意思決定における自信
今日のように不安定で変化が速く、不確実なビジネスの世界において、意思決定はかつてないほど複雑になっています。だからこそ、世界 120 か国の何千もの組織が、意思決定を正しく行うために Aon 社のサポートを求めています。
Aon 社の目標は、リスク管理、健康、資産運用、保険のポートフォリオ全体にわたって、非常にシンプルです。それは、規模の大小にかかわらず、より適切で情報に基づいた意思決定を行うための明確さと自信をクライアントに提供することです。
Aon 社は、業界全体を網羅する広範なデータ分析によって、独創的で説得力のあるインサイトと視点を引き出し、世界トップクラスのコンサルタントとしての専門知識、サービス、ソリューションに反映させることで、これを可能にしています。 つまり、Aon 社の顧客は同社のアドバイスを信頼しており、その結果としてイノベーション、パフォーマンス、成長の恩恵を享受しています。
Aon 社は、ほぼすべての市場においてリーダー的存在であり、世界中に 5 万人以上の社員を擁していますが、会社の規模を拡大することが主な目標ではありません。 その代わりに、世界で最もレスポンシブで、クライアント重視のプロフェッショナルサービス企業を目指しています。
基本原則は、世界クラスのパフォーマンスを可能にする標準化されたテクノロジーとシステムを備えた、包括的で多様性のある 1 つのチームを育成するというコミットメントであり、同時に地域、文化、業務特有のクライアント要件に応える柔軟性をチームに提供することです。
カスタマイズの影響に対処する
Aon 社の初期のデジタルトランスフォーメーションにおいて、ServiceNow は、包括的で多様性のある 1 つのチームという理念を実践するために、組織全体に技術プラットフォームとソリューション (IT Service Management、IT Operations Management、Customer Service Management) を提供する上で重要な役割を果たしました。
ところが、カスタマイズが Aon 社にとって課題となり始めたとき、同社は受賞歴のある IT リーダー、Bharti Sharma 氏に、ServiceNow ジャーニーの次のステージを計画するよう依頼しました。
「パンデミックは、デジタル化の必要性をかつてないペースで加速させました」と Aon 社のシニアディレクター兼エンタープライズサービス管理責任者である Sharma 氏は振り返ります。
「Aon 社は、同僚と顧客の両方により良いエクスペリエンスを提供することに専念しています。 このことを念頭に置き、私たちは改良された ServiceNow 統合サービスポータル「My Service」を立ち上げました。 このポータルは、ワンストップ型のセルフサービスショップで、IT だけでなく、HR、調達、経理、セキュリティなど、さまざまな部門の職場ニーズに幅広く対応し、従業員、アプリケーション、システムをシームレスにつなぎます」
「これは、ServiceNow プラットフォームの力を実証しています。このプラットフォームが提供する優れたエクスペリエンスにより、従業員はサービスデスクに電話で問い合わせる代わりに、サービスの要求、情報の検索、勤怠状況の管理を各自で行うことができます。その結果、従業員の能力も高まります」
基本に立ち返る
Sharma 氏が Aon 社に入社した当時、プラットフォームが複雑すぎてユーザーエクスペリエンスに悪影響が生じていました。そこで、そのプラットフォームを再び戦略化して、簡素化する必要がありました。
「プラットフォームは複雑なため、十分に活用されていませんでした」と Sharma 氏は振り返ります。 「たとえば、従業員はセルフサービスを敬遠して、支援サービスを好んで利用するようになりました。 長年にわたり、カスタマイズを繰り返してきたため、アップグレードは難しい状況でした。その結果、新しい機能の導入やイノベーションの機会を逃してしまいました」
「私たちは、現状を打破し、カスタマイズをできる限り排除して、従業員エクスペリエンスの改善と投資利益率の向上を実現するためには、一旦リセットして軌道に戻す必要があるという結論に達しました。そこで、全面的に「原状回帰」を目指すことに決めました。それを実施することで、何かしらの課題が生じるかもしれませんが、適切な基盤を確立して自信を持って前進できるようになると考えたからです」
「原状回帰」を目指すことで、組織とユーザーは ServiceNow プラットフォームの価値を最大化し、数々の大きなメリットを引き出すことができます。 メリットとしては、プラットフォームの安定性とパフォーマンスの向上、アップグレードサイクルの短縮、すべての最新機能へのアクセス、メンテナンスコストの削減などがあげられます。
著名な IT 専門家でもある Sharma 氏は、ServiceNow 担当者の継続的なパートナーシップとサポートがあれば、「原状回帰」という技術的な課題をうまく克服できると確信していました。
成功の鍵は、複数のステークホルダーと意思決定者が関係する巨大で分散された国際的なビジネスを、長期に渡る変革ジャーニーに関与させることでした。
コミュニケーションを通じて信頼関係を築く
これを行うために、Sharma 氏は Aon 社独自の経営哲学を参考にしました。 変革のあらゆるステージで綿密なコミュニケーションとエンゲージメントを心がけることで、自らの計画とその根拠を同僚と共有し、決断の賢明さとすべての人にもたらされるメリットについて、同僚を説得しました。
「ターゲットを絞ったコミュニケーションが不可欠でした。そうすることで、自分たちがこのジャーニーに関与していること、自分たちの優先事項が理解されていること、そして自分たちは単に変革を受け入れるのではなく、コラボレーションの一部として組み込まれていることを誰もが感じられるようになります。当社は ServiceNow との素晴らしいパートナーシップがあるおかげで、優れたサポートが提供され、プログラムのステージごとに最高の専門知識を得ることができ、さらなる発展や強化のためのアイデアを積極的に取り入れることができました」
