ネットプロモータースコアは、顧客満足度を定量化してチャート化するための測定基準であり、ブランドを他の人にどの程度勧めたいかを現在の購入者に尋ねます。
顧客はどの程度満足しているか? これはなかなか一筋縄では答えられない質問かもしれません。 なぜなら顧客満足度は多くの企業が追跡するデータでは必ずしも明らかにならないからです。 サービスが期待を下回っていたとしても、わざわざ時間をかけて苦情を訴える顧客ばかりではありません。 単に惰性で、あるいは別の常連先を見つけるのは手間がかかりすぎるため、その企業とビジネスを続ける人もいるかもしれません。 そういう顧客はとりあえず購入を続けますが、 満足しているとは言えません。
つまり、企業は重要な顧客インサイトを取り逃している可能性があるということです。 もっと明確に顧客満足度を把握し、改善の余地がどこにあるのかを知るために、どの業界でもトップ企業が頼りにしているのがネットプロモータースコア (NPS) です。
ネットプロモータースコアは、ある特定の顧客満足度サーベイへの回答から導き出されます。 ただし、ほとんどの満足度調査とは異なり、NPS サーベイが注目するのは次のようなたった 1 つの重要な質問に対する回答です。「[お客様は] [そのブランドを] ご友人や同僚にどの程度勧めたいと思いますか?」
一部の企業は自社のビジネスに合わせて NPS サーベイをカスタマイズしたり、複数の「ドライバー」または「フォローアップ」質問を追加したりしていますが、サーベイ全体の中心はとてもシンプルで直接的であり、回答者はエクスペリエンス全体を 1 つの総括的回答に集約することができます。 これはサーベイの焦点を簡素化できるだけでなく、回答にほとんど時間がかからず、顧客の視点だけに集中しているため、きわめて参加しやすいサーベイになっています。 NPS は単独で調査されることが多いですが、より広いサーベイ戦略に統合することもできます。
NPS のもうひとつのセールスポイントは、サーベイ実施と同じくらい管理も簡単だという点です。 顧客は、そのブランドを友人や同僚にどの程度勧めたいと思いますかという質問に対して 0 ~ 10 までの点数で答えるよう提示されます。0 点は「そのブランドを勧めたいとはまったく思わない」、10 点は「そのブランドを非常に強く勧めたい」を意味します。 サーベイを実施する企業は回答を収集し、回答者を以下のカテゴリに分類します。
回答が 9~10 点の上位得点者は「推奨者」と呼ばれます。最も熱心な顧客であり、ブランドに対して単なる購入行為以上の思い入れがあります。 推奨者は「ブランドアンバサダー」と同じ意味を持ち、ポジティブなエクスペリエンスを他者と共有してブランドのマーケティングを助けます。 これはブランドの評価と信用の向上につながり、マーケティングと販売のキャンペーンにまつわる高額のコストはかかりません。
推奨者がブランドに対して「熱意がある」のに対し、回答が 7~8 点の中立者は単に「満足している」人です。 カスタマーエクスペリエンスに「不満」があるわけではないですが、かといってブランドを他者に強く推奨するほどでもないという状態です。 中立者は概ねそのブランドとビジネスを続けますが、競合他社がもっと魅力ある製品やサービスを提供したり、カスタマーエクスペリエンスで独自性を打ち出したりすると乗り換える可能性が大いにあります。
残りの点数の回答者は満足していない顧客に分類されます。 単に中立であることに留まらず、0~6 点を付けた回答者は、顧客離れの増加やネガティブな口コミでビジネスにマイナスの影響を及ぼします。 批判者の姿勢は企業の成長を妨げ、従業員の士気低下につながり、新規顧客の参入を遠ざけてしまいます。 注目すべきはこのカテゴリの得点範囲が他のカテゴリより大幅に広いことです。ブランドに対して熱意を持たず満足もしていない顧客は簡単に脅威になりうるということです。 すべての回答が集まったら、サーベイを実施した企業は回答者総数のうち何割が批判者で何割が推奨者かを判定するだけです。 次に、推奨者の割合から批判者の割合を引きます。 その結果の数値は 100 (回答者全員が推奨者) から -100 (回答者全員が批判者) の範囲内になります。
