Naoki H
ServiceNow Employee
ServiceNow Employee

(本稿は、こちらのBlog記事の翻訳です)

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昨日、大型小売店を訪れたとき、AI 搭載の洗濯機を宣伝するバナーに出くわしました。私は妻に向かって、「ついにここまで来たか……」と口にしました。改めて考え直すと、AI が家電を強化する方法はいろいろと思いつきましたが、「でも、そもそもちゃんと洗濯ができることが大前提だよな」と思いました。

 

ServiceNow のソリューションは、すでに AI を強力に活用しています。例えば、機械学習 (Machine learning、ML) に基づくサービスマッピングやアプリケーションフィンガープリントは、ServiceNow IT Operations Management (ITOM) ソリューションにとって不可分な要素となっています。しかし、証明書やファイアウォールのルールを含む技術スタックのあらゆる要素を適切にマッピングし、セキュアに運用できるようにするための可視性をもたらすことができなければ、これらは意味をなしません。Now Platform® の Xanadu リリースで強化されたディスカバリーアドミンワークスペース (Discovery Admin Workspace) を導入することで、IT サービス運用の基盤となるデータを、これまでになく簡単に収集・管理できるようになります。その結果、AI がもたらすインパクトを余すことなく活用できるようにします。

 

このブログ記事では、AI が IT 運用にもたらす変革を掘り下げ、ディスカバリーアドミンワークスペース、Automatic Certificate Management Environment (ACME) 対応の証明書管理、AWS、Azure、Google Cloud Platform (GCP) 向けのサービスグラフコネクタといった最新アップデートについて紹介します。そして、これらの機能を通じて、複雑な IT 環境下において AI が単にリアクティブなサポートを提供するだけの存在なのでなく、可視性の向上や管理の成果を生み出す存在となることを示します。

 

ディスカバリーアドミンワークスペース: ディスカバリー管理のための統合インターフェース

大規模な企業・組織で IT 環境のディスカバリー (Discovery) を実行・管理することは、困難を伴うことがあります。これは、特に複数のツールやインターフェースが介在する場合において顕著です。ServiceNow のディスカバリーアドミンワークスペースは、ディスカバリーのあらゆるアクティビティを追跡・管理するための単一のインターフェースとしてはたらくことで、こうした困難を取り払います。

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主なメリット

  • 高度なビジュアライゼーション: ディスカバリーアドミンワークスペースは、アプリケーションフィンガープリントや IT 資産の 360 度ビューなどの高度なビジュアライゼーションを活用することで、ディスカバリー機能を強化します。これにより、IT 部門は自社の IT 環境を深く理解し、データドリブンかつ適時的な意思決定が可能になります。
  • ディスカバリープロセスの一層円滑な管理: ガイド付きセットアップとリアルタイムな洞察の提供を通じて、運用チームはディスカバリープロセスの効率的な管理、進捗の追跡、問題点の把握、構成データの円滑な収集が可能となります。
  • シームレスな統合: このワークスペースは、構成管理データベース (Configuration Management Database、CMDB) とサービスマップにシームレスに統合され、ディスカバリープロセスとその結果を包括的に見える化します。これにより、チームは正確で最新のデータにアクセスでき、応答時間の短縮、インシデントの迅速な解決、より確実な事業継続が可能になります。

ITOM ヴィジビリティパッケージの一部として提供されるディスカバリーアドミンワークスペースは、ディスカバリープロセスの最適化を試みる IT 運用責任者、ネットワーク管理者、IT 資産管理責任者にとって欠かせないツールです。詳細な機能については、Sree Subramaniam 氏によるブログ記事「Introducing Discovery Admin Workspace - Top 10 Experiences to unlock productivity」をご覧ください。

 

ACME 対応の証明書管理: デジタル証明書管理の簡素化とセキュリティ強化

デジタル証明書は安全な通信の基盤ですが、その管理は複雑でエラーが付き纏いがちなものです。ServiceNow のACME 対応の証明書管理は、証明書管理を一層シンプルなものとし、セキュリティとコンプライアンスの確保に寄与します。

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主なメリット

  • 集中管理: ACME プロバイダーからの証明書を含むすべての証明書を、単一のフレームワーク内で検出・管理できます。この集中管理型アプローチにより、証明書管理の複雑さが軽減され、エラーのリスクを低減できます。
  • プロセスの自動化: DNS チャレンジ、証明書の更新、失効のプロセスを自動化することで、最小限のマニュアル作業のもとで証明書の有効性とセキュリティを確保できます。カスタム Webhook やローコードのスクリプトにより、自動化機能がさらに強化され、証明書の設定と管理がさらに容易になります。
  • セキュリティの強化: ACME サポートを ServiceNow の既存のワークフローに統合することで、安全な通信の維持、サービス停止の回避、業界標準への準拠に繋がります。

