作業指示書管理とは?

作業指示書管理は、メンテナンスなどの作業指示書を処理して完了させるための体系的なアプローチで、タスクを簡素化し、ダウンタイムを短縮します。

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作業指示書管理について知っておくべきこと
作業指示書とは 作業指示書の種類 作業指示書管理のプロセス 作業指示書管理のメリット 作業指示書管理のベストプラクティス ServiceNow の FSM による作業指示書管理の改善

メンテナンスチームは、組織の中でも最も多忙なチームの 1 つです。数十の要求に対応し、すべてが申し分なく機能する状態を維持しなければなりません。 一方、作業指示書を処理するタスクセットはメンテナンスはだけではありません。設置、アップグレード、修正、サービスデリバリ、生産管理、施設管理、プロジェクト管理、フリート管理、建築プロジェクトについても、ジョブを正確に完了させるためには効果的な文書化が必要です。

これまで、メンテナンスチームなどの作業指示チームは、作業指示書の処理やアサインの実施を紙ベースのシステムに頼っていましたが、作業指示書管理は他のビジネス環境に合わせて変化しており、よりコンピューター化されたアプローチを取っています。 この記事では、最新の作業指示書管理の最も重要なすべての要素について説明し、従業員にとって最適な管理ソリューションをご紹介します。

 

すべて展開 すべて折りたたむ 作業指示書とは

作業指示書とは、設置、予防メンテナンスなどのタスクを完了するために必要なすべての情報を概説した文書です。 通常、誰がジョブを承認するか、誰にジョブがアサインされるか、ジョブに何が含まれるか、どんな資産が必要か、ジョブのサービス履歴へのインサイト、ジョブに関するその他の期待事項の情報などの詳細事項が記載されます。 作業指示書がなければ、生産性や効率性に深刻な影響を与えずに、滞りなくビジネスオペレーションを継続することはできないでしょう。 マネージャー、技術者、請負業者にいたる全員が作業指示書に頼ってタスクの整理、アサイン、優先順位付け、追跡、完了を行っています。

作業指示書と作業要求書

「作業指示書」と「作業要求書」は似ていますが、多少の違いがあります。 作業要求書とは、メンテナンス部門以外のスタッフがメンテナンス部門に必要なタスクを知らせるために使用するものです。 たとえば、管理棟の HVAC システムが停止すると、アドミニストレーターは HVAC を確認してもらうために作業要求書を提出する場合があります。 提出された作業要求書は、メンテナンスマネージャーが確認し、要求を検証して (対処する価値があり、重複する要求がないか確認するため)、その他の情報を追加してからスケジューリングを行って、タスクをサインアウトします。 かつて作業要求書だったものが、現在は作業指示書となっています。

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作業指示書の種類

メンテナンスチームはあらゆる種類の作業を行います。また、部門の外で専門的な作業を行う請負業者など、その他の従業員もいます。 作業指示書は、一般的に以下のカテゴリに分類されます。

事後対応型

メンテナンス部門について考えたとき、通常、最初に頭に浮かぶのは事後対応 (または是正的) メンテナンスです。 何かが故障したり、正常に機能しなくなったりした場合、誰かが状況を評価して、どこが故障したのか、どのように修理を進めるのが最善かを判断する必要があります。 このような「障害対応」状況の作業指示書は、何かが正常に機能しなくなった状況のためだけに作成されます。メンテナンスチームは、こうした問題に直ちに対処しなければなりません。 事後対応型の修理は予測不可能なイベントであるため、不規則なものになります。

予防型

予防メンテナンスは、潜在的な問題や誤動作を予測し、それに応じて作業を実行するため、最も重要な種類の作業の 1 つと見なされます。 予防型はほぼ日常的な作業で、問題が大きくなり、雪だるま式に事後対応メンテナンスへと発展するのを避けるため、計算された間隔で実行されます。 予防メンテナンスの作業は緊急ではないため、スケジューリングの柔軟性が高く、同じ場所での作業をひとまとめにすることが可能です。

