UCCグループ、ICT戦略とServiceNowで入社手続きにかかる時間を約3分の1に短縮
50%削減 受け入れ側の入社手続きの業務量も約50%削減し、入社時のプロセスを効率化。 90%減 申請書類の約90%をペーパーレスにすることで、大幅な費用削減を達成。 検索数100倍 従業員ポータルのナレッジ検索数が劇的に増加。得たい情報がすぐに得られるように。
目指したのは、オペレーターの使い勝手の向上ではなく、ユーザー目線の業務改善をServiceNowのプラットフォーム上で行うこと。そして、一連の変革は入社手続き業務の改善へも波及していきました。 黒澤 俊夫 氏 UCCジャパン株式会社 執行役員 ICT・デジタル担当 兼 情報セキュリティ担当

コーヒーに関わるすべての事業を、日本のみならず、世界で展開するUCCグループ。日本にコーヒー文化を築き上げてきたトップランナーですが、ICTの活用についてはやや遅れている感が否めませんでした。そこで、外資系で25年以上のキャリアを持つ “デジタル変革のプロ”を招請。「使いにくいICT」を大刷新する取り組みをスタートしました。その1つが、ServiceNowによる従業員エクスペリエンス改革です。オペレーションセントリック(業務目線)ではなくユーザーセントリック(ユーザー目線)に立った、使いやすい従業員ポータルの整備を出発点とし、取り組みを入社手続き業務の省力化にも広げています。

レガシーなICT環境の再整備を一気に加速させる

「いつでも、どこでも、一人でも多くの人においしいコーヒーを届けたい」という創業精神の下、コーヒーに関わるすべての事業を世界21カ国・88拠点で展開するUCCグループ。世界初(*)の缶コーヒー販売や、真空包装レギュラーコーヒーの製造を業界に先駆けて開始するなど、常に時代の最先端を走り続けてきました。

このように、ビジネスにおいては非常に先進的なUCCグループですが、ことICTに関しては遅れている感が否めなかったそうです。UCCジャパン執行役員ICT・デジタル担当 兼  情報セキュリティ担当の黒澤俊夫氏は、社内のICT環境に関して「数年は遅れていると実感した」と振り返ります。

そこで黒澤氏は2020年1月、ICT環境刷新プロジェクトを正式に始動。その1つが、ServiceNowによる従業員エクスペリエンス改革です。UIが複雑で、使い勝手が悪かったグループポータルを、ユーザー目線に立ち、使いやすく整備しました。このプロジェクトの一環として、他にも社員が入社したときの手続き業務を省力化するための抜本的な改善など、従業員エクスペリエンス向上のための様々な取り組みを行いました。

* https://www.ucc.co.jp/company/news/2019/rel190624.html

ユーザーがシステムを利用する際に、用途ごとに違うシステムの様々な画面操作を覚えるとなると、作業効率が悪い。その点ServiceNowなら、統一されたUIで、ServiceNowをハブにしたシステム連携が容易に作成できます。 黒澤 俊夫 氏 UCCジャパン株式会社 執行役員 ICT・デジタル担当 兼 情報セキュリティ担当
クラウドファースト、モバイルファーストを目指す

黒澤氏が目指したのは「使い勝手の良いICT環境」です。その当時、例えば稟議や申請を社外で承認する場合、パソコンを立ち上げてVPNに接続し、社内システムの承認フロー画面を開かないと処理ができず、さらに何度もパスワードを入力するなど面倒な操作を強いられていました。

「インターネットに常時つながっているスマートフォンで稟議や申請をチェックし、そのままボタン1つで承認が完了するという便利な仕組みにどんどん置き換えていこうと考えました」(黒澤氏)

インターネットセントリックで、クラウドファースト、モバイルファースト、そしてセキュアなICT環境の実現。それが、黒澤氏が思い描く理想像でした。手始めに足回りのネットワークからVPNをなくし、インターネットとSaaSを使って、社外にいてもオフィスにいるのと同じように業務が行えるゼロトラスト・ネットワーク環境を整えるところからスタートしました。シームレスな働き方を可能にするための環境整備です。

さらに同社は、クラウドファーストなICT環境を実現するソリューションとして、様々な最新デジタル技術でワークスタイルを大きく変革するServiceNowを導入しました。


「使いやすいICT環境を目指す」ため、ServiceNowを導入


黒澤氏がServiceNowに興味を抱いたのは、社内で利用されているいくつものアプリケーションを統合するためのプラットフォームとして汎用性と拡張性の高さに魅力を感じたからです。

「ユーザーがシステムを利用する際に、用途ごとに別々のシステムの操作を覚えるのは面倒ですし、作業効率も悪い。その点ServiceNowなら、システム連携が容易のため、入力画面を統一できます。業務効率とユーザーエクスペリエンスを高め、『使いやすいICT環境を目指す』という目的にかなっていると思いました」(黒澤氏)

また、ローコード、ノーコードに加えて必要な開発をJavaScriptで行える汎用性の高さ、様々なクラウドアプリケーションと簡単に連携できるプラットフォームとしての接続性の高さを評価したことも選定のポイントとなりました。

