構成管理に費やす工数の大幅な削減を実現
カスタマイズなしで短期間でシステムを構築
管理対象の機器が増える中、変更内容を自動で収集・可視化
高度化・多様化していくお客様のニーズに応えるために
SB テクノロジーは、「情報革命で人々を幸せに ~技術の力で、未来をつくる~」を経営理念に掲げ、クラウドやセキュリティ、IoT・AI などの先端技術を活用し、お客様のDX 支援や新たなビジネス創出を推進しています。
SB テクノロジーが提供するシステムマネージドサービスは、高度化・多様化していくお客様のニーズに対応するサービスです。
同社の事業統括 エンタープライズ事業部 コンサルティング& DX 統括部 第1 部 4グループ マネージャーの持永頼孝氏は、「システムマネージドサービスは、現在もサービス内容の改善や機能強化を図りつつ、お客様の獲得にむけて取り組んでいます」と話します。
システムマネージドサービスのサービス品質向上にむけ、システム運用部門から社内のServiceNow 導入チームへServiceNow を活用した運用改善の相談を受けました。システム運用部門が抱えていたのが、システム構成情報の管理に関する課題でした。コンサルティング& DX 統括部 第1 部 第4 グループ スーパーバイザーの石井貴寛氏は、このように話します。
「すべてのシステムマネージドサービスの共通基盤としてServiceNow のIT Service Management(ITSM)やCustomer Service Management(CSM)を導入し、インシデント管理、問題管理、サービス要求管理などの業務の標準化と効率化は実現していました。しかしながら、構成要素のメンテナンスや、ISMS の監査対応には煩雑な手間と時間を要していたのです」
さらにコンサルティング& DX 統括部 統括部長の飯田直氏も、「システム構成や設定情報の管理に高い負荷がかかっていました。運用改善により単に作業効率を向上するだけでなく、システム運用部門の総合的なサービスの向上にもつなげたいと考えました。」と話します。
飯田 直 氏
事業統括エンタープライズ事業部 コンサルティング&DX統括部 統括部長
CMDB を軸にあらゆる運用業務をServiceNow で一元化
そこでSB テクノロジーが行ったのが、ServiceNow の IT Operations Management (ITOM)の導入です。石井氏が先述したように、同社はすでにServiceNow のITSMとCSM を導入しており、最も重視したのがこれらのツールとの親和性です。
「ITSM、CSM、ITOMといった製品が提供するそれぞれの機能を1 つのプラットフォームに統合できるソリューションはServiceNow 以外にありませんでした。ITOM では構成管理データベース(CMDB)を活用し、『Discovery』の機能によって自動収集された構成情報にさまざまな関連情報を紐づけていくことで、一元管理を実現したいと考えました」と持永氏は導入の狙いを示します。
「導入検討時、システムマネージドサービスだけでなく、他のサービスへの横展開も視野にいれました。お預かりするお客様のデータを守るためドメインを分けてセキュリティ対策を実施する必要があります。ServiceNow の標準機能でアクセス制限やデータ管理を活用していきたいと考えました」と石井氏は言います。
高負荷な運用業務をServiceNow に置き換えた
ITOM の導入プロジェクトは2022 年6 月下旬にスタートし、同年9 月に稼働を開始しています。その後、約3 週間をかけて変更管理業務の移行を進めてきました。
石井氏は、「CMDB 構築は、Discovery 機能を使って新たに作成しました。既存の運用を踏襲しようとすると、プロジェクトが長期化してしまうケースがあるため、可能な限り標準機能で利用することが望ましいと考えています。今回の導入では現場から機能を踏襲したいという要求もありましたが、要件を整理した結果、標準機能(OOTB: Out-of-the-Box) で十分やりたいことが実現できる ことがわかりました」と振り返ります。
こうしてシステムマネージドサービスを運用するIT インフラからDiscovery 機能を通じて最新の構成アイテム(CI)を自動的に収集し、それらのCI 同士の相関関係をダッシュボード上に可視化するところまで、一連の作業を自動化することができました。
「したがって今後は新たなCI が増えた際にも、そのCI と紐づくIP アドレスなど関連情報を『Service Mapping』の機能を使って定義するだけです。また、変更管理のプロセスについても、ITSM 上に定義された申請・承認フローに沿って行う仕組みを構築することで、個別管理のため高負荷となっていたシステム構成の管理に関わる運用業務をServiceNow に置き換えることができました」(石井氏)
飯田氏も「構成情報の管理や変更管理はITOM による自動化・省力化が進んだことで、大幅に工数を削減できました。これにより余力ができたリソースをサービス品質のさらなる向上や運用改善のために回すことが可能となります」と、ITOM の導入で得られた大きな手応えを示します。
なお、SB テクノロジーは今回のITOM 導入に際して、ServiceNow のエキスパートサービスも利用しています。同社は他部門にもITOM の横展開を検討するほか、顧客に対してもServiceNow導入支援サービスを提供しており、「ServiceNow からナレッジトランスファーを受け、自社がファーストユーザーとなり、徹底的にServiceNow を活用していく方針です。そこから得た経験をお客様への提案・プロジェクトに生かしていきたい」と飯田氏は語ります。
変更管理だけでなくさまざまな業務への波及効果を期待
実際にServiceNow ITOM は、多岐にわたる効果をもたらしました。
まずは変更管理における業務効率の向上です。最も大きいのはDiscovery 機能の活用効果で、「システムマネージドサービスのインフラ全体のCI の棚卸を数時間の自動処理で完了できるようになったことをはじめ、従来の構成情報を管理していた頃と比較し、変更管理に費やす工数は88%削減されました」と石井氏は話します。
続けて飯田氏は、「こうした工数削減を金額ベースで換算しても、比較的短い期間で投資を回収することができる見込みです」と話します。
上述のような業務効率化よりも大きな効果としてSB テクノロジーが捉えているのが、サービス品質向上への貢献です。
「ITOM を導入したことで、今後、お客様からの問い合わせ対応の時間短縮や継続的な品質向上といった効果を創出していきたいと思います」と持永氏は話します。
MSP3.0 へ進化し、競争力の確保へ
そしてSBテクノロジーは、今後に向けてServiceNowのITSM、CSM、ITOMといった一連のソリューションの利用を高度化することで、自社のシステムマネージドサービスの進化を図っています。インフラ領域の障害監視・運用を行う一般的なマネージドサービスプロバイダー(= MSP1.0)のあり方から、MSP2.0(パフォーマンスも含めたアプリの監視、運用)、MSP3.0(自動化されたワークフローによるオペレーションの最適化) へとレベルアップしていこうとしています。
「今回のServiceNow ITOM の導入によって構築されたCMDB に、例えばSecOps のSecurity Incident Response (SIR) および Vulnerability Response (VR) の導入を行い、脆弱性情報なども集約していくことで、脆弱性管理の自動化や独自のスコア計算に基づいたセキュリティパッチ適用の優先順位付けを行うなど、セキュリティ運用の高度化も実現したいと考えています」と持永氏は語ります。同社では、自社のさまざまなシステムマネージドサービスのさらなる競争力強化を見据えています。
高負荷な構成管理や変更管理を自動化したSBテクノロジー