アクティビティ図とは、ワークフロー図を拡張したもので、システム運用の流れを一連のアクションとして視覚的に表したものです。
人々が A 地点から B 地点まで移動している間は、地図に頼って道を見つけていました。 ワークフロー図 (フローチャートとも呼ばれます) は同様の機能を果たし、依存関係、責任、ツールなど、プロセスが実行するすべてのステップを詳細に示します。 これにより、ユーザーは効果的なワークフローを論理的にプロットし、非効率的なステップや障害を排除し、チーム間でコラボレーションを行い、プロジェクトのあらゆる段階で可能な次のステップを確認できます。
ワークフロー図を使用するワークフローデザインツールの例については、「ServiceNow フローデザイナー」を参照してください。 フローデザイナーを使用すると、プロの開発者とローコードビジネスアナリストの両方が、自然言語を使用して、あらゆるビジネスプロセスをデジタルワークフローとして自動化し、統合できます。
アクティビティ図は、この概念をさらに発展させたものです。統一モデリング言語 (UML) の行動図であり、正式に指定された表記法、記号、規則を使用して、システム内のアクティビティのワークフローを示すものです。 UML でのアクティビティ図は、一般にソフトウェアシステムのモデリングに使用されており、システムで起こるべきことを描写しモデル化していることから、「行動図」と捉えられています。
フローチャートや他の図と同様に、アクティビティ図も、システム内の動的な動作を視覚的に表すための方法です。 アクティビティ図では、プログラムの流れを俯瞰的なレベルで描写するため、特定の操作に関連する条件や制約をより明確に理解することができ、アクティビティ間のメッセージの流れを確認することができます。
UML でアクティビティ図を作成すると、条件付き動作と並列動作の両方をモデル化し、図示することが可能になります。 アクティビティのフローは、UML フロー図のさまざまなコントロール要素を用いて管理することができます。 使用方法としては、アクティビティ図は以下のような用途に適しています。
- ユースケースとそれを構成するステップをモデル化する。
- コンポーネント間の相互作用の許容シーケンスとして、ソフトウェアプロトコルを詳細に記述する。
- ソフトウェアアルゴリズムをモデル化する。
- システム内の複数のユーザー間のビジネスワークフローを図式化する。
- システムエンティティ間の実行フローをモデル化する。
- システム内の機能やアルゴリズムに関する詳細情報を示す。
- システム機能に関する理解を深める。
他の種類のビジネスプロセス図と同様に、アクティビティ図を使用する主なメリットは、プロセスのヴィジビリティと明瞭性を向上させることです。 ユーザーは、オブジェクト間の関係や、オブジェクト間のフローを簡単に理解できるようになります。 また、さまざまな責任や依存関係がどこにあるのか、重要な決定をしなければならないのはどこなのかを確認することができます。 同様に、アクティビティ図はコラボレーションや文書化にも有益で、チームや部門を越えて簡単に共有できる方法でプロセスを伝えることができます。
これらの価値・効果に加え、アクティビティ図によって、企業は次のことを達成できます。
- アルゴリズムの論理を示す。
- UML のユースケースで実行されるステップを記述する。
- ユーザーとシステム間のワークフローを図示する。
- 潜在的に複雑なユースケースを明確にすることで、プロセスを簡素化し、改善する。
- 機能、方法、操作など、ソフトウェアアーキテクチャの要素をモデル化する。
アクティビティ図は UML の標準的なルールに従いますが、これらの図を作成する際、特にどのようなコンポーネントを含めるかについては、ある程度の自由度があります。 最も一般的なアクティビティ図には、次のようなコンポーネントが含まれています。
アクティビティはビジネスプロセスを説明するもので、アクティビティノードとアクティビティエッジが含まれ、シーケンスに沿ったタスクのフローを可能にします。
アクションとは、ユーザーのソフトウェアによって実行されるタスクのことです。 アクションは、すべての「入力条件」が満たされたときに開始され、入出力「アクティビティエッジ」を使用して、アクティビティノード間のコントロールとデータのフローを指定します。
アクティビティエッジは、アクティビティノード間の直接接続で、2 つのアクティビティノード間でトークンが取ることのできる経路を表しています。 アクティビティエッジは、前のアクションが完了したら、次のアクションへとフローを継続させていく役割を果たすものです。
コントロールフローは、図内のステップとステップの間のフローを視覚化するコネクタです。
図の開始時点にある最初のノードで、アクティビティの開始点を表します。
デシジョンは、図の中でユーザーやソフトウェアに選択肢があるポイントです。 各選択肢は新しい分岐につながるため、デシジョンは 1 つの入力と少なくとも 2 つの出力から構成されます。
マージは、「デシジョン」とは逆に、複数の分岐やフローを 1 つのポイントにまとめます。 マージは、少なくとも 2 つの入力と 1 つの出力で構成されます。
終了ノードはアクティビティの最終ステップで、終了ノードの完了は、同様にアクティビティが完了したことを意味します。
アクティビティ図を効果的に活用して解釈するには、さまざまな表記と記号を理解することが重要です。 記号は図の言語として機能し、複雑なワークフロー、意思決定、プロセスを明確かつ一貫してマッピングできるようにします。 アクティビティ図で一般的に使用される標準的な表記と記号には、次のものがあります。初期状態または開始点
これは通常、塗りつぶされた円で表され、アクティビティフローの開始点を示します。 初期状態は、図の後続のアクションまたはタスクのステージを設定します。 スイムレーンアクティビティ図の場合、開始点は左上隅の最初の列に配置する必要があります。
- アクティビティまたはアクションステータス
