アジャイルトランスフォーメーションとは?

アジャイルトランスフォーメーションとは、アジャイルの原則を会社全体に適用して、企業文化のより機敏なマインドセットへの移行を全社的に促進することです

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目次
アジャイルであることの意味 アジャイルの採用とアジャイル変革の違い アジャイル変革のメリット アジャイル変革の課題 アジャイル変革を達成のステップ ServiceNow SPM によるアジャイル変革

ソフトウェア開発に対するアジャイルアプローチの利点については、これまでもたくさん書かれています。ここ 20 年の間に、伝統的な「ウォーターフォール」開発手法からアジャイル手法に移行するソフトウェア開発企業は増え続けてきました。アジャイル手法により企業は、顧客のニーズや期待に沿った高品質のソフトウェア製品を開発できるようになったと同時に、プロジェクトの透明性、柔軟性、商品化までの期間を改善することができるようになりました。

このような利点のために、アジャイルアプローチをビジネスの他の側面にも適用できることが明らかになりつつあります。アジャイルポートフォリオ管理とアジャイルプロジェクト管理は、継続的な改善や継続的デリバリなどのアジャイルイデオロギーを活用して、開発に直接関係しているか否かに関係なくビジネスの各領域を改善する 2 つの例です。

アジャイルトランスフォーメーションとは、以上の過程の論理的帰結として、アジャイルの原則を企業文化に適用し、適応性と反応性に優れたマインドセットへの移行を促進するものです。

 

すべて展開 すべて折りたたむ アジャイルであることの意味

ビジネス用語を離れれば、「アジャイル」という語は、単に「すばやく移動、応答できること」ということを意味しているにすぎません。この基本的な定義は現代でも有効ですが、今ではこの言葉は新しい意味を帯びるようになってきました。アジャイル手法の登場により、「アジャイル」という言葉は、ソフトウェア開発に対する革新的なアプローチを表わす IT 用語として広く使われるようになっています。長い間ソフトウェア開発における標準として受け入れられてきたウォーターフォール手法と違って、アジャイル手法では、大々的に製品をリリースするのではなく、定期的、反復的、継続的に公開し、改善とロールアウトを常時行います。

アジャイルソフトウェア開発の主な目的は、過去にないスピードで、機能するソフトウェアを開発することです。各チームは、順次的に作業し、一度にアプリ全体の機能を構築し、完了したら変更をリリースするのではなく、同時進行で作業します。このアプローチを促進するためには、各チームが、アジャイル手法を初めて公式に発表したオリジナルのアジャイルマニフェストに記載された、アジャイルの 4 つの価値を受け入れなければなりません。4 つの価値とは次のとおりです。

  • プロセスやツールよりも、個人やインタラクション
  • 包括的なドキュメントよりも、動作するソフトウェア
  • 契約交渉よりも、顧客とのコラボレーション
  • 計画の順守よりも、変化への対応
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アジャイルの採用とアジャイル変革の違い

「アジャイルトランスフォーメーション」と「アジャイル導入」という用語は同じ意味で使われることが多いのですが、これらの意味は異なります。これらの 2 つの言葉の意味を分けているのは、その範囲です。アジャイル導入の適用範囲は狭く、アジャイルトランスフォーメーションは企業全体を対象とします。

アジャイル導入は、単一のプロジェクトや複数の部署にまたがる多数のプロジェクトに、アジャイルプロセスを適用することを意味します。アジャイル導入とは、単にアジャイル手法を「実施」することです。これには、ScrumLeanSAFe などの実績のあるアジャイルフレームワークの導入が含まれます。アジャイル開発手法への移行にはある程度の困難が伴う可能性がありますが、アジャイル導入は、比較的容易です。

一方アジャイルトランスフォーメーションは、それほど簡単ではありません。アジャイルトランスフォーメーションでは、組織レベルでアジャイルの原則を適用し、特定のプロジェクトの外でもアジャイルな行動を奨励するようなマインドセットや企業文化を構築しなければならないからです。言い換えれば、アジャイルトランスフォーメーションとは、「アジャイル手法を実施する」ことを超えて「アジャイルな企業になる」ということです。

