顧客満足度サーベイは、製品やサービスに対する顧客の認識や関わりについて情報を収集するのに最適な手段です。
組織は製品やサービスの開発に全力で取り組み、顧客満足度を得るためにあらゆる対策を講じるものです。 しかし、意図と実際の結果が一致するとは限りません。 じっくり時間を取り、顧客から情報を集めて、製品やサービスに対する満足度を測ることが重要です。
顧客満足度 (CSAT) サーベイは、そうした満足度のレベルを把握するための優れた方法です。 組織は、一連の質問や説明によって、総合的な満足度のデータを収集するとともに、顧客から提案や意見を得ることで状況をより明確に把握できます。
顧客満足度サーベイは、カスタマーエンゲージメントとカスタマーエクスペリエンスをテストするのにも最適です。エンドユーザーの視点から製品やサービスの全体像を見られるからです。 カスタマーエンゲージメントには以下のような側面があります。
- 積極性:促されなくても、顧客が自発的に関わりを持つかどうか
- ボリューム:一定期間内のやり取りの度合い
- リピート率と頻度:ブランドに対するエンゲージメントが複数回あるか、それとも散発的なものかどうか
カスタマーエンゲージメントはオフラインでもオンラインでも起こり得るもので、組織が提供する製品やサービスによって異なります。 ソーシャルメディアでのコメント、レビュー、社内プログラムへの参加、組織のサイトでのフィードバック提供など、製品の使用と一体となっている場合もあります。
CSAT サーベイは、製品やサービスに対する顧客の感情を測定するためのツールに留まりません。今日の競争の激しい市場で優位に立つことを目指す組織に、さまざまなメリットをもたらすことができる戦略的資産です。 顧客満足度サーベイを行うことで得られる最も顕著なメリットとして、以下が挙げられます。
CSAT サーベイは、顧客との直接的なコミュニケーションチャネルです。 現実の購入者からの回答を分析することで、組織は顧客が製品やサービスに何を期待しているか、顧客にとって最も価値があるものは何か、欠けていると感じているものは何か特定することができます。 その結果、組織は顧客の期待により近い形でオファリングをカスタマイズするのに必要なインサイトを得ることができます。
組織は、顧客の好みや課題に直面している部分を把握することで、製品やサービスの顧客の期待に応える点を強化すると同時に、弱点に対して必要な調整や改善を図ることができます。
満足度の高い顧客は、高いロイヤルティを持ち、リピート購入をする可能性が高くなります。この傾向は経時的に増すことさえあります。 企業は、一貫して満足度を測定し、情報に基づいた調整を行うことで、顧客の生涯価値を高め、より長期的な収益性を維持することができます。
新規顧客の獲得にかかるコストは、既存の顧客の維持にかかるコストよりも大幅に高くなります。 CSAT サーベイを使用すると、組織は潜在的な解約リスクを特定し、そうした顧客を維持するための事前対応手順を講じることができます。 顧客に対し、組織が顧客の声を尊重しており、フィードバックに基づいて改善に取り組んでいることを示すことで、ロイヤルティを高めることができます。
CSAT サーベイは、意思決定プロセスをガイドできるデータに基づいたインサイトをもたらします。 新機能の立ち上げでも、価格の調整でも、新しい市場への参入であっても、こうしたサーベイから得られたインサイトは、顧客のニーズや好みに沿った、信頼できるデータに裏付けられた意思決定を行うのに役立ちます。
顧客は、製品やサービスそのものだけでなく、ブランドによって得られる全体的なエクスペリエンス、すなわち、購入プロセスからカスタマーサポートの有用性・効率性にいたるすべてを重視しています。 CSAT サーベイでは、顧客が会社とのジャーニー全体をどのように認識しているかを明らかにできます。 このナレッジを活用すると、各タッチポイントを最適化して、シームレスで満足のいくカスタマーエクスペリエンスを確保できます。
満足度は、顧客が企業の活動やサービスをどの程度好ましく思っているかを示します。
組織が、顧客にとってネガティブな体験を生み出している場合があります。 離れてしまった顧客はそれを組織には伝えませんが、ネガティブな体験の話を他者に広める可能性があります。 これに対し、ポジティブな体験は顧客の維持に強く影響し、リピート購入を促進して、顧客生涯価値を大きく高めます。 適切な顧客満足度サーベイを行えば、カスタマーエクスペリエンスを深く掘り下げ、製品やサービスの改良や継続に役立つ詳細な情報を収集できるため、収益の増加にもつながります。
