ナレッジ管理とは?

ナレッジ管理は、組織の情報と専門知識を収集し、容易にアクセスできるように整理、共有する体系的なプロセスです。 ナレッジ管理で利用可能にする必要があるナレッジの例としては、技術リソース、説明書、FAQ ページなどがあります。

HR のデモ
ナレッジ管理について知っておくべきこと
KM のナレッジの種類 ナレッジ管理が重要な理由 ナレッジ管理を促進するイベント ナレッジ管理のプロセス ナレッジ管理のメリット ナレッジ管理ツールの例 ナレッジ管理のベストプラクティス ナレッジ管理のユースケース ServiceNow によるナレッジ管理

ナレッジ管理は、組織の情報と専門知識を収集し、容易にアクセスできるように整理、共有する体系的なプロセスです。 ナレッジ管理で利用可能にする必要があるナレッジの例としては、技術リソース、説明書、FAQ ページなどがあります。

私たちは経験から学びます。 新たな課題に直面し、成功、失敗することで、将来、同じような課題に立ち向かうための能力が向上します。 残念なことに、経験によって進歩するのは従来、本人だけに限られていました。私たちは自分自身の経験から学び、他の人々は同じことを繰り返すしかありません。 しかし、ナレッジ管理 (KM) は、核となる情報、インサイト、解を必要とする認定されたユーザーに対し、これらを簡単に利用できるようにすることで、このような状況をすべて変革する力を持ちます。

ナレッジ管理により組織全体の経験と専門知識がまとめられ、誰もがそのメリットを享受できます。

 

すべて展開 すべて折りたたむ KM のナレッジの種類

企業のナレッジにはさまざまな種類があり、それぞれのナレッジが組織の能力を形成し、戦略を周知するうえで重要な役割を果たします。 このようなさまざまな種類のナレッジを定義することは、効果的なナレッジ管理を実現するための重要な第一歩です。

  • 暗黙知 (Tacit knowledge)
    暗黙知は非常に個人的な知識であり、明確にしたり体系化したりするのが困難です。 個人の心の中にあり、個人の経験、直感、洞察に基づいています。 たとえば、従業員が各自の職務で発揮するスキル、専門知識、「ノウハウ」などがあります。 暗黙知を共有するには、多くの場合、直接的なやり取りとコラボレーションが必要です。
  • 暗示的知識 (Implicit knowledge)
    暗示的知識は暗黙知と密接に関連していますが、もう少し形式化されています。 これには、個人が有しており、意識的に認識されたり伝えられたりすることがない知識です。 暗示的知識は、観察と対話から明らかにできるため、組織での学習で役立ちます。
  • 形式知 (Explicit knowledge)
    形式知とは、文書、マニュアル、データベース、文書化された手順など、文書化、共有、転送が容易な、目に見える形で成文化されている情報です。 このタイプの知識は、個人的な解釈を必要とせずに他者が利用できます。
  • 宣言的知識 (Declarative knowledge)
    宣言的知識は、個人が自信を持って表明または宣言できる事実、概念、原則から成ります。 これは、誰かが主題について知っている事柄であり、言語や記号を使用して伝達できます。 宣言的知識は、教科書や参考資料によく記載されています。
  • 手続き的知識 (Procedural knowledge)
    手続き的知識は、物事の「やり方」に関する知識です。 特定の作業を実行するための段階的な手順やプロセスなどが含まれます。 この知識は、運用を標準化し、ワークフローの一貫性を確保するために不可欠です。
  • アポステリオリな知識 (A posteriori knowledge)
    アポステリオリな (A posteriori:ラテン語の「より後のものから」の意味) 知識とは、実際のデータに基づいて、経験的な観察や証拠から得られる知識です。 これは、エクスペリエンスベースの学習と密接に関連しています。
  • アプリオリな知識 (A priori knowledge)
    アプリオリな (A priori:ラテン語で「より先なるものから」の意味) 知識とは、経験から独立して存在する知識であり、推論、演繹、または直感によって導き出されます。 哲学的原則、数学的公理、論理的真理は、アプリオリな知識の例です。
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ナレッジ管理が重要な理由

ナレッジ管理では、組織の従業員の集合的なナレッジと経験を蓄積、取得できる単一の IT システムを構築することで、従業員の間で専門知識を共有します。 それにより、効率の向上、意思決定能力の向上、迅速で精度の高い問題解決が可能となります。

