カスタマーサービスの向上で成長をサポート
PLDT Inc. 社は、フィリピン最大の総合電気通信ネットワーク企業です。 同社の子会社である Smart Communications Inc. (Smart) 社は、国内の都市や自治体の約 96% をカバーする 7,120 万人を超えるモバイル契約者に、4G/LTE、5G、高速インターネット接続などの無線通信サービスや、デジタルサービス、デジタルコンテンツを提供しています。
2020 年初めにコロナウイルスの感染が拡大すると、国中の人々が在宅やリモートで勤務したり、授業を受けたりするようになりました。 そのため、家庭用インターネット接続やモバイルサービスの顧客需要が急増しました。 PLDT 社と Smart 社も実店舗を閉鎖せざるを得なくなり、同グループはこの需要に対応するためにサービスデリバリを再検討する必要がありました。
PLDT 社と Smart 社の社長兼 CEO である Alfredo S. Panlilio 氏は顧客中心主義を支持しており、同社がいかにカスタマーエクスペリエンスを優先し、継続的改善を目指しているかを発信し続けました。 「当社はデジタル化が進むフィリピン国民のライフスタイルを支援するため、運用の効率化に注力しています」と Panlilio 氏は述べています。
PLDT 社は、ServiceNow のパートナーである Nexus 社のサポートを受けて、ServiceNow IT Service Management (ITSM) Professional に Customer Service Management Professional と Automation Engine を合わせて採用し、従業員アンバサダープログラム向けに Sana All (「すべての人に希望を」) ポータルを構築しました。 目標は、PLDT 社と Smart 社の全従業員が顧客の要求に迅速に対応し、カスタマーサービスの質を向上できるようにすることでした。
一元化された従業員エクスペリエンスとカスタマーエクスペリエンスのポータル
ServiceNow の導入前は、PLDT 社では顧客の問題を手作業でフォームに記録し、さまざまなメールアドレスに送信していました。 その後実行チームがメールを読んで内容を理解してから、それぞれの要求に対応するのに適したカスタマーエクスペリエンス (CX) チームの担当者を決定していました。 こうした手動のプロセスが処理時間の長さにつながり、顧客の不満を引き起こしていました。
「感染拡大中のロックダウンでスタッフがリモート勤務するという制約があり、従来のオンプレミスシステムでは、ひとつの要求に対しさまざまなチームが協力して対応することができなくなりました。また、フロント担当者以外の従業員の多くは、顧客から苦情を受けた際、どこに伝えればいいのかさえもわかっていませんでした」と、PLDT 社と Smart 社で Office of the Chief of Staff 兼 Staff and Accounts and Portfolio Management Lead を務める Grace Plata 氏は述べています。
PLDT 社と Smart 社は最初に Service Catalog と仮想エージェント機能を含む ServiceNow ITSM を導入しました。 ServiceNow ITSM は、Gartner 社がトップに位置づけており、従業員も製品についてすでに精通していたので、PLDT 社と Smart 社は ServiceNow ITSM Professional にアップグレードし、ServiceNow Automation Engine を介して Salesforce と統合して SanaAll プログラムを構築することで、自分たちのチームが新しいサービスを迅速に導入できると自信を持っていました。
PLDT 社と Smart 社では、ServiceNow でチーム間のコラボレーションを向上できただけでなく、フロント担当者以外の従業員も含め、より多くの従業員が顧客の問題をエスカレーションできるようになりました。 たとえば、現在では要求の履行や問題の解決に関する最新情報が、顧客と Smart 社の従業員に自動的にメールで通知されるようになっています。 CX チームは常に要求の情報にアクセスし、要求の状況やインターネットの機能停止などの問題について、即座に顧客にコールバックしてフォローすることができます。
Grace 氏は次のように述べています。「ServiceNow は従業員にエンドツーエンドの可視性を提供してくれるので、問題の解決について顧客に迅速に対応できます。顧客は、自分の問題が対処され解決したと知ることもできます」
PLDT 社と Smart 社の High Value Care Segment で運用責任者を務める John Lao 氏は次のように説明しています。「新規の販売と顧客の要求が急増したので、PLDT 社と Smart 社の全従業員が顧客の支援とサポートを拡大できるようにしようと考えました」
PLDT 社と Smart 社の IT マネージャーである Carlo Guevarra 氏とそのチームは、ServiceNow の動的なワークフローを活用して、ServiceNow の ITSM Professional 内で、VIP や一般顧客向けのサービスカタログを簡単に作成できるようになりました。 これらのワークフローにより、実行チームが CX チームへの要求をルーティングする際の効率も向上されました。
「ServiceNow のおかげで、CX チームの平均応答時間が 50% 短縮されました。3 時間半を超えていたのが 2 時間未満になったのです」と Guevarra 氏は述べています。 「また、サポートエージェントの顧客に対する応答は、以前の機械的なものと比較して、より有意義なものになっています」
