業界を変革して人々の生活を豊かにする
Siemens 社は、多方面で活躍する世界規模の大企業です。 175 年の歴史を持つ同社は、ヨーロッパ最大の工業製品生産会社であり、世界最大級のエレクトロニクス、インダストリアルエンジニアリング企業です。
世界中で 30 万人以上の従業員を擁する Siemens 社は、目的を持ったテクノロジーを生み出し、現実世界とデジタル世界の最も優れた要素を取り入れて、顧客を支援し、業界を変革し、世界中の何十億もの人々の日常生活を豊かにすることを目指しています。
物理的要素とデジタルのシームレスな融合が Siemens 社のビジョンであり、同社はそのビジョンを社内業務にも適用したいと考えています。 これに関連して、Siemens AG 社のグローバルビジネスサービス (GBS) 組織は、『Top 20 Most Admired Business Service Providers』をはじめ、数々の名誉ある賞を受賞し、イノベーターとして認められています。 2022 年、Siemens 社の GBS は、Everest Group によって『Pinnacle Enterprise® in Intelligent Automation』として 2 度目の選定を受けました。
Siemens AG 社の GBS が策定した長期的な戦略に沿って、労働力主導の組織からテクノロジー主導の組織への移行に取り組んできました。 これを実現するには、AI と自動化を活用して、より効率的なサービスを提供し、ビジネスにより大きな価値をもたらして、グローバルレベルでより優れたエクスペリエンスを提供する必要があります。
環境の単一化を目指す
Siemens 社の GBS が目指す労働力主導モデルからの脱却というのは、従業員を重視するやり方から離れるという意味ではありません。むしろ逆のことを行います。 テクノロジー主導の目標を構成する重要な要素は、従業員エクスペリエンスを向上させ、多くの基幹業務でプロセスの円滑化を図ることです。 これは、営業部門における Opportunity-to-Cash プログラムや、調達部門における Purchase-to-Pay プログラムに見られます。 Hire-to-Retire プログラムは、オンボーディングから給与計算、福利厚生、従業員データ管理、グローバルモビリティサービスに至るまで、従業員の HR ライフサイクル全体にわたるエンドツーエンドの業務を管理しています。 ただし、複数の基幹業務に関与する従業員にとって、プロセスの円滑化や直感的なワークフローの実現には、困難が伴います。
「Siemens 社は複雑な組織です。世界 180 か国以上で事業を展開しているからです」と Siemens AG 社の GBS Hire-to-Retire 責任者である Sree Ravuri 氏は説明します。 「当社は、各国の規制要件に対応するため、特に HR 部門には多数のシステムを導入しています」
Ravuri 氏は、共通のエクスペリエンスが得られる単一の環境上で複数のステークホルダーをつなげることが長年の課題だと指摘しています。 これに対応するべく、20 年ほど前にグローバルビジネスサービス (GBS) 部門が設立されました。
当初は、シェアードサービスセンターとして HR と財務の業務に対応していましたが、徐々に進化して、新たな職責も加わり、世界 11 か所の主要デリバリ拠点にまたがる多機能リソースになりました。
「デジタル化は、GBS を新たなテクノロジー主導の時代に導くための次のステップです」と Siemens AG 社のグローバルビジネスサービス (GBS) 担当 CIO 兼最高デジタル化責任者の Matthias Egelhaaf 氏は説明します。 「当社では、年間で 1,000 万件の請求書、600 万件の給与明細、70 万件の注文、そして 1,000 万件近くの取引注文を処理しています。それは、大量のトランザクションを処理するプロセスにテクノロジーを導入する絶好の機会でした」
バックボーンシステム向けの新しいプラットフォーム
「この新たな戦略的方向性を打ち出すのに特に必要だったのは、柔軟性でした」と Ravuri 氏は語っています。 「そこで、HR テクノロジー全体を刷新し、クラウドベースのテクノロジーへの移行に着手しました」
Siemens 社が必要としていたのは、GBS 向けのエクスペリエンスを簡素化し、デジタル化できるシングルプラットフォームでした。 同社の中央 IT 部門ですでに ServiceNow ソリューションを使用していた Egelhaaf 氏は、ServiceNow HR Service Delivery がもたらす付加価値がどのようなものかを目の当たりにしていました。 「すべてのバックボーンシステム、インシデントと変更管理、シェアードサービスセンターの一般的なサービス管理プロセスをすべて収集し、ServiceNow に移行できることがわかりました」と Egelhaaf 氏は付け加えます。 「メール、チャットボット、音声、テレフォニーを組み込んだ、最新のデジタルインタラクションレイヤーを構築することもできました」
これは、Siemens 社全体で他の変革プロセスを推進する機会でもありました。 共通のシステムを使用するには、標準化されたプロセス、一貫したデータ、共通の KPI を開発し、ビジネス全体の透明性を高め、大量の繰り返し行う手順を自動化する必要があります。
「サービスとセンターを同様のプラットフォームに移行すると、プロセスとデータモデルが自動的に調和します」と、Siemens AG 社グローバルビジネスサービス (GBS) の AI およびデジタルサービス管理責任者である Philip Hechtl 氏は語っています。 「データを一元化し、自動化に役立つインサイトも作成しています」
テクニカルパートナーとの統合によるアジリティ
Siemens AG 社の技術サプライヤーとデジタルサービスの複雑なエコシステムは、ServiceNow が提供する連携機能のおかげで、完全に接続できるようになりました。 これにより、GBS 組織の効率とアジリティが向上し、重要なビジネスシステム全体のワークフロー接続が加速されます。
ServiceNow Integration Hub を使用すると、GBS はプロセスを完全に制御しながら、ケースを顧客やサプライヤーに簡単にルーティングできます。
同様に、Siemens AG 社の GBS 組織は、クラウドベースのテレフォニーを Amazon や Microsoft Teams に接続して再生することができます。 同組織では、現在、統一されたシングルプラットフォームと最適化されたワークフローにより、従業員の生産性と効率が向上し、ユーザーエクスペリエンス (UX) の強化によるメリットが生まれています。
パーソナル、ソーシャル、デジタルエクスペリエンスの強化
ServiceNow HR Service Delivery に支えられた GBS は、現在、Hire-to-Retire チームとより広範な組織の両方が提供するさまざまなサービスへのアクセスを求める Siemens 社の従業員に対し、単一の窓口を提供しています。
Siemens 社の GBS のスタッフオンボーディングは、ServiceNow により、パーソナル、ソーシャル、デジタルエクスペリエンスの観点からプロセスの改善が行われ、強化されました。
「新しいポータルの最大の利点は、ガイド付きワークフローです。これでプロセス全体のオーケストレーションを実現します」と Siemens 社 GBS デジタルラボ責任者の Sonia Chopra-Sohanpall 氏は述べています。 「新規採用の従業員が入社する前から、従業員との関係を築いており、入社初日には仕事を始めるために必要なものがすべて揃っています。マネージャーと従業員のユーザーエクスペリエンス全体が非常に向上しました」
「バイオニックエージェント」によるプロセスの自動化により、従業員エクスペリエンスが向上し、応答時間が短縮され、エラーが減少し、GBS と Hire-to-Retire エクスペリエンスを複数の言語で利用できるようになります。
「すべてはインパクトに尽きます。ServiceNow は単にロボットを提供するだけでなく、ビジネス上の実際の課題も解決します。私たちは今、その成果を実感しています」と Egelhaaf 氏は語ります。そして、Siemens 社の GBS は、すでに 100 万時間の自動化を達成し、複数のテクノロジーに基づくビジネスの生産性と競争力の強化に貢献していると付け加えています。