共通サービスデータモデル (CSDM) は、すべての ServiceNow 製品で使用できる、標準化された用語とその定義のセットです。
CSDM では、ServiceNow Configuration Management Database (CMDB) におけるサービスモデリングのためのサービスレポートとガイドラインを提供しています。モデルには、基本システムテーブルを使用するためのガイドラインが含まれています。CSDM は、構成アイテム (CI) とサービスをビジネス戦略に整合させます。
IT 部門が標準化、統合、そして共通のアプローチの適用を重視しないと、デジタル製品やデリバリーに対する事後対応的なアプローチが支配的になってしまう可能性があります。CSDM は、戦略、計画、開発、トラブルシューティング、根本原因の分析、変更の実行などの、意思決定に役立つ用語集となります。
CSDM は、CMDB のモデリングと管理のベストプラクティスと考えられています。モデリングの方向性を示すものであり、標準化された定義が付属されています。CSDM は、ビジネスと技術の視点をマッピングと関係性で結びつけるものです。CMDB は、さまざまなドメインからのアプリケーションやサービスのデータを可視化し、すべてを単一のビューに統合します。これにより、企業は IT 戦略と企業戦略を整合させる機会を得ることができます。また、高品質な CSDM を備えた CMDB は、インシデント解決の迅速化、セキュリティの向上、変化の影響に対する判断力の向上など、複数のメリットをもたらします。
共通サービスデータモデルは、ServiceNow AI Platform上で IT サービスをマッピングするための青写真として機能します。これは CMDB ベースのフレームワークであり、使用中の他の製品のデータをどこに配置するかを示しています。CSDM は、CMDB を使用する ServiceNow 製品の標準でもあります。CSDM フレームワークに従えば、アプリケーション内のデータが正しい CMDB テーブルにマッピングされ、データの重複、不正確なデータや古いデータを最小限に抑えることができます。
CMDB を使用する ServiceNow の製品は、CSDM を使用することで、より優れたメリットをより早く提供します。これを採用することで、以下のことが保証されます。
- ServiceNow 製品をより良く活用できるようになります。
- アップグレードがより簡単で分かりやすいプロセスになります。
- 製品ポートフォリオ全体で共通の定義と一緒に使用することで、ServiceNow 製品がより効果的に機能します。
また、CSDM を使用することで、サービスのメンテナンスによるオーバーヘッドの削減に加え、透明性の高いレポート作成やサービスのコスト計算が可能になります。
CSDM は、CMDB データのモデリングと管理のための強力なフレームワークであり、重要なガイダンスと可視性を提供しています。しかし、これには限界があります。CSDM を最大限に活用するには、CSDM にできることと「できない」ことを認識する必要があります。以下に、CSDM では「ない」ことを挙げます。
- 購入すべき SKU や製品
- アプリケーションやビジネスサービスを定義するための画一的なガイド
- 過去に実装されたモデルの自動修正
- インストールすべきコード
- EM、ITSM、APM、SPM の導入ガイド
- 一連のレポート
ServiceNow は、すべての CSDM 目標と CMDB テーブルを、ライセンスに関係なく、すぐに使える CMDB 製品の一部として提供します。
CMDB ビルダーを使用して、CMDB アイテムとその関係を示すレポートを生成することができます。CSDM のほとんどは、CMDB に従っており、以下が含まれています。
- ビジネス機能
- 情報オブジェクト
- サービス
- ビジネスアプリケーション
- アプリケーションサービス
- サービスオファリング
CSDM には明確なメリットがありますが、一部の企業では、共通サービスデータモデルを最大限に活用するための準備が不十分であると感じています。このような場合、たいてい次に挙げる問題の 1 つ以上が原因となっています。
- CMDB とアーキテクチャの整合性が取れていない。
- IT ILSM の原則が欠如している。
- 正式に定義されたサービスがない。
- 細分化されたデータ所有権と限られた利害関係者のコラボレーションがサイロ化を生じさせている。
- CI の分類や、CI を企業の製品、サービス、機能とどのように関連付けるかなど、CMDB データの事前のカスタマイズを維持できない。
CSDM の各要素を一度に導入することはお勧めできません。むしろ、段階的に CSDM に取り組むことが推奨されます。すべてのアプリケーションやサービスに対してすべての段階を踏む必要はありません。ServiceNow では、これらの段階を「Foundation」「Crawl」「Walk」「Run」「Fly」と定義しています。各段階を以下に説明します。
- Foundation:正確なレポートを作成するために必要な基礎となる情報を確保します。
- Crawl:アプリケーションテーブルに焦点を当てて、インシデント、変更、問題管理に必要な最小限の情報を構築します。
- Walk:展開したインフラストラクチャの管理とサポートに対応します。
- Run:ビジネスサービスを導入し、テクノロジーが自社のビジネスに与える影響を把握します。
- Fly:テクノロジーとビジネスサービスをビジネス機能に結びつけるために、CSDM の残りの側面を構築します。
データの移行には以下に示す重要なステップがあります。
- データのバックアップ:すべてのデータをスプレッドシートにエクスポートします。
- 属性のマッピング:どのテーブルにデータを移行するかを特定します。移行先のテーブルに利用可能な属性があるかどうかを確認します。
- 依存関係の緩和:テーブル依存性スクリプトを実行し、その出力を使用して参照される依存関係を特定します。
- 属性のリファクタリング:属性マッピングを使用して、必要な顧客属性を適切なテーブルに維持します。文書化されたリファクタリングイベントを実行します。
- 移行:既存の CI を移行し、テーブルの依存関係を緩和して、エクスポートからデータをリロードします。
ServiceNow は、IT をビジネスとして運営したいと考えているエンタープライズカスタマーに大きな価値をもたらします。CSDM を ServiceNow AI Platform と組み合わせることで、自動化された統合 IT サービスの標準的な青写真を作成することができます。合理化されたサポート業務とバリューストリームが ServiceNow AI Platform に完全に統合されることで、バリューチェーンの完全な連携、品質の向上、透明性、インサイトの向上、自動化、コストの削減を実現できます。最終的には、CSDM と ServiceNow の組み合わせが、デジタルトランスフォーメーションの基盤となります。
ServiceNow で、問題を発生前に予測しましょう。