ハイブリッドプロジェクト管理とは?

ハイブリッドプロジェクト管理は、複数の管理手法を 1 つの手法にまとめたプロジェクト管理の形態です。

ハイブリッドプロジェクト管理は、近年、その人気が高まっています。複数のプロジェクト管理手法を組み合わせたハイブリッドプロジェクト管理は、より定評のある他の手法のメリットを取り入れています。「ハイブリッドプロジェクト管理」という用語は、実践的な既存の手法 (「クリティカルパスメソッド、シックスシグマ、PRINCE2、成果マッピング」など) を 2 つ以上組み合わせて生み出された新しい手法を指しますが、ハイブリッドアプローチは、一般的に「アジャイル」手法と、より伝統的な「ウォーターフォール」モデルを組み合わせたものです。

そのため、ハイブリッドアジャイル手法を導入する企業には、一般的にアジャイルの適応性、即時性、リーン機能に加え、ウォーターフォールの厳格な構造と明確性によるメリットがもたらされます。

ウォーターフォールとアジャイルの比較

ハイブリッドプロジェクト管理のニーズが高まっている背景には、さまざまな要因があると考えられます。中でも特に重要なのは、以下の 3 つです。

  • プロジェクトの複雑化
    ほぼすべての業界において、プロジェクトはますます複雑化し、プロジェクトを効果的に完了できるような、より優れた管理原則が求められています。
  • 市場競争の激化
    新しいテクノロジーの出現や市場への新たな事業者の参入をうけ、世界中の企業は、競争力を維持するために新たな問題を予測し、積極的に対応することが必要であると認識しています。
  • 絶えず変化する顧客の期待
    顧客中心主義がますます重視されることで、「顧客の期待」は高まっています。特に、高速性、使いやすさ、パーソナライゼーションに対する期待が顕著です。企業は、変化する顧客のニーズに応えるため、これまで以上に迅速な対応が求められています。

アジャイルとウォーターフォールの手法を組み合わせたハイブリッドプロジェクト管理には、次のような明確なメリットがあります。

互換性

両者の長所を生かした、プロジェクトに応じた大幅なカスタマイズが可能です。ハイブリッドプロジェクト管理は、チームの規模や業界に関係なく、ほぼすべてに応用できます。互換性が向上するため、さまざまな種類のプロジェクトへの対応が必要な企業では、多くの場合、この手法を選択しています。

責任の明確化

ハイブリッドプロジェクト管理は、プロジェクトの開始から終了までの全体を明確にマッピングすることで、プロジェクトの全容とその完了に必要な関係者の責任の所在を詳しく把握できます。従業員、マネージャー、主要なステークホルダーは、プロジェクトの現状や次のステップ、そして各ステップの関係者を即座に確認できます。

詳細計画

ハイブリッドプロジェクト管理は、責任の所在を明らかにするとともに、詳細な計画や正確なコストの見積もりも作成できます。各ステージには具体的な成果物や明確なレビュープロセスが設定され、事前に定義されたスプリントによって、新しい機能を迅速に、予想どおりに提供できます。

柔軟性

アジャイルの適応性の高さを最大限に活用するハイブリッドプロジェクト管理により、チームは開発の途中でプロジェクトを簡単に再評価でき、必要に応じて必要な方向へ戦略を変更し、浮上してきた問題や移り変わる優先順位にうまく対応できます。

ワークフローに関して言えば、ハイブリッドプロジェクト管理は以下の 5 ステップで構成されます。

コンポーネント

コンポーネントとはプロジェクトの具体的な単位であり、製品要件を表す個々の構成要素のことです。

トラック数

コンポーネントによって異なりますが、プロジェクトには少なくとも 1 つのトラックがあります。複数のトラックがある場合もあります。

バックログ

バックログには、各コンポーネントで達成しなければならない重要なタスクが詳述されます。タスクはバックログによって決定されます。

スプリント

ハイブリッドプロジェクト管理は、アジャイル手法の「スプリント」という概念を借用しています。このスプリントは、研究、開発、テスト、リリースなど、タスクを完了するための実際の作業を表します。1 つのスプリントは、通常、4 ~ 8 週間継続されますが、期間はプロジェクトによって異なります。

リリース

最終ステージでは、プロジェクトが完了し、リリースされます。また、このステージでは、リリース後の顧客フィードバックを収集し、反映させます。

ハイブリッドプロジェクト管理では、構成要素である手法から 2 つの基本的なロールを採用しています。従来のウォーターフォールに関連したアプローチからは「プロジェクトマネージャー」という考え方を取り入れ、アジャイルからは「スクラムマスター」のロールを取り込んでいます。

この 2 つのロールは、ハイブリッドプロジェクト管理においてどのように作用するのでしょうか。プロジェクト管理の全体的な責任は、プロジェクトマネージャーにあります。プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの成功に全責任を持ち、効果的なプランニングを監督する役割も担っています。また、一定期間内に目標を定義し、主要な目標や目的を特定の構成要素に関連する下位目標に分解します。

