組織の概要
CARE は、特に女性と女児の支援に重点を置きながら、世界 120 か国以上で貧困や社会的不公正と闘っている組織です。緊急支援から教育や医療プログラムまで、CARE はインフラストラクチャに限界があり、リソースが不足している場所にインパクトをもたらしています。そのため、この組織では柔軟性がありアクセス性の高いテクノロジーに依存しています。
背景
CARE は、アフリカで最も人口が密集し、最も貧しい国の 1 つであるマラウイで、学校において「出欠を確実に追跡できない」という、数千人の生徒に影響を与える長期的な課題があることに気づきました。国内の学校は、手作業の紙ベースでの出欠確認プロセスに依存していましたが、これは教員にとって時間がかかり、ミスが発生しやすく、その記録に基づいてリアルタイムで対応することがほぼ不可能でした。
CARE の支援を受けている学校では、1 クラス平均 89 名の生徒がいます。正確な出欠データがなく、管理者はリソースの効果的な割り当て、給食量の調整、中途退学のリスクがある生徒の特定に苦慮していました。
教員兼データ収集担当者の James Laja 氏は、問題の核心を次のように捉えています。「古いシステムでは、出欠データの収集でミスが多く、出席状況の提出には時間がかかりました」。その影響は深刻でした。給食数を誤り、昼食がとれない生徒が出るということがありました。中途退学の恐れがある生徒が見過ごされ、支援を差し伸べる余地が狭まってしまうということもありました。CARE は、ネットワーク接続が限定的な環境において、すでにかなりの無理をしている教員たちに負担をかけることなく、確実に機能するソリューションを必要としていました。
ServiceNow.org Partnership for Good Grant (SPGG) の受賞者として、CARE は KPMG と連携し、ServiceNow App Engine を基盤とする AI 搭載で SMS 対応の出欠確認ソリューションである AttendAssist を設計・構築しました。これは、ネットワーク接続が限定的な環境での運用を前提としており、リアルタイムでの出席状況の予測・追跡、管理者全体のワークフローの統一、生徒のエンゲージメントの維持、全員の出席の確認を実現するシステムで、これまでの手動によるプロセスを置き換えることを目的としていました。App Engine のローコードプラットフォームが活用され、CARE は大規模なエンジニアリングチームを雇うことなくそのソリューションを構築できました。これは、リソースが限られた他の組織でも同じことができるということを意味します。
ソリューション
AttendAssist は App Engine 上でネイティブに開発されており、具体的な運用環境とワークフロー要件に合わせて CARE はそのソリューションを柔軟に構成し直すことができます。チームは既製のツールを採用せず、マラウイの学校が直面している状況で確実に機能する、目的に特化したアプリケーションを構築しました。
このソリューションの中核にあるのが、教室で生徒の識別を自動化する AI 主導の画像認識テクノロジーです。Laja 氏によると、成果は著しいものでした。「生徒たちは毎日写真を撮られることがうれしくて、出席率が向上しています」。このシステムは正確なデータをリアルタイムで送信します。この点は手動プロセスとは正反対です。手動での出欠確認を不要とすることで、教員は書類仕事から解放され、「教える」というより重要な事柄に集中できるようになります。
SMS の統合は、当初から設計の中心にありました。多くの学校はインターネットアクセスが限定的であるか確実ではない地域で運営されているため、このソリューションでは SMS を使用して、出欠データと管理者やスタッフへのプッシュ通知を送信しています。これにより、インフラストラクチャへの投資 (この地域のほとんどの学校は負担できない) を必要とせずに、リソースに制約がある状況でも機能する有用なシステムとなります。
管理面では、AttendAssist は、学校管理者全体のワークフローを統合し、スタッフが出席状況の食い違いを解決したり、給食量を調整したり、個々の懸念される生徒にフラグを立てたりするための一元的な場所を提供します。これにより管理者は、ばらばらに存在するスプレッドシートや手動のフォローアップに頼るのではなく、出席状況の情報に基づいて迅速かつ一貫して対応できるようになりました。不可欠なニーズを学校に迅速に供給することで、リソース割り当ての遅れとミスの両方を削減できました。
