AIOps とは何か

AIOps を利用すれば、機械学習とデータサイエンスを活用できるようになり、最新式の IT 運用が実現します。

ITOM のデモ
目次
AIOps の概要と起源 AIOps の要素 AIOps の仕組み AIOps の原動力 3 段階の AIOps アプローチ AIOps のメリット AIOps ツールの概要と仕組み AIOps のユースケース 組織における AIOps の導入 IT 全般にわたる予測、防止、自動化
すべて展開 すべて折りたたむ AIOps の概要と起源

ハードウェアやソフトウェアの機能がより強力になるのに伴い、複雑化も進み、それを管理する IT 部門への要求も高まっています。そして、新たな進化や機能が増えるたびに、ツールの複雑さも増しています。これまで、IT 運用チームには、複雑化する重要なテクノロジーに対処するための選択肢がほとんどなく、IT データサイエンスの人材を新たに採用し、部門の人員を増やすことは、最も費用対効果が高いとは言えないまでも、最も明白な解決策と言えるでしょう。

ただし、実際に IT 運用 (ITOps) の負担軽減に役立つ進歩もあります。IT 運用向け人工知能 (AIOps) という新しい技術について考えてみましょう。

AIOps は、「人工知能」(AI) と運用 (Ops) という用語を組み合わせたものです。具体的には、AI と ITOps の融合を意味し、機械学習、分析、データサイエンスを適用して IT 運用の問題を自動的に特定して解決するマルチレイヤーの技術プラットフォームを指します。

AIOps という用語は、2016 年に Gartner が初めて紹介した造語で、一元化された IT から、世界中のクラウドとオンプレミスに作業負荷を分散させ、どこでも可能な運用へと移行するデジタルトランスフォーメーションから発展したものです。また、イノベーションの加速に伴い、テクノロジーの複雑化も増していきました。そのため、新しいシステムやデバイスの管理とサービスを担当する IT 運用には、大きな負担がかかるようになりました。

AIOps では、IT 運用を管理するための新しいモデルを導入しました。機械学習は現代のビジネスに大きな変革をもたらしました。実際、The Global CIO Point of View によると、10 人の CIO のほぼ全員が、すでにこのテクノロジーを採用しているか、近々採用する予定であると回答しています。

AIOps の要素

AIOps のキャパシティと責任に関する理解を深めるために、以下に示すその中心的な要素について確認しましょう。

  • 大規模な IT データ
    AIOps に求められる最も重要な使命は、データのサイロを解消することです。そのために、IT サービス管理と IT 運用管理の多種多様なデータを集計します。その結果、根本原因の特定が迅速化され、自動化が可能になります。
  • ビッグデータの集計
    ビッグデータは、あらゆる AIOps プラットフォームの中心的な存在です。サイロを解消し、利用可能なデータを解放することで、AIOps は既存の保存データだけでなく、リアルタイムに変化するデータも活用した高度な分析を導入できます。
  • 機械学習
    AIOps は膨大なデータの分析が必要なため、手作業による人間の能力をはるかに凌駕する高度な機械学習機能に依存しています。分析を自動化し、関連性とインサイトを明らかにすることで、AIOps は他の方法では不可能な速さと精度で拡張します。
  • 観測
    AIOps プロセスは、データとデータ動作を観測するプラットフォームの能力に大きく依存します。AIOps は、データ検出により、コンテナ、クラウド、仮想化環境、さらにはレガシーインフラストラクチャなど、さまざまな IT ドメインやソースからデータを収集します。そこで、データはできるだけリアルタイムに近い状態で収集し、データ基盤を最新の状態に保つ必要があります。
  • エンゲージメント
    AIOps プラットフォームは、ITSM を含む複数の IT ドメインにまたがるコンピューターシステムとソフトウェアの構成、調整、管理を行います。AIOps 分析により、データの信頼性と関連性が高まるため、環境に関する情報を取り込んで、自動化が可能になります。
  • アクション
    AIOps の最終的な目標は、機能を完全に自動化し、ループを閉じて、IT 運用チームが他のタスクに全面的に集中できるようなシステムを構築することです。AIOps は依然として発展途上にあるため、チームによっては、AIOps の可能性を全面的に受け入れることに抵抗を示す場合もあります。ところが、AIOps は複雑な仕事だけでなく、単純な仕事もこなすことができるため、多くの企業では AIOps プラットフォームにより大きな責任を担わせることに抵抗が薄れているのも事実です。
AIOps の仕組み