実験の場としてのカナダ
新たに改良された「原状回帰」ServiceNow プラットフォームの最初のアプリケーションは、My Service として再設計された Aon の社内 ITSM プラットフォームに置かれました。そして、カナダのコマーシャルリスク部門では、標準化された CSM プロセスと再設計されて完全にデジタル化されたワークフローを備えた My Service として使用されました。
ServiceNow を既存のビジネスアプリケーションと連携させることで、カナダのユーザーは統合型のシングルプラットフォームのパワーを享受できるようになりました。その結果、パーソナライゼーションが可能になり、一元化されたサービスカタログ (単一の実行システム) にアクセスできるようになりました。
このアプローチが成功したことで、Sharma 氏は、Aon 社にとって初のクライアント向けソリューションである ServiceNow Financial Service Operations の立ち上げを計画することもできました。 このソリューションにより、自動化、ワークフロー、ナレッジ管理、セルフサービス機能を備えた統合ソリューションの機能が拡張され、Aon 社のクライアントに直接影響を与えます。
「カナダでの経験は、とても励みになりました。私たちは、30 の拠点全体で営業プロセスを簡素化し、サイロを解消し、一貫性のないエクスペリエンスを排除しました。手動プロセスを自動化し、従業員の時間を解放して、クライアントに付加価値を提供できるようにしました。カナダで実施したプログラムでは、従業員の時間が 5,000 時間以上節減されたと推測され、その時間をより生産的なタスクに費やすことができるようになりました」
モバイルアプリで完成する
Sharma 氏のビジョンは、Aon 社のすべての事業部門と地域にわたって統合プラットフォームを提供することであり、標準化と一元化に基づき、社外のすべての同僚が Aon 社の利点をクライアントに提供できるようにすることです。
「ITSM を『すぐに利用可能な状態に戻す』ことで、プラットフォームの健全性スコアが 15% 改善され、アップグレード速度が 70% 向上しました。 「原状回帰」により、ServiceNow を好意的に見る従業員の割合が 68% にまで上昇しました。これは大きな成果です。それと同時に、セルフサービスの利用率も 20% 増加し、毎月着実に増加しています」
「My Service が成功したのは、すべて使いやすさに起因しています。どこかに電話をかけなくても、セルフサービスで解決できるからです。 さらに、5 万人の全従業員向けに、8 か国語で利用できるモバイルアプリをリリースしました。これにより、世界中のどこにいても、外出先からでも優れた ServiceNow エンタープライズサービス管理エクスペリエンスを利用できます。 現在、セルフサービスの利用は、My Service とのやり取り全体の 70% 以上を占めています」
Aon 社は、レガシーシステムから、Event Management と AIOps 要件のすべてに対応する ServiceNow ITOM に移行することで、Discovery と Service Mapping の適用に成功し、ITOM の使用を拡大しています。
「Service Mapping は、インサイト、知識、情報を掘り起こすことで、意思決定の迅速化を支援します。15 分前に発生した問題の根本原因を正確に特定できます。ServiceNow では、このレベルの詳細情報を利用できます」
組織全体でサービス管理を実現
「『すぐに利用可能な状態に戻る』ことは、Aon 社にとって真の変革でした」と Bharti Sharma 氏は結論づけています。 「従業員は各自で成果を確認できます。今では、ServiceNow をどのように使えば目標を達成できるのかを聞きに来るようになりました」
「ServiceNow は、最も強力な Platform of Platforms であり、信頼できる唯一の情報源と System of Action です。既存のビジネスアプリケーションと統合することで、シームレスな運用とシームレスなエクスペリエンスを 1 か所で実現し、従業員と顧客の両方に利益をもたらします。
「My Service は、エクスペリエンスを簡素化することで、従業員が優れたカスタマーサービスにより多くの時間を投入できることを示す良い例です。 このプラットフォームは、融合を可能にし、組織のサイロを解消し、業務効率の向上を図ります。 現在、私たちはただ事後対応するのではなく、予測しています。 ServiceNow の Predictive Intelligence は、インシデントを最適な場所に自動的にルーティングして迅速な解決を実現し、変更を実施するリスクを評価します」
「私たちは、IT サービス管理をはるかに超えて、テクノロジー運用から事業運営に至るエンタープライズサービス管理にまで拡張しました。これは、『すぐに利用可能な状態に戻る』前には考えられなかったことでした」
Bharti Sharma 氏による、強力で持続可能な ServiceNow プラットフォームのための「原状回帰」プログラムを成功させる 5 ステップの方程式
• 変革 – 設計基準を見直し、設定とカスタマイズの違いを定義することから始める
• 簡素化 – 複雑なプロセスをよりシンプルにすることが、プラットフォームの簡素化とエクスペリエンスの向上を実現する鍵となる
• アジリティ – 変更管理から変更イネーブルメントに移行することで、スピードとイノベーションに対する官僚的障壁を取り除く
• エクスペリエンス – 基盤を整えた上で、従業員エクスペリエンスの向上に注力することで、カスタマーエクスペリエンスが向上する
• 将来に備える – ServiceNow Common Service Data Model (CSDM) と連携し、相互接続された共有データを活用して組織全体の価値を高める