120年以上の歴史を持ちながら、常に進化するテクノロジーを先取りし、DXによる企業変革で成果を創出しているNEC(日本電気)。現在、新たに「AIネイティブカンパニー」への変革に向け、AIを前提とした業務プロセスの構築を本格化しています。
「AIネイティブカンパニー」を目指すNECが具体的な取り組みとして進めたのが、2025年4月にスタートした「AI業務変革プロジェクト」です。人に代わって様々な業務を行うAIエージェントの企画の中から、60件の開発プロジェクトを選定し、約1年間にわたって推進してきました。
2026年4月には、この「AI業務変革プロジェクト」を発展させ、NEC全体におけるAI基盤の整備や、AIアプリケーションの開発、利活用促進などを担う「AIプラットフォーム統括部」を設置。「AIネイティブカンパニー」への挑戦を加速させています。
NECが目指しているのは、創業120年以上のトラディショナルな企業でも、AI時代に合わせた組織や業務の変革が実現できるという可能性を示し、NECのお客様の参考にしていただくこと。「クライアントゼロ」としてまずは自らがユーザーとして試し、確立した成功モデルをお客様に提案するために取り組んでいるNECのAX(AIトランスフォーメーション)の最前線に迫りました。
お客様の参考にしていただくため、「AIネイティブカンパニー」となる
「AIは新たな産業革命だと考えています。その可能性を示し、お客様の参考にしていただくため、まず自らが『AIネイティブカンパニー』となることを目指し、様々な取り組みを進めています」と語るのは、NECのコーポレートIT・AIイノベーション部門 AIプラットフォーム統括部で、シニアディレクターを務める関 徳昭氏です。
関氏は「AIネイティブカンパニー」への道のりを3段階で捉えています。第1段階は「AIを使い始めた段階」、第2段階は「AIが業務プロセスそのものを変える段階」、そして第3段階が「AIが業務を担う『AIネイティブカンパニー』」です。
「多くの企業は今、第1段階にいます。NECも現在、第2段階への移行期にあります。この変革を体現することで、同じ課題を抱えるお客様の道標になれると考えています」と関氏は語ります。
そんな、「AIネイティブカンパニー」を目指すNECが具体的な取り組みとして進めたのが、2025年4月にスタートした「AI業務変革プロジェクト」です。
ServiceNowを基盤として、「ナレッジ自動生成」の仕組みを構築
関氏がプロジェクトマネージャーを務めた「AI業務変革プロジェクト」では、AIと親和性の高い7つの業務領域の中で、人に代わって様々な業務を行うAIエージェントの企画の中から60件の開発プロジェクトを選定し、約1年間にわたって推進しました。
NECはこのプロジェクトをさらに発展させ、2026年4月には、全社におけるAI基盤の整備や、AIアプリケーションの開発、利活用促進などを担う「AIプラットフォーム統括部」を設置しました。
「当社におけるAI活用の『一丁目一番地』と言える組織です。NECを『AIネイティブカンパニー』にするために、積極的な役割を果たしていきたい」と同統括部のシニアディレクターに任命された関氏は抱負を語ります。
AIプラットフォーム統括部は、「AI業務変革プロジェクト」で動き出した60のAIエージェント開発プロジェクトを引き続き統括しています。
そのプロジェクトの一つが、人事に関する従業員問い合わせの効率化です。ServiceNowの従業員ポータルを基盤として、人事に関する従業員からの問い合わせ内容と回答のデータを蓄積し、そのデータを基にNECが独自に開発したAIが「ナレッジ(FAQ)」(以下、ナレッジ)を自動生成する仕組みの構築です。
ナレッジの精度を高めることで自動回答の品質を向上させる
「ServiceNowの従業員ポータルでは、従業員からの問い合わせに対し、AIチャットボットがナレッジを基に自動回答するサービスを提供しています。AIチャットボットで解決せず、ヘルプデスクに問い合わせが起票された場合は、AIエージェントがナレッジや過去の問い合わせデータなどから回答案を提案する仕組みです。そこから蓄積された問い合わせデータと社内規定などを組み合わせ、AIがナレッジの自動生成を行い、ナレッジの精度を高めることで自動回答の品質を向上させるエコシステムを構築しました」
NECが取り組みを進める「ナレッジ自動生成」プロジェクトについて説明するのは、AIプラットフォーム統括部に所属し、ServiceNow関連のAIアプリケーション開発などをリードする AIワークフローグループ プロフェッショナルの廣瀬貴也氏です。