従業員満足度の向上と顧客離脱率の低減
Sana All ポータルを使って、グループ全体の 14,000 人を超える従業員は、PLDT 社と Smart 社のブランドアンバサダーとして 3G や 4G/LTE から 5G サービスへのアップグレードなどの新サービスを家族や友人に紹介するよう奨励されています。 この従業員アンバサダープログラムには、カスタマーエクスペリエンスを高める方法に関する全従業員を対象としたトレーニングアクティビティも含まれています。
「Now Platform 上に Sana All ポータルを立ち上げて以来、当社では 15 万件を超えるサービス要求を履行し、従業員アンバサダープログラムを通じて過去 3 年間で 10 万を超える顧客が紹介されました」と Guevarra 氏は述べています。
「Sana All ポータルは、単に顧客の懸念を適切なサポート担当者に伝えたり、最新情報を提供したりするだけのものではありません。従業員エクスペリエンスとカスタマーエクスペリエンスを融合させるようなものです」
ServiceNow ダッシュボードによって、PLDT 社と Smart 社の従業員は、プログラムを介して紹介したケースの数をリアルタイムで確認できるようになりました。 これによってスタッフの士気が向上し、さらに多くの顧客を紹介する意欲が高まります。
「モールで自分が顧客のサポートをしている様子を写真に撮った従業員さえいます。こうしたことが、従業員に対する当社のネットプロモータースコアが 85% を超えるようになった理由の 1 つです」と Guevarra 氏は付け加えます。
有用でタイムリーなサポートとアンバサダープログラムの相乗効果により、少なくとも 40 万ドル相当の顧客離脱を防ぐことができました。これは、競争の激しい電気通信業界では非常に大きな成果です。
グループのエコシステムをフル活用して収益を拡大
PLDT 社と Smart 社はフィリピンの大物実業家 Manuel V Pangilinan 氏が会長を務める MVP グループに所属しています。 同コングロマリットを構成するのは、エネルギー、公益事業、道路、インフラストラクチャなどの幅広い重要分野にわたる 35 の企業です。
PLDT 社と Smart 社は、グループ全体で増大する B2B 顧客を見据えて、ServiceNow Customer Service Management Professional に拡張し、ServiceNow Automation Engine のスポークを使用して Microsoft Azure や MVP Group の Active Directory との統合を図りました。 これにより、PLDT 社では、Customer Service Management を介して同じ Service Catalog を作成して公開するだけで、インターネット接続などの Service Catalog を幅広いグループ企業と安全かつ迅速に共有できるようになっています。
Guevarra 氏は「ServiceNow の機能によってグループのエコシステムの強みを十分に活用することができ、Sana All プログラムを通じておよそ 152 万ドルの収益を創出することができました」と述べています。
また、Lao 氏は「ServiceNow は反復可能で信頼性が高いので、PLDT 社と Smart 社の従業員 14,000 人だけでなく、潜在的な 5 万人の従業員にプログラムを展開するのも困難ではありません」と述べています。
投資利益率を最大化
PLDT 社と Smart 社は、ローコードの ServiceNow App Engine と Automation Engine を使い、VPN に依存するレガシーなオンプレミスシステムとは異なるモバイルアプリを構築し、従業員がいつどこからでもポータルにアクセスできるようにしました。
ServiceNow が提供する導入後すぐに利用可能な機能により、PLDT 社と Smart 社はカスタマーサービスプロセスをさらに洗練し、優れたエクスペリエンスを提供できるようになりました。
「パフォーマンス分析のためのデータ構築や、組織内でチャットボットを実現するためのトピック作成を開始しています」と Guevarra 氏。 「また、トップ B2B クライアントの 1 社については、ServiceNow Customer Service Management 経由で要求を提出し、ServiceNow ITSM を活用して社内サポートが受けられるポータルを構築することも検討しています」
Guevarra 氏は、ServiceNow により、PLDT 社と Smart 社はカスタマーサービスを大幅に改善し、従業員満足度を高めて、投資利益率を最大化できるようになったとまとめています。 PLDT 社での成功により、関連会社も刺激を受け、未来への期待を高めています。
PLDT 社と Smart 社の First Vice President、社長兼 CEO Alfredo S. Panlilio 氏の Chief of Staff、Head of Strategic Program Management を兼任する Julie C. Carceller 氏は次のように締めくくりました。「運用の優位性とカスタマーエクスペリエンスの強化に向けた PLDT 社と Smart 社の取り組みは、グループの複数年にわたる意欲的な変革の一環です。 ServiceNow プラットフォームで、当社の従業員はより迅速で優れたカスタマーサービスを提供し、PLDT の収益に貢献できるようになっています」