「アプリケーションサービス」とは、企業がアプリケーションの最適化、展開、管理に使用する相互に接続された社内外のサービスのプールです。
デジタルトランスフォーメーションの加速と、デジタルトランスフォーメーションによる世界中の企業経営の変化が続く中、アプリケーションの重要性が高まっています。現在では、あらゆる規模の企業がサポートと拡大のみならず、成功を「推進」するためにもソフトウェアソリューションに大きく依存しています。ビジネスソフトウェアへのこの依存傾向は高まるばかりです。
イノベーションの加速化に伴い、アプリケーションのセキュリティ、可視性、一貫性、パフォーマンスに関する懸念も高まりつつあります。ビジネスの中心となるソフトウェアが、結局のところ、最適に、効率的に、あるいは安全に動作しなくなった場合、何が起こるでしょうか?
多くの場合、「アプリケーションサービス」と「アプリケーションサービス管理」にその答えがあります。アプリケーションサービスは、アプリケーションの利用を支援し拡大するもので、企業に特定のソフトウェアサービスを提供するように構成されています。アプリケーションサービスは、連携して動作するアプリケーションとホストで構成されており、企業向けまたは顧客向けアプリケーションソリューションを対象として設計されています。
現代のビジネスは、複雑化する IT 環境に依存しています。Okta によれば、2022 年に平均的な企業が展開している個別アプリケーションの数は 89 個で、2016 年から 24% 増加しています。このようなアプリケーションシステムには、レガシーテクノロジー、SaaS (software-as-a-service) ソリューション、モニタリングソフトウェアなどが含まれていることがあります。
重要なビジネスアプリケーションのサポートと、適切なガバナンスソリューションを確実に導入することは、非常に大きな責務であり、既存の IT 部門の時間、労力、リソースがたやすく消費される可能性があります。
アプリケーションサービスとその関連アプリケーションサービス管理ソリューションでは、窮地に立った IT 担当員を責務から解放するため、テクノロジーを適用します。これにより IT プロフェッショナルと IT プロフェッショナルに依存している企業が、多くのリソースを戦略の策定やビジネス成長の促進へと振り向けることができます。
あらゆるビジネスニーズ対応するさまざまなアプリケーションがあるように、アプリケーションサービスにもさまざまな種類があります。単純な 1 つのタスクを実行するアプリケーションでさえ、多数のサポートアプリケーションやホストを必要とし、それらがすべて目的のサービスを提供するように構成されている必要があります。たとえば、Web ベースのアプリケーションを使って財務報告書を作成するために必要となるのは、Web サーバー、データベース、アプリケーションサーバー、ネットワークインフラ、ミドルウェアであり、これらが連携することで財務報告書を作成できるようになります。
アプリケーションサービスのその他の例としては、クレジットカード決済サービス、CRM システム、為替レートサービス、オンライン店舗、注文管理システム、在庫管理システムなどがあります。
この点を踏まえて、アプリケーションサービスの 5 つのカテゴリと各カテゴリの例を以下に示します。
「アクセス」アプリケーションサービスとは、ユーザー ID 確認を支援し、安全なアプリケーション、ネットワーク、プラットフォームなどにアクセスできるようにするアプリケーションサービスです。以下のようなサービスが含まれます。
- アプリケーションアクセス
- ID フェデレーション
- セキュア Web ゲートウェイ
- SSL VPN
- SSO
「可用性」アプリケーションサービスは、アプリケーションがその目的の機能を実行できるように、ネットワークトラフィックとインターネットトラフィックを効率的にルーティングしてバランスをとるサービスです。可用性アプリケーションサービスには以下のものが含まれます。
- DNS
- ロードバランシング
- SDN ゲートウェイ
アプリケーションサービスの比較的新しいカテゴリである「モビリティ」のアプリケーションサービスは、モバイルコンピューティングとその関連プロセスを促進するアプリケーションをサポートします。これには以下のものが含まれます。
- エンドポイントセキュリティ
- IoT ゲートウェイ
- VDI
パフォーマンスアプリケーションサービスの目的は、アプリケーションの有効性、効率性、パフォーマンスを強化することです。以下のようなサービスが含まれます。
- アクセラレータ
- キャッシュ
- 圧縮
- HTTP/2 ゲートウェイ
- SSL/TLS オフロード
- TCP の最適化
- WAN の最適化
「セキュリティ」カテゴリのアプリケーションサービスは、重要なデータの保護、機密性の高いアプリケーションのセキュリティ保護、さまざまな攻撃者による侵入の阻止を支援します。セキュリティアプリケーションサービスには以下のものが含まれます。
- 不正防止対策
- ウイルス対策
- ボットネット防止
- ファイアウォール
「アプリケーションサービス」と「アプリケーションサービス管理」という用語が同義で用いられることがよくあります。これは十中八九、用語を効率的に使用しようとしているものであると考えられます。企業は重要なソフトウェアを促進するサービスのコントロールと可視性の強化に取り組んでいるため、アプリケーションサービスに関する議論になると、常にサービス管理の要素が伴ってきます。そうは言っても、アプリケーションサービス管理とアプリケーションサービスは同一ではありません。
