Hiroyuki Kojima
ServiceNow Employee
ServiceNow Employee
ServiceNow Impact Platform Architect の児島です。

 

プラットフォーム設計の重要性に関して、Part 4 です。
Part 3 は 👉 こちらです。

 

前回は「OOTB=都市の公共インフラ」という視点でお伝えしました。
今回はさらに一歩踏み込み、「カスタマイズをどこまで許容するのか?」を都市計画になぞらえて考えてみます。

 


🏗 特殊建築(カスタマイズの意義とリスク)

都市には劇場やスタジアムのような特注の建築物があります。
これらは都市の文化や独自性を象徴し、人を惹きつける存在です。

 

ServiceNow でも、業界特有の要件自社の強みを発揮する領域では、一定のカスタマイズが価値を生みます。

 

しかし注意すべきは、特殊建築が都市のあちこちに乱立すると、維持管理コストが跳ね上がり、再開発の障害になることです。
過度なカスタマイズは、アップグレード負債や属人化の温床となり、持続可能性を損ないます。

 

🛑 やめる勇気(既存業務の見直し)

都市の健全な成長には、老朽化した建物の撤去や利用されない道路の廃止が欠かせません。

同じように、ServiceNow の活用でも**「業務をやめる/変える」判断**が必要です。

  • システムを業務に合わせるのではなく、業務をシステムに寄せる

  • これにより、運用がむしろシンプルで持続可能になるケースが多い

 「あえて残さない勇気」が、未来の柔軟性を生みます。

 

📏 バランスを取るポイント

カスタマイズを適切に扱うための指針はシンプルです。

  • 標準(OOTB)優先:できるならまず標準で対応する

  • 差別化領域のみ最小限:自社の強みに直結する部分だけ手を入れる

  • 問い直す仕組み:「本当に必要か?」を定例で見直す仕組みを設ける

これは都市計画における「用途地域のバランス」と同じで、ルールと秩序のなかに個性を配置することが大切です。

 


まとめ

カスタマイズは「敵」や「悪」ではありません。
都市にとっての劇場やスタジアムのように、独自性を形作る大切な要素になり得ます。

しかし、それは計画的に配置されてこそ活きるもの。

業務を変える/やめる勇気を併せ持つことで、長期的にシンプルで持続可能なプラットフォームを築けます。

 

「短期的な利便性と、長期的な持続可能性を天秤にかける」それがアーキテクトの腕の見せ所です。

 

👉 次回は都市の持続的な成長になぞらえて、継続的な最適化について考えてみます。