エンタープライズ規模のビジネスで毎日収集、分析、保存されるデータの量は、指数関数的に増加しています。その理由は、データの有益性にあります。組織は、正確な最新の情報を使用して、顧客に関するインサイトの取得、運用の非効率性の解消、新しい製品やサービスの機会の発見、さまざまなイニシアチブや投資に関連するリスクの最小化を行っています。残念ながら、データの価値を認識しているのは権限を有するユーザーだけではありません。
組織がデジタル情報への依存度を高めるにつれて、同様にサイバー犯罪者の手口も巧妙さを増しています。サイバー攻撃により、世界全体で毎年数兆ドルにのぼる被害が発生しています。そのため、組織は急ピッチでデジタルセキュリティ態勢を強化しようとしていますが、経験豊富なセキュリティ専門家のニーズが高まる中、求人数と獲得可能な高いスキル人材の数のギャップも同じく拡大しているという状況に直面しています。これに対応して、多くの組織がテクノロジーに目を向け、セキュリティの自動化という形でその乖離を解消しようとしています。
システムが大きくなるほど、管理が難しくなるというのは普遍的な事実です。最新の組織ネットワークには数千のエンドポイントが存在し、数百テラバイトのデータを扱っていることもあります。さらに、そうしたネットワークは常に拡大しています。デジタルインフラストラクチャが成長するにつれて、複雑さの点でも高度化し、包括的なセキュリティを実現する困難さも高まります。簡単に言えば、対処すべき攻撃対象領域があまりにも多い上に、従業員の分散が進み、自宅でのネットワーク上でセキュリティを確保せずにビジネス目的に使用しているデバイスの数が増加したことで、さらに問題が深刻になっています。
潜在的な攻撃ベクトルが多数存在するため、手動のセキュリティ運用では不十分なことが多く、対応に時間がかかり過ぎて損害を引き起こす前に問題の検出や修復を行えなかったり、応答の面で著しく一貫性を欠いていたり、すでに複雑なシステムにエラーを発生させてしまう可能性が非常に高くなったりしています。 セキュリティの自動化により、これらの懸念を軽減できます。人間による監視を継続しつつ、テクノロジー主導のプロセスを実装してセキュリティリスクを管理することで、組織の拡大するネットワークに合わせてデジタル防御を容易に拡張できます。また、データに対する需要が高まり続けることを考えると、拡大するセキュリティリスクへの対応能力は、競争上の明確な差別化要因となっていきます。
人間が常時介入せずに、大規模に機密のシステムやデータを保護する機会が得られることを踏まえれば、多くの企業がセキュリティの自動化を真剣に検討している理由を理解するのは難しいことではありません。具体的には、セキュリティの自動化のメリットには次のようなものがあります。
- 効率性と拡張性
前述のように、サイバー脅威が巧妙化し、発生頻度が高まると、セキュリティチームの作業負荷が増大します。自動化を行うと、それらのチームがより多くのタスクを同時に管理できるようになるため、応答時間が短縮され、より徹底的な対応が可能になります。
- 人的ミスの削減
最高に経験豊富な専門家でもミスを犯す可能性があります。人間の脳は、完全な正確性を保つようにはできておらず、単調で反復的なタスクや長い数列に直面するとそれが特に顕著になります。一方、自動化されたシステムは、この種の作業に最も適してます。特定のセキュリティプロセスを自動化することで、人的ミスのリスクを実質的に排除できます。 - 24 時間 365 日の監視機能
サイバー攻撃は時を選ばずに発生します。 セキュリティ自動化ツールは眠る必要がなく、休暇も取らず、週末にくつろぐことにも興味がありません。これらの常時稼働の、集中が途切れることのないシステムは、保護対象のネットワークやデータを常に監視し、通常の営業時間外でも確実に即座の検出と対応を行います。
- コスト効率
自動化されたセキュリティシステムは投資であり、これらのソリューションの実装に伴う初期コストはやや高額になる可能性があります。 とはいえ、大規模な組織内セキュリティチームの募集、採用、トレーニング、業務環境整備のコストと比較すると、一般的にセキュリティの自動化は経済面でより実現可能な選択肢となります。効果的な自動化であれば、従来型のソリューションとは比べものにならない投資利益率がもたらされます。
