必要としている人々にサービスを提供
Tennessee Department of Human Services (TDHS) は、95 の異なる農村部と都市部の郡に居住する 200 万人の市民に対して幅広い福祉サービスを提供しています。 同局は、テネシー州で最も弱い立場にある市民や、地元を支援する数多くの中小企業および組織にサービスを提供しています。
テネシー州の人々を雇用や教育、支援サービスにつなげることで、家庭を強化する支援をすることを使命としています。
2020 年にナッシュビルが竜巻に襲われたとき、同局の使命は緊急性が一層高まりました。 ナッシュビル全域にわたる大規模な破壊に直面し、同局は被災者に重要な支援やサービスを提供するためのオンラインリソースを必要としていました。 ServiceNow を使用することで、同局は 1 週間以内にポータルを立ち上げて稼働させ、被災した市民がサービスや援助に迅速にアクセスできるようにしました。 そのすぐ後に COVID-19 のパンデミックが発生した際も、同局は再び顧客にサービスを提供する手段を迅速に確立する必要がありました。 わずか 3 日で 2 つ目のポータルを立ち上げることができ、エッセンシャルワーカーに育児給付金を提供する支援を行いました。
「あれは私にとって目から鱗が落ちるような体験でした」と、Tennessee Department of Human Services のシニア情報技術担当マネージャー、Richard Hawk 氏は言います。 「これほど迅速に人々が給付金を申請できるポータルを作成できるなど聞いたことがなく、特に政府のスピードとしては前代未聞でした」
異常気象と世界的パンデミックを乗り切る
しかし、この政府部門は、異常気象や世界的パンデミックをさておいて、以前から最新化を進めることに野心的であり、そういった出来事がそのプロセスを加速させたとも言えます。 同局は、あらゆるデバイスを通じていつでも、どこからでもアクセス可能な給付金申請のセルフサービスオプションを提供し、市民や地元の中小企業のデジタルエクスペリエンスを改善したいと考えていました。 同時に、データ主導型の組織になるという戦略的優先事項に沿って、ワークフローを自動化し、データを活用することで、スタッフのエクスペリエンスを向上したいと考えていました。
また同局は、テネシー州の人々のためにカスタマーサポートモデルも改善しようとしていました。 以前は、幅広いサービスを提供するためにカスタマーサポート体制も肥大化し、それぞれが分断され個別に機能していました。 その結果、ある部門から別の部門へ顧客を転送しているうちに、やり取りしたデータが失われてしまうことがよくありました。
「私たちは、簡素化されたオムニチャネルのカスタマーサポート環境を求めていました」と、TDHS のカスタマーエクスペリエンス担当オペレーションディレクター、Pamela Fusting 氏は言います。
市民エクスペリエンスの向上
TDHS は、ServiceNow Customer Service Management (CSM) でカスタマーポータルを開発することにより、それまで市民が地域の事務所に足を運んだり、電話をかけたりする必要があった情報や申請プロセスへのセルフサービスによるアクセスを市民に提供できるようになりました。 ダッシュボードには、特定のケースに関連する情報が表示され、「顧客それぞれに固有の、保護された単一の顧客記録にすべての情報がまとめられています」と、Hawk 氏は説明しています。
申請が提出されると、市民はすぐにポータル内でステータスの更新によりその受付を確認することができ、その後もその申請が承認されたか拒否されたかといった進捗状況や結論に関するステータスの更新を確認できます。 これはもう 1 つの時間節約手段であり、顧客が申請のステータスについて最新情報を得るために電話をかけたりメールを送信したりする必要がなく、またスタッフがそれらの対応に追われる必要もなくなります。テネシー州の市民がその指先ですべてを完結できるのです。
さらなる簡素化としては、アカウントの開設時や、プログラムの適用資格を判断するための質問への回答を通じて送信された個人情報が、今後のやり取りのためにキャプチャされ、各ケースの全方位的な視野を提供します。
政府部門と市民にとって極めて重要なのは、福祉サービスの提供が、過去の人間味のないプログラム中心のプロセスとは対照的に、顧客中心のプロセスとなったことです。
24 時間アクセスを開放
現在、ServiceNow Customer Service Management はテネシー州の全住民にカスタマーサービスポータルを提供しています。 仮想エージェントは、よく寄せられる質問に対してあらかじめプログラムされた回答を通じ、迅速で効率的なカスタマーサービスの提供に役立っています。 同局の Web サイト、Facebook ページ、カスタマーポータルからアクセスでき、電話プラットフォームとも統合されており、現在では年間約 38 万件のチャットが仮想エージェントによって処理されています。これはコールセンターエージェント約 22 人分に相当します。
そして、この仮想エージェントトラフィックの 33% は、通常の営業時間外に発生しています。問い合わせが「9 時から 5 時まで」の時間枠に制限されなくなったため、これは顧客にとってメリットとなります。 顧客がライブサポートにエスカレーションする必要がある場合、その時点までに行われたチャットボットとの会話が保持され、ライブエージェントに転送されます。つまり、やり取りしたデータの分断やデータの紛失は過去のものとなりました。 「顧客はシームレスに会話を続けることができ、ボットとのそれまでの会話で言ったことをまた最初から繰り返す必要はありません」と Hawk 氏は説明しています。
顧客と従業員にポジティブな影響を与える
同局は、申請を受理する前に必ず行われなければならない手順である、申請書が完全かつ正確に作成されていることを確認する段階を含め、給付金申請プロセスを可能な限り自動化しています。 以前は最大 8 時間を要していましたが、現在は ServiceNow で自動化され、申請に不備があれば、システムから顧客に追加作業が必要であることを知らせるメールが送信されます。 申請に問題がなければ、ケースワーカーに割り当てられます。
「ServiceNow で多くの自動化が加えられ、スタッフは以前よりも迅速かつ効率的に申請のトリアージや処理ができるようになりました」と、Hawk 氏は言います。 「スタッフは申請とケースの決定に専念できるようになりました」。 その結果、スタッフはほとんどの決定を 2 ~ 3 日で、最長でも 2 週間以内に完了できるようになりました。 ServiceNow が導入され、スタッフおよび顧客向けのポータルが設置される以前、同局にはバックログが発生しており、市民が給付金を申請してからその申請の決定を受け取るまでに数か月を要することもありました。
「現在は、管理をプラットフォームに任せ、困っている顧客に 1 対 1 で支援を行い、より質の高い時間を費やしています」と Hawk 氏は言います。 プラットフォームが実稼動してから 1 年間で、5 万件以上の申請が処理されました。
同局にとって、サービスの提供および顧客のアクセス改善と同様に重要なのは、顧客によるフィードバックの提供を可能にすることです。それにより、実用的なインサイトを得て、サービスを継続的に改善できます。 その結果、同局は利用可能なリアルタイムのデータという点で大きなインパクトを達成し、それがデータに基づいた意思決定と、将来に向けた改善の促進に役立っています。
Tennessee Department of Human Services の最新化ジャーニーは、学習と進歩を同時に進めながら、安定したペースで続けられています。 「素晴らしい点は、すでに構築したものの上に、さらに機能を実装したり、変更したりできることです。戻って一から始める必要はありません。私たちには優れた基盤があり、これからを楽しみにしています」と、Hawk 氏は語っています。