Palash_Sarkar
ServiceNow Employee
ServiceNow Employee

ローカリゼーションは、グローバル展開を成功させるための重要な戦略であり、企業の成長や競争力強化に寄与します。そのため、システムを構築する際には、グローバリゼーション戦略の一環としてServiceNowインスタンスのローカリゼーションサポートを考慮することが非常に重要です。ローカリゼーションを行うことで、管理者は同じインスタンス内で異なる言語や通貨を使用し、さまざまな国のユーザーに対応できます。初期段階でインスタンスに以下の設定を行うことで、システムのローカリゼーションをサポートします。

 

1.言語を有効にする

デフォルトでは、プラットフォームでサポートされている言語はUS英語です。admin ロールを持っている場合は、他のサポートされている23言語のプラグインを有効にすることができます。例えば日本語でUIを表示する場合は、I18N: Japanese Translationプラグインをインストールすることで、UIを日本語で表示することができます。

Image-01.JPG

そして、どれか一つの言語プラグインをインストールすると、以下の3つの依存するプラグインも同時にインストールされます。

Image-02.JPG

I18N: Internationalization:サポートされていない言語へのインスタンスの翻訳に必要な要素を提供します。詳細情報は製品ドキュメントのこのURLを参照してください。これらの5つのインポートセットテーブルを使用して、サポートされていない言語の翻訳やカスタマイズされたUIの翻訳を行う方法を提供しています。

I18N: Knowledge Management Internationalization Plugin v2:さまざまな言語での記事の翻訳を作成および管理方法を提供します。詳細情報は製品ドキュメントのこのURLを参照してください。このプラグインは、ナレッジベースを構成し、自動で翻訳タスクを生成する方法を提供しています。この機能はTokyoリリース以降、新しい機能は提供されておらず、将来的に廃止される予定です。代わりにLocalization Framework機能でナレッジ記事の翻訳できるようなりました。

Localization Framework Installer:プラットフォーム全体でアーティファクトの翻訳プロセスを標準化して拡張します。詳細情報は製品ドキュメントのこのURLを参照してください。このプラグインは、さまざまなコンテンツを翻訳する際に便利です。ユーザーは翻訳の依頼のタスク生成し、タスクを翻訳者に割り当てして、進捗状況を追跡などの管理できます。

 

そして、言語プラグインのベースシステムのUI文字列コンテンツの翻訳が以下の5つのテーブルに格納されます。

Image-03.JPG

[sys_ui_message] テーブルには、スクリプト内で記載されるさまざまな情報メッセージ、確認メッセージ、エラーメッセージなどの翻訳が含まれています。

[sys_choice] テーブルには、選択肢リストに表示されるオプションの翻訳済みテキストが含まれています。

[sys_documentation] テーブルには、テーブル名のテキストと、テーブル内の各フィールドの単数または複数のラベルが格納されます。

[sys_translated] テーブルには、フィールドタイプ が translated_field であるテキストフィールドの翻訳済みの値が格納されます。このフィールドタイプは最大 255 文字のテキスト使用できます。

[sys_translated_text] テーブルには、フィールドタイプの translated_text または translated_htmlのフィールドの翻訳が保存されます。このフィールドタイプは、長さ 65,000 文字までの長いテキストフィールドに使用できます。

翻訳テーブル詳細については、以下のリンクをご覧ください。

https://docs.servicenow.com/ja-JP/bundle/washingtondc-platform-administration/page/administer/locali...

 

Image-04.JPG

 

言語プラグインは、年に2回、ServiceNowのバージョンアップグレードとしてGAリリースのタイミングで更新されます。例えば、2023年3月のUtah Patch 1と2023年9月のVancouver Patch 1が該当します。例外的に、ファミリーリリース以外のパッチリリースでも言語プラグインが更新される可能性があります。また、ファミリーリリースとは別のタイムラインで、年に4回ストアアプリもリリースされます。

 

注:ストアアプリには、言語プラグインによってインストールされるものとは異なる、独立した翻訳が含まれています。アプリが持つ翻訳と言語プラグインの翻訳が共有されている場合、後からインストールされたプラグインの翻訳が、先にインストールされた翻訳を上書きすることがあります。このトラブルシューティングを対応するため、こちらのKB1640791記事をご参照ください。

 

 

2.インスタンスのロケールを設定する

ローカリゼーションのロケールコードは、言語コード国コードを指定してインスタンスのデフォルト通貨を決定することができます。ユーザーレコードで国コードが設定されていない場合は、インスタンスのデフォルト通貨が表示されます。