アジャイルトランスフォーメーションは、時間と労力を必要とし、その成功は独自の運用方法を構築する企業の能力に依存します。アジャイルトランスフォーメーションを成功させるのは、新興企業にとってよりも、確立された企業にとって難しいことかもしれません。

アジャイル変革のメリット

アジャイルな企業とは、サイロ化された階層構造を持った企業ではなく、各チームのネットワークのような企業です。これらのチームは、短い学習/意思決定サイクルで運営されます。またアジャイルな企業は、決定権を各チームに委ね、統一された目標と信頼できるデータに基づいた働き方を確立することで、十分な情報に基づき、企業の目標に沿った決定が行われるようにします。

このような新しいマインドセットは、アジャイル導入がもたらす利点を超えた、数多くの潜在的な利点をもたらします。その利点には次のものがあります。

適応性の向上

上述のとおり、アジャイル手法の重要な価値の 1 つは、「計画の順守よりも、変化への対応」です。組織レベルでは、アジャイル手法の「アジリティ」は、同手法が企業にもたらす柔軟性の高まりから生じるものです。変化が生じても、アジャイルな企業は、事前に決定されたロードマップに縛られることを懸念する必要はありません。その代わりに、新しいデータ、フィードバック、目標に合わせてすばやく方向転換を行うことができます。軌道修正を遅らせる不要な管理者層がないため、各チームは、即座に対応することができます。

最適なコラボレーション

アジャイル手法では、コミュニケーションとコラボレーションにはっきりと焦点を当てます。各部門の視野を自分たちのタスクや責任だけに狭めるのではなく、透明性を高め、関係者全員が進捗状況を確認し、インサイトを提供し、スキルを共有できるようにします。アジャイルトランスフォーメーションは、全社的なコラボレーションを邪魔する障壁を取り除きます。

顧客重視の姿勢を強める

アジャイル開発において、絶えずフィードバックを求め、取り入れることによってソフトウェア開発プロセスに顧客を巻き込むのと同じように、アジャイルな企業は自社の組織構造をカスタマージャーニーと整合性の取れたものにし、顧客と緊密に連携しながら、期待に応え、期待を超えるうえで最適な運営方法を決定します。

アジャイル変革の課題

すでに述べたとおり、アジャイルな文化への全社的なトランスフォーメーションを行うのは、単にアジャイル開発手法を導入することよりはるかに困難です。アジャイルトランスフォーメーションについて検討する際には、次に示すようなハードルがいくつもあることに注意してください。

コミットメント

アジャイルトランスフォーメーションは、スイッチを押すように簡単にできるのものではありません。また、週末のトレーニングを行うような気軽なものでもありません。真の意味でのアジャイルトランスフォーメーションは、「長期的」なものであり、場合によっては何年もかかるものです。そのため、成功させるには、企業全体の継続的なコミットメントが欠かせません。関係者がアジャイルトランスフォーメーションの利点について明確なビジョンを持っていなければ、彼らは、最後までやり通すうえで必要な忍耐力を示さないかもしれません。

経営層

アジャイルトランスフォーメーションは長い時間がかかることが多いので、経営層が変わることで頓挫してしまう可能性が大いにあります。新しい経営幹部が、それまでアジャイルトランスフォーメーションを支持してきたマネージャーを排除して、支持するつもりがない新しいマネージャーを据えてしまう可能性があります。アジャイルトランスフォーメーションは、経営層の支持に大きく依存しており、また、アジャイル手法の利点が目に見えるようになるには時間がかかることから、トランスフォーメーションイニチアチブ全体が、経営層の入れ替えに対して非常に脆弱です。

連携がとれる

アジャイルソフトウェア開発では、開発チームのすべてのメンバーの間で連携がとれている必要があります。同様に、アジャイルトランスフォーメーションでは、「企業」のメンバー全員の間で連携がとれている必要があります。あらゆる階層のすべての従業員が、形成すべき新しいアジャイル文化について同じ認識を持っている必要があります。伝統的に顧客中心ではない部門でアジャイルの原則を促進することは、特に難しいかもしれません。企業内の一部のメンバーが、自分たちには不要に感じられる変化に対して抵抗を示す可能性があります。

