NTTグループ、社内決裁のコストを約23%削減。17万人が利用する決裁システムを抜本的に改革 PDFをダウンロードする
115社・17万人 グループ115社の決裁プロセスを一本化。国内社員17万人へのスムーズな導入を実現 決裁150万件 決裁の承認プロセスを大幅にスリム化。年間150万件に達する決裁が効率化された 入力1回 サイロ化されていたUIをシンプルに統一。各システムが連携し、従業員体験が向上
NTTグループは、新中期経営戦略『New value creation & Sustainability 2027 powered by IOWN』で掲げたEXとCXの高度化の実現に向け、ServiceNowをはじめとするプラットフォームを活用しながら変革に挑み続けています。さらに、「お客さまのDX」だけではなく、「自らのDX」を掲げ、グループ国内会社115社のデータ基盤統合や、17万人の社員の業務を効率化するデジタルプラットフォームの導入など、様々な試みを行っています。

この「自らのDX」を進めるにあたって、NTTグループはまずグループ全体における業務の問題点を調査して抽出。その後、取り組みの第一弾として着手したのが「決裁プロセス」の刷新でした。現在では、ServiceNowを基盤に財務、調達、請求の各システムと連携するグループ共通の決裁システムを構築。「シングルインプット」のシステム環境による業務工数削減のほか、システム統一によるITコスト削減などを実現しています。
グループ全体のデータ連携のため、エンタープライズアーキテクチャを設計

NTTグループは2018年に中期経営戦略「Your Value Partner 2025」を発表。「お客さまのデジタルトランスフォーメーションをサポート」「自らのデジタルトランスフォーメーションを推進」「人・技術・資産の活用」「ESG経営の推進、株主還元の充実による企業価値の向上」の4つを戦略の柱に掲げました。同社がグループとしてDX(デジタルトランスフォーメーション)を志向することになったのは、ビジネスにおけるデータ活用の重要性を強く認識し、そのための基盤や環境づくりが急務であると考えたことが背景にあるといいます。

グループの中核事業が電話中心からICTへとシフトする中、業務におけるデータ活用の重要性は日増しに高まっています。同グループは近年、エネルギーやヘルスケア、アグリテックなど、新しい事業領域にも積極的に参入しており、これらのビジネスの最新動向をリアルタイムに把握するためにもデータ活用は欠かせません。

その中で、国内グループ115社のデータを連携するため、各社で個別最適化されていたシステムを、エンタープライズアーキテクチャに沿って標準化することにしました。
決裁システムの使い勝手の向上はもちろん、それ以外でもさまざまな業務やシステムのUI/UXを向上するためにServiceNowを適用していきたいと考えています 山田 泰弘 氏 日本電信電話株式会社 技術企画部門 IT室 次長

ガバナンスとイノベーションを両立できるServiceNowを選定

NTTグループは、どのように進めればDXをはじめとする変革の効果を最大化できるのかについて、様々な知見を蓄えてきました。

その一つが、「ガバナンスとイノベーション」を両立させる方法です。両立のための有効な解決策として同グループが導き出したのがデジタルプラットフォームの活用でした。
そこでNTTグループは、「自らのDX」のための基盤として新たなデジタルプラットフォームの採用を決定。決裁業務に関しては、複数の選択肢の中から、最も理想的なプラットフォームとしてServiceNowを選定しました。

「グローバルスタンダードのプラットフォームであること。フルクラウドで利用できること。複数のグループ会社のシステムを束ねるのでマルチテナントに対応していること。これらすべてを満たしているデジタルプラットフォームはServiceNowだけでした」と説明するのは、ServiceNowの選定に携わったNTTコムウェア ビジネストランスフォーメーション 事業本部 コーポレートビジネスソリューション部 CoE部門 部門長の松尾 知明氏です。

ServiceNowを導入したNTTグループは、「自らのDX」を進めるにあたって、手始めにグループ全体における業務の進め方を調べ上げ、問題点の洗い出しを行いました。

「シングルインプット」に着目して挑んだ決裁プロセスの変革

調査を基に掲げたDXのテーマは、およそ100項目にも上ります。その中から、ServiceNowを使って取り組むDXの第一弾として選んだのは、「決裁プロセス」の刷新でした。

その背景としてNTTグループでは、グループ会社115社それぞれが独自の決裁システムを運用しており、入力や操作方法だけでなく、決裁プロセスが会社ごとに異なっているという課題がありました。

「グループ全体で標準化された決裁システムやプロセスに統一すれば、会社間の異動等で操作方法に迷うことがなくなり、社員の負担も大幅に軽減されると考え、EX向上の一環として取り組むことにしました」と松尾氏は説明します。

