SBB Live Chat を使用して待ち時間を短縮
顧客満足度が持続的に向上
問題解決までのリードタイムを短縮
改善の過程
スイス連邦鉄道 (SBB) は、1 日あたり約 100 万人の乗客と 185,000 トンの貨物を運んでいます。3,260 km の路線を 1 日 10,772 本の列車でカバーしているにもかかわらず、SBB は旅客サービスにおいて 92.6% の時間通りの発着を達成しています。
SBB は、顧客の声に耳を傾けることは、包括的で継続的なサービス改善戦略の一環であると確信し、実践しています。コンタクトセンターでは、年間 300 万件以上の顧客とやりとりし、20 万件の顧客からの問い合わせと 5 万 5 千件の欠陥レポートをトリアージし、解決のために他部門へ転送しています。
2021 年 5 月まで、コンタクトセンターの従業員は、統合されていない多種多様なアプリケーションで仕事をしていました。すべての顧客からの問い合わせが体系的に記録されているわけではないため、顧客ニーズの全体像がつかめませんでした。連絡先フォームやメールでの問い合わせしか分析・評価できないため、顧客の懸念事項や欠陥レポートを社内の他部門に効果的に転送して解決することが困難でした。
従業員の生産性への影響
システムの限界により、Live Chat や Messenger などの新しいコミュニケーションチャネルを導入することが難しく、透明性が欠如しているために、個々のサービスレベルの監視にも多数の問題が生じていました。そのため、従業員の生産性に悪影響を及ぼすとともに、全方位の視点がないことで、顧客にフィードバックできる情報量も減少していました。
「近年、生産性と品質の向上に継続的に取り組んできましたが、さらなる向上は SBB 戦略の実現に向けた重要なステップです」と、SBB のコンタクトセンター副本部長 Edwin Imsand 氏は述べています。「プロセス、サービス創造、サービスプロビジョンにお客様のニーズをより強く取り入れるとともに、欠陥改善のためのターンアラウンドタイムを短縮し、お客様や従業員に対する透明性を高めることが目的です」
そのために SBB では、顧客がよりアクセスしやすく、従業員が簡素化かつ標準化されたワークフローを展開する、単一の統合されたシステムを実装する必要がありました。具体的には、顧客からの問い合わせを記録して分類し、どのようなチャネルで問い合わせがあったかにかかわらず、適切な顧客プロファイルへ体系的に割り当てることが目標でした。こうすることで、顧客とその具体的な輸送ニーズを全方位から完全に把握できるようになったのです。
このような背景から、SBB は既に使用していた Now Platform を拡張し、ServiceNow Customer Service Management (CSM) を導入することにしました。
統合されたサービス管理
経営と IT の緊密な協力体制は、顧客のニーズを SBB の事業運営活動や戦略的計画立案の中心に置くために欠かせません。導入基準を満たすために、2020 年の初めに、関連するすべての SBB 部門と ServiceNow 担当者の意見を取り入れ、統一されたエンドツーエンドのプロセスが定義されました。その目的は、顧客からのあらゆる問い合わせを SBB コンタクトセンターで処理できるようにするための統一プロセスを構築することでした。
その後、必要な機能を IT 部門が 2 週間という短期間で実装していきました。このアジャイルな BizDevOps プロセスにより、2021 年 5 月の本導入を待たず、一部使用できるようになりました。たとえば 2021 年 1 月には国内旅客権の取り扱い、2021 年 2 月にはオンライン販売とモバイル販売に関するすべての顧客問い合わせのパイロット運用が開始され、2021 年 4 月には B2B ビジネス問い合わせが利用可能となりました。
部門横断的なチケットシステムがエンドツーエンドのバリューチェーンをサポートし、透明性、トレーサビリティ、自動化レベル向上を実現しました。また、Agent Workspace と Advanced Work Assignment (AWA) の導入により、電話、メール、連絡先フォーム、さらにはチャットボット機能とライブチャット機能を統合した ServiceNow Engagement Messenger など、さまざまなチャネルからの問い合わせのバンドルとトリアージをスピードアップさせることができました。
Johann-Josef Jossen
Head of Contact Center