さらに、ナレッジ管理はイノベーションの促進にも役立ちます。 共有されたアイデア、経験、最新情報に容易にアクセスできるため、従業員は、必要なリソースを得て既成概念にとらわれずに考え、重要な文化的変革を行い、進化するビジネスニーズにうまく対応できるよう組織を変化させます。

また、ナレッジ管理は、従業員がより効果的に仕事をする方法について高度なインサイトを提供するため、従業員離職率の低下にも役立ちます。

しかし最も重要なのは、ナレッジ管理によって、企業は競争力を保てるということです。 使いやすいツールを通して経験と情報を共有することで、企業はより柔軟でインテリジェントになり、課題を容易に発見して迅速にイノベーションを起こす準備が整います。

ナレッジ管理の目標

ナレッジ管理の目標は、「意思決定を最適化し、顧客満足度を高めるために、組織における学習と適応を促進する。」というわかりやすいものです。

ナレッジ管理を促進するイベント

効果的なナレッジ管理は実質的にあらゆる組織に多大な利益をもたらす可能性がありますが、このようなシステムのニーズは、次のような特定のイベントによって必要性が生じるまで認識されないことがよくあります。 これには以下が含まれます。

  • 買収や合併により、体系化されたナレッジの必要性が生じ、チームが専門知識を共有することが促される。
  • 重要な従業員の退職や離任により、伝承するべきナレッジを取り込む機会が生じる。

今後の採用において新入社員のトレーニングを支援する。

ナレッジ管理のプロセス

実用的なナレッジ管理システムを確立するための標準化された手順は存在しませんが、以下のステップは、一般的なナレッジ管理プロセスを示しています。

ナレッジの取得

従業員セルフサービス (ESS) システムを使用すると、重要なコンテンツを作成し、スケジュール設定して、複数のチャネルを通して部門や従業員と共有できます。 これには従業員への配信に使用される一斉メール、お知らせ、リンク、その他のコンテンツが含まれます。 役職や勤務地など、さまざまな基準に基づいて受信者をフィルタリングできます。

ナレッジの構造化

構造化では、テンプレートやフォームを使用して作成することが含まれます。それにより、ナレッジベースが一貫性のある、利用しやすい形に保たれます。

ナレッジの共有

ナレッジ管理から何らかのプラスの効果を得るには、ナレッジ管理が利用可能であることをユーザーが認識する必要があります。 ナレッジ記事とリソースは、チームメンバーが使い慣れているチャネルで自由に共有できる必要があります。未解決の質問を関連するナレッジで解決できる場合には、その質問で KM を参照するようにします。

ナレッジの分析

ナレッジベースを作成して後は何もしないでおくのでは不十分です。 記事やその他のリソースが公開されたら、使用されている記事/リソースと使用されていない記事/リソース、および解消する必要があるナレッジギャップがあるかどうかを、定期的に確認します。

ナレッジの再利用

教育は集団的な取り組みであるべきです。 他のユーザーがすでに尋ねた質問は、問題を効果的に解決するために見つかった解決策を含め、すべてのユーザーに対して公開します。 従業員とマネージャーは、未完了の要求の表示、過去の要求の確認、特定の要求や最新の要求のステータスの確認といったことを、すべて単一のページから簡単に実行できます。

ナレッジの改善

ユーザーはナレッジベース記事を継続的に調べながら、定期的にレビューし、フィードバックを提供し、将来の反復作業に向けて可能な改善を図ります。

ナレッジ管理のメリット

ナレッジ管理による従業員エクスペリエンスの向上

従業員は、インサイトを利用でき、ナレッジを共有して同僚のエクスペリエンスを改善できる機会があれば、満足感を得て定着率が上がる可能性が高くなります。 これにより、コラボレーションの強化、意思決定の迅速化、組織内の効率性の向上が可能になります。

オンボーディングプロセスにおけるナレッジ管理

より良いオンボーディングエクスペリエンスは従業員の定着率と生産性を高めます。 ナレッジ管理は、オンボーディングと従業員のナレッジ共有を改善するための手軽で簡単な方法です。これは、新入社員が自分に期待されていることを明確に把握し、業務を完了するための最善の方法を学び、やるべきことを達成する手助けをしてくれる人を判断するのに役立ちます。 ナレッジベースは、包括的なシステムのツアーと手順の実施により、オンボーディングをスピードアップし、プロセスを簡素化します。

