サービスマッピングとは?

サービスマッピングは、組織の IT アプリケーションおよびコンポーネントの検出、追跡に使用され、それぞれがビジネスサービスにどのように接続されているかについての概要を作成します。

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目次
アプリケーションサービスとは? サービスマッピングのメリット サービスマッピングの主要機能 サービスマッピングの仕組み サービスマッピングの導入に適した組織とは? サービスマッピングのユースケース ServiceNow によるサービスマッピング

地図は、歴史が記録されるようになる前から存在し、最古の地図のいくつかは紀元前 25,000 年までさかのぼったものです。これは驚くべきことではありません。地図は、人間が大規模で複雑な空間の関係を簡単に視覚化する方法です。正しい地図があれば私達は建物、道路、町、国を動き回ることができ、そして人類は宇宙の地図を作成するところにまできています。しかし、地図は常に物理的な世界を表すものとは限りません。今日ビジネスの世界では、複雑な IT とサービスの関係も地図化することが可能であり、これによって組織の IT インフラストラクチャ全体の詳細な全体像を得ることができると考えられています。これをサービスマッピングといいます。

サービスマッピングは、相互接続された企業の IT 環境を表します。これによって、組織は基盤となる IT アプリケーションと関連するコンポーネントがビジネスサービスにどのように接続されているかについて、サービス認識型のビューを構築することができます。

 

すべて展開 すべて折りたたむ アプリケーションサービスとは?

サービスマッピングは、アプリケーションサービスをより明確に理解するためのひとつの方法です。アプリケーションサービスは、連携して動作するように構成された、接続されたアプリケーションおよびホストのグループとして定義され、組織やエンドユーザーに特定のサービスを提供します。

アプリケーションサービスの一例として、財務報告が挙げられます。組織が財務報告書を作成する必要がある場合、コンピューターハードウェア、ウェブサーバー、アプリケーションサーバー、データベース、ミドルウェア、ネットワークインフラストラクチャコンポーネントなどを含むアプリケーションサービスを利用します。これらの各要素が連携し、必要な財務レポートを作成するサービスを提供します。

従来、IT 部門は IT インフラストラクチャをマッピングするために、水平方向の発見に頼ってきました。この展開方法の場合、デバイスとアプリケーションサービスの間の接続を記録することなく、すべてのアプリケーションとデバイスがスタンドアロンであるかのように描かれたインベントリが作成されます。サービスマッピングは、この古いアプローチではなく、デバイスとアプリケーションの間の接続にフォーカスしたトップダウンマッピングを採用することで、あらゆる問題や変更を、アプリケーションサービスの残りの部分への影響とともに即座に見つけられるようにします。

サービスマッピングのメリット

ビジネス IT は、インフラストラクチャ、ソフトウェア、ハードウェア、アプリケーションなどから構成される複雑なネットワークです。これらのさまざまな部分は連携して動作し、相互接続し、相互依存しながら重要なプロセスをサポートし、価値をデリバリします。サービスマッピングはこのデリバリの考え方に基づいており、インフラストラクチャ自体の詳細を重視するのではなく、提供されるサービスを図式化します。適切に実行されたサービスデリバリにフォーカスすることで、ビジネスは多くのメリットを享受できます。

サービス認識型オペレーション

ビジネスにとっての効果的なサービスマッピングの主要な利点はおそらく、意思決定を行い、緊急の IT イベントに迅速に対応するために必要な、サービスに関わるインサイトを得られることでしょう。サービスマッピングによって、組織はサービスの問題を発生と同時に直ちに特定し、ビジネスへの影響に基づいて問題の優先順位付けを行うことができます。さらに、サービスマッピングによってビジネスは、関連するコストはどれくらいか、サービスアーキテクチャをいかに最適化するか、変更がサービスにどんな影響をおよぼすかなど、サービスそのものを明確に理解でき、より力を得ることができます。

ハイブリッド環境

ビジネスがマルチクラウド環境に移行するとき、通常は完全な中断は起こりません。依然としてサポートが必要なオンプレミスのアプリケーションには、ハイブリッドな環境が必要です。そこでは、クラウドベースのサービスとローカルでホストされているサービスが共存し、相互作用していなければなりません。その結果、管理が困難な短命のインフラストラクチャが作られることになります。サービスマッピングは、ハイブリッド環境のアプリケーションとサービスを完全に可視化するので、組織は効果的なガバナンスを即座に実現することができます。

価値実現までの時間を短縮

効果的なサービスマッピングにより、組織は IT アプリケーション、設備、およびその従属物がどのように連携してエンドユーザーサービスを提供しているかを正確に把握することができます。これにより、全社的に価値実現までの時間が短縮されます。

セキュリティの向上

IT インフラストラクチャ全体をより明確、より正確に理解することで、どの領域またはアプリケーションにセキュリティの脆弱性があるかについてのインサイトを得られます。これらのハイリスクのサービスや状態には、フラグを立てることですぐに修復することができます。さらに、サービスマッピングは IT インフラストラクチャの継続的な監視を改善し、予期せぬ問題や停止が発生したときの対応スピードを向上させます。