エンゲージメントを改善することは、ポジティブな顧客フィードバック、売上増、ロイヤルティ、ブランディングの強化、口コミマーケティングといったビジネス目標の達成につながります。 顧客満足度サーベイによって組織ができることは次の通りです。
競合他社よりも優れたエクスペリエンスの提供
カスタマージャーニー全体にわたるユーザーインタラクションの把握
企業側からは見えなかった問題の発見と解決
ターゲットオーディエンスをより的確に想定した効果的なマーケティングと広告
顧客のニーズの発見
フィードバックに基づいてアイデアを最適化することによる、より優れた製品の開発
情報に基づく意思決定を行う。
顧客が使用した製品やサービスに対する全体的な満足度を示す指標。 ニーズが満たされたかどうか、全体的な品質、顧客やユーザーの視点から見た企業の信頼性について、満足した度合いを測ります。
ポジティブな経験をしたからといって、リピーターになるとは限りません。 製品やサービスを他者に勧めるつもりがあるかどうか、製品やサービスを再び利用する意思があるかどうかを評価しましょう。
CSAT は、カスタマーサービス満足度と全体的な製品品質の評価に一般的に使用される測定基準です。 「(製品やサービスの) 満足度はどの程度ですか?」という質問が一般的です。 回答者は 1 ~ 5 段階評価でフィードバックを行います。 それを合算して平均した値が、総合的な顧客満足度を示すスコアとなります。
NPS は、製品、サービス、企業への顧客の傾倒を測る指標です。 判定するための質問は、「(製品、サービス、企業などを) 友人や同僚に勧めますか?」という 1 問のみです。 通常は 0 ~ 10 の数字を選択して評価します。 この評価によって、回答者は 3 つのカテゴリーに分けられます。
推奨者 (9 ~ 10):製品、サービス、企業に対してロイヤリティが高い熱心な顧客
中立者 (7 ~ 8):製品、サービス、企業に満足しているが、積極的に人に勧めるほどではない顧客
批判者 (0 ~ 6):再び製品やサービスを利用する可能性が低く、さらに他者がその製品やサービスを使用するのを積極的に止めるおそれもある、不満を持っている顧客
NPS スコアは通常、推奨者スコアの平均値 (9 または 10) から批判者スコアの平均値 (0 ~ 6) を差し引くことで算出されます。
リレーショナル NPS サーベイは定期的に実施します。企業の認知度や顧客と企業の関係の健全性を測ることを目的とします。
トランザクショナル NPS サーベイは、顧客が購入を行った後やチームメンバーとやり取りをした後に実施されます。 組織とのやり取りについてより具体的なフィードバックが得られる方法です。
CES では、問題解決や要求の実行など、何かが行われるまでに顧客が費やす労力の度合いを測ります。 一般的な質問は、組織とのやり取りは簡単だったかどうかを尋ねるもので、「非常に難しい」から「非常に簡単」までの段階で評価されます。 組織はこれを受けて、顧客が最小限の労力とストレスで満足を得られるよう、以下の対策を講じることができます。
迅速に問題を解決できるセルフサービス型サポートの導入
複数のフィードバックできる問い合わせ窓口の設置
カスタマーワークフローによる解決時間の短縮とコミュニケーションプロセスの改善
カスタマージャーニーの重要な節目に行われるサーベイです。 顧客の体験をより的確に把握することを目的としています。 節目の後のサーベイ (通常、顧客とのやり取りの 60 日後や、オンボーディング完了後など) を自動化することで、定期的にカスタマーエクスペリエンスを強化し、改善することができます。
他のものと同様、顧客サーベイの実施についても正しい方法、誤った方法があります。 実施に際しては、以下を考慮する必要があります。
するべきこと:
最初の質問では企業の総合的な評価を聞く。
モバイル用に最適化する。
自由回答ができるようにする。
サーベイは短く、かつ的を絞ったものにする。
自由回答形式の質問をする。
顧客の言語で実施する。
結果を役立たせる。
してはいけないこと:
顧客にはなじみがないかもしれない専門用語を使う。
一度に複数の物事に言及する質問をする。
すべての質問への回答を要求する。
質問に対して意見を添える。
仮定に縛られる。
複雑な質問を書く。
反復的な情報を求める。
人口統計情報を要求する。
