雪印メグミルク - ワークフローシステムを全面刷新、事業環境の変化に即応する「進化し続けるDX基盤」を整備 PDFをダウンロードする
約200本 App Engineに移行した データベース本数 5~6名 アプリの改修や新規開発の 内製化を担う人材を育成中 多様なデバイスへの対応 外出先からの承認を可能にし 多様な働き方と承認リードタイム短縮に貢献
ワークフローシステム、基幹業務システム、統合DWHシステムの3つが刷新されなければ、本格的な全社DXを推進することはできません。中期IT投資計画に基づき、ノーコード・ローコード開発を支えるServiceNowのApp Engineの導入・活用・拡張にあたっています。 小幡 貴司 氏 雪印メグミルク株式会社 DX戦略部長(取材時)

創業100周年を迎えた雪印メグミルク株式会社は、長年利用してきたグループウェア環境から脱却し、ServiceNowのApp Engineを中核としたワークフローシステムを導入しました。申請・承認業務の一元化やモバイルデバイス対応、ペーパーレス化を実現するとともに、内製開発人材の育成にも注力。変化に柔軟に対応できる「進化し続けるDX基盤」を整備することで、業務効率化にとどまらない、持続的な企業変革への土台を築いています。

ワークフローシステムの保守や開発を担える技術者が不足

2025年に創業100周年を迎えた雪印メグミルク。「雪印北海道バター」「ネオソフト」「6Pチーズ」などの乳製品をはじめ、牛乳・乳飲料、ヨーグルト、デザート、健康食品や粉ミルクなど、ミルクの持つ価値の研究成果を商品化し、製造・販売しています。2024年には、新たな成長のタネづくりとして、プラントベースフード事業へ参入しました。

同社 DX戦略部長の小幡貴司氏は、「創業の精神である『健土健民』を、今改めて当社の存在意義・志として再定義し、食の持続性の実現とその先にあるリジェネラティブ(持続的で好循環)な社会を目指した取り組みを新経営計画において強化しています」と語ります。

同社はこうした取り組みを支えるため、全社横断型のDXを掲げています。経営層から現場の社員まで、すべての部門・社員がデータを活用した業務変革に取り組める環境づくりを進めるとともに、デジタル活用の意識を全社に広げてきました。

こうした同社の業務を長年にわたり支えてきたのが、グループウェア基盤の移行前システムですが、近年、さまざまな課題が顕在化していました。

まずは、移行前システム上でアプリの保守や開発を担える技術者の不足です。同社 DX戦略部IT企画推進グループ 企画チーム 課長の加藤直人氏は、「移行前システムのコードを読み書きできる人材は社内で限られており、改修要求が発生するたびに外部の協力会社に頼らざるを得ず、対応スピードの低下を招いていました」と語ります。

次に、20年を超える運用を経て膨張した、データベースの維持管理の負荷です。加えて、移行前システムの利用環境が社内PCのみに限定され、スマートフォンなどのモバイルデバイスに対応できていなかったことは、テレワークを含めた働き方改革の障壁となっていました。

そして何よりも大きな懸念は、長年のシステムへの慣れによって「このやり方が当たり前」という意識が社内に根付いてしまっていたことです。

「業務の仕組みを変えれば、もっと効率化できるはずなのに、改善への発想が生まれにくい状況になっていました。激変するビジネス環境や法制度改正などに迅速に対応できる、より柔軟なワークフローシステムが求められました」と小幡氏は強調します。

ノーコード・ローコードで内製化しやすいこと、クラウド基盤で拡張性が高いこと、端末を選ばず使えること、技術基盤の普遍性が高いこと。この4点を新たなワークフローシステムの選定で重視しました。 加藤 直人 氏 雪印メグミルク株式会社 DX戦略部IT企画推進グループ 企画チーム 課長 

単なるワークフロー製品ではないプラットフォームとしての拡張性を評価

新たな業務アプリ開発・運用のプラットフォーム導入を決断した同社は、複数のベンダーに提案を依頼し、ソリューション選定にあたりました。

特に重視したのは、「ノーコード・ローコード開発による内製化が可能」、「クラウド基盤で拡張性が高くビジネス環境の変化に応じて機能追加や改善を柔軟に行える」、「PCやスマートフォン、タブレットなどデバイスを問わず利用でき、多様な働き方に対応可能」、「技術者を確保しやすい標準的(普遍的)な基盤」といったポイントです。

そして、これらの要件を総合的に比較検討した結果、同社はキンドリルから提案されたServiceNowの「App Engine」を採用しました。

「App Engineは単なるワークフロー製品ではない、幅広い業務領域に適用できる汎用的なプラットフォームである点を高く評価しました。多様な機能と将来への拡張性、そして豊富な採用実績が最終的な決め手となりました」(加藤氏)

なお、今回のApp Engine導入は、基幹業務システムおよび統合DWHシステムの刷新と合わせた「三位一体」での中期IT投資計画として位置付けられています。「DX推進の本格化に先駆けて、まず全社的なデジタル基盤を整備する必要があると判断しました」と小幡氏は語ります。