AIOps は、独立して展開され、利用可能なすべての IT モニタリングソースからデータを収集して分析し、一元管理型のシステムオブエンゲージメントを提供する場合に最もその機能を発揮します。そのために、人間の認知機能と基本的に同じプロセスを踏んでいます。その主要な 5 つアルゴリズムを以下に示します。

データの選択

AIOps は、膨大な量の利用可能な IT データを組み合わせて評価し、関連するデータ要素を特定することで、事前に定義された選択と優先順位の測定基準に基づいて、TB 規模のデータが埋もれた「山」から見つけにくい重要な「情報」を見つけ出すことができなければなりません。

パターン検出

AIOps は、関連するデータを細かく調べて、データ要素間の相関関係を特定し、それらをグループ化することで、さらに詳細な分析ができます。

推定

AIOps プラットフォームは、詳細な分析により、問題の根本原因、イベント、傾向を明確に特定し、アクションに役立つ明確なインサイトを生み出すことができます。

コラボレーション

AIOps には、適切なチームや個人に通知し、関連する情報を提供し、離れた場所にいるオペレーター間の効果的なコラボレーションを促進する、コラボレーションプラットフォームとして機能することも求められます。

自動化

最後に、AIOps は自動応答し、問題を直接修正するよう設計されているため、IT 運用の速さと精度が大幅に向上します。

AIOps の原動力

前述のとおり、テクノロジーの複雑化は、AIOps への移行の原動力です。この進化の背景にある、いくつかの具体的な傾向とデマンドについて以下に示します。

  • IT 環境の拡大
    新しい動的な IT 環境は、手作業による監視機能を大幅に上回っています。
  • ITOps データ量の急増
    API、モバイルアプリ、IoT デバイス、マシンユーザーの導入により、重要なデータが大量に流入しています。そこで、効果的な分析とレポート作成に必要な唯一の選択肢となるのが機械学習と AI です。
  • インフラストラクチャ問題の解決迅速化に対するニーズの高まり
    テクノロジーは、すべてのビジネス領域において、基本的に中心的な要素になりました。IT イベントの発生時は、問題の特定と解決に要する時間が、企業の評判と収益を左右するリスクとなります。
  • ネットワークエッジに移行する処理能力の増大
    クラウドコンピューティングやサードパーティサービスの導入により、ネットワークは分散化し、末端の予算や処理能力が増大している、IT エコシステムが生まれています。
  • 開発者による影響力の高まりと説明責任の所在
    アプリケーション中心の開発が増えるのに伴い、開発者は監視などの役割をより積極的に担うようになりました。ところが、基本的に IT の説明責任は、依然として IT 部門にあります。その結果、テクノロジーの進化に伴い、ITOps は複雑化が増しているだけでなく、責任も増大しています。
3 段階の AIOps アプローチ

AIOps への効果的なアプローチは、次の 3 段階で構成する必要があります。

  1. 問題が起きる前に予測する
  2. エンドユーザーへの影響を防止する
  3. 修復と解決を自動化する
AIOps のメリット

Accenture の調査によると、最前線のカスタマーサポート部門は、チケット管理に費やす時間が最大で全体の 12% を占めており、IT サービスデスク担当者の 43% は、アサイン先グループの選択肢が 100 件以上になると重荷を感じていると回答しています。要するに、データや情報が多すぎるために、IT 部門やサービス部門は効率的に対応できていないことを意味します。AIOps は、このような負担を軽減できます。

