カスタマーサービス管理 (CSM) とは、問題や要求を迅速に解決するために、顧客とカスタマーサービスなどのチーム間でタスクをオーケストレーションすることです。
さらに具体的に言えば、CSM とは、顧客の抱えるさまざまな疑問や要求に、隅々まで迅速に応えるため、顧客、カスタマーサービス、ミドルオフィスのスタッフ、運用チーム、バックオフィス部門、IT グループの間のアクティビティをオーケストレーションすることです。
顧客が企業の成功に不可欠であることは紛れもない事実です。 しかし、顧客ロイヤルティを効果的に向上させる方法については、それほど明確ではありません。 20 か国以上、18,520 人の顧客を対象とした最近の調査では、顧客が熱心なブランドエヴァンジェリストになる最大の要因は製品の品質と価値であり、その次に重要なものが高品質のサービスであることが明らかになりました (出典:KPMG)。 同時に、73 % の顧客は、不快なカスタマーエクスペリエンスの後にブランドを乗り換えると回答しています (出典:The Northridge Group)。 しかし、どうすれば顧客が満足していること、顧客のニーズを満たせていることを確認できるでしょうか?
重要な要因の 1 つに、コミュニケーションの容易さが挙げられます。 顧客は総合的に快適な体験を企業に期待しています。これは顧客が選択したチャネルすべてで信頼できるサービスを受けられることを意味します。 顧客がやりとりの相手としてエージェントに求めるのは、知識が豊富で、親切で、友好的であることであり、これはチャット、電話、テキストメッセージ、メールなど、インタラクションのチャネルを問いません。
また、企業は、営業時間外や、エージェントとのインタラクションがなくても、顧客が解答を見つけ、サポートを受けられるセルフサービスオプションを提供する必要があります。
最も重要なことは、顧客が自分の要求をできるだけ早く、自分の労力は最小限で解決したいと考えていることです。 つまり、企業は現実的な予想を立て、解決までの時間を透明化する必要があります。 組織はこれらの要求に対応するコンタクトセンターのエージェントを用意するだけでは不十分です。 コンタクトセンター以外の部門の関与も必要になることがあります。 ここで役立つのがカスタマーサービス管理です。
カスタマーサービス管理 (CSM) とカスタマーリレーションシップマネジメント (CRM) は同じようなものに見えるかもしれません。 しかし、CSM は CRM の先を行く思想です。 CRM は売上を生み出すことを目的としており、営業とマーケティングの労力を管理するにあたり効果的なソリューションとなり得ます。 ただ、CRM はカスタマーサービスに対する「事後対応型のアプローチ」です。ケースを追跡し、関連顧客情報を管理できますが、顧客の抱える問題に対して完全なエンドツーエンドのソリューションを提供するには不十分です。 CRM は一般に、複数のチャネルで顧客に対応する場合には効果的であると言えますが、カスタマーサービス以外の部門が問題解決に関与しようとすると限界があります。 一方、CSM にはこのような制約がありません。
CSM が機能において CRM より優れている一例として、サービスカタログの提供があります。 顧客は、自分が望む製品やサービスを瞬時に要求できます。 カタログのリンク先であるデジタルワークフローは要求を自動化し、人が介在するタッチポイントを大幅に減らせます。デジタルワークフローを使用して、顧客のパスワードのリセット、製品やサービスの変更、メールによる書類のコピーの要求など、完全自動化したプロセスを開始することもできます。 また、信頼できるサービスカタログはエージェントに、顧客の代わりに要求を行う事前定義済みのオプションを提供します。 要求によって開始されるサービスプロセスには、コンタクトセンター以外の社内部門も含めることができます。
おそらく、CSM のサービスカタログが持つ最大の利点は、カスタマーエンゲージメントを向上できるという点でしょう。 CRM 製品の中には、カスタマーセルフサービスを提供したり、エージェントに統合デスクトップを提供したり、ソリューションに沿ってエージェントをガイドしたりできるものもありますが、顧客のニーズへの対応にカスタマーサービス以外の部門からの応援が必要になる場合を想定していません。 サービスカタログは、顧客がエージェントとのやりとりなしでこのような要求を行うことを支援し、さらにエージェントが顧客に代わって要求を開始できるようにします。
顧客はエンゲージメントからデリバリまでシームレスなジャーニーを期待しています。また、許容できる時間枠内で要求や問題が解決されることを求めています。 CSM はこれを実現するため、関連するすべてのチームをひとつにまとめることで問題を迅速に特定し、解決策を実施でき、必要に応じて外部の部署とも連携できるようにします。
