Chizuru Osamnia
ServiceNow Employee
ServiceNow Employee

(本稿は、こちらのBlog記事の抄訳です)

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カスタマーサービスの世界では、顧客からの期待がこれまで以上に高まる一方で、AIなどの新しい技術が次々と登場しています。今、多くのリーダーが求めているのは、こうした技術をうまく活かしながら、エージェントの働きやすさと顧客体験の向上を両立することです。

今回の ServiceNow Yokohamaリリース では、顧客対応をよりスマートに、そして効率的に進めるための新しい機能を数多くご用意しました。主要なCCaaS(Contact Center as a Service)プロバイダーとの連携を深め、AIを活用したセルフサービスを強化。顧客は、より速く、正確な回答を得られるようになります。

また、エージェントにとっても使いやすいワークスペースを実現。通話コントロールなどの機能をひとつの画面にまとめ、対応のムダを減らし、生産性を高めることができます。

このリリースによって、カスタマーサービス業務はさらに柔軟に、そして成果につながる形で進化していきます。


注目ポイントのまとめ:

 

カスタマーサービス管理(CSM)

  • 通話操作とインタラクション管理の統合

  • CCaaS(Genesysなど)の機能をServiceNowに組み込み

  • ルーティングの一元管理

  • ワークフォース管理(WEM)の連携

  • メールを「ケース」ではなく「インタラクション」として扱う新アプローチ

 

AIエージェントによる支援機能

  • ケースフォームのサポート

  • スケジューリングをサポートするバーチャルエージェント

 

通話画面とコントロール機能の刷新

これまで、GenesysなどのCCaaSとServiceNowを連携して使う際には、それぞれの画面や操作方法が異なっていたため、エージェントは業務の流れが途切れたり、操作が煩雑になったりすることが多くありました。この一貫性のなさは、エージェントの解決時間(ART)や顧客満足度(CSAT)に悪影響を与える要因となっていました。

Yokohamaリリースでは、これまで外部ツールで操作していた通話やチャットなどの機能を、ServiceNowのエージェント用画面の中で直接扱えるようにしました。これにより、ミュート、保留、解除、転送、会議などの通話操作が一貫して行えるようになり、統一されたインターフェースが実現されました。

新しい音声インタラクションページと通話コントロールには、以下の3つの主要コンポーネントが含まれています:

 

  • サードパーティCCaaSからの通話コントロール:Genesys Cloud Contact Centerなどの主要プラットフォームを通じて、直接通話をコントロール可能。

  • 顧客履歴セクション:顧客の過去のやり取りを即時に確認し、パーソナライズされた対応が可能。

  • リアルタイムの通話文字起こし:ライブの文字起こしが有効な場合に、最新の会話内容を即座に把握可能。

これらの機能を統合することで、エージェントは1つのインターフェース上で必要なすべてのツールにアクセスでき、プラットフォームの切り替えが不要になります。これにより、生産性が向上し、業務負荷の軽減、迅速な対応、さらには新人エージェントのオンボーディングや定着率の改善にも貢献します。

 

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CCaaSコンポーネントの直接統合

エージェントは、ServiceNowとGenesys CCaaSの画面を何度も切り替えながら、それぞれのツールを使い分けなければならず、作業が複雑になって集中しにくい状況が続いていました。

Yokohama リリースでは、ServiceNowのCSM Configurable Workspace内に、Genesys CCaaSのAIおよび自動化ツールを直接埋め込み、エージェントのやり取りを効率化します。

 

利用可能なコンポーネントは以下のとおりです:

  • キューアクティベーション

  • エージェント統計情報

  • ステーション設定

  • 発信キュー選択

  • ワークフォースエンゲージメント管理(WEM)ウィジェット(2025年後半にさらに機能追加予定)

この統合アプローチにより、プラットフォームの切り替えを減らし、エージェントの生産性と顧客満足度の両方を向上させます。エージェントは、業務に最適化された統合ツール群を使って、より効果的に業務を遂行できます。

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ルーティングの一元化

Yokohama リリースでは、ServiceNowのチャットやケース(有人対応が必要なもの)を、Genesys CCaaSへシームレスにルーティングすることが可能になりました。Genesys側で最適なエージェントを選定し、対応を割り当てます。