Image-05.JPG

インスタンスのロケールで指定された設定よりも、ユーザーテーブル(sys_user)のユーザーレコードで設定された情報が優先されるため、個別ユーザーの通貨を設定したい場合は、ユーザーレコードを更新する必要があります。

以下の左側の例では、ユーザーレコードの国コードを英国に設定したため、このユーザーがカタログで通貨を確認すると、英国の通貨であるポンドで表示されることがわかります。

また、右側の図の例では、ユーザーレコードに国コードが設定されていないため、システムのロケール通貨プロパティに設定された ja.JP の情報に基づいて通貨が日本円で表示されます。

 

Image-06.JPG

3.インスタンスのデフォルト言語を設定する

ユーザーテーブル(sys_user)のユーザーレコードで言語が設定されていないすべてのユーザーに対して、「システムのデフォルト言語」プロパティで2文字の言語コードを指定して、インスタンスのデフォルト言語を設定することができます。

注:インスタンスのプロパティを日本語の言語コード設定しても、ゲスト(guest)ユーザーレコードの言語がデフォルトで英語に設定されているため、ログイン画面は英語で表示されます。ログイン画面も日本語で表示する場合は、ゲストユーザーレコードの言語を「日本語」に設定してください。

Image-07.JPG

ユーザーがログインすると、次のロジックによってインスタンスセッションの言語が決定されます。

  1. ログイン時の言語選択が有効になっている場合は、その言語が使用されます。
  2. そうでない場合は、ヘッダーバーの言語ピッカーを使用して選択された言語設定が使用されます。
  3. そうでない場合は、ユーザー [sys_user ] テーブルの言語設定が使用されます。
  4. 上記のいずれにも当てはまらない場合は、システムのデフォルト言語が使用されます。

Image-08.JPG

 

「言語と地域」の画面で言語を選択すると、選択された言語が「sys_user_preference」テーブルに格納されます。同時に、ユーザーレコードの言語情報も更新されます。次回ログイン時に、この情報に基づいてユーザーのインスタンスのセッション言語が決定されます。

Image-09.JPG

4.代替言語の設定

デフォルトでは、UI 文字列がインスタンスセッションの優先言語に翻訳されていない場合は英語で表示されます。代替言語を設定すると、デフォルトとして英語が使用される前に中間言語が使用される 3 レベルの階層が作成されます。代替言語を設定すると、代替言語に適したものがある UI 文字列についてはカスタム翻訳を追加する必要がなくなり、ユーザーは最も適切な言語の UI 文字列を取得できます。

例えば、以下の図の例では、中国語の代替言語として日本語を設定すると、ポータルページのUIが中国語で表示できない場合、デフォルトの英語ではなく、中間言語として日本語で表示されます。

Image-10.JPG

 

5.場所を設定

場所設定情報は、Locationテーブルに基づいてさまざまなデータ分析に使用できます。システムを開始時から場所情報を使用することをお勧めします。例えば、インシデントデータに場所情報が使用されていない場合、1年後に場所情報の使用を開始しても、過去のデータには場所情報がないため、これらのデータの分析ができなくなります。

場所情報を利用することで、他にもさまざまなデータ分析が可能になります。例えば、ユーザー情報を分析するときに場所情報を利用して、どの国のユーザーが多いかをレポートすることができます。また、資産情報を分析するときに、どの部署の資産が多いかをレポートすることもできます。

Image-11.JPG

6.ポータルで言語を選択するための地域を作成する

ポータルヘッダーの言語セレクターでは、ユーザーが現在選択している言語と、ユーザーが選択できる言語のメニューが表示されます。地域に言語が割り当てられている場合、言語は設定された地域グループに従って表示されます。複数のポータル画面で言語セレクター表示したい場合、「glide.sp.portals.language_selector_enabled 」の値にはカッマ区切りでポータルページのsys_idを入力してください。

ナレッジ (/kb)、カスタマーサポート (/csm)、カスタマーサービス (/csp) 以外のすべてのポータルでは、言語セレクター表示したい場合、「ポータルヘッダーでの言語セレクターの有効化」を参照してください。

Image-12.JPG

 

以上

 

Palash Sarkar / パラス サルカル
Enterprise Globalization Deployment Architect

ServiceNow Japan合同会社

Email: palash.sarkar@servicenow.com

バージョン履歴
最終更新日:
‎05-27-2024 12:58 AM
更新者:
寄稿者