低所得コミュニティの多くの家族にとって、学校は子どもが間違いなく食事を取れる場所です (家庭では提供できない場合がある)。貧困から抜け出す道を切り拓くためには、栄養と教育の両方が不可欠です。CARE が支援している学校では、45% の生徒が自宅で朝食を食べずに登校しています。正確な出欠確認により、正確な数量の給食を生徒のために用意できるようになり、作りすぎて食べ物を無駄にしたり、不足したりすることを避けられます。
成果
AttendAssist のインパクトは非常に大きく、有意義なものでした。生徒の Naomi Malizani さんはこう言っています。「AttendAssist は登校している生徒数を正しく把握するのに役立っており、登校者数に間違いがあったこれまでのシステムと比べて、大きく改善されています」。
マラウイにある 111 の学校では、CARE が出席率を 36% 近く向上させ、7 万人以上の子どもたちに直接恩恵をもたらしています。教員の側の効率向上も同じく顕著です。出欠確認のための時間が 90% 短縮されたことで、実際の教育指導のほうにさらに時間をかけられるようになりました。限られたリソースで 50 名を超える生徒を管理している教育者にとって、その時間は革命的であり、管理業務に追い回される学校での 1 日と、学習指導に集中できる 1 日の違いを生むものとなります。
CARE は、SMS 対応のワークフローを使用して、給食提供におけるリソース割り当てミスも減らすことができました。Laja 氏は、「登校生徒数が正確に把握できることは給食の準備にも役立っています。正確な給食数を用意して無駄をなくすことができるからです」と説明しています。この正確さによって、必要とする生徒たちに給食が届き、手動システムの悩みであった無駄が発生しなくなります。
管理ワークフローをシングルプラットフォームに統合することで、CARE は出欠パターンに関するリアルタイムのフィードバックを地区の監督者に提供し、学校への支援を迅速に手配してもらうことを可能にしました。従来のシステムでは、すべての学校で人数確認を行うために 3 週間を要していましたが、AttendAssist を使用すると、CARE と地区の監督者は 1 日ですべての学校から出欠状況データを取得し、24 時間以内にフィードバックを提供できます。
今後の展望
CARE と ServiceNow は、手動による出欠状況の追跡が教育利用の障壁となっている国や環境に対して AttendAssist を拡張する方法を模索しています。App Engine ビルドはモジュール式であるため、一からの再構築を必要とせずに、さまざまな言語や接続環境、管理構造にそのソリューションを適応させることができます。CARE がそのデジタルプログラムを拡大し続ける中で、ServiceNow.org は、個々の学校での展開から地域や国のプログラムに至るまで、その拡大をサポートできるプラットフォームパートナーであり続けます。
AttendAssist は、教員がすでに毎日使用しているツールを利用します。教員はクラスの写真を撮り、他のメッセージを送信するのと同じ方法でそれを送信するため、システムが利用されないままとなることはありません。CARE は、採用するあらゆるテクノロジーに同様のテストを実施しています。テクノロジーは、それを使用する人々と、その人々がサービスを提供するコミュニティのために機能するものでなければなりません。
CARE は、出欠確認だけでなく、リアルタイムのデータと自動化されたワークフローによってリソースの割り当てやスタッフの効率性が同様に改善される可能性がある、教育や従業員トレーニング、医療プログラムなど他の運用上の課題にも、同じアーキテクチャを適用できる可能性があると考えています。AttendAssist の成功は、熟慮して設計することで、エンタープライズグレードのテクノロジーが世界で最も要求の厳しい環境でも効果的に機能し得ることを実証しました。
結論
CARE による App Engine での AttendAssist の展開は、適切なコンテキストに基づいて構築された適切なテクノロジーが、有意義な変化を大規模に生み出すことができることを証明しています。
CARE は、わずか 9 か月で 111 の学校において出席率を 36% 近く向上させ、教員が出欠確認に費やす時間を 90% 短縮できました。これはリソースが限られた環境でも、AI とワークフローオートメーションで現実の人間の問題に対処することで、どのような可能性が広がるのかを示しています。
人道的な支援と開発に取り組んでいる組織にとって、この試みは、ServiceNow AI Platform がそれぞれの状況に対応し、前進を支援できることを実証するものとなりました。