テクノロジーサービスオペレーションの最新化と自動化
東京ガス i ネット社は、東京ガスグループのシステムインテグレーターです。 組織全体の IT サービスと運用のサポートを担っています。 「安心・安全・信頼は、東京ガスグループの中核となる価値です。私たちの役割は、これらの価値を IT の運用とサービスに確実に組み込むことです」と東京ガス i ネット社の山川隆常務執行役員は述べています。
東京ガスグループは、2022 年 4 月、事業部門を子会社や社内カンパニーに分割するホールディングス型のグループ体制に移行しました。 現在では、各部門が独自の事業展開と収益性に対する責任を負っています。
東京ガス i ネット社によるグループ各社への IT サービスの提供方法も、この取り組みの下で変わりました。 山川氏は次のように説明しています。「グループ全体から寄せられるシステムの開発、メンテナンス、運用の要求が増えただけでなく、子会社や社内カンパニーごとのニーズに合わせたサービスが求められるようになりました。その一方で、緊急の要求も増えています」
この需要の高まりに対応するため、東京ガス i ネット社は、IT の生産性をさらに効率化し、サービスユーザーに効果的で魅力的なサービスエクスペリエンスを提供するために、テクノロジーサービスオペレーションの最新化と自動化に役立つ新しいソリューションを探すことを決定しました。
IT 運用の拡張性と範囲の評価
東京ガス i ネット社は、グループ全体のシステム構成を可視化するソリューションの必要性を認識しました。
「グループ内の各社は、それぞれに異なるシステムを使用していました。従来は保守管理が部門やシステムごとに個別に行われており、非効率でした」とデジタル推進第二部インフラサービスグループのグループマネージャーである北野健伸氏は述べています。 「すべてのオペレーティングシステム、ミドルウェア、データベースの構成情報を 1 か所にまとめて一元的に可視化する方法が必要でした」
チームは、自動化と最新化の取り組みの一環として、IT に関する問い合わせや要求の処理方法を簡素化したいとも考えていました。
デジタル推進第二部インフラサービスグループのマネージャーである三和義朗氏は、次のように説明しています。「問い合わせがすべて電話で寄せられ、対応が遅れていました。そのままでは、事業継続性とユーザーの生産性が損なわれる危険性があったため、より良いソリューションが必要でした」
若手エンジニアとの概念実証の実施
2020 年、東京ガス i ネット社は、ServiceNow IT Service Management (ITSM) と ServiceNow IT Operations Management (ITOM) を導入しました。 同社は若手エンジニアと概念実証 (PoC) を実施した後、2021 年 7 月に本格的なサービスインフラストラクチャの構築を開始し、可能な限り社内で展開するようにしました。
「導入に携わったことで、実環境におけるクラウドシステムの開発、運用、利点についてより多くの知識と経験が得られました」と、デジタル推進第二部インフラサービスグループの PoC 参加者である石原俊平氏は振り返ります。
長期的価値を創造するための社内スキルの向上
東京ガスグループは、長期的な価値を創造するために、システムインテグレーターとしてのスキルだけに依存するのではなく、グループ会社全体の社内スキルも高めました。
「東京ガスグループの価値観である『安心・安全・信頼』を支えるには、システムのスムーズな稼働が欠かせません。以前は東京ガス i ネット社がグループ全体のシステムの保守管理を担当していました」と山川氏は説明しています。 「グループ会社と情報や能力を共有することで、テクノロジーの力を利用した新たな価値の創出の支援に重点を移し、デジタルスキルを磨くためのインソーシングを推進できるようになりました」
エンジニアたちは、IT に関する問い合わせや要求に迅速かつ効率的に対応し、従業員の満足度を高める体制を構築するため、本格的な開発を開始しました。
「ServiceNow ITSM と ServiceNow ITOM を使用すれば、価値を生み出すことができます。私たちは、小規模な運用から始めて、一度に 1 つの問題点に対処することに集中することにしました。これらのソリューションを導入するのは簡単でした」と石原氏は振り返ります。
ナレッジベース記事を含むデジタルポータルの立ち上げ
チームは ServiceNow ITSM の社内ポータルを開発しました。 これまで電話で処理されていた問い合わせは、デジタルで管理できるようになりました。 ポータルにはナレッジベース記事のページもあり、従業員はチケットを記録して応答を待つか、問い合わせ内容がすでに記事内で回答されているかどうかを確認して自分で修正するかを選択できます。 このセルフサービス機能により、将来的にはケース件数が全体的に削減されることが期待されます。
「ポータルを立ち上げてから電話での問い合わせが大幅に減り、電話サポートスタッフの負担が軽減されました」と三和氏は述べています。 「若い従業員の多くは、電話で質問するのを嫌がるので、ポータルの導入により、従業員がサポートを受けるのを妨げていた障壁が取り除かれます」
対応時間が 5 日から 10 分に短縮
スタッフがナレッジベースの記事ページで問い合わせに対する回答を見つけられなかった場合でも、応答を長く待つ必要はありません。 ケースは、ServiceNow ワークフローを経由して最も関連性の高い担当者に自動的にルーティングされるため、担当者は迅速に対応することができます。
これまで、電話オペレーターはトピックに基づいて該当する担当者にタスクを手動でアサインする必要がありました。 このプロセスを自動化することで、問い合わせを受けてから対応するまでの効率が大幅に改善されました。 これにはアプリケーションに関する要求も含まれ、アプリケーションオーナーに直接ルーティングすることができます。
「場合によっては、これまで問い合わせへの対応に 5 営業日かかっていたのが、わずか 10 分で処理できることもあります」と三和氏は述べています。 「サービスが大幅に改善され、グループ全体の従業員がデジタル化の威力を肌で感じることができるようになりました」
同社がソリューションの利用を拡大するのに伴い、三和氏は次のように明かしています。「今後 3 年間で、ServiceNow が処理できる範囲を徐々に拡大していきます。2023 年度末までに、現在の問い合わせの 80% をデジタル化して、ServiceNow で処理することを目標としています」
そして、山川氏は次のように締めくくりました。「東京ガス i ネット社は、『初めてのこと』を実現する企業として知られていますが、当社のスローガンにもそれが盛り込まれています。ServiceNow の導入で実現が可能になる機会については、大いに期待しています。今後は運用効率を改善するだけでなく、ServiceNow を利用して革新的な新サービスやプロジェクトを開発していく予定です」