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AI Agent Studio 連載 第1回
ServiceNow AIエージェントのカスタマイズ実践ガイド
第1回:OOTB AIエージェントの構造を理解する
Investigate and Resolve ITSM Incidents を例に、Agentic Workflow、AI Agent、Tool、Script Include、AI Search の関係を整理し、 AIエージェントをカスタマイズする前に押さえておきたい確認観点を紹介します。
免責事項:
本記事は、筆者個人の検証・経験・見解に基づくものであり、ServiceNow の公式見解、製品方針、正式なガイドラインを示すものではありません。 製品仕様や最新情報については、必ず公式ドキュメント、Release Notes、または関連する公式情報をご確認ください。
対象読者:
- ServiceNow の AI Agent Studio や AIエージェント活用に関心がある方
- OOTB AIエージェントの内部構造を把握したい方
- OOTB のままでは自社業務に合いにくいと感じている方
- カスタムフィールドや業務データを AIエージェント活用につなげたい方
はじめに
AI Agent Studio が登場し、ServiceNow 上で AIエージェントを構築・活用できるようになりました。 一方で、OOTB の AIエージェントを有効化してみると、次のような疑問を持つことがあります。
- AI Agent とは何なのか
- Agentic Workflow とは何なのか
- Tool とは何なのか
- AIエージェントはどこから、どのように情報を取得しているのか
本連載では、OOTB の AIエージェントを題材に、AIエージェントの内部構造を理解しながら、 自社環境向けのカスタマイズにつなげるための考え方を整理します。
第1回となる今回は、ITSM 向けの OOTB Agentic Workflow である Investigate and Resolve ITSM Incidents を例に、 AIエージェントがどのような構成要素で動作しているのかを見ていきます。
01. 背景:カスタマイズ前に構造を理解する理由
AIエージェントを導入しようとすると、実際のプロジェクトでは次のような要件が出てくることがあります。
- カスタム項目も検索対象に含めたい
- 独自の業務データも活用したい
- OOTB の動作を自社業務に合わせて調整したい
しかし、その前に理解しておくべきことがあります。 それは、AIエージェントがどこから、どのように情報を取得しているのかです。
情報取得の仕組みが分からないままでは、どこを確認すべきか、どこまでが標準機能なのか、 どこからがカスタマイズ対象になり得るのかを判断しにくくなります。
ポイント:
AIエージェントのカスタマイズでは、いきなり設定変更やスクリプト変更に入るのではなく、 まず対象の Agentic Workflow がどのような構成で動いているのかを把握することが重要です。
02. 今回取り上げる Agentic Workflow
ITSM では、以下のような Agentic Workflow が提供されています。
- Generate my Work Plan
- Triage & categorize incidents
- Investigate and resolve ITSM incidents
- Wrap-up and resolve incident
このうち、今回対象とするのが Investigate and resolve ITSM incidents です。
この Agentic Workflow は、インシデント対応において関連情報を調査し、 解決に向けた作業計画や解決案の生成を支援するためのものです。
03. Agentic Workflow / AI Agent / Tool の関係
まず、Agentic Workflow、AI Agent、Tool の関係を整理します。 大きく見ると、以下のような階層構造として捉えると理解しやすくなります。
このように、Agentic Workflow、AI Agent、Tool はそれぞれ役割が異なります。Agentic Workflow は業務目的に沿ったワークフロー全体の流れを定義し、AI Agent はその流れの中で役割分担しながら作業を進めます。 Tool は、AI Agent が作業を進める際に使用する道具として、情報取得、検索、更新などの個別機能を提供します。
理解のコツ:
AI Agent 自体がすべての処理を直接実行しているわけではありません。 実際の処理は Tool に分かれており、AI Agent はそれらを組み合わせて目的の達成を支援します。
04. Investigate and Resolve ITSM Incidents では何をしているのか
Investigate and Resolve ITSM Incidents は、インシデント対応に必要な情報を収集し、 解決に向けた計画の作成を支援する Agentic Workflow です。
今回確認した例では、主に以下のような処理が行われていました。
- インシデント情報の取得
- 関連ナレッジの確認
- 類似の解決済みインシデントの確認
- 解決手順の生成
