市はサービスを共同で提供
2014 年、MAPTAM (地域公共活動の近代化と大都市圏の肯定) 法により、フランスにおける大都市圏の新たな地位が確立されました。 これにより、人口 40 万人以上の都市部は、地域の経済発展、技術革新、エネルギー転換、都市政策に直接関わることができるようになりました。
翌年設立されたボルドー市は、ごみ処理、上下水道、衛生、交通などの地域サービスを管理しています。 その他の主な責務には、橋、道路、都市計画など、地域における主要な開発プロジェクトの推進に加え、小規模な地区や「コミューン」から移管されたその他の責務が含まれます。
そのうちの 1 つがデジタルサービスで、現在では地域の 18 の町で共同で取り組んでいます。 新たに標準化された地域情報システムには、85 万人の住民と 2 万人の公務員に対応する 1,600 の統合デジタルサービスが含まれています。
この初期の統合プロジェクトにおける成功は、主に ServiceNow IT サービス管理 (ITSM) の導入によるところが大きいと考えられます。 このプロジェクトには、エージェントのデジタルアクティビティを最適化するコールセンターの設立も含まれ、ユーザーの IT 要求に年間を通じて即座に対応できるようになりました。
2050 年までに低炭素化を実現
その成功に後押しされ、ボルドー市は、現在 2050 年までにエネルギーポジティブで低炭素な都市を目指すという目標を大幅に拡大しようとしています。
「私たちは ESG (環境、社会、およびガバナンス) アプローチを採用するという地域全体の政治目標を採用しており、デジタルはその役割を果たす必要があります」とボルドー市のデジタル&情報システム責任者の Jean-Noël Olivier 氏は述べています。
ESG とは、IT サービスプロビジョンなどの投資の持続可能性を評価するために使用される 3 つの主な要素を指します。 サービスや施設の管理にデジタル技術の活用が増えるのに伴い、その影響を評価し、機器の交換やエージェントの移転などの問題に対処するための効果的な IT ツールの立ち上げが目標とされています。 具体的には、サービスの有用性、環境への影響、その他の重要な問題を評価することを目的としています。
2021 年 9 月、ボルドー市は、責任あるデジタル開発への取り組みを詳述する「Orientations Numériques Partagees」(共有デジタル志向) 戦略を開始しました。 これは、すべての人にとって便利でアクセスしやすいデジタルサービスの中心に市民を置き、環境負荷を考慮した公共サービスの効率的なデジタルトランスフォーメーションを実現することを目指しています。
「私たちは、デジタルは押し付けられるものではなく選択されるべきであるという原則を確立しました。付加価値の高いデジタルサービスと、環境、社会、倫理的な影響とのバランスを取ることが重要なのです」と Olivier 氏は説明しています。 「私たちのアプローチの重要な側面は、デジタルによる二酸化炭素排出量を測定するシステムを構築することでした」
ESG を議題にする
ボルドー市は、ナントを拠点とする IT コンサルタント会社の Aguaro 社に、同社の My IT Footprint ソリューションについて相談しました。このソリューションは、二酸化炭素排出量問題をデジタルサービスの日常管理の中心に据えることで、ServiceNow プラットフォームを強化するアプリです。
行政部門では、意思決定プロセスを環境への取り組みとより密接に連携させることで、日常業務の中に ESG 問題を定着させられるようになりました。 このソリューションのおかげで、ボルドーは職員の意識向上を図ることもできました。 ユーザーは、使用するデジタルデバイスやサービスの環境フットプリントに関する情報を受け取り、より持続可能な意思決定を行うことができます。
ボルドー市のデジタル部門は、環境フットプリントに基づいて IT 予算を「色分け」し、将来の投資が市の気候変動へのコミットメントに沿ったものであることを可能な限り迅速に検証することもできます。
「ボルドー市にとってのメリットの 1 つは、サービスに関連する多くのプロセスの自動化により、ServiceNow プラットフォームへの既存の投資を基盤にできることです」と、Aguaro 社の共同設立者である Matthieu Poulard 氏は説明しています。 「アプリケーションがソースデータに直接リンクされているため、スタッフは粒度の高いデータにアクセスできます。これは、節減の機会を特定し、結果をより信頼性の高いものにするために不可欠です」
ボルドー市の最適化されたデジタルサービス管理は、ServiceNow ITSM とスマートソリューションを組み合わせて、デジタルアクティビティに関連する二酸化炭素排出量を評価することで可能になりました。
「私たちが採用したダイナミックなアプローチは、今では日々の管理方法に不可欠な要素となっています」と Olivier 氏は説明しています。 「私たちは何かを個別に構築したのではなく、これらの機能をデジタルサービスデリバリに関する既存のプロセスに統合しました」
360 度のデータビジョン
Arcep 社による最新の報告書でも強調されているように、汚染の排出を抑えるためには、あらゆるアクティビティをカバーできることが不可欠です。 Aguaro 社のソリューションのおかげで、Olivier 氏のチームは、コミューンで使用されているすべての設備による環境への影響を評価できるだけでなく、温室効果ガスの排出を引き起こす他のアクティビティも追跡できました。 測定基準は、メンテナンスサービスやサイト間の機器の移動距離などの重要な領域をカバーできます。
ボルドー市では、ソリューションの結果を確認し、環境への影響をさらに削減するための信頼できる戦略を構築できるようになりました。 これには、効果を長期にわたり測定、記録できる行動計画も含まれ、二酸化炭素削減目標の達成に重要な役割を果たします。
「このプロジェクトの初期段階をベンチマークとして使用し、1 年ごとの影響を監視し、二酸化炭素排出量を評価できることが重要です」と Olivier 氏は説明しています。
ユーザーの意識向上
Olivier 氏のチームは、二酸化炭素削減の原則をユーザーに理解してもらうために、ServiceNow サービスポータルも立ち上げました。 このポータルには、サービスや機器のカタログが掲載されており、使用時や購入時の環境への影響も表示されます。 その結果に基づいて、問題のあるサービスの使用を中止したり、主要な機器を長期間継続して使用したりできます。
ボルドー市では、このイニシアチブをさらに推し進め、デジタルクリーンアップデーなど、デジタルに対する責任を明確するための新たなイニシアチブを実施しています。 期間中、職員は 3 週間にわたり、ファイルをクリーンアップし、オンラインストレージとメールサービスを最適化する方法を学びます。 また、地域全体の 28 の回収ポイントで個人所有の古い機器を返却することもできます。
ServiceNow ITSM と Aguaro 社のソリューションにより実現するその他のメリットとして、ユーザーごとにポータルを介して送信できる動的でパーソナライズされたメッセージングも挙げられます。 これにより、プロジェクトの現状を理解するのに必要なツールにアクセスして、共同目標の達成結果を確認し、さらなるリソースにアクセスして貢献度を高めることができます。