従業員ジャーニーにおけるナレッジ管理

従業員ジャーニーには、従業員が求人への応募から退職までの雇用期間中に踏むすべてのステップが含まれます。 そこでは重要な瞬間が特定され、従業員ジャーニーの向上に役立ちます。 重要な瞬間には入社初日や、初めてのパフォーマンス評価、場合により昇進などが含まれます。 ナレッジ管理では、従業員が各ステージで必要とする情報が予測されるため、摩擦が少なくなり、モチベーションと意欲の維持に役立ちます。

スキルギャップを特定するための KM

効果的な KM システムは、組織が有する専門知識の分野を強調するだけでなく、知識が不足している可能性のある分野にも焦点を当てます。 コアコンピテンシーのギャップを特定することで、会社の上層部は、トレーニングの増加、新入社員の採用、新しい組織構造の構築などによって、これらのニーズに対処するための措置を講じられるようになります。

データセキュリティにおける KM

ナレッジ管理システムは、制御されたアクセス、バージョン管理、暗号化機能を提供し、専有データであるすべてのナレッジを保護します。 これにより、不正アクセスのリスクが軽減されるだけでなく、組織がデータ保護規制を遵守し、ステークホルダーの信頼を維持することができます。

エンタープライズナレッジの維持における KM

組織では、時間の経過とともに貴重な組織知が蓄積されます。 ナレッジ管理システムはリポジトリとして機能し、従業員の就職や離職を経ても、このような組織の知識が維持されます。 この継続性により、重要な情報、プロセス、ベストプラクティスが保持され、重要な知識が失われることを防ぎ、組織の長期的な安定性が促進されます。

ナレッジ管理ツールの例

ナレッジ管理システムには多くの形式があります。ナレッジ管理システムの一般的な例としては、以下があります。

ドキュメント管理

ドキュメント管理は、企業の重要ドキュメントへの容易なアクセスを提供します。 ドキュメント管理システムは、ファイルやハンドブックなどの一元的なリポジトリとして機能し、ファイルの発見と取得が可能な限り簡単になるように設計されています。 ドキュメント管理は実質的にデジタルファイリングキャビネットであり、ストレージとアクセシビリティのソリューションを提供します。しかし、それ自体ではデータの自動的な取得や分析は行いません。

コンテンツ管理

コンテンツ管理システムは、ドキュメント管理の進化版です。 重要なドキュメントの保存と取得に加えて、音声やビデオなど、その他の媒体も対象に含まれます。

データベース

データベースを使用することで、企業はデータの取得、保存、操作、分析の機会を得ます。 データベースは通常、情報のアクセシビリティ向上のためにインデックス付けされます。 多くの場合、データベースは保存されたデータを保護するために追加のセキュリティ対策が講じられた設計になっています。しかし、設計と実装のコストがかさむことがあり、使用と維持管理のために IT の豊富な経験が必要となる場合があります。

データウェアハウス

データウェアハウスは、組織自体を詳細に調査し、全社から重要なデータを発見して蓄積し、レポートや分析に活用できるようにします。 これを効果的に行うためには、関連するすべてのビジネスシステムに完全に統合される必要があります。そのため、多くの他形式のナレッジ管理に比べて、メンテナンスの手間がかかります。

ソーシャルネットワーク

これらのオプションは、Facebook などの成功しているソーシャルネットワーキングサイトの例に倣い、他者とつながり、情報の提供、グループへの参加、関心のある話題についてのディスカッションを行う機会をユーザーに提供します。

Wiki

オンライン形式のコラボレーションツールであり、オープンソースの百科事典である Wiki は、アクセス権限があれば実質的に誰でも、格納されているナレッジベース記事を編集、改善できます。 Wiki はビジネスドキュメントのメンテナンスと製品カタログの整理に効果的です。しかし、精度の確保に関しては、難しい場合があります。

ナレッジ管理のベストプラクティス

効果的なナレッジ管理には、戦略的な実装とベストプラクティスの順守が必要です。 次のガイドラインを組み込むことで、組織は KM へのアプローチを最適化し、コラボレーションとイノベーションの文化を育成できます。