事後対応メンテナンスは、どうしても必要な場合以外は実施したくないものです。 この種のメンテナンスは予測ができず、組織の資産に計画外のダウンタイムが発生します。予防メンテナンスに重点を置くことで、予期しないコストや修理に発展する可能性を減らすことができます。

ほとんどのメンテナンス部門は、時間ベースまたはメーターベースの指標を使ってスケジュールされた作業指示書を作成し、資産のライフサイクルや潜在的な故障を追跡します (たとえば、3 か月ごとか 3,000 マイルごとのいずれか早い方で自動車のオイル交換が必要な時期を判断するなど)。 これは、機械やシステム、それらで作業を行うメンテナンスチームをより効率的に管理する方法です。

予測

予測メンテナンスは、予防メンテナンスと同じように聞こえますが、その目的も同様で、問題が発生する前に阻止することです。 その違いは、予測メンテナンスでは、PSI 読み取り値が予想範囲外になった場合など、資産のパフォーマンスが問題がある可能性を示した場合に、予測の作業指示書が作成されることです。 予測的なケースでは、資産の機能が標準を下回る場合にのみ、作業指示書が作成されます。

新規ビジネス/設置

サービスクルーは通常、新規設置やその他の種類の機器の稼働を担当します。そのため、修理やメンテナンスではなく、新しいシステムや機械などの導入に関連する作業指示書が存在する可能性があります。

その他の種類の作業指示書

作業指示書にはさまざまな種類があります。必ずしも上記のカテゴリには分類されないものもあります。 制約には次のようなものがあります。

  • 検査
    検査には、特定の基準や規制に準拠していること保証するため、製品、プロセス、施設の体系的な検査が含まれます。 これらは、検査内容、実施方法、報告プロセスの仕組みを詳述した作業指示書を使用して、内部または外部で実施できます。

  • 監査
    監査は、内部スタッフまたはサードパーティの監査人によって実施される包括的な評価です。 監査の作業指示書は、対象範囲、目的、クライテリア、手法を定義し、評価の透明性とガバナンスを強化します。

  • 配送
    配送の作業指示書は、商品、資材、または製品をある場所から別の場所に輸送することに焦点を当て、アイテム、場所、タイミング、取り扱い方法に関する詳細情報を提供します。 これらの作業指示書は、物流とサプライチェーン管理を簡素化し、タイムリーで正確な配送を保証します。

作業指示書管理のプロセス

作業指示書を完成させるための小さなステップは数多く存在しますが、ここでは作業指示書の開始から終了までにわたる一般的なプロセスをご紹介します。

問題の特定

機器の問題は、通常ほとんどの人が特定できます。 機械が停止した場合は、オペレーターが報告できます。 休憩室で漏電があれば、スタッフの誰かがそれに気付くでしょう。 こうした観測可能な機器の故障は、組織が問題を特定するのに役立つ重要な指標です。また、エージェントに通知し、パイプラインで作業指示書を取得するのに使用できる使用ベースや時間ベースの指標も存在します。 さらに、顧客には、メンテナンス以外のニーズを特定して対処しなければならない場合があります。 たとえば、在宅医療従事者はスケジューリングとディスパッチを行うのに作業指示書に頼ることがあります。

作業指示書の作成

問題が特定されると、スタッフメンバーによって作業要求書が提出されます。 要求がマネージャーに届くのが早いほど、良い結果が得られます。 これにより、メンテナンスチームは最も差し迫った問題に適切な人員を対応させることができます。 繰り返しになりますが、これらの要求には、問題、資産の場所、関連する写真やビデオ、重要な連絡先、その他の必要な詳細が含まれている必要があります。

作業指示書の承認

多くの組織では、マネージャーの承認を得たうえで、初めて作業指示書を処理および対応できるようになります。これは、確実に最も効果的な作業を行うために重要です。 マネージャーは、優先順位付けが必要なものとタスクをどう完了すべきかを決定するための経験と知識を備えています。

アサインの作成

自動化ツールを使用すると、サービスレベルアグリーメント (SLA) またはエンタイトルメントを満たすためのスキル、部品、可用性に基づいて、ジョブに最適なエージェントや技術者を自動的に作業にアサインできます。 