ナレッジ生成の工数が92%削減、ユーザーの「自己解決率」も50%向上
この仕組みの特徴の一つは、ServiceNowに組み込まれているAIと、NECが独自開発したAIを“適材適所”で使い分けている点にあります。
「ServiceNowの生成AI(ServiceNow Otto)は都度の回答生成に優れる一方、ナレッジ生成には社内規定の参照や膨大な過去の問い合わせデータの集約が不可欠です。そのためNEC独自の仕組みを構築して補完しました。ServiceNowは拡張性が高く、両者のスムーズな連携が実現しています」と廣瀬氏は語ります。
この仕組みをAIで構築したことにより、ナレッジ生成の工数は92%削減。さらに、ナレッジの精度も上がったことでユーザーの「自己解決率」も50%向上したそうです。
NECはこの他にも、独自の技術とServiceNowを組み合わせたソリューションをいくつも開発しています。その一つが、レガシーシステムの画面スナップショットを基に、ServiceNowのテーブル設計から作成までを自動化し、さらにServiceNow Ottoへのインプットとなるプロンプトまで生成するソリューションです。これによって、モダナイゼーションにかかる工数は65%削減、プロジェクト期間も50%短縮されるなど、ServiceNowのアプリケーション開発の効率とスピードは格段にアップしました。
ServiceNowの「アップグレード」にスムーズに対応できる仕組みを開発
NECの技術を駆使すれば、ServiceNowのアプリケーション開発は格段に効率化します。その最たるソリューションとして同社が開発したのが、半年に1度のServiceNowの「アップグレード」にスムーズに対応できる仕組みです。
アップグレード作業について、企業によっては大きな負担を強いられることもありますが、AIプラットフォーム統括部で、廣瀬氏と同じくAIワークフローグループ プロフェッショナルを務める青木紀夫氏は次のように語ります。
「ServiceNowは、半年に1度の頻度でアップグレードが行われますが、その都度、カスタマイズしたアプリケーションの動作確認やテストに膨大な工数を要するのが一般的です。その作業量を大幅に減らすため、当社のAIでServiceNowのアップグレード対応を効率化する仕組みを開発しました」
この仕組みでは、NECのAIが2つの作業に用いられています。1つは、カスタマイズしたアプリケーションが、アップグレードによってどのような影響を受けるのかを分析する「影響分析AI」。もう1つは、テスト段階において、どのようなシナリオに基づくテストを行うべきかを提案してくれる「テストシナリオAI」です。
「影響分析に関しては、従来はアプリケーションの構成情報と、ServiceNowから提供されるリリースノートの内容を人間の目で照らし合わせ、どこを直すべきかを一つひとつ確認していました。これでは工数も期間もかかりますし、人によって作業の効率やバラつきが出てしまいますが、影響分析AIを活用することで、分析の精度は格段に上がり、工数も92%削減することができました。また、テスト工数も43%削減しました」と青木氏は効果を語ります。
大きな変革の可能性を、NECと一緒に探っていただきたい
NECは、ServiceNowをはじめとするテクノロジーやソリューションと、NECが誇る先進テクノロジーを組み合わせ、顧客のDXをエンドツーエンドで支援する「BluStellar(ブルーステラ)」という価値創造モデルも展開しています。
これは、NECの約1万人に上るDX人材が、顧客企業ごとの目的や事業特性などに合わせて、ServiceNowなどのソリューションを最適な状態で企業に導入、運用できるように支援するサービス提供モデルです。
「せっかく最新ソリューションを導入するのなら、狙い通りの成果を上げていただきたい。そんな思いから、まずは自分たちで徹底的に使い倒して効果を検証し、NEC独自のテクノロジーも融合させることで、最適な解決策を提案しています」(関氏)
最後に関氏は、「ServiceNowをITマネジメントツールとして捉えている限り、本当のROIは生まれないと考えています。ServiceNowをデジタルワークフローのプラットフォームであると理解し、IT以外の業務にデジタルワークフローを広げ、AXすることで初めて、人は定型業務から解放されて真の価値創造のみに集中できるようになります。大きな変革の可能性を、ぜひNECと一緒に探っていただきたいと思います」と語りました。