AIOps プラットフォームの利用による主要なメリットを以下に示します。

データ価値の向上

AIOps は、インテリジェントな自動化とビッグデータを組み合わせて、サービス、運用、リソース全体の目に見えないつながりや偶発的なデータの関係を明らかにし、実用的なインサイトを提供します。その結果、データの使い勝手が向上し、データ分析からより大きいメリットが得られます。

コストの削減

AIOps は、IT スタッフやデータサイエンティストを大量に雇用する代わりとなる、費用対効果の高い方法です。また、IT 運用チームが日常業務や重要でないアラートへの対応に費やす時間と注意を大幅に減らすこともできます。その結果、効率性が向上し、全体的なコスト削減につながります。最後に、AIOps は、コストがかさむサービス中断から企業を保護できます。

IT 運用の簡素化

AIOps は速さと精度に優れているため、エラー率が低減するだけでなく、サービスに影響を与える問題の解決までの時間も短縮できます。同時に、データのサイロを解消することで、コンテキストに基づいた単一ビューで IT 環境全体を確認できます。AIOps のプロアクティブなパフォーマンス監視とデータ分析により、より迅速で適切な意思決定が可能になります。

従業員のエクスペリエンスと生産性の向上

各自の仕事を効果的に行うのに適切なツールがあれば、従業員の満足度は高くなります。AIOps は、重要であるものの反復的で時間のかかるタスクを自動化することで、従業員の生産性を高め、従業員エクスペリエンスを改善します。

AIOps ツールの概要と仕組み

AIOps プラットフォームは数多く存在し、それぞれに関連するツールセットが用意されています。ここでは各ツールを取り上げる代わりに、「機械学習分析と AIOps インサイト」という 2 つの基本機能に重点を置いて説明します。

AIOps インサイトの活用

ログ、測定基準、検出、マッピングなどのデータへの理解を強化することで、AIOps に適切な基盤を構築し、AIOps インサイトをビジネスに活かすことができます。ダッシュボードの表示、自動化、DevOps ツール、AIOps インターフェイスのすべてが連動し、運用に関する詳細なインサイトを提供します。

AIOps:機械学習分析

分析モデルの構築を自動化することで、企業は機械学習を導入して、データから学習し、関連するパターンを特定し、人間による入力を最小限に抑えてアクションを講じる、インテリジェントなシステムを構築できます。高度なデータ収集、ETL、複数のデータソース、フロー、仮想エージェント、リアルタイムアプリケーションなどを組み込んだ機械学習分析により、AIOps インサイトが提供する基盤を構築し、そのインサイトを信頼性と実用性の高い成果へと変えます。

ServiceNow を活用した AIOps

AIOps のユースケース

AIOps の中核となるのは、IT 運用データをインテリジェントに収集して分析するために設計されたプラットフォームです。ただし、AIOps は、この 2 つの主要なタスクにより、さまざまなアクションやソリューションにおける重要な資産になります。以下に、AIOps の代表的な 9 つのユースケースを示します。

インシデントイベントの相関関係

AIOps は、インシデントアラートを迅速に処理して分析し、インシデントが制御不能に陥る前に解決策を提示することができます。

異常検出

AIOps は、一貫してデータを分析し、過去の傾向と比較することで、潜在的な問題を示唆するデータの異常値を特定できます。

予測分析

AIOps のデータ収集と分析機能は、問題の早期発見に加え、現在と過去のデータ傾向に機械学習を導入することで、将来の結果を正確に予測できます。

根本原因分析

AIOps は、根本原因分析にも役立ち、多数のデータポイントを関連付けて、ユーザーとビジネスに関するコンテキストを提供し、イベントパターンを追跡するなどにより、問題の潜在的な原因を正確に診断できます。

