作業分割構成とは、プロジェクト管理において、複雑なプロジェクトを管理と追跡が可能なタスクに分解するための手法です。
WBS とも呼ばれる作業分割構成の目的は、大規模で複数ステップのプロジェクトをより管理しやすくすることです。これは、プロジェクトをより小さなタスクとプロセスに分割することで行われます。これらの個々のタスクは、異なるチームやチームメンバーが同時に取り組み、完了させることができるため、プロジェクトにかかる時間を短縮し、より効率的に完遂することができます。
作業分割構成は、詳細な図の形式で、プロジェクトの完了に必要な成果物や関連するアクティビティを特定し、分割します。主要な最終成果物は図の最上部に位置し、その下にサブタスクがまとめられています。WBS は、困難なプロジェクトの計画と実行を改善するために、ガントチャートや IT プロジェクト管理ソフトウェアと組み合わせてよく使用されます。
作業分割構成は、一般に、成果物ベース WBS、フェーズベース WBS、責任ベース WBS の 3 種類に分類されます。
このアプローチは、プロジェクトの範囲と成果物との間の関連を明らかにします。範囲をより小さく、より管理しやすい成果物 (通常、プロジェクトの要件を満たすために、プロジェクトのタスクを実行することで作成、供給、取得されなければならない特定のもの) に分割します。
フェーズベースの WBS では、プロジェクトを立ち上げ、計画、実行、管理、クローズの 5 つのステージに分割します。各ステージには、それぞれ固有の成果物があります。
責任ベースの分割では、プロジェクトに従事するチーム、個人、組織単位に基づいて、プロジェクトの構成を定義します。構成の 2 つ目のレベルでは、誰がタスクを完了させる責任を担うのかを特定しますが、それ以降のレベルでは、他の WBS タイプと同様のフォーマットに従い、プロジェクト全体を進めるために完了させなければならない成果物を特定します。
WBS にはあまり一般的でない、アプローチもいくつかあります。これには以下が含まれます。
- 動詞指向型
アクションを使用して成果物を定義します。 - 名詞指向型
構成要素を使用して成果物を定義します。 - タイムフェーズ型
プロジェクトを期間かフェーズに分割します。
前述したように、WBS は最終成果物を頂点とし、その下にすべてのサブアイテムを配置した図の形式をとります。これらのサブアイテムは、通常、4 つの異なるレベルか層に分けられます。これにより、プロジェクト完了までに必要なステップをより簡単に視覚化することができます。トップレベル、コントロールアカウント、ワークパッケージ、アクティビティが、作業分割構成の 4 つのレベルです。
図の一番上に位置する最終成果物です。トップレベルは、プロジェクトのタイトルになることもあります。
2 つ目のレベルは、プロジェクトの様々な主要フェーズで構成されます。これらは、プロジェクトを成功させるために完了させなければならない二次的な成果物です。
ワークパッケージは、コントロールアカウントレベルの下に位置し、二次成果物を作成するうえで必要なタスクを明らかにするものです。
このレベルは、マイルストーンを利用してリスクと不確実性にも対応します。完全な最終レベルは、ワークパッケージを促進するアクティビティで構成されます。
基本的に、すべてのレベルは、それに続くレベルによって支えられています。このため、従来の分割図では、これが最終成果物から下に向かって流れる分岐図となり、プロジェクトを完了するために実行する必要のあるすべての必須タスク、アクティビティ、成果物が考慮されるようになっています。
WBS の図の中でも最も広く使われているのは前述の方法かもしれませんが、これが唯一の選択肢というわけではありません。よく知られている WBS 図には、以下のようないくつかの異なるバリエーションがあります。
前述のように、ツリー図の WSB は、プロジェクトの主要な成果物から下につながる枝分かれした要素としてワークフローを表します。各レベルは、その上のレベルをサポートするタスクで構成されています。WBS の図式化で最も一般的な方法です。
他の方法ほど詳細ではありませんが、WBS のリストは、成果物とサブタスクの概要を簡単に把握したい企業にとって、最もシンプルで簡単な方法かもしれません。重要なタスクを特定して分解したリストで、それ以上のものは含まれません。
ツリー図で示されたすべての情報は、スプレッドシートを使用して簡単に示し、整理することができます。スプレッドシートのアプローチでは、列と行を使用して、さまざまなレベル、タスク、成果物を詳しく説明することができます。スプレッドシートは多くの場合、プロジェクトに変更があった時に、リアルタイムで更新できる動的な共有ドキュメントとなっています。
プロジェクト管理ソフトウェアを使用すると、関連情報のリンク、不一致の調整、マイルストーンの設定などを行うことができる、詳細なガントチャートを作成することができます。このガントチャートは、動的な更新が可能な点ではスプレッドシートに似ていますが、プロジェクト自体のタイムラインとしても機能します。
作業分割構成の作成は、図の形式を問わず、次の 5 つのステップで構成されています。
プロジェクトの範囲と目的、それに関わる人を決定します。また、プロジェクト全体と、何を達成するためのものなのかを説明します。
プロジェクトの完了に向けて、どのようなステップ、タスク、アクティビティ、成果物が必要かを決定し、これらの要素を一連のフェーズに整理していきます。
各フェーズに関連する具体的な成果物を特定します。各成果物をリストアップし、それぞれが成功裏に完了するための条件を特定します。
前のステップの成果物を、各成果物の構成要素となるタスクやサブタスクに分解します。これらのタスクを順番にリストアップしていきます。
すべての関連するタスクが特定され、フェーズに従って整理されたら、各タスクを担当するチームと個人に割り当てます。チームにプロジェクトに参加する権限を与え、必要なリソースやツールを提供します。
WBS は、複雑で多段階のプロジェクトをより管理しやすくするためのものです。しかし、多くの場合、これらのプロジェクトを単純に分解しようとすると、その作業自体が複雑で困難なプロセスになることがあります。WBS ソフトウェアは、WBS のさまざまな側面を簡素化して、自動化するために設計されたツールの一種です。
よく設計された WBS なら、可視化のための技術を使ってプロジェクトを構成するさまざまな要素を明確に記述し、それらの要素が目的のゴールを達成するためにどのように互いにサポートし合っているかを、詳しく説明します。このことを念頭に置き、作業分割構成を作成するためのいくつかのベストプラクティスを紹介します。
WBS では、どんなに小さなタスクでも省略すべきではありません。各レベルにおける成果物は、その下のレベルで詳述された作業の集大成となっている必要があります。
WBS のポイントは、複雑なプロジェクトを理解しやすくすることです。WBS は、詳細な説明を必要とせず、すべての参加者が理解しやすいものである必要があります。
すでに別のタスクで対応している作業のために、わざわざ別のタスクを作る必要はありません。タスクは重複のないようにします。
タスクは、個人で合理的な時間内に完了できる程度に細分化する必要があります。
プロジェクトに含まれるすべてのタスクを考慮することは重要ですが、深くしすぎないようにしましょう。サブタスクの階層を作りすぎると、プロジェクトが混乱し、圧倒されてしまいます。5 階層以下であれば、どんなに複雑なプロジェクトでも十分に簡素化できます。
個々のタスクは、具体的な成果物から成り、マイルストーンと完了日付によってサポートされる追跡可能なものである必要があります。これにより、測定を行い、WBS の有効性を向上させることが可能となります。
WBS は、プロジェクトの範囲を正確に示すものである必要があります。プロジェクトそのものが変化した場合、あるいは WBS に何らかの不足があることが明らかになった場合は、管理者は進んで、該当するあらゆるレベルの構成を修正する必要があります。
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