革新的なソリューションの展開
Ryder System, Inc. はサプライチェーン、企業専属便、車両管理 (フルサービス車両リース、レンタル、メンテナンスを含む) のソリューションを世界の有名ブランドに提供する大手流通運輸会社です。
同社の顧客は 45,000 社を超え、米国、メキシコ、カナダで事業展開しています。 Ryder 社の企業理念は、顧客が約束を実現できるように、信頼性、安全性、効率性に優れた革新的なサプライチェーンと運輸のソリューションを提供することです。
運輸市場では急速な変化が起きています。プロセスの自動化とデジタル化が進み、顧客選好は進化し、競争は激化しており、気候変動の圧力が高まるなかで環境と持続可能性への注目がさらに厳しくなっています。
このような加速する変革が荷主、運送業者、サプライヤー、消費者にも影響を及ぼす時代においては、運輸会社にとってコスト削減、サービスレベルの向上、運用効率の向上につながるデジタルソリューションの優先順位付けと試験運用に関する戦略的アプローチを持つことが非常に重要です。
変革の推進
ServiceNow の既存顧客である Ryder 社はすでに IT Service Management (ITSM) を導入して IT サービスエクスペリエンスと運用の簡素化に成功していました。 最終的には複数の部門を 1 つの統合ポータルに集約することを目指し、さらには ServiceNow を使った自動化の力を実際に体験していた同社は、ServiceNow プラットフォームの利用を拡大して自動化 HR サービスを 48,000 人超の従業員に提供することを検討し始めました。従業員は 24 時間 365 日稼働体制で、ほとんどは固定席を持たず、コンピューターリテラシーのレベルもまちまちです。 例えば、Ryder 社のこれまでのイントラネットサイトは非常に限定的な従業員サービスのみを提供し、アクセスできるのもオフィスに出勤しているスタッフだけでした。これは全従業員の 3 分の 1 にも届きません。 同社は時代遅れのシステムに依存していたため、データへのアクセス、基本トランザクションの実行、プロセスの最適化が困難でした。 従業員の住所の更新といった最も単純なサービスでさえ面倒で時間がかかりました。
「厄介物になりつつあったこうしたレガシー運用から離れるべき時がきたのです」と Ryder 社の従業員サービス運用グループディレクターの Galyna Kruglov 氏は振り返ります。 「IT、HR、経理は基盤を共有しているため、その 3 部門を結集させることは理に適っていました。それが変革の過程に踏み出そうという決定の裏にある大きな推進力でした」
知識の共有と情報アクセスの提供
Ryder 社は ServiceNow HR Service Delivery、ITSM、そして統合ポータルの Employee Center Pro を選び、同社初の従業員サービスポータルである MyRyder を立ち上げました。 実装は分かりやすく、ServiceNow から簡単なサポートを受けるだけで実施できました。 Ryder 社が HR サービスを自動化した目的は、オフィス勤務のスタッフと現場スタッフの両方に対して従業員エクスペリエンスを改善し、生産性を向上するためでした。 Ryder 社は 24 時間 365 日体制で営業しているため、外勤中の従業員のモバイルアクセスが可能になることは特に大きな変革でした。 かつて午前 2 時に休憩を取る従業員は HR に問い合わせを提出する手段がなかったのですが、今ではツールを使って情報にアクセスし、質問を送信し、問題にフラグを付けることができるようになり、同僚の手を煩わせることがなくなりました。 テクノロジーがそのニーズを満たしたのです。
「ここでクラウドソリューションの登場です。知識を共有し、HR だけでなく IT と経理も網羅した情報にアクセスできることは非常に魅力がありました」と Kruglov 氏は述べています。
全従業員が即時に簡単に情報にアクセスできること、そして知識を共有できることは大きなメリットです。 HR に関してスタッフの優先事項などのデータインサイトを得ることは、仮想エージェントの導入や追加の従業員リソースにおいて次のステップのソリューションを推進します。 従業員全体で問い合わせが多いのは、取得可能な休暇日数、休暇申請、納税者情報のアクセスと更新、パスワードのリセットなどです。 その知識を踏まえて Ryder 社がホームページに追加した機能は、こうしたよくある問い合わせに関する情報を検索する必要を減らし、スタッフが知りたい各トピックを順を追って説明する直接ガイダンスを提供しています。
ポータルには他のシステムへのゲートウェイもあります。 経理向けの導入は IT と HR の後で行われ、比較的容易に進みました。先行した 2 部門の結果を見ており、その経験や助言に頼ることができたからです。
取締役会や経営陣からのサポートは揺るぎないものでした。トップダウンのコミュニケーションをとることによって、Ryder 社にとってのプロジェクトの重要性と、やがて会社にとってパラダイムシフトと認識されるものへの統合型アプローチの必要性を強調しました。
従業員の理解と使い勝手の向上が特に顕著だったのがポータルへのモバイルアクセスです。ユーザーは現場で、おそらく最も必要とするタイミングで情報を見つけることができるようになりました。 MyRyder での直接アクセス (セルフサービス) によってオープンされたケースは、一貫して最多の問い合わせと要求をもたらします。 全体として、例えば 2022 年の第 3 四半期と第 4 四半期では、ケース量が約 10% 増加し、6 万件を超えました (休暇、従業員リレーションズ、その他の特殊分野などの COE ケースを含まず)。特徴は、以前の本番環境フェーズより直接的な意図と幅広い理解があることです。 その結果、エージェントの効率が 80% 向上し、チャットの待ち時間は 10 分からわずか 2 分に短縮しました。
ポータル上のナレッジコンテンツへの直接アクセスの増加傾向も報告されています。2020 年 7 月から 2023 年 1 月までのナレッジコンテンツへのアクセス数は 91% 増でした。
HR 管理の簡素化による企業理念のサポート
個人データと情報へのアクセスが合理化され簡素化されました。 かつては従業員が HR の助けを求めるには、手作業で担当 HR マネージャーに連絡して答えをもらう必要がありました。 今では MyRyder からセルフサービスで問い合わせができます。 従業員にとって HR 管理の負担を軽減することは、従業員がコアロールに集中することができ、「顧客が約束を実現できるようにする」という企業理念を支援できるということを意味します。 それと同等に影響があるのは、HR サービスエージェントの時間とリソースに関する点です。 かつては HR サービスエージェントが 1 日に何度も給与、福利厚生、または有給休暇に関する同じ質問に答えていましたが、今では従業員が自分でこの情報に素早く簡単にアクセスできます。つまり、HR スタッフはより戦略的イニシアチブに集中して取り組む時間と空間が増え、従業員エクスペリエンスが向上するということです。