- 一貫性
自動化されたプロセスにより、タスクが毎回一様に実行されるようになり、組織全体における一貫したセキュリティの慣行と標準につながります。
- データ分析
セキュリティプロセスでは膨大なデータが生成されるため、人間による分析は非現実的になります。 一方、自動化ツールは、このデータを素早く分析し、セキュリティの脅威を示す可能性のある隠れたパターンや異常を検出できます。
組織のシステムとデータの保護には、多数のさまざまなプロセスが関連しています。セキュリティ自動化の真のメリットは、こうした最近まで人間のデジタルセキュリティ専門家だけが担当していたプロセスの多くを自動で処理し、簡素化できることです。すべてのプロセスが自動化の適切な候補になるわけではありませんが、自動化による明確なメリットを得る上で特に適したプロセスも多数存在します。
それらのプロセスには次のようなものがあります。
複雑な IT 環境では、セキュリティ侵害を防止するには、脅威が発生したときに迅速に特定できることが不可欠です。経験豊富で洞察力のあるチームがサポートしている場合でも、手動の方法では脅威のインジケーターを特定し、重要なデータを長時間無防備にすることなく適切な修復措置を実行できるだけのスピードがありません。それに対して自動化されたシステムは、異常の最初の兆候に即座に応答し、人間のオペレーターを待つ必要なく脅威を自動的に検出、検証、エスカレーションします。
ネットワーク内のすべてのエンドポイントは、サイバー犯罪者がバックドアから組織のデータにアクセスする新たな機会となります。パッチの未適用や期限切れのパッチ、侵害されたアプリケーション、さらにはユーザーの行動さえ、個人のデバイスを悪意のある攻撃者にとっての開放された扉に変える可能性があります。専用のエンドポイント保護ソリューションは、そうしたデバイスをターゲットとする悪意のあるアクティビティに対処でき、イベントによってトリガーされる包括的なプロセスを促進して、即座に脅威を検出し、影響を受けたエンドポイントを隔離するとともに、是正措置を開始させることができます。これは、リモートワークやハイブリッドワークの環境と同様に、オフィス環境でも重要です。
セキュリティ侵害の検出と封じ込めに要する時間は、全体的な損害額に大きく影響する可能性があります。実際、数週間の差が数百万ドルの違いを生じさせることさえあります。自動化を活用することで、セキュリティ担当者は侵害されたシステムの迅速な修復、多様なプラットフォーム間で連携して機能するツールの開発、より迅速なインシデント応答の実現が可能になります。これにより、犯罪者が大きな混乱を引き起こすことに遣える時間を縮小することができます。
多くの場合、セキュリティデータには意味のある解釈をするためのコンテキストが必要です。自動化により、脅威インテリジェンスフィード、位置情報データ、その他の関連データベースを相互参照させることにより、セキュリティイベントの生データを強化できます。自動化されたシステムは、インシデントを徹底的に調査して、何がどのように発生したかをより明確に把握できます。これにより、脅威検出の精度が向上するだけでなく、対応方法について情報に基づいた意思決定を行いやすくなります。
ユーザー権限の管理は、特に従業員のローテーションがある大規模な組織では困難なタスクになる可能性があります。自動化により、ロールと要件に基づいて一貫してユーザー権限を適用できるようになります。また、自動化を使用して定期的に権限をレビューし、不要になった権限を取り消すこともできます。これにより、必要なアクセスのみが許可され、過剰な特権を与えられたユーザーや退職した従業員による潜在的なセキュリティリスクを最小限に抑えることができます。
脅威が巧妙さを増し、セキュリティの自動化の専門化が進むにつれ、データ保護のさまざまな側面に対応するためのツールが数多く登場しています。これらのツールは、セキュリティプロセスの統合、オーケストレーション、管理を行うことで、脅威をタイムリーに特定して効果的に対応できるようにします。セキュリティ自動化ツールにはさまざまな種類がありますが、最も一般的なのは次のようなものです。