アクションステータス (「アクティビティステータス」とも呼ばれる) は、プロセスフロー全体で実行されたタスクと操作を簡単に説明します。 これらの表記は、多くの場合、角丸長方形で表され、実行するアクティビティの説明が含まれます。 - アクションフロー
アクションフローは、アクションステータスを結ぶ矢印で表されます。 アクティビティが実行される順序や順番を示し、あるステータスから別のステータスへのフローを導きます。 - オブジェクトフロー
オブジェクトフローはアクションフローに似ていますが、アクティビティ間のオブジェクトまたはデータのフローを示すために使用されます。 矢印で表すこともできます。また、アクションフローから分離するために、色やスタイルで注釈を付けたり区別したりすることもあります。 - 意思決定と分岐
意思決定はダイヤモンドの形で表され、プロセス内の意思決定ポイントを表します。 分岐はこれらの意思決定ポイントから発生し、条件や選択肢に基づいて複数の可能なパスにつながります。 - ガード
ガードは、フローが特定のパスに沿って継続するために満たす必要がある条件です。 通常は、条件付きフローを示すために、決定記号から導き出される矢印の横にラベルが付けられます。 - 同期
同期バー (しばしば「フォーク」または「ジョイン」と呼ばれる) は、複数のフローが統合 (ジョイン) または分岐 (フォーク) するポイントを表すために使用されます。 これは、システム内の並行アクティビティのモデリングに役立ちます。 - 時間イベント
これは、時計のような記号または表記で、アクティビティを行う必要がある特定の時点または設定された期間の後を示します。 時間イベントは、厳格な期限でプロセスをモデル化するのに役立ちます。 - マージイベント
マージイベントは、菱形で表され、意思決定に似ていますが、条件はありません。 これらの記号は、複数のフローが連携して単一の統一されたフローを形成する場所を示します。 - 送受信された信号
送受信された信号は、外部要素がタスクをどのように変更できるかを表し、封筒形のアイコンとして表されます。 送受信された信号は、特定のメッセージが受信されるまでステータスが変更できないことを示すために使用されます。 - 中断エッジ
中断エッジとは、メインフローの中断を示す矢印の付いた畝状の (稲妻形の) 線です。 これは、通常の一連のアクティビティを中断させる可能性のある例外やイベントをモデル化するために使用されます。 - スイムレーン
スイムレーンは、部門、システム、個人など、誰が担当しているかに基づいてアクティビティを分離するために使用される並列ボックスまたは列です。 - 最終ステータスまたはエンドポイント
最終ステータスは、アクティビティフローの終了とプロセスの完了を示します。 これは、多くの場合、塗りつぶされた円とその周囲の中空の円で表されます。
アクティビティ図とフローチャートはどちらも、プロセスフローと意思決定パスを視覚化する目的で使用されますが、それぞれの特徴、表記、ユースケースが異なることで区別されます。 違いを理解することで、組織は特定のニーズに適したツールを決定するのに役立ちます。
- アクティビティ図:通常は、複雑で条件付き動作や並列動作、同期ポイントなど、詳細な情報を提供します。 これらは統一モデリング言語 (UML) の一部であり、標準化された一連の表記と記号に従います。
- フローチャート:一般的に、シンプルで詳細は少なく、単純なプロセスや意思決定ツリーに使用されます。 一般的に使用される記号はありますが、標準化された一連の表記はありません。
- アクティビティ図:アクションステータス、アクティビティエッジ、コントロールフローなど、特定の UML 表記のセットを使用します。プロセスの一貫性のある形式化された表現を可能にします。
- フローチャート:開始/終了の楕円、プロセスの長方形、意思決定ポイントの菱形など、緩やかな一連の記号があります。
- アクティビティ図:主にソフトウェアシステムの動的な側面を表すためにソフトウェアエンジニアリングで使用されますが、複雑なプロセスをモデル化するための他の分野でも役立ちます。
- フローチャート:ビジネスプロセスからシステムエンジニアリングまで、幅広いアプリケーションがあり、ほぼすべての分野で使用できます。
- アクティビティ図:形式的な表記のため、厳格ですが、複雑で多面的なシステムをモデル化する場合には、これが有利になる可能性があります。
- フローチャート:柔軟で簡単に作成でき、特殊な表記を必要としない簡単なプロセスに適しています。
- アクティビティ図:アクティビティのフローだけでなく、アクティビティ間のオブジェクトやデータのフローもモデル化できるため、システムの全体像を把握できます。 これらは、システムの概要と詳細な下位レベルのアクティビティの両方に使用できます。
- フローチャート:主にアクティビティやタスクのフローに焦点を当て、通常はタスク間のオブジェクトやデータのフローを組み込みません。 通常、プロセスの概要ビューを提供し、非常に詳細なモデリングには適していない場合があります。
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ServiceNow プロセス最適化を使用してビジネスプロセスを簡素化することで、企業は不要な要素を排除し、従業員やマシンに、アクティビティ完了までの一連のステップをわかりやすく提供することが可能になります。 これは、リソースの解放につながり、そのリソースを他のプロジェクトやタスクに適用する機会を企業にもたらし、企業は全体的な生産性を向上でさせることがきるようになります。
生産性の向上と同時に、コアビジネスプロセスから不要な要素を排除することは、投資コストの低減にもつながります。 より少ない資源でより多くのことを実現し、ビジネスプロセスの効率性を高めることができます。
プロセスの簡素化は、より迅速なソリューションを意味します。 また、ServiceNow 継続的改善管理や他の ServiceNow アプリケーションと統合することで、企業はこれまで以上に素早くワークフローを改善することができます。
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