約4000システムの可視化に成功。 富士通が目指す シンプルで変化に強いIT環境
約4000種類 グループ全体で約4000種類にも上るシステムをAPMで可視化。 約30%削減 システム開発の申請内容の集約、予算の集計、経営層へのレポート作成などの作業時間が約30%削減された。 情報の統一 SPMでシステム開発プロジェクトの申請フォーマットが統一され、予算や成果などの比較が容易になった。
製品・サービスだけでなく、経営や業務を抜本的に変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している富士通。その重要な取り組みの一つが、全社のシステムや業務プロセスをエンド・ツー・エンドで標準化する「OneFujitsuプロジェクト」です。手始めに各事業部門やリージョンがどのようなシステムを導入しているのかを可視化し、全体のITポートフォリオを管理したいと考えた同社は、ServiceNowのSPM(Strategic Portfolio Management)とAPM(Application Portfolio Management)を導入。標準化に取り組むための基盤が整っただけでなく、各事業部門から上がってくるシステム予算申請の処理や経営への報告が迅速化するなど、業務効率も向上しました。

事業部門間やリージョン間のシステムを標準化する
デジタルテクノロジーの急速な進化とともに、多くのIT企業は製品やサービスの見直しだけでなく、経営や業務のあり方まで抜本的に見直す必要に迫られています。そうしたトレンドの変化に対応して、いち早く自らの変革に挑んでいるのが富士通です。

同社は2020年7月、「富士通のトランスフォーメーション」から名付けたDXプロジェクトである「フジトラ」を始動しました。一方で、グループ全体としての変革を促すには、事業部門間やリージョン間で横の連携が重要となります。そのためのプロジェクトとして、国内外のグループ企業を含む全社の業務やシステムをエンド・ツー・エンドで標準化する「OneFujitsuプロジェクト」をスタートしました。

「事業部門ごとや、リージョンごとの業務の進め方がバラバラのままでは、時代の大きな変化にグループ全体として柔軟に対応することはできません。『OneFujitsuプロジェクト』では、グループ内のあらゆるデータを1つに統合し、共有された情報を基に適切なアクションが迅速に取れる環境づくりに取り組んでいます」と語るのは、同社 デジタルシステムプラットフォーム本部 グローバルヘッドオフィス シニアマネージャーの青木克憲氏です。

富士通全体としての業務体系を定義し、それに当てはめる形で全社最適化された「エンタープライズアーキテクチャー」を構築するプロジェクトが動き出します。そのプロジェクト管理にもServiceNowを積極活用していきます。 青木 克憲 氏 デジタルシステムプラットフォーム本部 グローバルヘッドオフィス シニアマネージャー

標準化への布石として、開発承認の権限を本社に集約
グループ全体のシステムを標準化するための布石として、富士通は、CDPO(最高データ&プロセスオフィサー)という新たな役職を設立しました。社内の業務プロセスとデータに対して誰が責任を持つのかというオーナーシップを明確化したのです。

その上で、開発予算および開発計画の承認権限を本社に集中。従来は、各事業部門やリージョンがそれぞれの裁量で予算と計画を策定していましたが、本社がコントロールすることで、個別最適化されたシステムの乱立にブレーキをかけることにしました。

「各事業部門やリージョンからシステム開発の申請を上げてもらい、『OneFujitsuプロジェクト』が目指す標準化の方向性に照らし合わせて、『やる、やらない』を判定する方法に変更しました」と語るのは、同社 デジタルシステムプラットフォーム本部 クラウドサービス統括部 シニアディレクターの阿部功一氏です。

標準化を進めるためには、まず各事業部門がどのようなシステムを導入しているのかを可視化し、全体のITポートフォリオを管理する必要があります。そのためのソリューションとして、富士通はServiceNowのSPM(Strategic Portfolio Management)とAPM(Application Portfolio Management)を導入しました。

グループ全体で稼働するすべてのシステムを可視化
ServiceNowのSPMは、企業全体やグループ全体のITポートフォリオ管理がワンプラットフォームでできるソリューションです。どのようなシステムの開発プロジェクトが承認され、プロジェクトはどこまで進捗しているのか。予算に対して実際に執行された費用はいくらなのかといったことが管理できます。一方、APMは企業内やグループ内で稼働しているアプリケーションの全体像を可視化するソリューションです。どの事業部門やリージョンが、どんなシステムを保有しているのかということが俯瞰できます。

