Chizuru Osamnia
ServiceNow Employee
ServiceNow Employee

(本稿は、こちらのBlog記事の翻訳です)

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AIによるセルフサービスの強化

 

仮想エージェント:Now Assistを活用した「紛争の報告」

コンタクトセンターへの問い合わせの中で、カード保有者による「請求に関する異議申し立て」の件数が急増しています。増加する対応件数に追いつくために人員を増やすことはコストがかかり、顧客対応担当者とカード保有者の双方にとっても、すべての詳細をカバーしながら解決に導くことは時間がかかります。しかし、シンプルなチャットボットでは紛争の微妙なニュアンスを理解できず、顧客の不満を募らせる原因になります。

Yokohamaリリースでは、複雑な紛争ケースに対応できるAI搭載の仮想エージェントを新たに導入しました。ファイナンシャルサービスオペレーション(FSO)向けに構築された「紛争を報告」トピックを使うことで、カード保有者は仮想エージェントとの簡単な会話を通じて異議申し立てができ、仮想エージェントはその情報をもとに紛争ケースを作成できます。

 

仮想エージェントは「どの取引に問題がありましたか?」、「異議の理由は何ですか」等の質問を行い、質問内容の誤解があれば、再表現して確認します。

仮想エージェントは、カードネットワークのルールや発行者のポリシーを裏で処理しながら、適切な質問を自動生成します。また、コアバンキングシステムからの取引データの取得や、顧客からの証拠(写真、メールなど)の取り込みにも対応します。さらに、ネットワークの規則に基づいて適格性の判断を行い、場合によってはケースを処理せずに振り分けます。これにより、カード保有者とコンタクトセンターの双方で大幅な時間削減が可能になります。

 

金融業界に特化した信頼性のあるAI

多くの銀行にとって、顧客向けAIの導入は初めての試みです。市販のソリューションの多くは利点とリスクのバランスが不透明ですが、FSO専用に開発されたServiceNowの仮想エージェントは、銀行特有のリスクを想定して設計されています。

 

具体的なコンプライアンス対策として、以下の特徴があります。

 

  • あらかじめ定義されたケース受理要件に基づく会話内容

  • モデルの動作やデータに関する完全な可視性と制御

  • ケースに紐付けて保存される会話ログによる監査対応

  • 顧客からの同意取得の自動化

銀行や発行者は、安心してAIエージェントを導入でき、紛争解決を迅速かつ効率的に進められるようになります。

 

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紛争処理の自動化

 

紛争プレイブックの強化

ServiceNowの紛争管理ソリューションは、受理から解決までのプロセスを自動化するプレイブック(手順書)を提供しています。これにより、早期導入が可能になり、当社が調査した効率的なベストプラクティスも活用できます。Yokohamaリリースでは、以下のような新しい自動化機能と統合機能が追加されました。

 

1. チャージバック処理の新しいアクティビティ(標準提供)

加盟店、取得銀行、カードネットワークなど多くの関係者が関与する中で、以下のような新しいステップを提供します。

 

  • 事前仲裁による非公式解決の最終機会の提供

  • 合意に至らなかった場合の中立的な第三者による最終判断

  • 一定の条件下での仲裁決定に対する上位機関による再審査

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2. 取引単位での紛争管理

これまで、複数取引を含むケースでは、最も処理が遅い取引にケース全体が引きずられるという課題がありました。今回のリリースでは、プレイブックを取引単位で適用します。これにより、以下のような利点が得られます。

 

  • 各取引の独立した進行

  • 顧客への早期仮払いの提供

  • SLA違反リスクの軽減

全体としては「1つのケース」としてまとめて可視化されます。

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3. Visa Resolve Online(VROL)との統合強化

Visaをカードネットワークとして使用している場合、今回のリリースではさらに多くの事前構成済み機能を提供しており、紛争解決に向けたプロセスの自動化とシステム統合をサポートします。ServiceNowの紛争管理ソリューションはVisaと共同開発されているため、VisaとServiceNowの力を組み合わせたシームレスな解決体験をお客様に提供できるようになっています。

 

以下が新機能です。

 

  • Visa RTSI APIを使用した重複チャージバックの確認
    紛争案件を処理する際は、実際に解決する価値がある案件かどうかを早い段階で確認することが重要です。多くの場合、顧客は実際には既に加盟店から返金されている取引について異議を申し立てることがあります。しかし、顧客が1日に複数回取引を行っている場合、返金の記録を見落としてしまうことも少なくありません。そこで、私たちはVisaと連携し、案件解決プロセスの初期段階でクレジット、リバーサル、調整内容を確認できるようにしました。これにより、担当者の貴重な時間を節約できるだけでなく、顧客にも迅速に状況を明確に伝えることが可能になります。

 

  • Visa Resolve Online(VROL)とのプレイブック統合
    ServiceNowとVROL間でシームレスにデータをやり取りできるため、紛争案件をより迅速に解決できます。詐欺レポートの提出、関連取引の検索、Visa内のケースステータス更新を行う際に、システムを切り替える必要がなくなります。全14のVisa「サブフロー」が、ServiceNow内のプロセスに組み込まれています。

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加盟店とのリアルタイム連携について

 

Mastercard Ethoca Alerts 統合

詐欺取引に対処する際の理想的なシナリオは、発行者が加盟店にタイミングよく連絡し、取引自体を停止できることです。そうすることで、発行者は高額なチャージバックや貸倒処理を回避でき、顧客は迅速な解決に満足し、加盟店も紛争中の商品によって損失を被るリスクを免れます。しかし、取引を防ぐために適時に加盟店と連絡を取ることは非常に困難です。

 

今回のYokohamaリリースでは、MastercardのEthoca Alertsとの新規統合により、銀行がEthocaネットワークにアクセスできるようになりました。このネットワークは、世界中の数千の大手加盟店と銀行を直接つなぎ、ServiceNowの紛争解決プロセス内で利用できます。これにより、銀行は正当な詐欺案件を確認した後、最初のステップとしてEthocaに通知し、加盟店側で注文をキャンセルできるようになります。銀行は、これらのキャンセル済み案件についてチャージバックや貸倒処理を行う必要がなくなり、時間とコストを大幅に削減できます。さらに、迅速に詐欺を阻止する顧客の擁護者として行動することで、顧客の信頼を獲得できます。

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Visaルールの自動アップデートについて

2025年4月ルール変更への対応

Visaのルールは年2回改定されます。Yokohamaリリースでは、組み込み型のルールメンテナンスを提供しています。ルールはプロセス全体に反映され、常に最新のルールに基づいた効率的な処理が可能になります。これにより、IT部門の運用負荷とコストを大幅に削減できます。

 

 

以上、金融業界向け、Yokohamaリリースの最新情報をご紹介しました。