「移行アセスメント」「準備」「開発」の3フェーズでプロジェクトを実施

App Engineの導入は2022年よりスタート。キンドリルを正式に主幹パートナーに選定し、下記の3つのフェーズでプロジェクトは進められました。

フェーズ1:まずは、2022年4月から6月に行われた「移行アセスメント」です。移行前システムに実装されたワークフローの範囲と複雑さを確認するとともに、約600本に及ぶデータベースの棚卸を行いました。この結果、約200本のデータベースをApp Engineに移行し、その他はSharePointなど用途に応じたプラットフォームに振り分けることにしました。同時にApp Engineに移行するアプリについて、フィット&ギャップ分析も実施しています。

フェーズ2:翌年の1月から3月までの「事前準備」フェーズです。代表的なアプリを選抜し、実際にApp Engine上での動作を試してみることで、具体的な移行手順に落とし込んでいきました。

フェーズ3:2023年4月からは各アプリの要件定義から設計、開発、テスト、移行に至るプロセスを実施していきました。

同社 DX戦略部IT企画推進グループ デジタル共創チーム課長の山本耕司氏は、「App Engineの標準機能を最大限に活用して保守容易性を確保することを大原則とし、スクリプトによるカスタマイズを極力抑えることで、将来的に市民開発でも対応可能な設計を重視しました。一方で、ユーザーの業務要件との調整は容易ではなく、機能実現とコスト・保守性のバランスを取りながら丁寧な交渉を重ねてきました」と話します。

さらに、プロジェクト全体を支援してきたキンドリル 流通・通信・メディアデリバリー 事業部長の中尾大作氏が、このように続けます。

「前段の移行アセスメントでしっかり検証・評価を行った成果を、その後のプランに織り込むことで、後続プロジェクトに影響を及ぼすリスクの低減を図りました。ユーザーの皆様との厳しい議論になる場面もありましたが、そうした中からもこのプロジェクトを必ず成功させるという一体感が醸成されていきました」

承認の滞留防止とリードタイム短縮を実現

App Engineに実装したアプリのリリースは、次の4段階に分けて行われました。

①    2024年4月に比較的簡易なアプリを先行導入

②    2024年12月に全社員が利用する労務申請系アプリを刷新

③    2025年4月に残りのアプリの移行とスマートフォン対応を完了

④    2025年5月に稟議書ならびにマスター申請系アプリを本番稼働

こうして全面稼働を開始したApp Engineは、さまざまな効果を生みだしています。最も大きな変化として挙げられるのは申請・承認業務の一元化です。

「これまでは申請の種別によってアプリを使い分ける必要がありましたが、App Engineにすべてのワークフローを統合したことで、承認の滞留防止とリードタイム短縮が実現しました。外出先にいる上長がスマートフォンから承認できる環境が整うなど、業務の柔軟性も向上しています」(山本氏)

加えて、従来は印刷を前提としていた業務も見直され、結果としてペーパーレス化が進みました。また、すべての申請をゼロベースで見直したことで、長年蓄積された不要な機能の削除とプロセスのスリム化も実現されました。

そうした中で、ユーザーからは新たなワークフローの追加要望も増えており、「継続的に変えられる基盤」としての手応えを得ています。

そして特筆すべきが、ワークフローシステムの内製化を担っていく人材育成と、その先にあるDXを継続するための体制づくりです。

「キンドリルが実施するApp Engineの講習を受講したDX戦略部内のメンバーは約20名で、そのうちの5~6名がすでにワークフローの改修や新規開発を担えるレベルに達しています。将来的には、自律的にワークフローを作成できる市民開発者を業務部門にも広げていきたいと考えています」(山本氏)

AIを活用したさらなる業務効率化を目指す

同社は今後、残存する紙の申請・承認業務の完全デジタル化を進めていく方針です。それと同時に検討しているのがAIの本格活用です。「申請時にユーザーに求められるさまざまな判断をAIエージェントが支援することで、さらなる業務効率化を図りたいと考えています」と山本氏は展望を示します。

その一方で急がれるのが、IT部門自身のデジタル変革です。

「ユーザー部門からの問い合わせ対応をデジタル化することで、インシデントに関するナレッジの一元管理を目指しています。ここでも自動化の技術によって一次回答を迅速化するといった業務効率化を進めていく考えです」(加藤氏)

さらに中長期的な観点からも、大きな拡張を見据えています。

「ServiceNowのITSM(IT Service Management)を起点とし、App Engineと基幹系アプリケーション、統合DWHシステム、そしてAIエージェントがシームレスに連携するデジタルエコシステムを実現していくという構想を描いています」(小幡氏)

今回導入したApp Engineは単なる業務刷新のためのツールではありません。雪印メグミルクにおける「進化し続けるDX基盤」として、今後も同社の持続的な取り組みを支えていきます。

 

*所属・肩書きを含む本事例の内容は2026 年3 月時点のものです。

この事例を共有 導入製品 App Engine お客様の詳細 お客様名 雪印メグミルク株式会社 所在地 日本 東京都 業種 食品製造 従業員数 連結:5,751名(2025年3月末現在) パートナー キンドリルジャパン株式会社
App Engine 生成AIを活用し、ローコード/ノーコード開発で業務アプリをより迅速に開発するプラットフォームについて詳しく知る デモを見る エキスパートに相談する プロセスの簡素化でもアプリ開発の迅速化でも、私たちがお手伝いします。 お問い合わせ
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