導入に当たってServiceNowのデモを確認した黒澤氏は、その中の機能として、ポータルを見た際に、そのデザインが非常に優れていることに感銘を受けたそうです。

「常々、当社のグループポータルはあまりデザインが良くないと感じていたので、手始めにポータルを改善するところから利用してみてはどうかと考えました。何かを変えるときには、ユーザーが『わお!』と驚くほど劇的に変えたほうが効果は大きい。ServiceNowのポータルを見たときには、まさにその効果が期待できると感じました」と黒澤氏は説明します。

目に見える変化が、従業員エクスペリエンスの改善欲求を促す

ServiceNowの導入により、UCCのグループポータルは、見違えるほどシンプル、かつ洗練されたデザインに生まれ変わりました。目に見える変化が起こったことで、従業員のユーザーエクスペリエンス改善への欲求も次第に高まりました。そうした従業員の意識変化が、UCCグループのデジタル改革を加速させることになりました。

ServiceNowをプラットフォームとする社内申請用のワークフロー整備もその1つです。従来、紙によって行われていた多くの申請を、オンライン上で処理できる仕組みに刷新したのです。「手続きの煩雑さが解消されただけでなく、電子署名サービスとServiceNowを連携させることで印紙税を削減、154万9000枚あった紙申請の使用が約9割も削減されるなど、ペーパーレス効果も表れています。一方で、ポータルを通じたナレッジ検索数は劇的に増加しています」と黒澤氏は語ります。

さらに22年7月には、ServiceNowの人事関連ソリューションであるHR Service Delivery(HRSD)を使って、結婚、出産、引越し、転勤といったライフサイクルイベントの申請などを行うための従業員ポータルを新設しています。

オペレーションセントリックではなく、ユーザーセントリックに

黒澤氏が目指したのは、「オペレーションセントリック(業務目線)ではなく、あくまでもユーザーセントリック(ユーザー目線)にこだわった従業員ポータルの実現」です。「一般にポータルやシステムなどを構築する際には、処理をする部門の業務効率ばかりを優先し、ユーザーの使い勝手は二の次にされやすい傾向があります。新設する従業員ポータルでは、この問題をなくすため、関係者を集めたワークショップを開いて、『どうすればユーザーにとって使いやすいポータルになるか?』を議論したのです」(黒澤氏)

さらに、上記の一連の取り組みは、新たにUCCグループに入社する人材のよりスムーズな受け入れの実現、すなわち入社手続き業務の改善へと波及していきました。

入社手続きに関するプロセスを見直し、クリエイティブな仕事に集中できる環境を整える

ServiceNow導入以前の入社手続きの煩雑さは、2019年に入社した黒澤氏自身も身を持って実感していました。「入社前に多くの書類を渡され、そこに記された項目すべてに手書きし、更に捺印もし、その手間と煩わしさは従業員エクスペリエンスを大幅に損ねていると感じました」と黒澤氏は振り返ります。

黒澤氏が更に問題視したのは、その後の業務プロセスです。紙の書類は担当部門のオペレーターがシステムに転記するなどの無駄な作業に貴重な人的リソースと時間を費やしている実態を改善するべく、黒澤氏は入社手続きに関する業務プロセス全般を抜本的に改善したいと考えました。この思いがServiceNowによって具現化され、入社手続きの業務プロセスは、現在すべてワークフローに巻き取られています。

「入社前にやり取りされていた大量の書類は、最初にQRコードを通知する“たった1枚“に削減されています。その後の手続きはServiceNowのデジタルワークフロー上で完結するため、煩雑な手続きはなくなりました。もちろん、書類の情報をシステムに転記していた無駄な作業も全面的に解消されました」(黒澤氏)

結果として、UCCグループに入社する社員にとって手続きが簡単になったことに加え、受け入れ側にとっても、入社手続きにかかる時間が以前の約3分の1に短縮されました。また、入社手続きに関する業務量もほぼ半分に削減されるなど、効率化が進んでいます。

UCCグループのICT環境刷新とグローバル展開

このように、ServiceNowを活用した改革を進めるUCCグループですが、現在も様々な領域で改革が着実に進んでいます。直近では、ERPやCRM、AI/BI活用などビジネス課題を解決するためのデジタルソリューション導入に軸足を移しており、「これらは単なるICT導入やデジタル化ではない、業務改革を行い、ビジネストランスフォーメーションを推進するためと言えるものです」と黒澤氏は公言します。

複雑化したレガシーICT環境を刷新するに当たり、同社ではデータ・ERP・アプリケーションのクラウドプラットフォームからなる「3大プラットフォーム構想」を掲げており、アプリケーションについては、ServiceNowのApp Engineを活用し、アプリケーション集約や再構築も図っています。

そして、今後見据えるのがグローバル展開です。黒澤氏は「グローバルプラットフォームであるServiceNowのメリットを生かしたICT環境整備を、国内だけでなく海外のグループ会社にも広げていきます」と語ります。この動きが進むことで、UCCグループでは、将来的に人事業務の効率化・省力化についても、それぞれの国や地域の実情に合わせた形で最適化されていくことになるでしょう。
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