この統合により、管理者やスーパーバイザーは、ServiceNowケース、チャット、Genesys通話のルーティングを、1つのプラットフォームから一括で管理できるようになります。これにより、運用負荷を大幅に削減できます。ルーティングルールをCCaaS上でチャネルを横断して一元化することで、断片的なルーティングによる非効率を解消し、ピーク時の人員調整も容易になります。

このアップデートには、多くのメリットがあります。ServiceNowは引き続きフロントオフィスのエージェントにとってのメインワークスペースであり、Genesys CCaaSからの通話も、同じ受信ボックス内で処理されるため、業務の一貫性と生産性が向上します。

また、管理者には新たなコンタクトセンター設定ページが提供され、GenesysとServiceNow間で、スキル、キュー、終了コードなどの同期が可能となり、スキルに基づく割り当て、レポーティング、通話転送、会議、対応後の管理が効率的に行えるようになります。

 

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ワークフォース管理(WEM)の連携

これまで、レポートやデータがバラバラだったため、シフトや人員のスケジューリングがうまくいかず、無駄なコストがかかってしまうことがありました。また、リアルタイムのデータに基づいて素早く調整することが難しく、業務全体や顧客満足度にも影響が出るケースがありました。

こうした問題に対応するために、GenesysのWEM(ワークフォース・エンゲージメント管理)という機能を、マネージャー用の画面に組み込むようにしました。これにより、チャットや通話などすべてのやり取りのデータをもとに、より正確な予測やスケジュール作成ができるようになります。

また、WEMから得られるデータは、ServiceNowに元々あるレポート機能やパフォーマンス分析の補強にもなります。さらに、エージェントもワークスペース上でWEMの機能を使えるようになるため、より効率よく働けるようになります。

 

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メールを「ケース」ではなく「インタラクション」として扱う新アプローチ

これまでは、すべてのメールが「ケース」として記録されていました。しかし、迷惑メールや重複したメールも含まれていたため、ケースの数が無駄に増えてしまい、対応にも時間がかかっていました。

Yokohamaリリースでは、メールをすぐにケースにせず、「インタラクション(やり取り)」として処理するようになりました。つまり、最初は軽めのやり取りとして扱い、必要なものだけをケースに進めることで、無駄を省く仕組みです。

さらに、AIがメールの内容を見て、どんなカテゴリかをおすすめしてくれるので、エージェントの手間も減ります。エージェントは新しい「メール用の画面」で、チャットやケースと同じようにメールを確認・対応できるようになります。管理者側では、解決が必要だったメールと、そうでなかったメールを見分けてチェックできるようになります。

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AIエージェントによるケースフォームのサポート

これまでは、ユーザーが質問をすると、関連するナレッジ記事のリンクが一覧で表示さ、その中から適切な記事を自分で読み込んで探す必要があり、少し手間がかかっていました。

今回からは、AIエージェントが、ケースフォーム(お問い合わせ画面)の中で直接答えを提示できるようになりました。つまり、ユーザーの質問文をAIが理解し、それに合った回答をすぐに出してくれるのです。

リンクをたくさん提示されるよりも、この方がずっと早くてわかりやすく、自己解決率も上がります。結果として、問い合わせ数も減り、サポートチームの負担も軽くなります。

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スケジューリングをサポートする仮想エージェント

仮想エージェントに、新しくスケジューリングアシスタント機能が追加されました。これにより、ユーザーは予約、変更、キャンセルなどの予定管理を、チャット形式で気軽に行えるようになります。

以前は「決められた言い方」でないと理解されなかった場面もありましたが、今ではAIエージェントがさまざまな入力に対応できるので、長いメッセージや曖昧な言い回しにも柔軟に応じられます。

これによって、サポートチームが対応する予約関連の業務が減り、顧客満足度やリピート率の向上にもつながります。また、より多くの予約をAIが処理できるようになることで、業務の効率化やコスト削減にも効果が見込めます。

 

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Yokohamaリリースは、次のレベルのカスタマーサービスを実現するための大きな一歩です。統一されたプラットフォームと、AIによる自動化機能を活用することで、顧客の期待に応えるだけでなく、それを上回る体験を提供できるようになります。

今回ご紹介した内容は、CSM向けのYokohama リリースの機能の一部に過ぎません。さらなる詳細は、リリースノートをご確認ください。