その中では、たとえば次のような Tool が利用されていました。
- ITSM incident resolution plan investigation
- Find Catalog item and add URLs in the work notes
- Add a resolution plan or failure message to incident's work notes
ここで重要なのは、Agentic Workflow の中で複数の Tool が使用されていることです。 AIエージェントの動作を理解するには、Agentic Workflow だけでなく、その配下でどの AI Agent がどのような Tool を使用しているかを見る必要があります。
05. Tool の内部では何が動いているのか
さらに Tool の中を見ていくと、今回確認した Investigate and Resolve ITSM Incidents では、 Tool の内部で Script が実行されていました。
確認を進めると、その Script の実体は Script Include であり、 類似インシデント検索などの処理では AI Search が利用されていました。
ここで重要なのは、Tool、Script Include、AI Search を別々の設定として見るだけでなく、 それぞれがどのようにつながっているかを確認することです。
Tool は AI Agent から呼び出される処理単位であり、その内部で Script Include の処理ロジックが実行される場合があります。 さらに、関連情報の検索には AI Search の設定が関係することがあります。
つまり、今回確認した例では、Tool の実装方式の一つとして、 Tool から Script Include の処理ロジックが呼び出され、 その中で AI Search を利用して関連情報を検索する流れが確認できました。
整理すると:
AI Agent が Tool を呼び出し、Tool の内部で Script Include の処理ロジックが実行され、 関連情報の検索には AI Search の設定が関係する場合があります。
この構造は、次回以降に AIエージェントをカスタマイズする際の重要な確認ポイントになります。 たとえば、カスタム項目を検索対象に含めたい場合や、独自の業務データを参照させたい場合に、 どの層を確認すべきかを判断する手がかりになります。
注意:
ここで紹介している構成は、今回確認した Agentic Workflow の例です。 AIエージェントごとに利用される Toolとその実装内容は異なります。ScriptではなくTopic Blockで実装されたり、Now Assist Skillが利用されたりなど様々です。 そのため、AIエージェント全般の実装方式として断定するものではありません。
06. カスタマイズ前に確認したい観点
AIエージェントをカスタマイズする際には、いきなり Script Include や AI Search の設定変更に入るのではなく、 まず次の順番で構造を確認すると理解しやすくなります。
- 対象の Agentic Workflow を確認する
- その中で利用されている AI Agent を確認する
- AI Agent が呼び出す Tool を確認する
- Tool の内部で実行される Script や Script Include を確認する
- AI Searchが使われている場合は検索に関係する設定要素を確認する
このように上位の構造から順にたどることで、 どこが標準機能で、どこからが変更対象になり得るのかを整理しやすくなります。
補足:
本記事では第1回として、構造理解と確認観点に絞って説明しています。 実際にどの設定をコピー・変更するか、どのようにテストするかについては、次回の記事で扱います。
第1回のまとめ
今回は、Investigate and Resolve ITSM Incidents を例に、 OOTB AIエージェントの構造を整理しました。
- Agentic Workflow は全体の流れを定義する
- AI Agent は適切な道具を選択して業務を遂行する
- Tool は具体的な処理を実行する
- 今回確認した例では、Tool の内部で Script Include が利用されていた
- 類似インシデント検索などの処理では AI Search が利用されていた
- ただし、構成は対象の AIエージェントや機能によって異なる場合がある
AIエージェントのカスタマイズでは、まず対象の AIエージェントがどのような構造で動いているのかを理解することが重要です。 そのうえで、どの Tool がどの情報を取得しているのか、どの Script Include や AI Search 設定が関係しているのかを確認していくことが、 実装方針を整理する第一歩になります。
次回予告
第2回:AIエージェントに業務データを読ませるには?
次回は、AIエージェントに自社の業務データを参照させるための考え方として、 AIエージェント一式のコピー、AI Search の設定変更、Script Include の変更、 動作確認と移送前テストについて紹介します。
※製品仕様や最新情報については、公式ドキュメント、Release Notes、または関連する公式情報をご確認ください。