サウジ政府、効率的なサービス管理の恩恵を享受

従業員サービスの統合が必要
国の高等機関である政府省庁であっても、合併から生まれる複雑な事態を逃れることはできません。サウジ政府もまたその例外ではありません。人材・社会発展省 (MHRSD) が 3 省 (労働省、社会発展省、行政省) の合併により新設されたとき、各省のサービス管理ソリューションとテクノロジーが混在する厄介な状態になりました。

MHRSD が担当するのは、社会および労働問題に関する一般政策立案と、国民の生活水準改善に向けた社会発展の指揮です。ところが、人事、財務、文書管理といった個別のシステムに多数のポータルがあり、アクセスするにはそれぞれ個別にログインする必要がありました。

さらに面倒なことに、ポータルディレクトリが存在しないため、目的の情報になかなかたどり着けなくなっていました。23,000 人の職員が IT 問題の修正や他のビジネスサービスへのアクセスを必要とした場合は、面倒な手作業のプロセスや時間のかかる音声通話、長々としたメールチェーンに煩わされなければなりませんでした。サービス管理ソリューションは 2 つあり、チケットシステムも異なるため、職員は求めているサポートにアクセスするのも一苦労でした。

「職員のエクスペリエンスは組織内のばらばらなポータルに分散されていました」とサウジアラビア人材・社会発展省システム・ビジネス発展副大臣補佐官の Mohammed Almukhalfi 氏は振り返ります。「職員は省内のニュース、イベント、重要リソースに関する最新情報を把握するのにも苦労していました。その結果、エンゲージメントのレベルも低下してしまったのです」

職員のエクスペリエンスの統合と改善、旧システムの廃止という大きな課題に直面した MHRSD は、長年 IT コンサルタントを務めてきた Devoteam に頼ることにしました。ServiceNow のパートナーである Devoteam は、すでに各省のデジタルトランスフォーメーション対応を行っており、合併後は新しい合同デジタル戦略の策定に招集されていました。サービス管理はその戦略の重要要素です。

ポータルのエンタープライズロールの拡大
「既存システムのいずれかの活用や統合をする意向を示されましたが、当社からは新システムの ServiceNow IT Service Management (ITSM) を提案しました。カスタマーエクスペリエンスやアジリティの面でサービス改善につながり、コスト面でもメリットがあるとご説明しました」と同省プロジェクトを担当した Devoteam Partner の Mohammad Dahleh 氏は述べています。

Devoteam は ServiceNow ソリューションと 2 つのレガシーシステムの詳細な比較分析を実施し、Now Platform のメリットを同省に提示しました。実装には 9 か月を要する予定でしたが、実際は 6 か月で完了しました。

新しいソリューションは同省ウェブサイトの単一のカスタマーポータルを経由して展開され、当初は IT に関する問題を扱っていましたが、その後は幅広いエンタープライズロールも請け負うようになりました。

「Khadamati の実装によって、ITSM の 2 つのメインシステムを 1 つに統合することができたため、職員へのサポート提供、要求全件の完全可視化、タスク解決の簡素化が実現しました」と同省の Mohammed Almukhalfi 氏は述べています。

Khadamati システムを通じて、同省は省内の全ポータルのディレクトリを構築してワンストップショップを導入しました。ポータルにアクセスするには、職員はシングルサインインを使って Khadamati にログインして目的のポータルをクリックするだけです。これにより、自動的にそのポータルにログインできます。「導入後、職員の満足度が高まり、職場全体の士気も改善されたため、パフォーマンスにプラスの影響が生じました」と Mohammed Almukhalfi 氏は述べています。

ServiceNow の強力なローコード機能により、開発者はシンプルで直観的なシステムを使ってフロントエンドとバックエンドの両方で eServices の導入または既存システムの更新を容易にできるようになりました。このテクノロジーによって開発者が新しいサービスを迅速に導入できるだけでなく、サービスファシリテーターや上級管理職は最先端のダッシュボードとレポートを利用して組織全体のパフォーマンスを簡単に監視できます。

セルフヘルプが決め手
サービス名の Khadamati は「すべてのサービス」を意味します。このポータルのおかげで、リヤドの本省と国内の 50 の地方支部に在籍する全職員にとって窓口は 1 つになりました。ビジターは総合サービスカタログを閲覧して、直接サービスリンクまたはハイパーリンクで他のサイトにアクセスできます。多くのトピックに関する一連のナレッジバンクがあるなかで、セルフヘルプは優先順位の高い課題です。チャットボットの Dalal が、MHRSD 職員と管理職がプラットフォームとより強固につながり、アジリティが高まるようサポートします。500 人のライブエージェントが支える Dalal によって、ユーザーはサービスの要求やインシデントの報告が容易になるほか、ステータスの確認、ポータルと職員ディレクトリの検索、イベントカレンダーとプロモーションのチェックも簡単にできます。管理職は申請の承認もさらに簡単にできるようになりました。

これがすべて一元的に処理され、ユーザーの母国語であるアラビア語に対応しているため、会話も英語だけでなくアラビア語で行うことができます。Devoteam はプラットフォームのローカライズ機能を使用してアラビア語に対応し、職員がよく使うであろうと予想されるインテリジェントキーワードも定義します。

ServiceNow の導入により、同省は 300 を超えるサービスのデジタル化と自動化を実現しました。進捗状況は完全に可視化され、処理時間も短縮されています。利用可能な 300 件のサービスのうち、およそ 90% は IT 関連ですが、10% はエンタープライズサービスを提供しています。職員は、最新の省内ニュース、レストランや旅行代理店などのサードパーティ企業の優待サービス、主要な省内活動のカレンダー、同省の全支部の地図などを閲覧できます。また、会議室の予約など基本的な事務タスクも実行できます。管理職は生成されるダッシュボードとレポートからパフォーマンスの全体像を把握し、業務と満足度の改善のため SLA を設定します。

ServiceNow ITSM の導入以降、Mohammed Almukhalfi 氏はエージェントのパフォーマンスが大幅に改善され、問題解決時間が 50% も短縮されたことに気付きました。職員の 95% 以上がポータルを使用し、プラットフォームのセルフサービス機能を活用しています。

「セルフサービスとサービスカタログの導入によって、エージェントのパフォーマンスの最適化率は 45% に達しました」Mohammed Almukhalfi 氏はこのように述べています。「さらに ITSM の問い合わせは 100% ポータルで行われ、高い満足度を示しています。また、包括的な KPI 一式を開発し、サービスマネジメントライフサイクル全体を通じたパフォーマンスを追跡して測定できるようになりました」

「継続的改善という当省の文化に沿って、オープンなフィードバックチャネルを導入し、職員と新しいイノベーションやアイデアについてディスカッションし、エンゲージメントのさらなる向上を目指しています」

デジタルトランスフォーメーションの道のりは続く
Devoteam のサポートにより、同省は Khadamati が対応するサービス数を増やす計画をしており、Now Platform を拡張して Government, Risk, and Compliance (GRC)、Strategic Portfolio Management (SPM)、IT Operations Management (ITOM) を追加することを検討しています。

「今後は、さらに ServiceNow の機能を活用して職員用モバイルアプリを構築して、継続的改善に向けて私たちが注いでいる労力の一環として効率とアクセシビリティをさらに高いレベルへと引き上げ、進歩することを目指しています」Mohammed Almukhalfi 氏はこう述べています。

「新しいサービスの開発がこれほど容易で、Now Platform がこれほど柔軟性に富むことに驚かされました。すべてのサービスを単一の使いやすいポータルで提供することで数多くのメリットがもたらされています」