担当者を割り当てる

ナレッジ管理に匿名性は必要ありません。ナレッジドキュメントやその他のリソースに、それらを提出した従業員の名前を記載して、認めるべき功績を認めます。 これにより、価値ある貢献者に注目が集まり、他のユーザーが質問したいことがあればフォローアップできるエキスパートを紹介することになります。

ナレッジ交換のためのポリシーの形式化

ナレッジ交換のための明確なガイドラインとポリシーを確立します。 情報の共有、更新、アクセスに対する期待を定義します。 正式なポリシーは、構造を打ち立て、一貫性を促進し、またナレッジのサイロ化を防止するのに役立ちます。 また、権限とアクセスコントロールをまとめることで、データセキュリティにも貢献します。

貢献者への報酬授与

時間をかけて貢献する人を評価し、報酬を与えることで、知識の共有を促進します。 ナレッジベースへの参加にボーナスを付けることで、ナレッジが自由に共有されるようになります。

ロールアウトの戦略化

KM システムの実装は簡単な作業ではありません。 フィードバックを収集し、必要な調整を行うためのパイロットプロジェクトから開始する段階的なロールアウトを計画します。 統合を段階的に進めることで、従業員は新しいプロセスに慣れることができ、組織はロールアウト全体を通じて従業員トレーニングを提供する機会が得られるため、スムーズな移行を実現できます。

ユーザーのニーズに合わせたソリューションのカスタマイズ

成功する KM ソリューションとは、従業員の働き方や情報の共有方法に統合されるソリューションです。 ユーザーが広範なトレーニングを受けずに KM を最大限に活用できるように、ユーザーのスキルレベルに合ったソリューションを選択します。

ナレッジ管理のユースケース

信頼性の高い KM システムは、従業員、顧客、請負業者が詳しい情報を必要とするときに、いつでもどこでも使用できるシステムです。 ナレッジ管理は特に次の分野で効果を発揮します。

従業員オンボーディング

KM は重要な情報をまとめた一元的なリポジトリを提供し、オンボーディングプロセスを簡素化します。 新入社員は包括的なガイド、手順、組織のインサイトを参照でき、組織文化やワークフローに迅速に順応できるようになります。 ナレッジベースはスムーズな移行を促進します。従業員は自分の役割と責任をすぐに理解し、利用できるリソースを見つける方法を知ることができます。

日常的な作業

毎日の慌ただしいビジネスオペレーションで、従業員は迅速で正確な解決策を必要とする問題に直面することがよくあります。 KM システムは簡単にアクセスできる情報とガイドを提供し、従業員が日常的な作業を効率的にこなすことができるように支援します。 技術的な問題の解決、社内プロセスのナビゲート、関連ドキュメントへのアクセスなど、KM は従業員の日常的な業務をサポートします。

カスタマーセルフサービス

KM のメリットは社内業務だけにとどまりません。KM によりカスタマーエクスペリエンスも強化されます。 適切に編成されたナレッジベースを作成することで、顧客が一般的な問い合わせに対する回答を自分で見つけることができるようになります。 このセルフサービスアプローチにより、顧客満足度が向上し、カスタマーサポートチームの作業負荷が軽減されます。 顧客は情報にすぐにアクセスできる利便性を高く評価し、信頼とロイヤルティの向上につながります。

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ServiceNow によるナレッジ管理

旧式の非効率的なツールでは最新のビジネス組織のニーズに迅速に応えることはできません。 メール、スプレッドシート、ドキュメント、その他のさまざまな情報のフォーマットが、企業のインフラストラクチャに散在しているため、情報の取得はストレスに満ちた時間のかかるタスクとなります。 ServiceNow は、強力な Case and Knowledge Management により、すべての関連情報とナレッジソースを集約します。

組織全体でドキュメントを標準化します。 従業員エクスペリエンスを向上させ、網羅的なサービスカタログによりサービスデリバリを加速させます。 高度な自動ワークフローと AI を採用した予測的インテリジェンスを組み込み、関連コンテンツを事前にフィルタリングし、適切な担当者が適切な情報を適切なタイミングで得られるようにします。 ServiceNow Case and Knowledge Management には、組織のナレッジを管理するために必要なすべてのものが揃っており、従業員はエクスペリエンスを享受できるとともに、専門知識と会社への理解を深めることができます。 ServiceNow では、関連性が高く、正確で一貫性のある情報が、ワンクリックで手に入ります。

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