定義された顧客満足度の目標
カスタマーコンタクトの統一されたエンドツーエンドプロセスを導入することで、すべての顧客の問い合わせが指定されたサービスレベルで回答され、障害の排除と品質の向上に必要な対策が確実にとられるようにすることができます。顧客は、SBB が顧客との約束を守っているかどうか、十分な透明性を持って確認できます。
「統一されたエンドツーエンドのプロセスを導入して以来、すべてのお客様の要求は ServiceNow で体系的に記録、処理されるようになりました。これにより、お客様や従業員にとって大きな付加価値が生まれました」と SBB のコンタクトセンター本部長の Johann-Josef Jossen 氏は語ります。「顧客からの問い合わせをすべて体系立てて記録することで、欠陥や顧客問題の解決を大幅に早めることができます」
CSM を使用することで、SBB はすべてのコミュニケーションチャネルを統一しました。sbb.ch のヘルプ&問い合わせポータルは、顧客からの問い合わせを電話、連絡先フォーム、ライブチャットなど、顧客の希望するチャネルに誘導します。たとえば、sbb.ch にある複数ステップの問い合わせフォームに入力すると、CSM で直接ケースが作成されるようになりました。
そして、ケースは AWA を介して SBB スタッフに自動的にルーティングされ、適切なスキルを持つ担当者に割り当てられます。また、CSM は SAP と直接統合され、SAP はチケット発行機の注文管理にリンクしています。
SBB Live Chat:顧客とエージェントの双方にメリット
統一された CSM アプリケーションを実行している SBB は、幅広いサービスオプションを提供できるようになりました。顧客からの問い合わせに対する新しい統一されたエンドツーエンドのプロセスは、SBB Web サイトにおける重要な革新機能である SBB Live Chat の基礎にもなっています。SBB Live Chat は、CSM スイートの一部である ServiceNow Engagement Messenger によって提供されています。
2022 年 6 月に SBB の民間旅客事業向けに稼働したこの新しいアプリケーションでは、顧客がサービスに関する問題をインタラクティブに登録できます。チャットボットが簡単な問い合わせは数秒で即答し、より複雑な問い合わせは適切なカスタマーサービスチームにルーティングします。
ライブチャットを使用することで、エージェントは顧客がチャットボットと既に話したトピックを確認し、直接応答できます。これは、ターゲットを絞った一連の質問を使用して顧客を特定しなければならないことが多かった以前の電話ベースのシステムに比べて、大きな改善となります。
「ライブチャットは、顧客とカスタマーサービスチームの両者に利益をもたらします」と SBB コンタクトセンターのデジタル化担当ジュニアプロジェクトマネージャーである Kilian Salzgeber 氏は述べています。「顧客はよりよいエクスペリエンスという利益があり、エージェントは顧客の特定の要求を直ちに支援できます。他のエージェントに渡さなくて済むのです」
さらに、電話やメールなど従来のチャネルでは一度に 1 人の顧客しか対応できないのに対し、SBB のエージェントは ServiceNow Engagement Messenger を利用することで複数の顧客と同時に対応できるため、応答時間が短縮されます。しかし最も有意義なことは、エージェントからの回答を待つことなく、セルフサービスモードで問い合わせを解決できる顧客が増加していることでしょう。
透明性の高いプロセスと意欲的な成果
SBB は、顧客と従業員への継続的なサーベイによって品質を測定し、業務全体の改善を図っています。また、ServiceNow CSM を使用して重要な目標を達成する予定です。顧客満足度と初回対応での解決ケース数の両方を持続的に向上させ、運用プロセスを大幅に簡素化することを目指しています。
さらに重要なのは、SBB が従業員にとって一貫したエクスペリエンスを生み出し、顧客にとって透明性を提供できるようになったことです。また、ServiceNow の統合ナレッジ管理のサポートにより、スタッフはケースを処理するときに適切なテキストモジュールや情報に簡単かつ便利にアクセスできるようになりました。その結果、長期的な効率向上を確保するとともに、「初回対応での解決」率に大きく貢献することになりました。
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