誰もがアクセスしやすい世界を目指して
視覚障害は世界中で 20 億人以上の人々に影響を与えており、これは世界人口の 4 分の 1 以上にあたります。 平均寿命が延び、特定の地域で医療サービスが不足していることから、障がいに対処しなければならないにも関わらずサポートを受けられない人の数は、今後数年間で大幅に増加すると予測されています。
英国の Royal National Institute of Blind People (RNIB) は国を代表する視覚障害者支援団体です。 同団体は、実用的なサービスと精神的なサポートを幅広く提供して、何千人もの視覚障害者と弱視者、その家族、介護者の生活の質を向上させています。
RNIB は強力なキャンペーンを展開する組織でもあり、英国の 200 万人の視覚障害者と弱視者の境遇に対する認識を高め、すべての人にとって利用しやすい社会を実現するための行動を提唱しています。 同団体の従業員 1,300 人の約 15% は、自分が視覚障害者または弱視者であることを明らかにしています。
安全な生活と仕事の場の提供
RNIB は、英国全土で 100 以上の住宅施設を提供しています。 この慈善団体は、あらゆる年齢の視覚障害者や弱視者に安全で安心な住居を提供しています。 RNIB は、視覚障害者の生活のあらゆる側面をサポートするという使命を果たすために、ロンドンの本社ビルや地域オフィスのネットワークに加え、リソースセンターなどの施設も運営しています。
同団体は総勢 20 人のチームを展開してこの不動産ポートフォリオを管理し、RNIB の業務基準を維持するとともに、すべての法律と規制に対するコンプライアンスを徹底しています。
チームは団体内のヘルプデスクチームと外部請負業者のサポートを受けながら、建物の複雑なメンテナンスや修理プロジェクトからケータリングやセキュリティまで、日々の多様な不動産管理要件に対応しています。
メールと手作業によるスプレッドシートベースのプロセスに大きく依存していた従来の不動産サービスデスクシステムの置き換えが必要になったとき、RNIB は成果を上げていた ServiceNow とのテクノロジーパートナーシップを拡大することを決定しました。
目的に適していないレガシーシステム
「残念ながら、既存のシステムには根本的な欠陥があり、ユーザーと組織全体のニーズを念頭に置いた設計になっていませんでした」と、RNIB でテクニカルビジネスアナリストを務める Simon Lakin 氏は説明します。
「チケットのオンラインポータルがなく、すべてがメールで送信されていたため、面倒で、時間がかかり、重複が起きやすく、非効率的でした。チケットのカテゴリは 100 を超えていて、誰にとっても分かりにくく、優先順位付け、分析、報告が非常に困難でした」
以前のシステムでは、ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン (WCAG) (インターネットの主要な国際標準化組織である World Wide Web Consortium の Web Accessibility Initiative が公開している Web アクセシビリティに関する一連のガイドライン) の多くの標準も満たせていませんでした。
また、分散した従業員とレガシーシステムの欠点があいまって、不動産管理に関するアクティビティもすべては記録されていなかったのです。 その結果、プロセスと意思決定に不整合が発生し、可視性と監視も欠如していました。
「一元的な不動産データベースがなかったことが大きな欠点でした」と、Lakin 氏は説明します。 「当団体ではさまざまな建物を所有しているため、それぞれの詳細、履歴、使用状況を把握して、適切かつ効率的に管理し、完全なコンプライアンスを確保できるようにすることが非常に重要です。」
「完全で正確な最新の不動産データベースは、新しい不動産サービスデスクソリューションに不可欠なコンポーネントでした。」
最適な戦略的プラットフォーム
RNIB における ServiceNow への取り組みが始まったのは 2020 年で、その年 RNIB は、ServiceNow と IT Service Management (ITSM) を組織のコア IT サポートサービスとして選択し、それを ServiceNow Elite パートナーの FlyForm 社が実装しました。 RNIB の厳格なユーザーアクセシビリティ基準を満たすプロジェクトが成功したことで、ServiceNow と FlyForm 社は不動産チームの課題に対処するための重要な位置を占めるようになりました。
「ITSM の導入は大きな成功を収め、ServiceNow と FlyForm 社の組み合わせが私たちにとって適切なものであると確信しました」と、RNIB でテクニカルプロジェクトマネージャーを務める Anila Mistry 氏は説明します。
「このパートナーシップにより、ソリューションを継続的に強化して ServiceNow のすべての機能を最大限に活用し、ブランディングによるカスタマイズを行って、私たちのニーズを正確に満たすように従業員サービスセンター (ESC) のフォントのスタイルとサイズを設定しました。」
「その結果、RNIB は ServiceNow が当社のすべてのサービスデスクに最適な戦略的プラットフォームであり、新しい不動産サービスソリューションを強い自信を持って推進できるようにしてくれると確信しました。」
WCAG 標準を満たすシステムや一元的なポータルなどの定義済み要件セットを使用しながら調査と分析を収集し、新しい不動産サービスデスクソリューションのデモを作成しました。 その目的は、開発段階全体を通してチームメンバーをガイドし、特にユーザーのアクセシビリティに関する彼らのフィードバックを確実に捉えて組み込むことでした。
不動産サービスデスクソリューションは、RNIB の既存の ITSM モジュールを ServiceNow 従業員センターと従業員のエンゲージメントポータルに組み合わせて、すぐに利用可能な機能を幅広く活用して構築されました。
「FlyForm 社が全体を通して支援してくれたので、わずか 8 週間で準備を整え、予定通り予算内で、シームレスに稼働させることができました」と Mistry 氏は説明します。 「これは私たちにとって大きな成果で、その後も順調に維持できています。」
