Hiroyuki Kojima
ServiceNow Employee
ServiceNow Employee

ServiceNow Impact Platform Architect の児島です。

 

プラットフォーム設計の重要性に関して、Part 3 です。
Part 2 は 👉 こちらです。

 

ServiceNow を導入するとき、必ず議論になるのが 「OOTB(Out-of-the-Box)のまま使うか、カスタマイズするか」 というテーマです。
都市計画に例えるなら、これは「既存の公共インフラをそのまま利用するか」「独自の建物や道路を作るか」に近い議論です。

 


🏗 OOTBは公共インフラにあたる

都市における 道路・水道・電気・下水道 のような存在。

  • 誰もが使える

  • 維持管理が継続的に提供される

  • 将来的に拡張や改善が保証される

市民(ユーザー)は、自分で水道管を引かなくても蛇口をひねれば水が出るし、道路も自分で舗装しなくても使えます。

➡ ServiceNow においても、インシデント管理・チェンジ管理・ナレッジ管理 など主要な業務フローは OOTB で実現可能。
無理に独自ルールを作らなくても、すぐに業務を動かせるのが大きな利点です。

 

 カスタマイズは「特殊建築」や「私道」に似ている

  • 特殊な用途に合わせられる

  • 独自性を出せる

  • ただし維持管理コストが跳ね上がる

都市再開発が進んだとき、特注建築や私道がボトルネックになるように、

OOTBを大きく改変するとアップグレードのたびに改修コストがかかり、将来的に「足かせ」になりかねません。

 

🌱 成功する都市再開発=OOTBを活かす戦略

 良い例

  • 主要道路(OOTBプロセス)はそのまま活用

  • 新しいビル(カスタムアプリ)は都市計画に沿って建設

  • 必要なら歩道橋(拡張機能)を追加して交通改善

 悪い例

  • 主要道路を勝手に封鎖して自分専用の道を作る

  • 公共水道を無視して独自の井戸を掘る

  • 既存の鉄道網に接続せず、孤立した路線を作る

➡ こうした判断の差が、都市全体の持続可能性を大きく左右します。

 

🚀 アーキテクトの役割

都市でいえば 都市計画局の長官 のような存在。

  • どこまで OOTB を利用するか

  • どの部分をカスタムするか

  • 将来の拡張をどう見据えるか

このバランス感覚が、持続可能な都市=プラットフォームを築くカギになります。

 


まとめ

  • OOTBは「公共インフラ」。できるだけそのまま使うべき。

  • カスタマイズは「特殊建築」。必要な場合だけ、計画的に導入。

  • 成功する都市は、インフラを活かしつつバランスよく拡張している。

ServiceNow も都市も同じで、「標準を尊重し、未来を見据えた設計」 が持続可能性を決めます。

 

👉 次回は「カスタマイズをどこまで許容するのか?」について考えてみます。