiceNow 経由で、見積り、確認、スケジュール、請求書が統合されたワークフローを介して、外部のサービスプロバイダーに送信されます。
サービスを効率化したことで、サービスリクエストが 10% の増加
マーテンス氏の役割の一つに、新しいポータルについて、組織内のサービスグループと外部の業者を教育し、参加を促すというものがありました。「当初、私たちの消防隊は、ServiceNow を使用することに躊躇しており、従来の方法で安全装置を検査し、管理することを望んでいました」。「しかし、あるインシデントをきっかけに、ServiceNow のログブックを通して、何が起こったのか、そして、誰がインシデントの対応にあたったのかを正確に特定することができました。これが新しいシステムを認めてもらうきっかけになりました。ServiceNow のおかげで、より多くの関係者がサービスポータルを活用してくれるようになり、リクエストの数も年間で 10% 増えました」。
Reinoud Martens
Group Leader Service Management
ServiceNow のデータインサイトを通じて、サービスの継続的な改善を実現
マーテンス氏は、ServiceNow は、サービスへのアクセスと提供を最適化できただけでなく、サービスの質と量に対するインサイトも得られている、と言います。
「今では、年間 25 万件のリクエストを処理しています」とマーテンス氏。「ServiceNow® Facilities Management により、最も頻繁にリクエストされるサービス、リクエストが最も集中する時間帯、施設ごとのパフォーマンス、修理の状況、サービスの改善範囲を含む、多くの情報を追跡できています。例えば、レンタカーの平均走行距離や、レンタカーがどのように使用されているか、といった情報を把握できるようになりました。このような情報をもとに計画を立てることで、車両の空き状況を改善して、コストを削減できています」。
ServiceNow を拡張して、SLA を導入し、自動化を促進
マーテンス氏のチームは将来的に、ServiceNow を使用して、サービス・レベル・アグリーメント (SLAs) を導入することを計画しています。「私たちは現在、サービスの可用性と実現に焦点を当てた、オペレーショナル・レベル・アグリーメントを採用しています。ServiceNow のおかげで、質の面にもアグリーメントに取り入れることができました。質は、評判の面でも重要です。研究者には、雑務に気を取られてほしくないのです」。
マーテンス氏はさらに、ビジネスサービスの提供において、どのように自動化を進めることができるかを検討しています。「ServiceNow を通して、自動化の基盤となるプロセスはすでにできています。しかし、物理的なサービスを自動化するためには、ロボットの力が必要になります。ロボット技術はまだまだ成長段階ですが、将来的には、ServiceNow を利用することで、サービスをさらに進化させることができると確信しています」。
CERN が IT とビジネスサービスのための統合プラットフォームを構築するために導入したソリューションをご覧ください。