顧客満足度 (CSAT) サーベイには、具体的で多様な回答を促すため、幅広い質問タイプが組み込まれています。 質問の選択は、多くの場合、企業が得ようとしている特定のタイプの情報と直接関係しています。 最も広く使用されている質問タイプには、以下のようなものがあります。
一般的に「はい」/「いいえ」で回答する質問形式を取るバイナリ質問は、可能な回答を 2 つに制限するという単純なアプローチを提示します。 これらの質問は、特定の側面に関する明確なフィードバックを得るのに優れています。 たとえば、「製品は期待通りでしたか?」といった質問をすることで、顧客からの直の反応を簡単に測定できます。 ただし、バイナリ質問では微妙なフィードバックや詳細なフィードバックを得ることはできません。
多肢選択式では、バイナリ質問よりも詳しいフィードバックを得られます。 回答者にあらかじめ用意した回答を複数提供することで、参加者を気負わせることなく、特定分野に関するインサイトを得ることができます。 たとえば、「最もよく使用する機能はどれですか?」というような質問に、回答の選択肢として機能のリストを添える形式です。
事前定義された回答以上の回答を求める自由回答式質問では、回答者が自分の言葉で詳細なフィードバックを伝えることができます。 この形式の質問では、より深いインサイトを掘り起こし、これまで検討されていなかった問題や感情を浮き彫りにすることができます。 質問例としては、「当社の製品について、どのような改善ができると思いますか?」や「今回、弊社が改善できたであろうことは何ですか?」などが挙げられます。 このアプローチは貴重なインサイトにつながる可能性がありますが、その一方、回答を得るのにより多くの時間がかかります。また、組織によるより詳しい分析が必要になります。
評価スケールを使用すると、回答者は自身の体験を数値スケール (通常は 1 ~ 5 または 1 ~ 10) で定量化できます。 質問例としては、「当社のサービスにどの程度満足していますか?1 ~ 10 段階でお答えください」などが挙げられます。これにより、全体的な満足度を直接測定し、比較、視覚化、追跡を簡単に行うことができます。
2 つの相反する形容詞の間の回答者の感情を捉えることで、特定の製品やサービスの属性に対する感情の強さを判断できます。 たとえば、「壊れやすい」と「丈夫」という用語に関して製品への感想を示してもらうことで、顧客に製品の耐久性の評価を質問します。
回答者は、リッカート尺度を使用して、特定の記述に対する合意レベルまたは意見の不一致を示します。 たとえば、「この会社の顧客として大切にされていると感じる」という記述について、顧客は「まったくそう思わない」から「強くそう思う」までの選択肢から回答を選択します。 一部の CSAT サーベイには、考えられる顧客感情を表す絵文字も含まれます。 リッカート尺度では、顧客の扱いと価値に関する顧客の感情について、より深いインサイトを得ることができます。
CSAT サーベイの質問に適切な形式を取ることは重要ですが、同時に適切な情報を追求することも重要です。 サーベイに深みを与え、組織が特定のインサイトを明らかにすることを可能にするのは、質問自体です。 考慮すべき追加の質問タイプには、以下のようなものがあります。
この質問は非常に単純で、サーベイに関してカスタマーサービスエージェントによるフォローアップを受け入れるかどうかを顧客に尋ねるだけのものです。 これは、顧客が問題点を特定した場合や、より詳細なインサイトを得ようとする場合に、サポートの形式として含めることができます。
顧客ベースの人口統計を把握することで、顧客固有のニーズ、好み、問題点に関するインサイトを得ることができます。 この質問には、年齢、性別、場所、職業などが含まれます。ただし、必ず任意とする必要があります。
あらかじめ用意した回答を選択したり、そこから広げたりすることで、フィードバックのすべての状況を適格に説明できるわけではありません。 自由記述形式質問にはテキストボックスが含まれており、顧客がトピックや懸念事項について詳細な回答を記入できます。
心理的質問は、「誰が」に留まらず、「なぜ」を掘り下げます。 これにはライフスタイル、価値、姿勢、さらには恐れや希望に関する質問が含まれます。 心理的質問を行うと、顧客がその企業の製品やサービスを競合他社の製品やサービスよりも選ぶ理由をより深く理解することができます。
使用頻度に関する質問は、顧客が製品やサービスに関わる頻度を把握することを目的としています。 使用頻度は、その製品がどの程度顧客の生活になくてはならないものになっているかについてのインサイトをもたらします。また、ユーザー満足度の指標にもなります。