詳細の提供

作業指示書を完了するためにエージェントがアサインされると、エージェントは、指示に関する情報 (文書、プロセスチェックリスト、安全コンプライアンスの情報、画像、使用部品、経費、所要時間、その他の関連する詳細) にアクセスする必要があります。 すべての人が適用される法律や規制を遵守するため、このデータを含めることが重要です。

ジョブの完了と作業指示書のクローズ

ジョブが完了すると、技術者がすべて正常に機能しているかを確認します。 フォローアップ検査をスケジュールして、他に問題がないことを確認することもできます。 その後、作業指示書がクローズされ、エージェントは次のタスクに進めるようになります。

作業指示書管理のメリット

作業指示書を効果的に管理すると、検査からメンテナンスタスク、設置、配送など、業務の効率性、正確性、コントロールを向上させることができます。 業界標準へのコンプライアンスの確保、日常業務の透明性の向上、安全リスクの軽減など、適切に構造化された作業指示書管理システムは組織の目標に沿ったさまざまなメリットをもたらし、全体的な成功に貢献します。 その一部をご紹介します。

  • 作業の優先順位付け
    生産性と収益に大きな波紋をもたらす重大な問題には真っ先に対応する一方、小規模なプロジェクトについてはより効果的なタイムラインで見極めを行い、メンテナンスリソースを最大限活用できるようにします。 効果的な作業指示書管理では、「アップタイムが重要」であることが認識されているため、重要なプロジェクトは後回しにできるプロジェクトよりも優先されます。

  • 詳細な文書化
    完了した作業指示書が提出され、資産の修理やアップグレードが必要になったり、作業自体についてトラブルが発生した場合に後で確認できるよう、完了した作業の証跡が作成されます。 適切な文書化は記録監査プロセスもサポートします。これは、内部調査や規制上の懸念が発生した場合に不可欠なリソースです。

  • 効率性の向上
    作業指示書は、資産停止中の不要な情報やストレスをなくし、スタッフ、メンテナンスマネージャー、技術者間のコミュニケーションを促進して、効率も高めます。

  • コストの削減
    メンテナンス手順が効率的で整然としており、スケジュールが設定されていれば、人件費の削減、生産性の向上、残業時間の短縮、作業バックログの削減、故障の低減など、あらゆる節減のメリットを享受できます。

  • パフォーマンスのモニタリング
    効果的な作業指示書管理システムは、作業指示プロセス全体の可視性を高めます。これにより関係者全員が、組織の資産がどのように機能しているのか、競合他社の一歩先を行くためには何をすべきなのかを明確に把握できます。

  • コンプライアンスの改善
    作業指示書と綿密な文書化により、技術者やメンテナンスマネージャーは確実に業界標準と労働法を遵守できます。 文書化への対応は、監査に関して大きな違いをもたらします。

  • 安全性の向上
    文書化とコミュニケーションの改善により、職場環境の安全性が高まります。 さらに、生産性と効率性が向上することで、機械やその他の運用機器が安全に稼働し、作業員や技術者が現場で直面するリスクが軽減されます。

  • 勤怠管理の強化
    高度なワークフロー自動化により、マネージャーやディスパッチャーといった、作業指示書管理に関わるすべてのユーザーの時間を節約できます。 

  • プロセスの最適化
    作業指示書により、究極的には、ビジネスのオペレーションを最初から最後まで修復し、維持するプロセスが向上されます。

作業指示書管理のベストプラクティス

作業指示書の管理方法は組織によって異なりますが、効率を向上させ、部門の成功をもたらす一般的なアプローチがあります。

  • プロセスの一元化と正規化
    効率を最大限に高めるには、プロセスを可能な限り正規化し、各作業指示書を同一のシステムで処理するようにします。 プロセスを正規化することで、パフォーマンスをより効果的に分析し、プロセスと比較することができます。 注文が提出されたら、要求を一元管理されたオーガナイザーに移動させ、そこでスケジュール、アサイン、文書化を行うことが最善です。 ここでは、コンピューター化されたメンテナンス管理システム (CMMS) ソフトウェアが特に有用です。

