データ管理における課題
英国内の 93 拠点にわたり、5,500 名以上の従業員を抱える組織の大量の従業員データと資産データの管理には、それ相応の膨大な作業を要します。さらに、品質を維持しつつ、ユーザーの高まる期待に応えながら、常に効率化を追求し続ける必要があります。
NHS Blood & Transplant (NHSBT) は国民保険サービス (NHS) を支える重要な組織として、国内の献血と臓器提供サービスを担っています。業務は、血液、臓器や組織、骨髄、幹細胞の提供管理から、保管、輸送のほか、新しい治療法や処置の研究にまでおよびます。
NHSBT の臨床科学チームによる先進の成果は、患者の予後の改善、さらには命を救うことにもつながります。これらの成果を上げるために、適切で効率のよい内部プロセス、効果的なデータ使用とともに、ユーザーがどこからでもサービスにアクセスして基準を維持できる能力が求められます。NHSBT は業務の一部に ServiceNow 製品を導入済みですが、展開はまちまちで、プラットフォームが有効に利用されず、発展の機会が失われていました。
基盤のニーズ
NHSBT の解決すべき重要な課題として、特に大量のデータをより効果的に活用する方法が求められました。これを達成すれば、分析のインサイトを効果的に取得し、国内全組織の円滑な業務運営が図れます。
正確なデータは、機器や設備を各拠点に円滑に割り振るためにも重要です。データの質が悪く、大量のバックログを抱えると、資産の展開効率が悪くなり、不要なコストを生みます。同組織は、新型コロナウイルスに伴う課題も含め、従業員のリモートワーク、患者のリモート診察、在庫管理を支援し、最終的には最善のリモートケアも提供するプロセスを展開する必要がありました。
Donna Lea-Dodd 氏は、2019 年に Live Services アシスタントディレクターとして加わると、すぐに主要目標を設定しました。彼女は「NHSBT メンバーにとっての顧客サービスの改善」を目標とし、「基盤を整え、手作業を減らし、現状のリソースで効率化を図り、優れたサービスを提供できるようにする必要」を訴えました。
優れたワークフローが優れたユーザーエクスペリエンスをもたらす
ServiceNow とテクノロジーデリバリパートナー Engage ESM と協働するにあたり、Lea-Dodd 氏は成功のために効果的な基盤が欠かせないと考えました。「データのクレンジングと入力が必要でした。手作業の更新と変更は正確性を欠くので、自動化を進め、更新とデータチェックのシステムを追加しました」
優れたエクスペリエンスには必ず優れたワークフローがあります。Lea-Dodd 氏のそれまでの労力は報われ、NHSBT の強化されたサービスポータルにより、全従業員が必要な情報に一元的にアクセスできるようになりました。ポータルにアクセスすれば、デスクトップやノート PC、モバイル Web ブラウザなど、どこからでもすぐにさまざまなサービスが利用できます。
例えばこれには、オンラインでワークステーションの評価を行ったり、給与明細の数字について問い合わせたり、新しい IT 機器のリクエストを行ったりといったことも含まれます。問い合わせは、ワークフローと自動化プロセスにより、手作業を要することなく照会が担当部署に送られます。
他部署でもメリットを共有
資産の追跡が迅速、簡単になると、それぞれの場所を完全に把握でき、セキュリティ面でも最新の情報が得られるメリットがあります。自動化プロセスも顧客サービスの改善につながります。ライブデータの使用により、以前は数日を要したプロセスの処理が瞬時に行え、ダッシュボードではサービスパフォーマンスが完全に可視化されます。
NHSBT では、ServiceNow の導入から 1 年以内にエージェントの貴重な時間を 650 時間節約し、より戦略的な業務に注力できるようになったことで、患者サービス全般で向上を図ることに成功しました。「自動化できない複雑な業務に注力可能になりました」と言うのは Mahesh 氏です。「ユーザーエクスペリエンス全般が大きく向上し、大量の要求に応えられます」
プラットフォームの更新スケジュールは年 4 回から毎月へと増え、その都度手作業も減っていったため、サービスプロセスも迅速化し、従業員エクスペリエンスも改善できています。「他の部署からも、彼らのサービスに ServiceNow が使えないだろうかと相談されます」と Lea-Dodd 氏は言います。ServiceNow は取締役会にも広まり、役員たちが積極的にそのメリットを共有するようになってきています。
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