顧客の視点を理解し、フィードバックからインサイトを得ることは大変有益で、CSAT サーベイはこれを実現するためのゲームチェンジャーになる可能性があります。 ただし、このサーベイの有効性は、サーベイの実行方法に大きく左右されます。 ここでは、CSAT サーベイから最大限のプラスの影響を得るためのベストプラクティスをいくつかご紹介します。
サーベイを展開する前に、その目標と目的を明らかにすることが重要です。 そのサーベイが製品やサービスに関する全般的なフィードバックの生成を目的としているのか、それとも、特定の機能やイベントに対する反応を測定するためのものなのか、などです。 NPS、CES、CSAT など、サーベイのタイプが異なれば、得られるインサイトのタイプも異なります。 組織の目標に沿ったサーベイの形式を選択することで、取得したデータは関連性・実用性が高いものになります。
質問が過度に複雑だったり、長すぎたりすると、回答者が疲れたり、混乱したりする場合があり、結果の質を損なう可能性があります。 明確で簡潔な質問であれば、回答率が高まるだけなく、回答者が質問内容を確実に理解できるため、より正確なフィードバックを期待できます。
サーベイを顧客ベース全体に送信する前に、小規模なグループでのパイロットテストの実施をお勧めします。 パイロットテストは、サーベイ内のあいまいな質問、技術的な不具合、改善すべき領域の特定に役立ちます。 パイロットフェーズ後に必要な調整を行うことで、より多くの顧客によりスムーズなエクスペリエンスの提供ができるようになり、全体的な回答率が上がる可能性が高まります。
やり取りや体験がまだ顧客の記憶に新しい時期に、サーベイを送信するのが理想的です。 最近の購入に関するフィードバックを求める場合は、一般的に取引から数日以内にサーベイを送信することをお勧めします。 また、サーベイを送信する際は曜日と時間を考慮してください。これらの要素が回答率に影響する可能性があります。
顧客にはサーベイに参加する義務はありません。回答するかどうかは任意です。貴重な意見を共有することを選択した顧客に対しては、感謝の意を示した方がよいでしょう。 インセンティブ (クーポンなど) や、メッセージのようなシンプルな形で感謝の気持ちを表すことで、顧客がフィードバックを提供するのに割いた時間と労力を認識するだけでなく、善意を育み、ブランドとそのブランドがサービスを提供する対象の人々の間の良好な関係を強化します。
データのモニタリングと分析が終わったら、しっかりと時間をとって改善を進めましょう。
満足度を上げる主な要素を特定する:あらゆる点で満足してもらうことが理想ですが、特に他の点よりも満足度を上げている要素がある場合があります。 時間を取ってそうした個々の要素をできる限り多く特定し、特定の要素をさらに伸ばす方法を考えましょう。
従業員満足度を意識する:顧客は従業員と直に接することが多いため、従業員の満足度も重要になります。 やり取りをする従業員自身の満足度が高いと顧客の満足度も上がるので、カスタマーエクスペリエンス向上のための中核戦略として従業員満足度に注力しましょう。
不満を持つ顧客と和解する:不満を持っている顧客も、有益な和解によって推奨者に転換できる可能性があります。 不満を持つ顧客に連絡を取って、詳しいフィードバックを収集し、 問題を解決して、和解の条件を整えましょう。
問題を特定する:フィードバックはカスタマーエクスペリエンス全体の悪化につながるおそれのある問題点や不備を的確に示してくれます。 こうした問題を緩和し、成功へと転換できるように取り組みましょう。
顧客満足度サーベイを適切に実施することで、隠れた問題を明らかにし、製品やサービスの強みを強調して、顧客生涯価値を大幅に高めることができます。 とはいえ、すべてのサーベイが完全に効果的であるわけではありません。組織が CSAT サーベイをどう管理するかが、その有効性に大きな違いをもたらします。 ServiceNow のソリューション、Customer Service Management (CSM) がその管理をサポートします。
CSM を使用すると、詳細な顧客サーベイを簡単に作成してフォローアップできます。 さらに、顧客が何を期待しているかを把握したら、CSM の自動化されたワークフロー、リアルタイム分析、オムニチャネルサポートによって、比類のないサービスとサポートを顧客に提供できるようにします。
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