サポートの簡素化

AIOps の根本原因分析機能は、企業だけでなく、顧客にもメリットをもたらします。サポートエージェントは、より迅速に問題を特定して解決できるため、カスタマーエクスペリエンスが改善されます。同時に、IT デスクは、より多くのチケットを、より正確に管理できます。

インシデント応答の自動化

AIOps は、適切なデータと指令があれば、問題が発生したときに自動的に対処するように設定できます。インシデント応答の自動化により、精度の高い特定、診断、修正を、人間が行うよりもはるかに迅速に行うことができます。

デジタルトランスフォーメーション

AIOps は、ITOps から新しいテクノロジーや複雑さによる負担を効果的に取り除くことで、制限のないデジタルトランスフォーメーションを可能にします。企業は、IT 部門が負荷の増加に対応できるかどうかを懸念することなく、新しい進歩を取り入れることで柔軟性が得られ、戦略的目標に取り組むことができます。

クラウドの導入/移行

AIOPs は、クラウドの導入と移行で変化する相互依存関係を明確に可視化できます。そのため、移行に伴う運用リスクを大幅に軽減できます。

DevOps の導入

最後に、AIOps は効果的な自動化と明確なデータ可視性を提供することで、IT 部門による DevOps インフラストラクチャの適切なサポートを支援します。

組織における AIOps の導入

AIOps の導入には、組織やその機能、ニーズに応じた、独自のアプローチが必要になります。ただし、一般的にあらゆる企業に共通する基本的な手順がいくつかあります。

導入に共通する障壁の理解と対処

組織によっては、AIOps アプローチを推進する際に抵抗勢力に直面することがあります。導入に共通する障壁として、以下が考えられます。

  • データサイエンティストチームの不在
  • 関連するスキルの欠如
  • データの不足や低品質のデータ
  • インサイトに基づく行動に必要な統合的な方法の欠如

幸いなことに、最も効果的な AIOps プロバイダーは、上記の問題を解決しています。ServiceNow は、堅牢なデータサイエンスサービスを提供し、使いやすいツールで既存のスキルセットを補完し、重要な次のステップを提供します。ServiceNow を使用すれば、データサイエンティストを雇う必要がなく、AIOps 導入の成功を妨げる問題を心配する必要もありません。

ビジネスケースの作成

AIOps のビジネスケースを作成することで、管理職や経営層による同意を促進できます。IT 運用の改善点を洗い出し、AIOps が提供する信頼性の高い効果的なソリューションを共有します。

AIOps スタックの選択

AIOps プラットフォームの選択には、自社のビジネスに関する深い知識と、利用可能なオプションに関する十分なリサーチが必要です。利用できるソリューションが多数あることを認識し、選択する場合は、デモを見たり、関連するレビューを読んだりするようにしてください。

ロールアウト計画の策定

希望する AIOps ソリューションを選択したら、詳細なロールアウト計画を作成することで、時間やその他のリソースを無駄にすることなく、適切なペースで移行を進められます。

従業員の関与

AIOps ソリューションの導入という新しい取り組みによるメリットに最も関心を示すのは、従業員です。インテリジェントな予測型セルフサービスによるサポート、エージェント間のケース転送、自動化による反復的で時間のかかるタスクの排除というメリットを従業員に示します。

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IT 全般にわたる予測、防止、自動化

デジタルトランスフォーメーションのペースは加速しており、今後も勢いが衰える兆しはありません。このような成長に伴い、レジリエントで正確、そしてタイムリーな IT 運用へのデマンドも高まっています。ServiceNow IT Operations Management (ITOM) は、その課題を解決します。

ServiceNow Now Platform には、包括的な AIOps 機能が組み込まれているため、企業は ITOps をインテリジェントでプロアクティブなプロセスへと変えることができます。ServiceNow は、信頼できる自動化の確立、無駄の排除、データサイロの解消などを実現します。

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