サービスレベルアグリーメント (SLA) とは?

サービスレベルアグリーメント (SLA) とは、提供されるサービスの種類と基準を定義した、サービスプロバイダーと顧客との間で交わされる契約のことです。

ビジネスの成功は、企業が顧客の期待を把握し、それに応えられるかどうかに大きく左右されます。しかし、その期待が明瞭でなかったり、サービスプロバイダーに期待できる事柄が顧客に十分伝わっていなかったりすると、顧客の期待を管理することは極めて困難になります。この問題に対処するために、あらゆる種類の企業が SLA を頼りにしています。

SLA は、サービスを提供する主体とその恩恵を受ける側との間での、文書化された合意として機能します。従来の SLA は、サービスに期待される内容を定義し、ベンダーと顧客との間で交わされるものですが、同じ企業に属する部門間で採用されることもあります。さらに SLA は、わずかな文章で構成されたものもあれば、条項と規定から成る文書全体で構成されたものもありますが、いずれも必ず、今日のサービス契約の重要な要素となります。また、SLA を不変のものと考えるべきでないことも重要です。SLA は、進化するビジネスニーズに合うように、変更を加え発展させなければなりません。このことを念頭に、SLA は、契約期間中に改訂や修正を行うための明確なフレームワークを組み込む必要があります。

SLA はサービスベンダーによって作成され、提供されます。企業は自社のさまざまな SLA を、特定のサービスや顧客の要件に合わせてカスタマイズできます。実際に、1 つの会社が単一のサービスについて、異なるプライスポイントごとに別々のサービス水準を反映した複数の SLA を準備することもあります。しかし、SLA は通常はサービスベンダーが用意するので、顧客よりもベンダーにとって有利な内容となる可能性があります。そのため、SLA に正式に合意する前に納得のいく内容となるように、顧客に SLA の内容を確認するように (さらに、必要に応じて法律顧問の関与も検討するように) 促すことができます。そうすることで、顧客が後になってだまされたかのように感じてしまう問題を防ぐことができます。

SLA は単純なものに見えるかもしれませんが、実際にはさまざまな役割を果たします。

関係者全員の認識を一致させる

最も基本的なこととして、SLA は当事者双方が誠実であり続けることを促します。サービスに何か問題があれば、SLA は本来合意されていたすべての測定基準、責任、期待される内容について詳述した最重要文書として機能します。また、当事者のどちらも SLA の内容を確認できます。つまりどちらの側も、問題の発生後に、期待される内容や合意した基準についての認識がなかったという主張はできないということです。法的に審査され、承認された SLA は、契約を誤って解釈する可能性を排除したり、顧客とサービスプロバイダー双方に保護を提供したりする面で効果的な役割を果たします。顧客は、対価を支払ったサービスを確実に受けられるという安心感を得ることができ、プロバイダーは、万一顧客が契約に含まれないサービスを要求してきた場合に、振り返って参照できる契約を手にしていることになります。

明確な測定基準を提示する

SLA は単にサービス内容を定義するだけでなく、サービス水準を測るための測定基準を確立するという役割も果たします。このガイドラインによって、当事者双方はサービスの有効性や、サービスが契約条件を満たしているかについて、より明確に理解して測定することができます。SLA の測定基準は、重要な KPI が達成されているかどうかに関して議論の余地が生まれないように、明確に記述され、完全に定量化できるものである必要があります。

未達成の義務についてのリソースを提供する

SLA は、基準の定義、期待される内容の設定、重要な測定基準に関するインサイトの提供に役立つだけでなく、義務が達成されなかった場合の次なる手順や帰結のロードマップの役割も果たします。万一当事者の一方が契約で定められた基準を満たせなかった場合の帰結 (法的な罰則や金銭的賠償なども含まれることがある) も、SLA に定義されます。どのような影響が生じるのかを明確に定義しておくことで、当事者双方が説明責任を果たす助けになります。

プロバイダービジネスのパートナーシップの向上

効果的に実装された SLA は、サービスプロバイダーと顧客との間の合意を管理し、サービスプロバイダービジネスのパートナーシップを向上させる助けとなります。顧客と企業はより生産的で実り多い関係を築き、双方とも相手の義務不履行を懸念せずに済みます。同時に、適切な SLA は潜在的な新規顧客の懸念の緩和にも寄与し、新たなビジネスチャンスを生み、ブランドの評判を高めることに役立ちます。