重要なことは、部門間の断絶を解消し、フロントライン、ミドルオフィス、バックオフィス、現場チームのプロセスを自動化することで、カスタマーオペレーションを簡素化し、優れたカスタマーエクスペリエンスを創出することです。 パーソナライズされ、自動化機能が強化されたセルフサービスオプションを顧客に提供することが、すべてのインタラクションにおける一貫性につながります。 顧客がライブサポートを必要とする、または希望する場合には、エージェントのサポートによって顧客のニーズを正確に予測し、顧客の手間を減らすエクスペリエンスを提供することもできます。
CSM システムでは、タスクをミドルオフィス、バックオフィス、または現場チームに直接ルーティングするワークフローを作成できるため、必要に応じてコンタクトセンターをバイパスし、効率を向上できます。
サービス管理アプローチを使用することで、カスタマーサービスはシングルプラットフォームでサポートオペレーションと接続し、顧客が実際に見ているデジタル/コネクテッド製品やサービスの健全性と運用ステータスを可視化できます。 その結果、問題解決が迅速化し、より事前対応型のカスタマーサービスが可能になります。 顧客の問題を先回りして解決することで、信頼を築き、ロイヤルティを育むこともできます。具体的には、問題が発生したときにすぐに顧客に連絡し、対処中であることを知らせ、解消までにかかる推定時間を提示するのです。
CSM ソリューションでは、顧客と製品のオンボーディングや、複数のタスクを含む複雑な長期プロジェクトなどのカスタマープロジェクトを、効果的に管理できるようになります。 同時に、カスタマーオペレーションを拡大し、リソースを増やさずに、処理できる問題、ケース、サポートタスクを増やすことができます。
CSM システムは、エンドツーエンドのケース解決データをシングルプラットフォームで管理します。 このデータを使用したプラットフォーム内分析により、現在と過去のパフォーマンスを分析することで効率向上と自動化を進める機会を特定できます。 さらにこのデータは、ボトルネックの特定とプロセスの最適化にも活用でき、全体的な解決時間の短縮につながります。
CSM の適用方法はいくらでもありますが、まずは一般的な CSM の実例を見てみましょう。 たとえば、顧客がクレジットカードを紛失したとします。 すると、重要な情報を収集するワークフローを自動的に開始し、ケースを適切な部署にルーティングし、権限を持つエージェントにアサインすることで、シームレスで建設的な解決策を提供するステップを作成できます。
- ケースの開始:顧客がカードの紛失や盗難を報告したり、不正審査部門が疑わしい取引を発見したりすると、ケースが開始されます。 ケースは、顧客のインタラクションと実行されたアクションの詳細を最初から最後まで追跡します。
- アカウントの自動凍結:通常、最初のステップとして、損害を防止するためにすべてのアカウントを凍結し、関連するその他すべてのカードをロックします。
- 顧客、カード、取引の検証:疑わしい取引がある場合、別のワークフローが開始され、タスクに不正審査部門や紛争部門が対処することがあります。 すべてがシームレスに引き継がれ、各タスクのステータスが追跡されるのが理想的です。
- トリアージと解決:ケースの進行中、継続的にタスクを監視します。 解決を速めるため、未解決のアイテムや実行すべきアクションがある場合は、担当者に通知します。
- ケースのクローズ:顧客に連絡して問題が解決したことを伝え、満足度アンケートを送り、アカウントをウォッチリストに追加してセキュリティ違反がないか監視を強化します。
- 監査証跡の提供:あらゆる関連データとタイムラインを 1 つにまとめます。 これにより、レポート作成と監査が簡単になります。
- 初回解決率を高める必要がありますか?
- コンタクトセンターへの問い合わせの予期せぬ急増に対処できますか?
- 顧客は要求を実行し、探している答えを自分で見つけることが簡単にできますか?
- 顧客の要求を、適切なスキルと能力を備えたスタッフにルーティングできていますか?
- 顧客の問題を自動的に解決できるワークスペースを、エージェントに提供していますか?
- ケースのタイプに固有のプロセスにもとづき、エージェントをガイドできますか?
- オムニチャネルの複雑さとコストを軽減する必要がありますか?
- サービスデリバリの測定基準と SLA をリアルタイムで可視化できていますか?
- 一般的な顧客の要求を自動化して、エージェントや他のスタッフを単調な手動タスクから解放できていますか?
- ミドルオフィスやバックオフィスチームなどの組織横断的な介入を必要とする複雑な問題を、簡単に解決できていますか?
- 組織の全員がケースに関するタスクの割り当てとステータスを確認できますか?
- 顧客の製品とサービスの健全性を監視して潜在的な問題を特定できますか?
- エンドツーエンドのケース解決プロセスを簡単に可視化し、ボトルネックや非効率な箇所を特定できますか?
- フルタイム/パートタイムに関わらず、コンタクトセンターや他部門の従業員がリモート環境で働くためのハイブリッドワークスペースは用意できていますか?
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