20 万人の従業員向けシェアードサービスプラットフォームの拡張
大企業の社内外にいる 20 万人のニーズに応えるシェアードサービスデリバリプラットフォームの拡張を成功させるにはどうすればよいでしょうか。Becton Dickinson (BD) 社の戦略・ソリューション・デリバリ担当副ディレクター Trisha Johnson 氏に尋ねてみましょう。BD 社は医療における疾患の検出、診断、治療の提供方法を改善して医療界を進化させるグローバル医療技術企業です。
過去 10 年間、Johnson 氏が率いるチームは BD 社のシェアードサービスのデジタルトランスフォーメーションという大規模プログラムを統括しており、ServiceNow を利用して財務や調達から HR や営業、サプライヤーポータル、コンシューマーケアまで数百ものサービスを動かしてきました。
すべては才能とスキルを備えた人材から始まる
BD 社のグローバルビジネスサービス (GBS) チームが意欲的なデジタルトランスフォーメーションに取り組もうと決断した時点で、同社は ServiceNow の IT Service Management (ITSM) とプロジェクトポートフォリオ管理 (PPM) を利用していました。BD 社の初期 ITSM 実装時のリリースマネージャー兼スーパーユーザーとして、Johnson 氏は 6 名のプラットフォームチームのリーダーを任され、新しい ServiceNow のシェアードサービス専用インスタンスに取り組むことになりました。
Johnson 氏は次のように述べています。「ServiceNow は大変気に入っていたのでこれは願ってもない機会でした。チームのメンバーは皆優秀でしたが、ServiceNow のユーザーとしての経験があったのは 3 人だけでした。短期間でスキルを習得する必要があったので、まず全員に ServiceNow Certified System Administrator (CSA) コースを修了してもらいました。また、ServiceNow Community にも積極的に参加しました。このコミュニティにはとてもお世話になりました。他の顧客の経験から学んだり、質問したりすることができたからです。ServiceNow のトレーニングとコミュニティのおかげで、私たちは成功の基盤を築き、すぐに全力で取り組むことができました」。
11 週間でグローバル本番稼働へ
Johnson 氏のチームは BD 社のシェアードサービスプラットフォーム初回実装をわずか 3 か月足らずで本番稼働させました。Johnson 氏は次のように述べています。「心から自慢できるチームです。他のソリューションでは初回実装に約 8 か月かかる見込みでしたので、11 週間での本番稼働は記録的な達成です。そして成果は直ちに数値となって現れました。たとえば、資本計画承認は 12 週間から 2 日に短縮され、緊急の場合は数時間でも可能になりました。これには会社全体が盛り上がりました。これは新しい領域で機運をつかむためのビジネスに取り組むには重要な点でした」。
プラットフォーム優先戦略を確立してエクセレンスを推進
初期ロールアウトの一環として、Johnson 氏のチームはベストプラクティスと強力なテクニカルガバナンスによるプラットフォーム優先戦略も採用しました。Johnson 氏は次のように説明します。「これは一度限りのプロジェクトではありません。大きなビジョンを達成する過程の第一歩なのです。物事を正しい方法で行い、プラットフォームを発展させ続けることができるようにする必要がありました。ServiceNow は当社のために、手法、ベストプラクティス、プレイブック、チェックリストなど豊富な資料を提供してくれました。これを使用して、当社独自のビジネスコンテキストやインサイトも追加することで、より多くの価値をさらに迅速に達成し、当社の仕事を将来に対応させることができました。実際、当社が実装した元のソリューションの多くは今も使用されており、このアプローチによって適切な拡張が行われています。この手法は今も活用しています。新たなイニシアチブのたびに ServiceNow のコースを受講して資料を修正することで、プロダクトキットをわずか数日で用意できています」。
10 年経っても BD 社は ServiceNow で大規模なイノベーション推進を継続
現在、ServiceNow は BD 社において目を見張るほどの幅広いシェアードサービスのサポートに成功しています。本番稼働しているのは ITSM、HR サービスデリバリ (HRSD)、セキュリティオペレーション、カスタマーサービス管理 (CSM)、事業継続性管理、IT Operations Management (ITOM)、調達、法務、ファイナンス、戦略的ポートフォリオ管理 (SPM) の各分野とサプライヤーポータル、さらに他の事業部門向けの多数のカスタムアプリケーションが含まれます。BD 社の ServiceNow グローバルビジネスサービスインスタンスは 1 年間に 40 万件のシェアードサービス要求と 20 万件の HR 要求に対応し、8 万人の社内ユーザーと 12 万人の外部ユーザーにサービスを提供しています。そして今後も IT Asset Management、DevOps、統合リスク管理、Operational Technology Service Management が追加される予定です。
ServiceNow University と ServiceNow Community はこの継続的成功において重要な役割を果たす
Johnson 氏は言います。「継続的な ServiceNow トレーニングはチームの年間目標の中心に据えられています。多くの材料が用意されていますが、なかでもスペシャリストロール向けの徹底的なトレーニングは ServiceNow インスタンスで新しい機能を導入する際に必須です。たとえば、災害復旧チームからパンデミック中に対応要請を受けました。私たちのチームは BCM マイクロ資格を取得してわずか 4 日で概念実証を構築しました。そして ServiceNow トレーニングはテクニカルチームだけのものではありません。ビジネスアナリストやビジネスステークホルダーをはじめとする多くの人にとっても価値のあるものです。また、パートナーガバナンスにも欠かせません。実装パートナーリソースのスキルも ServiceNow Community での認定と参加を基準に簡単に評価することができます。私たち自身もチームとして最新の認定とトレーニングを受け続けることで、パートナーを効果的に管理するために必要な知識とインサイトを得られます」。
ビジネスと個人の双方の成功を後押し
BD 社の事例は単なるビジネスにおける成功の実現に留まりません。ServiceNow の導入で、関係者ひとりひとりが個人の目標達成やキャリア発展のための成長の機会を得ているのです。Johnson 氏はその理想的な実例です。「私は ServiceNow が描く夢を実現しています。12 年前、私は大学を卒業しておらず、コードも書けないエグゼクティブアシスタントでした。今では愛する会社でディレクターを務めています。私は ServiceNow Advisory Councils and Boards の一員であり、ServiceNow Knowledge カンファレンスで 8 回講演も担当しており、基調講演者として登壇したこともあります。また、パートナーアドバイサリーボードの委員でもあります。そのおかげで、ServiceNow エコシステム内で数え切れないほどの友人に出会うこともできました」と Johnson 氏は語っています。
Johnson 氏だけではありません。チームのメンバーも目覚ましい成果を上げています。3 人は ServiceNow 製品諮問委員会と Success Boards のメンバーを務め、2 人は Knowledge とウェビナーに講演者として招聘され、1 人はパフォーマンスアナリティクスの世界的エキスパートになり、また、自ら ServiceNow のパートナー会社を起業した人もいます。