サービスに期待される内容が有効に管理されるために、SLA の重要性はどれだけ評価してもし過ぎるということはありません。さらに、SLA には次のようないくつかの明確なメリットがあります。

カスタマーエクスペリエンスの向上

サービスプロバイダーに投資する顧客はリスクを負うことになります。プロバイダーはニーズを満すことができるだろうと善意に解釈して期待しているのです。SLA はこうした顧客に対して、一種のセーフティーネットの役割を果たします。万一プロバイダーが合意したサービスを提供できなかったり、何らかの形で義務を果たさなかったりした場合に、顧客は補償を求める際の助けとなる、法的拘束力のある文書を手にしていると考えることができます。SLA によって、サービスに期待される内容が管理され、欠かすことができない保険が顧客に付与されるので、総合的なカスタマーエクスペリエンスが向上します。

SLA のメリット

従業員エクスペリエンスの改善

義務が明確に定義され、測定基準が透過的であり定量可能であれば、すべての関係者にメリットがもたらされますが、その対象には従業員も含まれます。自分に何が求められているのか、自分のパフォーマンスがどう測定されるのかをより明確に把握できるからです。

確立され信頼性の高い情報ソース

SLA は、多くの仕方で仲介者的な役割を果たし、当事者全員にとっての得策を確実に見届ける助けとなります。SLA は当事者双方が信頼でき、サービス基準やその他のガイドラインに関連する法的な面も精査された信頼できる情報ソースとして機能します。

生産性とパフォーマンスの向上

SLA 内で確立された測定基準は、社内でも独自のメリットを発揮します。サービスに期待される内容が明確化されることで、従業員は自らのパフォーマンスの進路を見定める「北極星」を手に入れたことになります。これによって生産性が改善され、個人の業績も向上します。

前述のとおり、ほとんどの SLA はプロバイダーと顧客の関係に適用されますが、特定のユースケースで分類することで、次の 3 つの異なる種類に分けられます。

顧客 SLA

顧客 SLA は、最も一般的な (または少なくとも最もよく知られている) 種類のサービスレベルアグリーメントであり、サービスプロバイダーと外部顧客との間の契約です。外部サービスアグリーメントと呼ばれることもあります。

内部 SLA

内部 SLA は、特定の企業や組織内におけるサービス基準の確立と順守を目的としたものです。チーム間や部門間で機能し、企業内で相互に依存している別々のグループが重要な目標を確実に達成する助けにもなります。

マルチレベル SLA

複数のサービスプロバイダーまたはエンドユーザーが存在する場合に、マルチレベル SLA は契約を複数のレベルに分割できます。適用対象は内部または外部の顧客で、単一の製品内で異なるレベルのサービスに別々の価格帯を設定することもできます。

あらゆる SLA に含めるべき内容がすべて記載された、設定済みの標準というものは存在しません。業界、企業、顧客、サービスの種類、さらには個々の状況によっても SLA の詳細は異なります。とはいえ、多くのサービスアグリーメントで一般的である SLA の構成要素がいくつかあり、それらを以下に示します。

アグリーメントの概要

おそらく、SLA で最も重要な部分はアグリーメント自体の概要です。これは、サービス、関わる利害関係者、成果の測定に使われる測定基準を明確に略述、要約したものでなければなりません。

当事者の目的

中には、SLA が極端に顧客の目標に焦点を当てたものとなっており、その目標と、企業側の目標や重要な KPI とが結び付けられていないケースがあります。このようなケースの場合、サービスプロバイダー側は、測定可能な独自の目標 (ただし顧客の成功を推進するために適用できるもの) を確立することが重要です。内部 SLA には、関係するすべての部門がそれぞれの目標と目的の概略を示す必要があります。

見直しのスケジュール

SLA は見直しのスケジュールを決めることが必要とされる場合もあります。そうした見直しにより、当事者は定期的に SLA を再評価し、必要であれば変更を加えることができます。

連絡先

SLA は、誰が、サービスのどの部分について責任を負うのかを十分明確にしたものでなければなりません。このセクションには、誰が関係しており、どの問題に関して誰が連絡先となるのかといった詳細を記載する必要があります。