目標が設定されると、プロジェクトマネージャーは、各コンポーネントのタスクを定義する作業を行います。プロジェクトマネージャーは、各スプリントを管理するスクラムマスターを任命し、実施方法について詳しく説明します。スクラムマスターは、プロジェクトのニーズを満たすために、自分たちでチームを作ることができます。

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの全体的な責任を負いますが、スクラムマスターと密接に協力して、プロジェクトの各フェーズを明確に定義されたタスクに効率よく分解し、妥当な期限を設定して、プロジェクトの作業スケジュールを構築する必要があります。スプリント期間中はスクラムマスターがポイントポジションを取り、スプリントが終了するとプロジェクトマネージャーがスプリントの結果をレビューします。プロジェクトマネージャーは、その結果と推奨事項をスクラムマスターに報告し、次のスプリント開始までに、必要なプロセスの改善を行います。

プロジェクトマネージャーとスクラムマスターの関係を簡単に説明すると、プロジェクトマネージャーは主にフロントエンドのタスクを担当し、スクラムマスターはバックエンドの重要なタスクを担当すると考えられます。つまり、プロジェクトマネージャーは、顧客フィードバックの収集と整理、コンポーネントの定義、要件の設定などを担当し、スクラムマスターは、開発スプリントの処理、タスクバックログの管理、完成品のリリースを担当します。

企業は、目標、ニーズ、制限に応じて、ハイブリッドプロジェクト管理に異なるアプローチを取り入れる可能性があります。とは言え、明確な方向性がなければ、アジャイルとウォーターフォールの手法を組み合わせることは困難です。ここでは、ハイブリッドプロジェクト管理に対する実績のあるアプローチを紹介します。

対処が必要なプロジェクト管理の制限を決定する

すでにプロジェクト管理手法を導入している企業では、すべてを一度に見直すことを望まないかもしれません。むしろ、小規模な見直しから始めて、現在のアプローチで効果が得られている点と改善が必要な点を洗い出し、評価したいと思うかもしれません。

既存のプロジェクト管理手法で経験した問題や煩わしさ、非効率性についてチームメンバーに率直に話してもらうことで、対処が必要な弱点に関する貴重なインサイトが得られます。さらには、新しいアプローチを成功させるために、チームメンバーが各自でオーナーシップを持つこともできます。緊急性の低い問題は将来的に解決されるという認識を持ち、優先順位の高い問題をいくつか特定し、まずはそれに集中します。

特定の手法に対応するプロジェクト要素を選択する

ウォーターフォールとアジャイルは、適したプロジェクトに応用すれば、いずれも高い効果が得られる手法です。このことを踏まえて、プロジェクトを見直し、ウォーターフォールとアジャイルのアプローチにそれぞれ適した要素を判断します。

まず、成果物、要件、リソースが厳格に規定され、明確に定義された固定部分を特定します。これに該当する点については、ウォーターフォール手法を適用します。次に、成果物、要件、リソースが変動する、プロジェクトの進捗に伴って変わる、あるいは未確定であるなど、プロジェクトの中で明確に定義されていない部分を特定します。これに該当する部分については、アジャイル手法を使用します。

この段階で直近のプロジェクトを見直し、問題のある部分を特定し、その部分の手法を見直すことで、全体的なワークフローを改善できます。

チームメンバーをトレーニングする

前述のように、ハイブリッドプロジェクト管理に対するアプローチは、企業によって若干異なります。そのため、チームメンバーにウォーターフォール、アジャイル、ハイブリッド手法の経験があったとしても、企業はそれぞれのプロジェクトに適した手法でチームをトレーニングする必要があります。

トレーニングを実施する場合は、チームメンバー全員を初心者として扱うべきです。専門用語や略語を避け、チームが手法のどの側面についても本質的に理解していると思い込まないことが肝心です。ハイブリッドが何を解決するために設計されているのか、移行することでチームはどのような成果を期待できるのか、その概要をトレーニングに盛り込みます。

ハイブリッドコンポーネントを追加する

この段階になってようやく、ハイブリッド手法の適用を開始できるようになります。前に特定しておいた分野にハイブリッドのコンポーネントを導入し、融合戦略の有効性を綿密に分析します。初めて実行するハイブリッドプロジェクトでは、当然のことながら、問題が発生する可能性があります。効果が得られた点と改善が必要な点を明確に文書化しておくことで、将来的にも経験を生かすことができます。

さらに、プロジェクト全体を通じて、融合戦略を貫くようにしてください。プロジェクト管理手法をプロジェクトの途中で変更すると、チームメンバーに混乱が生じ、ハイブリッドプロジェクトに関して収集されたデータの価値がなくなります。

