従業員ジャーニーは従業員が特定の企業で過ごす期間を示したもので、あらゆる関連イベントとタッチポイントが含まれます。
顧客が企業の血液だとしたら、従業員は心臓です。従業員は顧客満足度に直結していて、企業の動力源となります。ポジティブな企業文化を確立・維持するための第一の要因でもあります。そのため企業は、従業員エクスペリエンスへの理解もカスタマーエクスペリエンスへの理解と同じくらい不可欠だということを理解しつつあります。
従業員 (と自社) を理解し、重要な目標の達成を支援するためには、従業員が企業で経験するさまざまなステップやタッチポイントについて正確に知る必要があります。従業員ジャーニーは実証済みのカスタマージャーニー分析からコンセプトを借りたものです。人事部は、従業員ジャーニーをカスタマージャーニーと同じようにマッピングすることで従業員満足度とロイヤリティの向上を支援します。
従業員ジャーニーを明確に理解すれば、企業には以下のメリットがあります。
従業員エクスペリエンスの評価と分析によって、企業はオンボーディングから開発やフィードバックまでのアクティビティを計画しやすくなります。また、従業員のキャリアパスの支援に必要な活動にも気づくことができます。
調査によれば、尊重されていると感じている従業員は満足度が 63% 高くなっています。従業員ジャーニーをマッピングし、従業員エクスペリエンスを向上させることで、従業員は評価されていると感じ、さらに価値を提供できるようになるでしょう。
満足度の高い従業員は離職する確率が低く、離職する従業員の 93% は企業がもっと自分のキャリアに投資してくれれば離職しないと答えています。従業員ジャーニーを理解すれば、従業員にどのトレーニングを提供すべきか判断し、適切な能力開発の計画を立てられます。
従業員のキャリア計画をマッピングすれば、期待は伝達され、必要に応じて能力開発がなされ、業務のストレスは減って生産性が上がります。これは職場の雰囲気が良くなり、企業文化が強化されて満足度が上がることにつながります。
従業員ジャーニーを評価し考察することは重要ですが、それだけでは十分でありません。視覚化できる必要があります。従業員ジャーニーマッピングは、企業での従業員ジャーニーを視覚的に表現したものです。ジャーニーマッピングでは、従業員が企業とのやり取りにおいて経験するさまざまなステップと感情の状態をマッピングすることで、リソースの優先順位付け、役割の明確化、重要なイベントの特定が可能になります。
- 加えて、従業員ジャーニーマッピングでは以下のことができます。
- 社内の連携
- 最も重要なイベントの特定
- 重要な役割を明確にする
- 従業員中心の考え方や行動の推進
- 資金調達やその他のリソースの優先順位付け
採用プロセスのことで、新入社員の採用に必要なステップをすべて含みます。採用までにかかる時間、採用にかかるコスト、採用率、採用の品質を検討します。この段階を明確に理解することで、優れた人材を獲得するための求人票の改善や、採用を妨げている可能性のある問題の特定が可能になります。
オンボーディングは、新入社員を職場に案内し、システム、ツール、プロセス、期待されていることを理解してもらう作業を指します。新入社員には通常、業務に慣れたり生産性の高いやり方を見つけたりするための「成長」期間が必要です。効果的なオンボーディングは、新しい仕事に対する最初の熱意を有意義で長期的なものにします。
従業員ジャーニーの中で、従業員のエンゲージメントに影響するステップを検討してみましょう。こうした取り組みは従業員ジャーニーの全段階にわたって継続的に行われるべきです。このプロセスの重要な側面はコミュニケーションです。職場でのコミュニケーション戦略を慎重に作成し、いつ/どのように従業員とコミュニケーションを取るべきか見極めます。企業が従業員とうまく関わることができれば、より良い従業員エクスペリエンスを実現できます。
個人によって成長率も開発するスキルも異なるため、継続的なプロセスになります。この段階をマッピングするには、生産性、チームプレー能力、キャリアに対する希望を数値化する必要があります。従業員にスキルセットを広げる機会を与えることも重要です。多様な経験を含むポートフォリオを構築したい従業員にとっては重要な差別化要因となるものです。
成長途上にある従業員が努力を続け企業の成功に貢献するには、インセンティブが必要になります。従業員を鼓舞し、企業のビジョンの成功に関わらせることで、パフォーマンスを向上させましょう。
従業員が企業から離れるのには多種多様な理由があります。離職を止めることはできなくても、その理由をより明確に理解し、今後同じ理由で従業員が離職するのを防ぐ方法を考えることはできます。さまざまな段階で離職は起こりますが、今後の従業員のために改善や開発を行うべき点を知ることができる重要な機会だと言えるでしょう。
ジャーニーマッピングは、従業員ジャーニーの目に見えない側面を取り巻く思考過程をサポートします。
マッピングによって、ジャーニー全体にわたってうまく機能しているものを活用し、どの段階でも従業員のニーズに応えられるようになります。
ジャーニーのマッピングによって、従業員の期待に応えられていない部分だけでなくその理由まで明らかにすることができます。この情報を活用して、悪いエクスペリエンスの特定と解消をできる限り行いましょう。
通常、従業員ジャーニーのどこか 1 か所だけが不平等を助長するということはありません。重大なエクスペリエンスギャップを生み出すのは、組織的な不平等と長年にわたる偏見との複合的な影響なのです。平等と一体感を促進できるポイントを見つけて、それらが企業にとってどれほど重要かを従業員が理解できるようにサポートしてください。
パーソナライズされた従業員エクスペリエンスとは、状況や好みなど、従業員個人のニーズに合わせてカスタマイズしたエクスペリエンスのことです。
