レガシーシステムとは、定期的に更新されていない、または現在のテクノロジーとうまく統合されていない、古いコンピューターやテクノロジーシステムを指し、多くの理由から注目のトピックとなっています。コストは、おそらくこれらの古いシステムについて最も頻繁に言及される問題点です。サイバーセキュリティ侵害はレガシーシステムの使用に関連があることが多いですが、最近の調査によれば、年間コストが 445 万ドルに達すると報告されています。
しかし、このような数字に対して懐疑的な見方もあるかもしれません。レガシーシステムの維持費どころか IT 部門全体の予算でさえその数分の一もないとか、最新化は高そうだとか、単にレガシーシステムで満足しているといったケースもあるでしょう。
最新化を避ける理由が何であれ、そうしている間にも損失が生じています。当社では、多くの業界の IT ワーカーを対象に、レガシーシステムの稼働を維持するために毎年どれだけの時間、コスト、リソースが投入されているかを調査しました。そして回答を見る限り、それは多大なものです。
- レガシーシステムは IT 部門にとって維持費だけで平均年間約 4 万ドルの負担。
 - テクノロジープロフェッショナルの 75% 以上が、レガシーシステムのセキュリティの脆弱性を懸念。
 - テクノロジープロフェッショナルの 40% 以上が AWS と Google Cloud Platform を使用。
 - テクノロジープロフェッショナルの 44% が、新しいテクノロジーとの統合が難しいことをレガシーシステムの高いコストの要因として評価。
 
回答者によれば、レガシーシステムを維持するためにチームにかかるコストは毎年約 4 万ドルにのぼり、しかもこれは平均値に過ぎません。あらゆる業界の IT ワーカーに共通しているのは、レガシーシステムの維持だけで平均週 17 時間も費やしているということです。これは週の労働時間の半分近くに相当します。この問題を解決するだけでも、長期的には IT チーム全体の生産性がほぼ倍増する可能性があるのです。
これをさらに詳しく分析すると、業界ごとに興味深い傾向が見られます。レガシーシステムの維持に関連する従業員 1 人あたりの年間平均人件費は 3 万 9,000 ドルですが、詳しい内訳をみると、製造業およびエネルギー/公益事業部門 (5 万 3,429 ドル) と公共部門 (4 万 2,190 ドル)で、コストが高くなっていることがわかりました。
これは多額の損失です。実際、これらの数字を見れば、回答者の 33.54% が、レガシーシステムが業界に与える大きな影響として維持費の増加を挙げていることにも納得がいきます。これらの業界に身を置く方なら、最先端の AI テクノロジー、クラウドへの移行、あるいはまったく別のものにせよ、最新のソリューションへの投資を検討すべき時期が来ているかもしれません。
要は、最新化しないと、思っている以上に多大なコストを生じさせている可能性があるということです。
ここまで説明したように、レガシーシステムにはコストがかかることがわかりました。それでもまだ長所と短所を天秤にかけて、維持費だけではレガシーシステムからの完全脱却を決定するには不十分かもしれません。その場合は、より最新のテクノロジーに投資する理由が他にもあることに注意してください。特に、組織全体のセキュリティが挙げられます。
当社の調査によると、セキュリティは業界を問わず IT ワーカーにとって最重要課題ですが、特にテクノロジー業界ではその重要性が格段に高まります。テクノロジー業界では、77.12% もの IT ワーカーがレガシーシステムのセキュリティの脆弱性を懸念しています。製造業、エネルギー/公益事業、社会福祉事業も同様の懸念を共有しており、74% 以上の回答者がセキュリティについて懸念しています。
このデータだけでは、古いシステムのセキュリティ上の脅威に対処するために早急の対応が必要であることを納得していただけない場合は、話はそこで終わりません。
テクノロジー業界では、IT ワーカーの 43.69% が、レガシーシステムの利用を継続することの最大のコストとして、セキュリティの脆弱性を挙げています。これらの業務に携わる個々のスタッフにとっては、侵害の危険性 (およびデータプライバシーの必要性) は、先ほど説明した維持費よりもさらに大きな問題です。これは、古いシステムの更新は、財務とセキュリティの両方の観点から優先されるべきであることを示しています。
最後に、レガシーシステムを最新化しないことによる最大の危険性 (およびそれに伴うコスト) について、回答者に尋ねました。一般的な回答としては、新しいテクノロジーとの統合が困難 (39.38%)、セキュリティの脆弱性/セキュリティリスク (35.08%)、維持費の増加 (33.54%) が挙げられています。これらの危険因子はすべて、最新化に関する議論において最もよく登場する論点の一部です。
しかし、業界別に結果をさらに掘り下げると、いくつかの特徴的なデータが浮上しました。たとえば、公共部門では、プロフェッショナルの 52.63% が、維持費の増加をレガシーシステムの高コストの要因と評価しています。テクノロジー部門では、44% 以上が新しいテクノロジーとの統合の困難さを最大の課題として挙げています。多くの共通テーマが全業界で見られますが、優先順位の高い問題は業界によって異なります。
下の図が示すように、レガシーシステムに関する問題は幅広いにもかかわらず、業界を超えた傾向があります。テクノロジー業界から製造業まで、IT ワーカーはレガシーシステムの主要な問題として統合の困難さを挙げています。そのため、チームで統合の確認を最近行っていないとしたら、今こそ確認すべき時かもしれません。
ServiceNow の統合ハブは、アプリケーション間の接続を容易にする幅広い統合機能を提供します。この 39.38% の回答者と同じ様に統合に苦労しているのなら、ServiceNow の統合が組織全体のシステムの接続と自動化をどのように支援できるかを、ぜひご確認ください。
このデータからは、「レガシーシステムは高くつく」など、得られる多くのポイントがありますが、いくつか指摘したい重要な点があります。これらのテーマはあらゆる業界で繰り返し目にしますが、業界で優位性を保ちたいテクノロジー関係者のためのアクションアイテムとなります。
- セキュリティの問題:レガシーシステムのセキュリティは、業界を問わず、主な懸念事項です。最新化は、古いシステムによって引き起こされるセキュリティ問題の将来的なコストを防ぐのに役立ちます。テクノロジースタックを定期的に更新する計画、または少なくともセキュリティ上の懸念に対処する必要がある箇所を評価する計画がない場合は、すぐに検討することをお勧めします。
 - 維持費:回答者の 33.54% が、レガシーシステムの欠点として維持費の増加を挙げており、より持続可能な最新の代替製品に予算を割り当てることで、長期的な費用を削減できる可能性があります。
 - 最新のソリューション:多くの組織はすでに ServiceNow のようなクラウドベースのソリューションを利用しています。あらゆる業界と組織規模で 8,000 社を超える顧客を抱える ServiceNow のソリューションは、チーム全体の運用効率を向上させ、前述のセキュリティ問題のリスクを軽減するのに役立ちます。 
 
このデータに基づいてチームのアクションアイテムを決定するために何から着手すればよいのかわからない場合は、まずは ROI 計算から始めることをお勧めします。レガシーシステムに対する年間支出額を確認し、最新化プロセスの実際のコストと比較します。その新しいテクノロジーの費用が回収されるまでには、どのくらいの期間がかかるでしょうか?
つまり、レガシーシステムの維持に少なくとも平均で年間 4 万ドルを支出している場合、最新化を早期に実施することで、予想よりも大きなコスト削減効果を、予想よりも早く実現できる可能性があります。
最新化の取り組みを始める準備ができたら、ServiceNow Vault をご検討ください。データプライバシー対策からプラットフォーム暗号化まで、このソリューションは最先端のテクノロジーを使用してデータを安全に保ちます。