プロジェクトの効果についてオープンに話し合う

新しいプロジェクト管理手法への移行は、多くのストレスを伴います。チームメンバーには、プロジェクトを通じて経験したことについて話し合い、フィードバックを求め、プロジェクトの完了後に公式のレビューミーティングを開催することを働きかけます。

ハイブリッドアプローチは未完になる可能性があり、ハイブリッドアプローチを実施する現場のチームメンバーはインサイトや提案を得るために最も貴重なリソースであると認めることが重要です。チームメンバーは、マネージャーや意思決定者が融合戦略の問題点を特定し、解決するのを支援できます。チームと協力して、ハイブリッドアプローチを継続的に改善します。

ハイブリッド戦略を定期的に評価して調整する

たとえプロジェクトが無事に完了したとしても、多くの企業は新しいプロジェクトが始まるたびに、少なくともハイブリッド戦略に小さな修正を加えなければならないのが現実です。具体的にどのような手法が最も効果的なのかを理解して調整し、専門性を高め、新しいユースケースごとに最も効果的なスタイルを使用するようにします。

Wagile と Agifall は、ハイブリッドプロジェクト管理のモデルです。それぞれの名称は、「Agile」(アジャイル) と「Waterfall」(ウォーターフォール) という用語を融合させたものです。

Agifall

Agifall は、より綿密な調査と計画のステージを経てタスクを構築し、スプリントによってタスクを成功に導くというアプローチです。Agifall は、基本的にはアジャイル手法ですが、事前調査により重点を置いています。

Wagile

Wagile は、プロジェクトのウォーターフォールプロセスにアジャイル手法の一部を導入するアプローチを表す用語です。残念ながら、この用語はややネガティブな意味合いを持つようになり、プロジェクト自体の進め方に大きな変更を加えることなく、デイリースタンドアップや短期間の反復などのアジャイル原則を応用することを暗に意味しています。ただ一部の企業では、一定の順序で完了する必要のある小規模なサブタスクのウォーターフォールに各スプリントを編成するという Wagile アプローチで成功を収めています。

最適なハイブリッドプロジェクト管理手法を選択することは、一度きりで終わるものではありません。一旦決めても、新しいプロジェクトが始まるたびに「見直し」が必要になります。それぞれのケースに適したアプローチを決定するには、以下を考慮してください。

プロジェクトの目標

プロジェクトの目標には、柔軟性がどのくらいありますか。プロジェクトの進行中に目標が再定義される可能性がある場合、あるいは新しい機会の利用に前向きな場合、ある時点ではアジャイルアプローチがより効果的かもしれません。一方、プロジェクト開始前に目標がしっかりと設定され、その目標にチームが集中する必要がある場合は、ウォーターフォールによりすべてのプロジェクト要素とメンバーを軌道に乗せることができます。

完了期限

期限が厳しい場合、厳密な計画と構成が要求されることがよくあります。ウォーターフォールは、より効率的で集中的な管理ができるため、大規模なチームが厳しい期限を守るのに役立ちます。アジャイルは、期限に柔軟性を持たせることで、より効果的になり、チームが短期間でより多くの仕事をこなせるだけでなく、他の優先事項にも集中できるようになります。

チーム

アジャイルやウォーターフォールの手法から要素を選択する場合に、チームが果たす役割を軽視しないでください。チームの規模やこれまでの経験によって、選択肢に偏りが生じることがあります。常にチームメンバーにフィードバックを求めてください。そうすることで最終的に、プロジェクトに従事する関係者のニーズや能力に合わせた判断を下すことができます。

プロジェクト管理のハイブリッドアプローチでは、アジャイルのスピードと柔軟性に加え、ウォーターフォールアプローチの厳格性と明確性というメリットを得られます。ただし、これらのメリットを十分に活かすには、目標、作業の計画や提供方法、成果の達成方法に関して、あらゆるレベルで完全に一致している必要があります。管理とワークフローの自動化における業界リーダーである ServiceNow は、その課題を解決します。そのソリューションとして、IT Business Management のハイブリッドプロジェクト管理を提供します。

ハイブリッドプロジェクト管理は、ServiceNow ITBM Professional ライセンスで利用でき、単一のプラットフォームで簡単にアクセスできる基本的なソリューション、リソース、ツールを提供します。ハイブリッドプロジェクト管理は、アジャイルとハイブリッドの概念を単なる「実行」にとどめず、これらの概念をあらゆるレベルに取り入れた、完全にトップダウンのハイブリッドアプローチを生み出すことができます。このアプローチにより、より整合性の高い組織が生まれ、戦略に基づいて優先事項が決定され、企業の全部門が運用環境の変化や絶えず変わる顧客の期待に対応できるようになります。

このように、ハイブリッドアプローチは 2 つの手法の長所を生かしたものですが、適切なツールがなければ、単なる理論に過ぎません。ServiceNow ITBM の詳細をご覧いただき、ハイブリッドプロジェクトを最大限に活用してください。

ハイブリッドプロジェクト管理の詳細

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