企業がカスタマーエクスペリエンスを管理するのと同じように、従業員のワークエクスペリエンスに対して計画し実行します。マスコミュニケーションやその他の「広範囲」戦略の方が、コスト効率が良いように思えますが、そうしたものは人間味のない雰囲気を作る傾向があり、従業員には自分が尊重されている、あるいは理解されているとは感じられません。反対に、従業員ジャーニーにおけるコミュニケーションやプロセスがパーソナライズされると、従業員は優れたパフォーマンスをするための具体的なサポートや指示を得たと感じます。
パーソナライズされたエクスペリエンスは、精神的な負担が大きいタスクに取り組むのに必要なサポートや精神的支えを従業員に提供できます。同時に、従業員ジャーニーを適切にパーソナライズすることは企業全体にとってのメリットを生みます。個人の従業員満足度が企業の収益を生む能力にどれほど影響するかという知見が得られるからです。
従業員エクスペリエンスのパーソナライゼーションは、単純な汎用的アプローチより時間も労力もかかる一方で、その効果ははるかに高くなります。また、適切なパーソナライゼーション戦略のもとで行えば、リソースに過度な負担をかけることなく、カスタマイズされた従業員エクスペリエンスを作り出すことができます。
従業員ジャーニーをパーソナライズするにあたって考慮すべき 3 つの重要なポイントを紹介します。
- オンボーディング
多くの場合、企業ではさまざまな役割の社員を雇用します。このため、単一の汎用的なオンボーディングエクスペリエンスは効果的ではありません。オンボーディングエクスペリエンスは、新入社員の職務に合ったものであるべきです。同時に、同じトレーニングやプロセスでも、人によって効果が違う場合もあります。可能であれば、新入社員一人ひとりのニーズに合わせてカスタマイズしたオンボーディングプロセスを提供できるように努めましょう。 - 機器
従業員の生産性を最も高められるハードウェアを見極められるのは、通常は従業員本人です。従業員全員にまったく同じ機器に適応しろと強いるのは、従業員エクスペリエンスを損ねるおそれがあります。標準化されたハードウェアを割り当てるのではなく、特定のニーズや業務に合ったハードウェアのための設備予算を各従業員に割り当てることを検討しましょう。 - 勤務地
2020 年はリモートワーカーの考え方へ姿勢を転換せざるを得ない一年でした。今日では、正当な理由なしにオフィスへの出勤を強いる企業方針は従業員の理解を得にくくなっています。能力を損なうことなくリモートワークができるオンライン環境のある従業員には、どこで仕事をするかを選択する自由を与えましょう。また、オフィスにいる必要がある従業員には、自分が生産性を発揮できる最善のスポットを選べるオープンスタイルのワークスペースを用意しましょう。 - 勤務時間
チーム間や部門間の調整や顧客へのサービスのために絶対に必要という場合以外は、すべての従業員が同じ 9 時 ~ 5 時勤務をするべき理由などまったくありません。可能な限り、従業員が自由に勤務時間を設定できるようにし、デスクに座っている時間ではなく仕事の質で評価するようにしましょう。
ソフトウェア開発者や人材採用担当者など、部門によって従業員ジャーニーは異なってきます。役割に基づいて従業員を区分けしましょう。さまざまな従業員のジャーニーについて考えることは、複数のジャーニーマップを作成する備えになります。
そこまで大量のジャーニーマップを作る必要はありませんが、包括性のためにサブマップやマップ内の小規模なバリエーションは必要です。業務の種類とその関連タスクだけでなく、従業員の年齢やその他の個人情報も (アクセス可能な範囲で) 考慮しましょう。従業員の世代や経験によって、開発の機会の価値も変わってきます。
定期的にサーベイを実施して情報を収集し、企業の取り組みについて従業員はどう思っているのか、改善の必要があるのはどこか、理解を深めましょう。
サーベイでは累積データが得られますが、ジャーニーマップの改善には定性的なフィードバックも非常に重要です。たとえば、トレーニングへの参加後に従業員がどう思ったのか、有益な情報を得られたのか、気持ちを鼓舞されたのかを聞き取りましょう。フィードバックがネガティブだった場合や、改善のための有効な提案をされた場合は、トレーニングを修正、更新し、より良いエクスペリエンスを提供しましょう。
KPI と従業員ジャーニーマッピングの成功の経過を記録しましょう。オンボーディング、評価、開発の成功について、独自のパラメーターを設定します。評価の測定については評価ソフトウェアでの自動化や統合も可能です。
現代の企業は、従業員エクスペリエンスの向上に焦点を移す必要があります。ServiceNow はこれを可能にするツールやリソースを Employee Journey Management で提供しています。
Employee Journey Management は、企業規模の機能を備えた新しいパッケージです。個人のキャリアジャーニーを進む上での従業員エクスペリエンスを最適化できるように設計されています。
Journey Accelerator アプリは、従業員の役割のパーソナライズや重要なアクティビティやタスクの管理をしやすくすることで、すべてのステップでの成功を促進します。Listening Posts と Learning Posts は、従業員フィードバックの収集を支援し、有益な教育機会を提供します。Lifecycle Events には、複雑な従業員リクエストを促進する自動化されたワークフローが組み込まれています。Experience Packs は、人事チーム向けに簡易ジャーニーの重要な詳細計画を提供するもので、パッケージ化されたワークフロー、コンテンツ、構成が含まれています。
結局のところ、ビジネスの中心となるのは従業員です。従業員のポジティブなエクスペリエンスと個人的成功に必要な支援をしましょう。ServiceNow ならそれができます。
ServiceNow がどのようにお客様のお役に立てるかをお確かめください。