アジャイル変革を達成のステップ

アジャイル手法では、柔軟性と適応性を確保するために、計画を立てることを避けますが、アジャイルトランスフォーメーションを成功させるには明確なロードマップが必要です。とは言え、あらゆることを前もって完璧に計画することはできません。企業の数だけアジャイルトランスフォーメーション達成への道筋はありますが、アジャイルな企業への移行を成功させるために、次のステップを検討してください。

目標をはっきりさせる

「必要性」をきっかけとせずに実現できる組織的な変更はありません。そのことを念頭に置いて、アジャイルトランスフォーメーションへの最初の一歩は、必要性をはっきりさせ、アジャイル文化を導入することによって会社が何を実現したいのかを明確にすることであるべきです。

戦術計画を作成する

目標をはっきりさせたら、次のステージは、会社が従うべき計画の作成です。その計画は変更不能なものであってはならず、柔軟性を持たせたものにするべきです。これはおそらく、その会社がそれまで試みてきた、いかなるものとも異なるトランスフォーメーションになるのですから、計画を実行可能なものにし続けるために、計画自体に変更を加える必要があるときがくるはずです。

コミュニケーション計画を作成する

戦略的計画に加えて、社内の誰もが、どんな変革が行われているのか、その変革はなぜ行われているのか、自分たちには何が期待されているのか、トランスフォーメーションの進捗状況はどうなっているのかを把握できるようにする計画も作成する必要があります。

リーダーシップを確立する

リーダーシップは、アジャイル文化トランスフォーメーションの主要な推進役となります。リーダーたちは、全面的にアジャイルの原則を職場に取り込み、会社全体でアジャイル手法を支持するための、アジャイル手法の伝道者にならなくてはなりません。企業がアジリティを持って業務を行う上で必要なものを手に入れられるようにするのは、これらのリーダーたちの責任です。

サイロを解消する

アジャイルトランスフォーメーションの成否は、自由に入手できるデータと、完全な透明性次第です。組織内のサイロと不必要な官僚組織は、そのような可視性を邪魔するものであり、いずれは排除しなければなりません。このステップが継続的なプロセスとなる可能性は十分にあります。そのプロセスは、オフィスレイアウトや、コラボレーションを促進するものであれ、邪魔するものであれ、その他の要素を変更することも含みます。

トレーニングを提供する

新しいアジャイルコンセプトを最大限に活用するために、従業員はトレーニングを受ける必要があります。アジャイルに関するコーチングは、個々の従業員がベストプラクティスや新しいアジャイルマインドセットに沿った重要なプロセスを学ぶことで、全社的な支持を高めるのに役立ちます。

リソースを手に入れる

アジャイル手法では、ツールよりも個人やインタラクションを重視します。しかしそのことは、ツールがアジャイルトランスフォーメーションの達成に役に立たないことを意味しません。企業は、ツールやその他のリソースを取得し、それをトランスフォーメーションに適用し、それらのリソースの所有権を社員に割り当て、使用方法に関するトレーニングを提供する必要があります。

定期的に確認を行う

トランスフォーメーションが進行中となったら、定期的な確認を行うことによって、軌道修正が許可された場合に知っておく必要があるインサイトをリーダー層に提供することができます。

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ServiceNow SPM によるアジャイル変革

数年前、アジャイル開発手法の登場は、企業のソフトウェア開発方法とリリース方法に革命を起こしました。今日、アジャイル手法は、ビジネスの世界を再び変えつつあります。しかし今回その変化は、はるかに根本的なものです。適応性と反応性のマインドセットを取り入れたい企業には、目標を達成する上で役立つ適切なツールが必要です。ServiceNow はその答えを持っています。

ServiceNow の Strategic Portfolio Management (SPM) は、企業が、自社のインフラストラクチャ全体にアジャイル手法を適用、拡張するのを支援します。受賞歴のある Now Platform® を基盤とする SPM は、本質的な理念、機能、プロセス、統合テクノロジーを組み合わせたものであり、全社的なアジャイルトランスフォーメーションをサポートする、信頼性の高い重要なデータとツールの基盤となります。

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