オンラインアクセシビリティで先導
現在では、不動産関連のすべての情報とプロセスが、単一の ServiceNow システムに統合され、ポータルの直感的で使いやすいインターフェイスを介してアクセス可能になっています。このインターフェイスは、特に高コントラストやスクリーンリーダーの互換性に関して、視覚障害者や弱視者のためのユーザビリティ基準のベストプラクティスを満たしています。 ポータルのインターフェイスは、Windows オペレーティングシステムと macOS で利用可能で広く普及しているスクリーンリーダーソフトウェアの NVDA、JAWS、VoiceOver と互換性があります. 「並び順序に意味があり、ナビゲーションしやすくなっています」と、Lakin 氏は言います。
検索可能なデータベースによって、すべての不動産とその用途のプロファイルが提供されます。データベースにはボイラーや暖房システムなどのすべての資産と機器、そのステータス、メンテナンス履歴のリストが含まれています。
チケットテンプレートを使用すると、ユーザーが必要なすべての情報を確実に提供して、それを適切な担当者やチームが迅速かつ効率的に処理できるようになります。
「4 か月以内に、要求の 70% がポータルを通じて提出されるようになりました」と、Lakin 氏は説明します。 「チケット数は月に 400 件だったのが 700 件に増えています。これは、ServiceNow プラットフォームに対する皆の信頼を示していると考えています。」
Lakin 氏は付け加えます。「アクセシビリティは RNIB にとって重要な要件です。職員の中に視覚障害者や弱視者がいるからというだけではなく、それが正しいことだからです」 「私たちは障がい者支援団体として、アクセシビリティとインクルージョンを先導したいと考えています。
障がいの有無にかかわらず、すべての職場はあらゆる従業員が平等にアクセスして利用できるようにする必要があります。 ServiceNow が、キーボードアクセス、スクリーンリーダーの互換性、明確な見出しを備えた構造化 HTML、優れたコントラストに関して英国のウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドラインに準拠していることに感銘を受けました。 しかし特に感心したのは、プラットフォームのアクセシビリティの向上に継続的に取り組むという先進的なアプローチです。」
Mistry 氏は付け加えます。「アクセシビリティとユーザビリティのバランスを取るのが困難なこともありますが、 ServiceNow はそのバランスを実現しました。そのことは職員からも高く評価されており、全員が同じシステムを使用し、協力して高い生産性を発揮して効率的に作業できるようになりました。」
自動化による保護とコンプライアンスの実現
ダッシュボードとレポートツールを使用すると、チケットのステータスと進捗状況を、誰もが追跡できます。チケットは、管理しやすいようにわずか 10 のカテゴリと、各カテゴリに関連するアクションに整理されました。
チケットの 5% 以上は自動化されたカレンダーを使用して生成されています。 各リマインダーは、年次のボイラーサービスや火災警報テストなど、さまざまな日常業務の 1 つを促し、リスクを軽減するとともに、すべての不動産が安全で完全に機能し、コンプライアンスへの準拠を維持するようにしています。
「ServiceNow が稼働して以来、多くの前向きな変化がありました」と、RNIB の不動産ヘルプデスクのチームリーダーである Nicola Gray 氏は述べています。 「レポート機能により、正確なレポートを経営幹部と共有できるようになりました。」
「今では、コンプライアンス関連業務の 100% を ServiceNow で記録し、追跡しています。 その結果、RNIB 内のすべての不動産がコンプライアンスに準拠しています。 各不動産に対するすべてのコンプライアンス関連ドキュメントを保持できるようになりました。また、予定されているコンプライアンスの更新とリース更新のカレンダー通知により、作業を忘れることなく期日どおりに完了できています。 施設マネージャーは、自分の拠点を確認し、特定の日に各拠点でどんなことが行われているのかを把握して、自分のコンプライアンス関連業務を管理できます。 ServiceNow 導入以前は、コンプライアンスは個々のスタッフメンバーがスプレッドシートを使用して管理していました。」
「ServiceNow のおかげで、システムが自動化され、誰もスプレッドシートを手動でチェックし続ける必要がなくなったため、コンプライアンス関連業務がより効率的になりました。コンプライアンス関連の日程を見逃すリスクもなくなりました」
また、このソリューションにより、不動産チームと他の部門との間でより緊密な連携が可能になっています。 たとえば、ServiceNow で情報がすぐ入手できるため、財務チームは不動産サービスのサプライヤーからの請求や支払いに関する問い合わせに迅速かつ効率的に対応できます。
最終的には、不動産マネージャーがデータを調査し、傾向、パターン、従業員フィードバックを確認して、継続的な改善プロジェクトを推進できるようになります。
RNIB は不動産ポートフォリオの管理能力を変革しましたが、最初の数か月の成功では、ServiceNow と FlyForm 社とのパートナーシップを通じて、さらに多くのことを達成できる可能性も示されました。 すでにロードマップに示されているのは、IT 部門と人事部門の複数の共有メールボックスとプロセスを単一のプラットフォームに統合してさらなる効率化を実現するなど、ServiceNow 従業員センターですべての従業員サービスを合理化することです。 また、RNIB は、このポータルを同支援団体全体の内部コミュニケーション用プラットフォームとして使用することで、さらに緊密で協力的なチーム作業を実現できると期待しています。
Mistry 氏は次のように締めくくります。「支援団体として、私たちは予算が利用可能になるのを待ってから、それを賢く使用する必要があります。 このプロジェクトは、ServiceNow のようなユーザーを念頭に置いて設計された優れたテクノロジーが、RNIB のような組織にいかに変革をもたらすかを実証しました。」