SIEM プラットフォームは、ネットワークデバイス、システム、アプリケーションなどの多様なソースからのログとイベントデータを一元化して分析する上で重要な役割を果たします。SIEM は、これらのリソースが生成したセキュリティアラートをリアルタイムに分析することで、組織のセキュリティ態勢の全体像を提示します。この一元化された視点により、潜在的な脅威を迅速に検出して対応することが可能になります。さらに、SIEM はログデータの長期保存、分析、レポートの機能を備え、さまざまな規制基準への準拠の維持を目指す組織にとって不可欠です。
SOAR ツールは、セキュリティオ運用の効率を高めるように設計されています。それを実現するために、さまざまなセキュリティツールをシームレスに統合し、後続の対応アクションを自動化します。しかし、その有用性は単なる検出にとどまりません。SOAR ソリューションは、インシデント対応に特化したワークフローのオーケストレーションも行い、アラートの効率的な処理と、脅威の効果的な無効化が確実に実行されるようにします。SOAR プラットフォームは、手動による介入を最小限に抑え、一貫した応答を確保することで、セキュリティチームがより短い期間でより幅広い脅威に対処できるようにします。
サイバーセキュリティのツールキットへの最新の追加として登場した XDR は、複数のセキュリティレイヤーにまたがる脅威の検出と応答への統合的なアプローチを提供します。XDR は特定のセグメントに限定される従来のモデルとは異なり、エンドポイントやサーバーからネットワークやクラウドまで、さまざまな環境にわたってデータを検証します。この包括的な分析により、特に複雑な脅威の検出機能が強化されます。XDR は、より広範で統合された視点を備え、組織がセキュリティインシデントに対応する際の精度と速度を向上させます。
デジタルビジネスの世界は進化し続けています。リモート勤務の従業員、クラウドオペレーション、複雑なソフトウェアソリューションが活用され、そのすべてが相互につながり、非常に複雑です。この拡大により、サイバー攻撃の対象領域も拡大し、従来のセキュリティ戦略の脆弱性が露呈しています。このような状況から、高まるニーズに合わせて拡張できる強力なセキュリティ自動化ツールが強く求められています。ServiceNow セキュリティオペレーション (SecOps) がそのソリューションを提供します。
SecOps では、あらゆる規模の組織がこのサイバー環境を乗り切るのを支援するよう設計された一連の機能を提供しています。SecOps は Now Platform®上に構築されており、セキュリティと IT をシームレスに統合し、インテリジェントなワークフロー、緊密な連携、強力な自動化で応答を簡素化します。
セキュリティインシデントレスポンスによる重大なインシデントの迅速な特定から、脆弱性対応コンポーネントを使用した脆弱性の効率的な管理まで、ServiceNow の SecOps はビジネスへの影響度に基づいて脅威を優先順位付けするとともに、予測インテリジェンスを用いてインシデント解決時間を短縮します。さらに、セキュリティは保護対象のシステムと同程度に動的である必要があるため、継続的モニタリングが、観測可能要素やワークフローから収集したデータのやり取りを行うことで脆弱性のライフサイクルと連動し、セキュリティポリシーの適応と進化を支援します。すべてを通じて、カスタマイズ可能なダッシュボードに意思決定を強化するためのインサイトが提供されます。このダッシュボードは、ユーザーにとって組織のデジタルセキュリティエコシステムを管理するための明確な信頼できる唯一の情報源となります。
ServiceNow のセキュリティオペレーションは、進化し続ける新たなデジタルセキュリティの脅威すべてに遅れを取らず対応できる力を提供します。ここをクリックして SecOps が組織にもたらすメリットを確認し、ビジネスを支えるデータを保護しましょう。