欲しい情報へのアクセスが 従来の135秒から40秒へ70%の短縮
エンジニアへの情報通達が 従来の60秒から20秒になり67%減
受付業務に就くまでに 1カ月必要だったのが10日に
カスタマーサービスの効率を改善したい
エクシオは、通信キャリア、都市インフラ、システムソリューションの3つの領域で事業を展開。1954年の創業以来、通信インフラ設備の工事や建設などの通信建設事業に必要な土木、電気・電力、ソフトウェアなどのエンジニアリング力を培ってきた同社は、その総合力を駆使して社会問題の解決に貢献しながら成長する「2030ビジョン」を2021年5月に公表しました。
そのビジョン達成のために、カスタマーサービスの充実は重要な要素だと同社は考えています。顧客が保有する通信インフラ設備の故障や不具合に関する問い合わせに24時間365日体制で対応するカスタマーサービスセンター(以下、CSC)を同社は2002年に設置していましたが、このサービスのために自社で開発したシステムは、各オペレーターが顧客への対応情報を自由に入力できるものであったため、統一性のないデータが蓄積され、過去にはどのようなトラブルが発生したのかといった情報が検索しにくいのが難点でした。
「それぞれのお客様が、どこに、どんな通信インフラを、何台保有しているのかといった情報を呼び出すのにも時間がかかっていました。また、お客様ごとの担当者や、トラブルの種類に応じたエンジニアを探し出して、解決を依頼するのにも時間がかかっていました」と振り返るのは、CSCの運用を担当する同社 キャリアビジネス事業本部 ネットワーク本部 カスタマーサービス部門 担当部長の加藤由慎氏です。
加藤由慎 氏
キャリアビジネス事業本部 ネットワーク本部 カスタマーサービス部門 担当部長
エクシオグループ株式会社
上層部の後押しもあってCSMを導入
この課題を解決するため、エクシオは2020年11月、自社開発したシステムをServiceNowのCSMに刷新することにしました。
エクシオは以前から、社内ITサービス用の基盤としてServiceNowのIT Service Management(ITSM)を活用しており、経営トップである舩橋哲也代表取締役社長もその利便性を高く評価していました。そのため、「上層部の後押しもあって、一気に構築を進めることになりました。重要なライフラインである通信インフラが止まることは、お客様にとって深刻な問題です。それを迅速に復旧させるためにも、CSCの対応スピードを速めることは重要な取り組みでした」と加藤氏は説明します。
加藤氏はServiceNowの魅力の一つとして、「豊富な連携プラグインやノーコード、ローコードでのAPI連携に加えて、今後社内システムやデータベースなどの情報システムをシームレスに連携できる点」を挙げています。
自社開発した従来のシステムは、他の情報システムとはつながっておらず、オペレーターが問い合わせを受けた顧客の情報や、その顧客が利用している通信インフラの情報を見るためには、別のシステムをあちこち調べなければなりませんでした。
その点、ServiceNowのCSMなら、あらゆる社内システムやデータベースと連携し、同一画面上で必要な情報をすぐに呼び出せるので、顧客から問い合わせを受けながらでも、スムーズに応答できるようになります。
ITILに沿って業務をルール化する
また、ServiceNowのCSMは、ITサービスマネジメントのベストプラクティスをまとめた書籍群であるITILに準拠しているシステムであることも魅力でした。
加藤氏はCSMの導入に当たって、それまで各オペレーターが独自のスタイルで行っていた顧客からの問い合わせや対処などに関する情報の入力を、ITILに沿ってルール化しました。
「入力のスタイルがばらばらで、データもきちんと整理できていなかったことから、過去の案件の情報を呼び出すのに時間がかかっていたのです。そこで、ITILに準拠したルールに基づいて入力フォーマットを一元化し、案件の種類ごとにデータを整理して保存するようにしました。CSMを導入したのは、このルールに沿った運用に最も適していると判断したことも大きな理由です」と加藤氏は語ります。
半年ほどの構築期間を経て、CSMを基盤とするCSCの新しいシステムは、2021年7月に正式稼働しました。
その結果、従来は問い合わせを受けてから必要な情報を呼び出すまでに平均135秒かかっていた時間が平均40秒に短縮され、担当するエンジニアへの連絡も平均60秒から平均20秒へと、いずれも7割近い時間短縮が実現しました。通信インフラを止めないため、少しでもレスポンスを早めたいというエクシオの思いは、着実に実現へと結びついています。
業務を習得するまでの時間も大幅短縮
もう1つ、加藤氏がCSMの大きな導入効果として実感しているのは、新任のオペレーターが業務を習得するまでにかかる日数が、約1ヵ月から10日前後まで大幅に短縮されたことです。これも、ITILに準拠したルール作りと、それに対応するCSMに刷新した成果でした。
「従来のシステムはかなり自由度の高い設計だったので、担当者ごとに業務の属人化が進み、結果的に新任者が引き継ぐ業務の内容も盛りだくさんになっていました。それが標準化されたことで、時間をかけることなく人材を育成できるようになったのは非常にありがたいことです」と加藤氏は語ります。
標準化によって余分な業務の負荷が減ったことは、人材の定着にも結びつくのではないかと同社は期待しています。
加藤氏は今後の展開について、「ServiceNowは機能の拡張性が高いので、オペレーターが受けた音声による問い合わせ内容を自動入力させたり、AIによって業務を自動化したりする機能を追加していきたい」と考えているそうです。
また、将来的にはカスタマーサービスだけでなく、営業部門や外部委託先の工事業者ともワークフローを連携させて、営業からフィールドサービスまでエンド・ツー・エンドで顧客をサポートできる体制を作り上げていきたいという構想を描いておられます。
ServiceNowの活用によって、エクシオが提供するサービスの価値は無限に高まりそうです。
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