マルチクラウド戦略の展開

複数のクラウドプロバイダーを利用することで、極めて複雑な IT インフラストラクチャが形成されることがあり、それは脆弱性の増大、サービスの誤用、ガバナンスの低下などの問題につながりかねません。サービスマッピングは、マルチクラウド戦略を簡素化したうえで加速し、ビジネスが複数のベンダーやテクノロジーにまたがった動的なクラウド環境に対応するのをサポートします。

積極的な IT サービス管理

組織では往々にして、問題が発生しなければ根本的な原因を特定できないということがあります。サービスマッピングを用いることで組織は、サービス可用性に影響をおよぼす前に、ボトルネック、単一障害点などの問題を特定できるようになり、強化されます。IT 部門はサービスマッピングによって、自社が利用するサービスを保護し、サービスの顧客がネガティブな状況に気付く前に IT 環境を積極的に維持、改善できます。

サービスマッピングの主要機能

サービスマッピングの主要機能は次のとおりです。

可視性

サービスマッピングは、おそらく何よりも、透明性、可視性、明確な理解を実現するために存在します。サービス、アプリケーション、コンポーネントがどのように組織され、相互作用しているかが一貫的に視覚化されることで、意思決定者は、特定のインフラストラクチャサービスが従業員、顧客、そしてビジネス自体にどのように影響をおよぼしているかを簡単に評価できます。

正確性

現代のビジネスの IT インフラストラクチャは静的なものではありません。それは動的なもので、接続されたサービスが作り出す、常に進化を続ける大きな渦巻きです。これらの接続がどのように機能するかを理解し、それらのインサイトを実践可能なものに変えるために、組織には信頼できるデータが必要です。サービスマッピングはリアルタイムで機能し、インフラストラクチャまたはそのコンポーネントに変更が生じるたびに自動的に更新されます。信頼性の高いリアルタイムのデータがあれば、意思決定者は、正確な情報の強固な基盤の上にいると分かったうえで、安全な行動ができます。

効率向上

サービスマッピングが存在する主要理由は、従業員が担当するしかないような特定のタスクを処理することで、効率アップを図ることです。IT のスペシャリストが貴重な時間を IT アプリケーションとコンポーネントの継続的な監視、発見したエラーや脆弱性への対処に費やすことのないよう、サービスマッピングがこれらの責任の多くを引き受けます。これによって、IT のスペシャリストはより戦略的な問題に集中することができるようになります。

マルチクラウドのサポート

非常に多くの組織がオンプレミスのコンピューティングソリューションから部分的または完全に移行しているため、サービスマッピングでは、ハイブリッドおよびクラウドベースのインフラストラクチャ環境全体を通して、サービスを図式化できる必要があります。サービスマッピングは、この機能がすぐに利用できるよう、主要なクラウドサービスと統合できなければなりません。また、互換性のないクラウドベンダーが使用されていた場合に備え、サービスマッピングは、組織がすぐに使用可能な機能を超えて、ソリューションを拡張できるように、カスタマイズ可能である必要があります。

サービスマッピングの仕組み

正しく導入されたサービスマッピングは、IT インフラストラクチャ内のオブジェクトの詳細で完全なビューを作り、オブジェクト間のセマンティックな接続にフォーカスします。これを実現するためサービスマッピングは、アプリケーションサービスを識別するためのさまざまな方法を展開します。広く使用されているアプローチとしては、パターンの特定によるものが挙げられます。サービスマッピングにおいて、パターンは、デバイスとアプリケーションの属性とそのアウトバウンドの接続を検出するために利用される一連の操作です。たとえば、資産管理タグは、アプリケーション間の関係を明確に識別するために役立ち、アプリケーションサービスのマッピングに有効です。

さらに、サービスマッピングは、アプリケーションとデバイスの間のトラフィックを追跡することもできます (トラフィックベースマッピングと呼ばれます)。

サービスマッピングの導入に適した組織とは?

IT 以外のビジネスの間でも最新の IT サービスが存在していることを考えると、あらゆる業界のさまざまな規模の組織は、効果的なサービスマッピングの利益を享受することができます。重要なインフラストラクチャのサービス認識型のビューが作成されることにより、企業はより多くの情報に基づいた意思決定を行い、予期せぬ変更にもよりスピーディーに対応することが可能となります。

サービスマッピングのユースケース

サービスマッピングの主要目的は、サービスコンポーネント同士がどのように接続して相互作用しているかを組織がより明確に理解できるようにすることです。組織は、さまざまなユースケースでサービスマッピングを利用することで、これをさらに進めることもできます。

根本原因分析

IT インフラストラクチャ内で問題が発生した場合、単に火消しを行ったり、症状に対処したりするだけでは必ずしも十分とは言えません。問題の根本原因を見つけて修正することで、組織が将来また同じ問題に直面することを防げるでしょう。アプリケーションサービスと関連する接続の完全な可視化を行うことで、根本原因分析が大幅に簡素化されます。そのため IT の専門家は問題の中心にある問題要素の速やかな排除や修復を行えます。