未達成の目標に対する補償

SLA は法的拘束力のある契約であり、約束されていたサービスレベルが提供されない場合は、それに対する帰結が必要となります。このセクションには、その帰結の内容と、サービスを受ける側が問題修復において期待できる補償の内容が記載されます。内部 SLA では、不履行側の当事者が引き続きどのように相手方の目標達成を支援できるのかについての詳細な計画を含めることができます。

キャンセル条件

SLA は永続的な契約ではありません。一般的には限定された期間での適用を目的としており、一方または双方の当事者が契約期間中に SLA を破棄し、改善されたものと差し替えることを希望する場合もあります。その理由が、SLA が適切に機能しないということであっても、環境の変化であっても、合意済みの満了日に達したということであっても、このセクションに、SLA を取り消すことができる条件を正式に定めておきます。

SLA の中には、補償条項が含まれるものがあります。補償条項では、一方の当事者 (保障者と呼ばれます) が、契約違反発生時に相手方の当事者が被るあらゆる法的責務、損害、損失についての全責任を負うことに同意します。こうした条項は大抵は一方的で、一方の当事者にとっては利点があるものの、もう一方の当事者には何ら明確な利点がないというものになります。とはいえサービスプロバイダーによっては、サービス基準の保証を充実させる手段として、積極的にこの条項を含めるところもあります。

前述のとおり、測定基準は SLA における重要な要素です。しかし、何かが測定可能であるとしても、必ずしもそれを測定基準として含めるべきというわけではありません。SLA の測定基準は、追跡しやすいものであるとともに、労力をかけずに正確に収集できるデータがあることが必須です。さらに、サービスプロバイダーが測定基準に対する責任を負うために、直接的な影響が、プロバイダーが制御できる範囲内にあることも絶対に必要です。
さらに重要であるのは、適切なの測定基準を選択することです。測定基準の種類が多すぎると、容易に分析できる量を上回るデータを取得してしまう可能性があります。逆に測定基準が少なすぎると、契約が履行されていることを証明できる十分な情報が得られなくなります。最後の点として、すべての測定基準には信頼性が高く合理的である比較対象のベースラインが必要です。このベースラインは、SLA の定期的な見直しの際に改訂されることもあります。
SLA に含める測定基準には、次のようなものがあります。

サービスの可用性

この測定基準では、サービスを利用できる時間の総量を計測します。サービスの可用性は、特定の SLA では非常に強く期待されることがあります。これは、サービスプロバイダーがほとんどエラーの余地なく、多大な努力によってほぼ常時のアップタイムを確保する必要があることを意味します。これは、ごくわずかなサービス中断でさえも膨大な利益の損失につながりかねない e-コマースなどの分野に当てはまります。

技術的品質

特定のサービスの技術的品質の測定に使用され得る測定基準があります。たとえば、サービスにデジタルアプリケーションの作成と提供が含まれる場合は、SLA でその品質基準を確立することが必要になります。その測定は、プログラムのサイズやコーディングの不具合の数によって行うことができます。

エラー率

この測定基準は他のいくつかの測定基準を包含することがあり、「主要成果物に不具合やエラーがいくつあったかの測定」というのが適切な説明になります。これにはコーディングのエラー、締め切りを守れなかった回数、製造エラーなどが考えられます。

セキュリティ

多くの IT サービスで、ユーザーの成功を保証するために追跡すべき最も重要な測定基準はセキュリティです。 万一インシデントが発生した場合は、未解決の脆弱性の数、ウイルス対策ソフトの更新回数、その他の関連するセキュリティ対策の適用といったセキュリティ測定基準が、SLA の順守を証明するために必要となります。

ビジネスの成果

SLA を確立されたビジネス成果とより適切に結びつけるために、顧客が自社の重要業績評価指標の一部を測定基準として含めることを希望する場合があります。ただしこれは、その結果に対してベンダーがプラスの影響を及ぼすことが可能であることが条件となります。

適切な SLA は、ユーザーの期待を管理したり、強力で収益性のあるビジネス上の関係性を構築したりするために大いに役立てることができます。しかし SLA はプロセス全体の一面にすぎません。最適なエクスペリエンスを実現しながら、顧客とサービスプロバイダーとの間の契約を管理するために、ServiceNow の Service Level Management はますます多くの企業に注目されるようになっています。

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