  • 適切なタスクのアサイン
    最新のスケジューリングツールは、エージェントの履歴、スキル、部品の可用性に基づいて、スケジューリングプロセスを自動化できます。 

  • 優先順位付け
    優先順位の高いタスクを追跡し、それに集中できるようにするだけでなく、優先度の低いタスクが埋もれてしまうのを防いでくれるシステムを導入します。 サービス管理システムに、最新の AI/ML ツールが搭載されている場合があります。最新の AI/ML ツールがあれば、人の手が介在するプロセスよりも迅速かつ正確に作業指示書の優先順位付けと分類を実行できます。

  • 透明性の確保
    透明性の高いシステムを使用して作業指示書を処理し、優先順位を付けることで、有害なコミュニケーションミスや誤解を回避できます。 変更を記録した監査証跡により、データはすべて追跡され、アクセスできるようになります。 こうした透明性を提供することで、自分の作業が先送りされたり、忘れ去られたりしているのではないかと憶測されることはなくなります。

  • 効率的なスケジューリング
    効率の悪いスケジューリングが原因で技術者を疲弊させてしまう、または十分に活用できないといった状況は誰も望みません。マネージャーには、作業指示書をアサインし、他のスタッフの期待事項を管理して、すべての作業を合理的な時間で完了させることができる、信頼性の高いプロセスが必要です。 注文管理ツールは、作業負荷のバランスを取り、最適化することで、移動時間を最小限に抑え、活用率を向上させて、生産性を最適化することができます。

  • 一貫性の維持
    作業指示プロセスに一貫性が高いほど、チーム全体の効率が向上します。 メンテナンススタッフであるかどうかを問わず、全員が正確な期待事項を共有できるようになり、作業がはるかにスムーズになります。

  • 請負業者との明確なコミュニケーション
    作業指示書を履行する、通常はチーム外で作業を行う人のため、請負業者間のコミュニケーションとコラボレーションが明確で、可能な限り一貫性を保つようにすることが、重大な業務中断の防止につながります。 請負業者がプロセスに沿っていることを確認し、適切な文書化を組み込んでコンプライアンスを推進します。

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ServiceNow の FSM による作業指示書管理の改善

スタッフとメンテナンス間のコミュニケーションの改善が必要な場合でも、メンテナンスチーム内での可視性を向上したい場合でも、ServiceNow のフィールドサービス管理 (FSM) を使用すれば、作業指示書管理を簡素化できます。

ServiceNow の FSM は、アサイン、スケジューリング、作業指示書の優先順位付けなどに関連する作業を担います。 また、高度なワークフロー自動化機能により、社内チームは現場とのつながりを維持しながら、作業要求書を簡素化して技術者が簡単に実行できるようにします。   

詳細なテンプレートを適用して、スキル、部品、スケジューリングを統合した強力で包括的な作業指示書を作成します。 注文を複合タスクに分割し、ジョブを成功させるために何を行う必要があるかを正確に詳述します。 スケジューリングの意思決定を自動化し、バランスのとれた効率的なワークロードを作成して、サービスコストの削減と完了までの時間の短縮を実現します。 また、特定のアクティビティに対してより適切にエージェントを準備できるよう、ナレッジリソースを追加します。 さらに、予測インテリジェンスを使用してサポート注文のバックログを確認し、類似の原因を特定します。 そして、すべてを通じて、ビジネスに関連する重要なデータを追跡、記録します。

ServiceNow の作業指示書管理を使用することで、組織は作業指示書の作成、追跡、完了、フィールドサービス技術者のスケジューリングとディスパッチ、在庫とリソースの管理、フィールドサービス業務の全体的なパフォーマンス改善を簡単に実施できます。 ServiceNow の作業指示書管理ソリューションは、作業指示書の進捗状況とステータスをリアルタイムに可視化することで、効率性の向上、ダウンタイムの短縮、顧客満足度の向上を実現します。

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