「アプリケーションサービス管理」はシステム管理の一部であり、企業によるビジネスアプリケーションサービスのパフォーマンスの管理と監視を強化するための戦略、ツール、プロセス、規律を表す用語です。
この名前のとおり、クラウドアプリケーションサービスとは、クラウドに展開されているアプリケーションをサポートするためのサービスです。SaaS、IaaS (infrastructure-as-a-service)、PaaS (platform-as-a-service)、データストレージ、ファイル共有、データガバナンス、ビッグデータ分析、クラウドセキュリティサービスを含む幅広いアプリケーションサービスです。クラウドアプリケーションサービスは基本的なクラウドベースのソフトウェア (メールサービスなど) にも関連しています。
アプリケーションモダナイゼーションは、新しいアプリケーションへのアナログのレガシーデータの移行を中心としたアプリケーションサービスの分類の一つです。アプリケーションモダナイゼーションには、追加または拡張ビジネス機能の統合も含まれます。
アプリケーションモダナイゼーションサービスには、アプリケーションアーキテクチャの変更、サードパーティ連携での相互運用性、再構築、再コーディング、再エンジニアリング、再ホスティング、プラットフォーム変更、アプリケーションの廃止や交換などが含まれます。
アプリケーションサービスの拡張性と、アプリケーションサービスがビジネスパフォーマンスと効率性にもたらす影響を考慮すれば、多くの企業がアプリケーションサービスやアプリケーションサービス管理を定評あるサードパーティプロバイダーに委任または外注することを希望していることは、特に驚くことではありません。アプリケーションサービスプロバイダー (ASP) は、トランザクションベースの価格設定を採用して、特定のアプリケーションをサポートする機能や関連サービスをネットワーク経由で提供する企業です。
アプリケーションサービスプロバイダーは、あらゆる業界のあらゆる規模の企業がアプリケーションサービスを大規模に管理して、アプリケーションのメンテナンスとサポートを最適化し、コストを削減できるようにします。最近の ASP の中心にあるのは、AI と自動化テクノロジーの普及の高まりです。
アプリケーションサービス自動化を適切に適用すれば、エラーが発生しやすく難しい手動でのサービスタスクが、精度の高い結果を出す繰り返し型の自動プロセスへと変わります。アプリケーションサービス管理と ASP におけるこの自動化への動きにより、サービスのアップタイムと効率性が向上しました。これにより、企業は限りのある IT リソースのうちアプリケーションの保守に割り当てる分を抑えつつ、より多くの業務を処理できるようになりました。
ASP はサードパーティによりリモートでホストされているため、SaaS ソリューションと同じグループに分類されることがよくあります。この 2 つにはいくつかの類似点があるものの、厳密には同一ではありません。
SaaS モデルでは、同じバージョンのアプリケーション (そのすべての機能とアップグレードを含む) を使用している一連のテナントに対してサービスが提供される傾向にあります。SaaS ソリューションは、ソリューション専用ソフトウェアへのアクセスを提供します。ユーザーはソフトウェアのライセンスは所有していませんが、必要に応じてソフトウェアを使用する権限を購入します。プロバイダーは、顧客 (通常は企業などの組織) に代わって外部サイトからソフトウェアをホストして実行し、リリース管理を行います。顧客は標準的な Web ブラウザーを介して Web 上でのみアプリケーションにアクセスします。
一方で ASP は多くの場合、より基本的なアプローチであると捉えられています。プロバイダーが、他のサードパーティにより開発されたアプリケーションを管理、ホストします。また ASP の場合、クライアントはサードパーティアプリケーションをローカルにインストールし、他のユーザーとは別のアプリケーションインスタンスを維持することが必要なことがあります。このため、ASP インスタンスの更新には多くの時間とコストがかかる可能性があります。
最新のアプリケーションサービス管理では、ASP の機能と、クラウドベース SaaS ソリューションの高度な機能、アクセス、サポートが組み合わせられています。IT 管理のリーダーである ServiceNow は、この変革の最前線にいます。
ServiceNow は、ビジネスのニーズに対応できるようにアプリケーションを最適化するためのリソースとサポートを提供します。受賞歴のある Now Platform® を基盤とする App Engine Studio は、コーディングスキルレベルを問わずすべてのユーザーに視覚的なアプリケーション開発と最適化の環境を提供します。アプリケーションを新規に構築するか、または強力なテンプレートオプションを利用できます。市民開発者と協力し、チームと部門全体にわたってアプリケーション戦略を調整できます。IT 環境全体にアプリケーションを容易に統合できます。また、これらに取り組んでいる間ずっと、エキスパートとつながり、課題に対処して、ServiceNow コミュニティで新しいスキルを習得することができます。ServiceNow はこれらすべてを可能にします。
ServiceNow の Application Development の詳細をご覧になり、貴社のアプリケーションをかつてないレベルへと高めてください。
Now Platform には、ワークフローを迅速、効率的にデジタル化して大規模に実行できるコア機能が含まれています。