運用チームは、システムから障害アラートをアセスメント、調査して原因を分析します。これまで、その中でのAI活用について触れましたが、今回は、その次の段階、修復フェーズにおけるAI活用について触れたいと思います。
多くの運用チームが抱える課題として、同様のインシデントが繰り返し発生しているのに、その都度手動で対応している、ということはないでしょうか。問題発生後に対処する「火消し」型運用が常態化し、これまで蓄積できた大量のインシデントに対する対応データがあるにもかかわらず、それらを十分に分析・活用できず、障害の度に過去インシデントやナレッジ検索、頻繁なエスカレーションによってリソースが浪費されていることはないでしょうか。また、せっかく熟練エンジニアがいるにも関わらず、日々の問題対応や業務に追われ、戦略的な改善に着手できない、ということもあるのではと思います。
これらはすべて、「知識とデータはあるが、それを効果的に活用して自動化・効率化につなげられていない」ことに起因しています。
AIOps LEAPが提供するIT運用の効率化と自動化
AIOps LEAP(Learning-Enhanced Automation Playbook)は、は、AIと機械学習の力で過去のインシデントデータを自動分析し、自動化の機会を発見します。そして、実行可能なプレイブックを生成することで、運用チームは「火消し」業務から解放され、予防的かつ戦略的なIT運用への転換を実現することができます。
主要な特徴
インテリジェントなデータマイニング
AIOps LEAPは、過去6ヶ月分のインシデント解決記録を高度なデータマイニング技術で分析します。機械学習を活用して膨大なデータセットから隠れたパターンや関連性、トレンドを発見し、同じ種類でグルーピングしたあと、自動化の機会つまり解決手順が作成できるものを特定し、LEAPのダッシュボードで提供します。手順を作成できる候補を、プライオリティ、優先度をもって教えてくれます。
解決手順作成の優先度づけとROI測定
ビジネスへの影響とROIに基づいて、それぞれの自動化の機会に優先度を付けられます。定量的・定性的なアプローチでコスト削減効果を測定します。グループに関連する過去のチケットの数、予想される節約コストや時間、使用頻度などが提示されていますので、どれが優先度、効果が高いかを判断できます。
解決手順の自動生成
グループ化されたインシデントの解決ノートの情報を元に、標準化された解決手順を生成AIが作成し提案します。この例はある企業のなかで、ユーザーが何らかのサービスカタログから商品を検索するバリアントという機能と、リコメンデーションの機能に不都合があるというものです。この問題の具体的な対応内容が記述されています。
プレイブックの自動生成
生成AIによって作成された解決手順から、それを一般的な対応マニュアルとして運用チームがすぐに使用できるように、プレイブックを作成するところもAIによって自動化されています。文章ではなく、作業フローのように表示されていることがご覧いただけると思います。この対応手順を担当者がチェックし公開して、運用チーム向けにプレイブックを活用できるようにします。
プレイブックを使った障害オペレーションの実施
作成したプレイブックの内容にそったインシデント「商品を検索するバリアントとレコメンデーションがロードできない」というインシデントが発生しました。ここで、作成済みのプレイブックが自動で連携され、表示することができます、運用チームは、プレイブック内にあるステップ、手順に従って、復旧作業を実施することができます。初めのステップとして、検索機能を検証する、それを完了すると、次にバックエンドサービスの調査をする、といった具合です。過去の解決手順に沿ったステップと内容が提示されます。
自律型IT運用への道
AIOps LEAPは、AIの力を活用して、データを価値に変え、IT運用を反応型から予測型、そして最終的には自律型へと進化させる基盤となるソリューションです。
繰り返し発生する問題への対応を自動化し、チームがより戦略的な業務に集中できる環境を構築することで、デジタルサービスの品質向上と継続的なイノベーションを実現します。
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