事業分析

企業はサービスマッピングを展開することで、ビジネスソリューションの導入を検討する際に、選択肢を評価するために必要な情報システムと技術要件を視覚化するのに役立てることができます。効果的なサービスマッピングによって収集されたデータを使用することによって、リーダーをはじめとする意思決定者は自信を持って選択を行うことができ、また、勧めたいソリューションとその背後にある理由をより簡単にステークホルダーに伝えることができます。

優先順位付け

ビジネスのリソースは有限です。タスクを実行できる従業員には限りがあり、そのための労働時間も限られています。同時に、他のタスクより緊急性の高いタスクもあります。そのため、仕事の優先順位を決めることは、効率的なビジネス運営を実現する上で重要な部分となります。サービスマッピングは優先順位付けを支援し、ビジネスがさまざまなサービスの影響を理解して、先に対処する必要がある問題、タスク、懸念事項を判断できるようにします。

構成管理

構成管理は、構成アイテム間の関係を正確に識別するアプローチです。これによって、ビジネスが構成サービスとそのコンポーネントに関する信頼できる情報にアクセスできるようになります。構成管理は、可用性の計画、原因と結果の分析、コストの割り当て、影響の分析、リスクの分析において重要な役割を果たします。サービスマッピングは、構成管理の有効性を向上させます。

ポートフォリオ管理

サービスマッピングは、組織のポートフォリオ管理にも役立ち、サービスの目的、投資、および制限に基づいて決定を下す際の情報となります。これは、サービスコンポーネントと従属物を視覚化することで可能になります。ポートフォリオ管理は、サービスマッピングの裏付けを得ることでより正確なデータの利用が可能になり、ビジネスが予算やその他のリソースの範囲内で戦略を正しく実践することをサポートします。

関係管理

関係管理は、サービス、期待、および経験に関連するステークホルダーの間のコミュニケーションの改善にフォーカスしたビジネス分野です。サービスマッピングは、信頼性の高いデータによって裏付けられた具体的な詳細情報を提供し、見やすく視覚的に示します。これにより、コミュニケーションが最適化され、全員が同じ認識を持つことが可能となります。

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ServiceNow によるサービスマッピング

現代の大部分のビジネスに見られる無数の基本的な IT サービスを管理することは、ますます複雑なタスクとなってきています。IT 部門はこれを効果的に行うために、サービスの全体像だけでなく、それらがどう機能し相互作用しているかを詳しく理解する必要があります。残念ながら、非常に多くの組織が、サービスマッピングのために、古く、非効率的な手作業によるプロセスに依存しています。サービスマッピングを採用している組織であっても、多くの場合、拡大するインフラストラクチャを完全に図表化するには不十分なマッピングソリューションを利用しています。そのため、大きな違いを生む可能性のある重要なデータが、取りこぼされていることがあまりにも多くあります。また、インフラストラクチャが成長し続けるにつれて、マッピングを改善する必要性も大きくなります。成功している企業が複雑な IT トポロジのマッピングの難しさに直面したときに頼るのが、ServiceNow です。

ServiceNow の Service Mapping は、サービスマッピングプロセスに高度な自動化を採用しており、企業内のデジタルサービスすべての完全に正確で動的なチャートを作成します。IT Operations Management (ITOM) エコシステムの重要な一部分である ServiceNow Service Mapping は、IT インフラストラクチャのすべてをカバーし、トップダウンマッピング、タグベースのマッピング、インテリジェントなトラフィックベースのマッピング、サービスメッシュマッピング、動的な CI グループなどといった柔軟なサービスマッピングのオプションを提供します。シナリオには関わりなく、ServiceNow を利用するビジネスは、サービスマッピングに対する正しいアプローチを常に持つことができます。

コンピューティング環境に依存しない、効果的なマッピングのために構築された ServiceNow の Service Mapping は、マルチクラウド環境とも完全に互換性があり、Amazon AWS、Microsoft Azure、Google GCP ですぐに利用可能なサービス可視化を提供します。カスタマイズも可能なため、他のクラウドベンダーの場合でも利用できます。

また、Service Mapping は ServiceNow AI Platform 上に構築されているため、組織の Configuration Management Database (CMDB) の既存の検出データを自動的に活用します。Service Mapping も同様に、マップをリアルタイムで更新します。IT 環境に対して行われたすべての変更は、CMDB でのサービスマップへの更新でミラーリングされます。ServiceNow を使用することで、常に正確で最新の包括的なサービスマップを得られます。

これまでにはない方法で、貴社のサービスアプリケーションを理解し、管理しましょう。ServiceNow の Service Mapping をお試しになり、最新の IT インフラストラクチャの複雑さをナビゲーションするために必要なマップを作成してください。

ビジネスに合わせて拡張できる機能

ServiceNow で問題を発生前に予測しましょう。

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