富士通は、APMを活用して、グループ全体にどれだけのシステムがあるのかを可視化する作業から着手しました。

「従来、IT資産の管理は事業部門やリージョンごとに行っていましたが、管理の手法はバラバラだったので、そこから標準化を進める必要がありました。結果的に、IT管理手法をグループ全体で統一したことが、『OneFujitsu』への最初の一歩になったのではないかと思います」と語るのは、同社 デジタルシステムプラットフォーム本部 グローバルヘッドオフィスの齋藤崇雅氏です。

標準化に向けた取り組みが本格的に始動
APMの標準的なデータモデルに合わせて、各事業部門やリージョンからの報告を取りまとめたところ、富士通グループ全体で利用されているシステムは、実に約4000種類にも上ることが分かりました。

阿部氏は、「全体の状況は可視化できたので、いよいよ標準化に向けた取り組みを本格的に始動したところです。ITサービスの分野ごとに、そのポートフォリオの最適化に責任を持つSDO(サービスドメインオーナー)を本社に配置し、標準化に当てはまらない既存システムの洗い出しや、リプレイスメントを主導してもらいます」と、次のステップについて説明します。新しいシステムに置き換えた場合、各部門の業務やサービスがどのように改善されるのか、トータルコストはどれだけ削減されるのか、といったことも踏まえて見直しを行うのがSDOの使命です。

予算集計やレポート作成の作業時間が約30%削減
一方で富士通は、各事業部門やリージョンからのシステム開発の申請を受け付けるためにSPMを利用しています。

SPMには、システムの開発要求(デマンド)と予算の申請を受け付ける機能があります。審査を行うために必要な入力事項が統一され、プラットフォームを経由して申請ができる仕組みです。申請する側には、エクセルにまとめた申請書類をメールに添付して送るといった手間がなく、受理する側も、申請内容がそのまま画面上にリストアップされるので、エクセルに書き込まれた内容をコピーしたり、転記したりする面倒がありません。当然、転記ミスなどは解消され、業務効率も格段に上がります。

SPMを導入するまで、富士通は自社開発したシステムで国内各事業部門からのシステム予算申請を処理していました。しかし、すべての申請情報を網羅できていたわけではなく、一部の情報についてはエクセルで管理していました。また、海外の予算は別のシステムで管理していたので、それらを手作業で統合しなければ、全体像を把握できませんでした。

それがSPMで一元化されたことで、「申請内容の集約や予算の集計、経営層へのレポート作成といった作業に要する時間は、導入前に比べて約30%削減できました」と阿部氏は効果について語ります。

今後は開発プロジェクトのマネジメントにSPMを活用
取りまとめる内容に一貫性がもたらされたことも大きな導入効果となったようです。齋藤氏は、「SPMで申請フォーマットが統一されるまでは、部門ごと、リージョンごとに申請内容の粒度がバラバラで、プロジェクトごとや年度ごとの違いもありました。それが統一されたことで、経営層に提出するレポートも予算や成果などの比較がしやすいものになり、より適切な経営判断が下せるようになったのではないかと思います」と語ります。

「OneFujitsuプロジェクト」のようにグループ全体の業務プロセスやシステムを標準化する取り組みは、各事業部門やリージョンに、その意義をしっかり納得してもらえるかどうかが成否のカギを握ります。

「そのための機会として、SPMとAPMを導入して以来、国内だけでも10回近くのユーザー向け説明会を開催しました。各事業部門やリージョンのユーザーからは日常的に様々な問い合わせが寄せられていますが、ServiceNowのITSMをベースに開発したポータルなどを使って迅速に答えるようにしています」と阿部氏は説明します。

青木氏は、「富士通全体としての業務体系を定義し、それに当てはめる形で全社最適化された『エンタープライズアーキテクチャー』を構築していきたい。今後、既存のシステムをリプレイスするプロジェクトがどんどん動き出すはずですが、そのプロジェクトマネジメントにもSPMを積極活用していきます。また、富士通の大きな課題は、旧来型のSIやシステム開発中心から、デジタル中心のビジネスモデルにいかに転換するかということですが、『OneFujitsuプロジェクト』によってグループ全体が使用するシステムがシンプルになれば、IT費用の7 ~ 8割を占める運用コストが大幅に削減され、その分を投資に回せます。これによって社内のデジタル化が進めば、お客様に提案できるデジタルソリューションの知見やノウハウが蓄積され、デジタル中心のビジネスモデルへの転換が一気に加速するのではないかと思います」と今後について語りました。

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