標準化の大きなポイントとして松尾氏が掲げたのは、承認の簡略化です。「グループ各社が個別最適で作り上げた決裁システムは、コンプライアンスを考慮して、承認のワークフローが多段階層になっているものがほとんどでしたが、業務のスピード感を高めるためには、この見直しも必要でした」と松尾氏は語ります。

もう一つ、実現を目指したのが決裁システムと財務、調達、請求の各システムとの連携です。

例えば、調達に関する決裁が下りた場合、社員は次に調達システムで注文を出し、財務システムで支払いをするという作業を行わなければなりません。このように、複数のシステムに同じ内容を何度も入力しなければならない実情がありました。

「決裁システムと他のシステムを連携すれば、シングルインプット(1回の入力)ですべてのシステムに同じ内容を反映できます。システムごとの入力内容に差異が生じて手戻りが発生するといったこともなくなるので、社員の負担はかなり軽減されるはずだと考えました」と松尾氏は語ります。

決裁プロセスの刷新により業務コストを23%削減

こうしてNTTグループでは、グループ115社、17万人以上の従業員が利用する共通の決裁システムの基盤としてServiceNowの導入を進め、2023年4月から本稼働を開始しています。並行して財務、調達、請求の各システムを一新するとともに、これらを決裁システムと連携する新たなシステム環境を構築しました。

「決裁システムで入力した内容が他のシステムにも反映されるシングルインプットを実現したことで、データの二重入力を抑止し、業務工数削減につながっています。多段階の決裁プロセスを簡素化したほか、決裁の承認もモバイルデバイスから行えるようになったことで、処理速度や業務効率が向上しました。結果として、23%の業務コスト削減効果につながっています」(松尾氏)

さらに日本電信電話 技術企画部門 IT室 次長の山田 泰弘氏も、「システムを共通化したことで、グループ各社が個別にシステム更改を行う必要がなくなりました。そのためITコストという観点からも今後削減が見込まれます」と語ります。

ServiceNowをベースに構築した決裁システムは、稼働後1年間で150万件近くの決裁処理を行っており、NTTグループの業務を支えています。さらに日々蓄積されていくデータにも同社は着目しています。

「データが一元化され分析しやすい環境を構築できたことが1つの効果だと考えています。かつてのシステムでは、グループ横断でのデータ分析には、人が手間をかけてデータを加工する作業が必要でした。今回のシステム刷新により、データを活用してさらにビジネスを高度化していくための重要な下地を築くことができたと言えます」(松尾氏)

「人のトランスフォーメーション」を支える基盤としてのServiceNow

NTTグループは、ServiceNowの運用状況などをダッシュボード上で確認できる「ServiceNow Impact」というソリューションの中から、クラウド上で動いているリソースの状況を可視化・共有できる「Instance Observer」も導入しています。Instance Observerについて、パフォーマンスや速度低下の原因がどこにあるのか、といった情報をグループもユーザーもリアルタイムに共有できるため、役立っていると評価しています。

もちろん、パフォーマンスの観点だけでなく、NTTグループではUIの改善も含めて、使い勝手を向上させるシステムの改善を現在も継続的に取り組んでいます。

「ServiceNowによって決裁プロセスを効率化することができましたが、もちろん現在でも、情報を収集したり社内規定を参照したりするなど人の手作業が介在しないと行えない部分も残っています。今後は蓄積されたドキュメント類を活かし、さらにそれをAIと組み合わせることで、人に必要な情報をシステムが自動で提供し、決裁をより効率化できる仕組みを実現していければと考えています」(山田氏)

さらに、NTTグループではServiceNowを他の業務にも活用することで、さらなる変革へつなげようとしています。

「決裁領域だけではなく、グループ各社特有の申請承認ワークフローなど、ServiceNowを活用できる領域は数多く存在し、すでにプロジェクトが進んでいるものもあります。それらを通じて従業員に業務効率化による成功体験を拡充させることで、自分自身の業務を変えていくべきだという機運を醸成し、各人の意識とDXリテラシーを変革する『人のトランスフォーメーション』も加速させていきたいと考えています」(松尾氏)

NTTグループではここまで紹介してきた社内的な取り組みだけでなく、国内外のパートナーと共に研究開発を進めている次世代情報通信基盤構想「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network:アイオン)」を始めとする次の時代に向けた変革にチャレンジしています*。ServiceNowはこの取り組みにおいてもパートナーシップを組みながら、NTTグループのビジネスに貢献していきます。

* NTT コムウェアとServiceNow Japan IOWN® の運用等支援サービス充実とグローバル展開推進で協業開始

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