ACME 対応の証明書管理は ITOM ヴィジビリティ Professional パッケージにてサポートされており、デジタル証明書の管理に高い信頼性と業務生産性を求める IT 運用責任者、セキュリティ管理者、ネットワーク管理者に最適です。

 

AWS、Azure、Google Cloud Platform向けのサービスグラフコネクター: クラウド統合の加速

クラウドサービスの活用が進む中、IT 環境への可視性を高め、IT 資産の効果を最大化する上で、クラウドプロバイダーのデータを ServiceNow CMDB に統合することが重要です。ServiceNow の AWS、Azure、GCP 向けのサービスグラフコネクタ (Service Graph Connector) は、この統合プロセスをシンプルに実現するプラグアンドプレイ型のソリューションとなります。

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主なメリット

  • 迅速な統合: サービスグラフコネクタを使用すると、主要なクラウドプロバイダーからのデータを CMDB に迅速かつシームレスに統合でき、高いデータ品質と一貫性を確保します。IT 資産、および資産間の関係が一元的に可視化されるため、IT 環境の全体的な可視性が向上します。
  • 主要なユースケースのサポート: これらのサービスグラフコネクタは、構成管理、ソフトウェア資産管理、ヘルスログ分析 (Health Log Analytics、HLA)、サービス運用管理など、幅広いユースケースに対応しています。
  • 継続的なアップデート: ServiceNow は、各ストアリリースにて継続的なアップデートを提供しており、サービスグラフコネクタが最新の状態を維持することを保証しています。これにより、クラウドサービスの継続的なアップデートに伴走する形で、サービスグラフコネクタも新機能や機能を備え、長期的な互換性と機能性を担保します。

ITOM ヴィジビリティまたは ITOM AIOps の任意のパッケージで利用でき、クラウド統合を加速しようとする IT運用責任者、クラウド管理者、IT 資産管理者にとって必須の機能となっています。

 

一部のクラウドユースケースでは、エージェントレスの ITOM ディスカバリーやエージェントクライアントコレクター (Agent Client Collector、ACC)、またはクラウドネイティブオペレーションによるディスカバリーも検討すべきです。適切なオプションの選定については、ServiceNow の担当者にご相談ください。

 

あらゆる CMDB ソースを通じた機械学習ベースのサービスマッピング

ServiceNow は数学理論とテクノロジーを駆使して、ネットワークトラフィックから自動的にサービスマップを作成する技術を確立してきました。これは、ディスカバリーにおける AI 活用のスタンダードとなっています。例えるならば、これは数人の友人に GPS を持たせてニューヨーク市内を移動させ、数時間または数日の限られた動きから都市全体の詳細な地図を推測するようなものです。私見ですが、これは生成 AI の応用に引けを取らないほどに素晴らしい進歩だとみなしています。なお、ほとんどの ITOM ユーザーに追加のライセンスは必要ありません。

 

唯一の制限は、すべてのディスカバリーソースが、必ずしもサービスマッピングに利用可能な IP トラフィックを有していないことです。しかし、ServiceNow の R&D はその制約に対峙し、サービスグラフコネクタ、ACC、エージェントレスディスカバリーなど、あらゆる CMDB ソースからの情報を基にサービスマッピングを行うことを可能としました。これには、MID サーバーを使用しないアーキテクチャも含まれます。

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ところで、なぜサービスマップが重要なのでしょうか?ServiceNow が今後提供する AI 技術はサービス認識型であり、ユーザーの IT 環境独自の構成、およびビジネス目標を達成するための IT のあり方に基づいて、最適な出力を生成します。従来、こうした高度なアウトプットを実現するには、サービスごとに数十時間をかけて必要な入力情報を集め、技術スタックの各層で部分的に自動化されたプロセスを一歩一歩進める必要がありました。しかし、ML に基づくサービスマッピングは、アプリケーションの特徴を捉えて情報収集を自動化し、さらにはクラウド上のネットワークパターンも活用します。これにより、重要なアプリケーションを数週間で何十個もマッピングできるようになります。これは誇張ではなく、十分なネットワークトラフィックがあれば可能です。その結果、個々のユーザーのビジネス環境や独自の業務プロセスに合わせて、ServiceNow のあらゆるプロセスが有効な提案をもたらせるようになるのです。

 

ServiceNow の ITOM ヴィジビリティには、衣類の洗濯はできません。しかし、組織が IT 環境を隈なく可視化し、主要なプロセスを効率化し、重要なデータを統合するのに役立つ強力なツールセットを有しています。ディスカバリープロセスの管理、証明書管理の自動化、クラウドプロバイダーのデータ統合など、これらの機能は、今日のダイナミックな IT 環境で成功するために必要な能力を提供します。Xanadu リリースを通じて、基礎を強固なものとし、AI 活用を次のステップに推し進めるための手がかりを見つけていただけるはずです。

 

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