NPS の読み取りと解釈はシンプルです。数値が高いほど全体としてカスタマーエクスペリエンスが優れており、数値が低いほどエクスペリエンスが劣っていることを示します。 しかし「優れた」ネットプロモータースコアとはそもそもどのようなものでしょうか? また、どのような点について懸念すべきでしょうか? 0 より大きいネットプロモータースコアは、ブランドには批判者より推奨者が多いことを示します。 逆に、0 以下の場合は顧客の大部分が満足しておらず、そのネガティブな意見を他の人に広めている可能性があります。 プラス/マイナスの数値システムは、一目でブランドのパフォーマンスが読み取れます。 NPS システムの制作者によれば、スコア 20 以上を高パフォーマンスのベンチマークとし、80 以上を最上位としています。 また、ネットプロモータースコアの平均は業界によって差がある点にも注意が必要です。そのため、自社のスコアは同業界の平均値と比較することが重要です。
顧客ロイヤルティの測定は予想が困難であり、自社のブランドアンバサダーはどのような人なのかを企業が把握できるように多数の複雑な戦略が編み出されています。 こうした戦略によく含まれるのは、リピート購入の追跡、平均注文額の測定、定着率と離脱率の重視などです。 ただしどのケースでも、結果は顧客ロイヤルティに直接関連のない他の要素でも簡単に説明がついてしまう可能性があります。 NPS はソースに直結し、顧客自身に企業に対する熱意を評価してもらいます。 企業がネットプロモータースコアを顧客フィードバック戦略の一環として採用すると、明確で複雑さのない測定基準でブランドの総合的な健全性を評価し、同じ市場の競合他社と匹敵する力があるかを知ることができます。 そしてこのインサイトを活用して、今後の顧客維持の取り組みに役立てることができるのです。 言い換えると、NPS はブランドに対する顧客の感情の全体像を捉えるためのシンプルなアプローチであり、顧客離脱率を低下させ、顧客エンゲージメントを向上し、ビジネスの成長を促進させるため、改善の余地のある領域を特定することができます。 導入費用も安く、既存のフィードバック戦略に簡単に組み込むことができます。
従来のほとんどの NPS ソリューションはブランドにまつわる推奨者と批判者の数を掴むことが目的でしたが、ネットプロモータースコアの基本構造とプロセスは他の測定基準に簡単に応用することができます。 新しいキャンペーン、特定の製品、ロゴ、Web ページ、店舗の場所、さらに個々のチームや従業員まで、その有効性を NPS で追跡することができます。
同様に、企業の従業員満足度も従業員エクスペリエンスにおいて重要な役割を果たし、収入と成長に直接的な影響を及ぼします。 従業員ネットプロモータースコア (eNPS) は一般的な NPS と同様の構成とスコアシステムに従いますが、企業の現在の従業員に、職場としてその企業をどの程度推奨するかを尋ねます。 企業によっては 2 問目として自由回答形式の質問を設定して回答者が回答の内容を説明できるようにする場合もあります。
NPS をさまざまな形式で適切に導入すれば、何が有効かを企業が把握できるようになります。 高い NPS スコアは現在の戦略とプロセスの正当性をさらに確証付けることになり、低い NPS スコアはブランドには再評価が必要な要素があることを示唆します。
NPS サーベイの作成はとても簡単で、主要な質問をコピーしてメールに貼り付け、顧客に送信するだけです。 無料の NPS サーベイテンプレートもオンラインで入手可能です。
ニーズに合わせてさらにカスタマイズし、データのアクセスと分析をもっと容易にするには、Customer Service Management (CSM) プラットフォームまたは他のソフトウェアツールを使用できます。 NPS は広く普及しているため、多くのツールにビルトイン NPS オプションが含まれています。
最も基本的な NPS サーベイは 1 問だけです。これがシンプルで分かりやすいサーベイの秘訣であり、こうしたサーベイに時間も手間もかけたくない人にも参加のハードルを下げることになります。 一方で、質問を追加するとさらに明確なインサイトがもたらされます。 NPS の回答による効果を高めたい場合は、以下のタイプの質問を追加することも検討してください。
- 人口統計学的質問
NPS サーベイの冒頭に回答者の年齢、年収、民族、性別などを質問することで、回答を特定の人口統計学的属性に区分することができます。 - フォローアップ質問
自由回答形式のフォローアップ質問は、回答者が設問に対してなぜそう答えたのかという理由について、さらに詳細なインサイトを提供できます。 これは通常、回答者が詳細な回答を記入できる欄を設ける形で採用されます。 - フォローアップに対する許可
顧客がサーベイに回答している場合、問題について議論することに全くもって反対というわけではないと解釈できます。 回答者に、企業からフォローアップをしてもよいか、どのような連絡方法が望ましいかを尋ねるサーベイへの記入を求めることを検討しましょう。
顧客はどの程度満足しているのでしょうか? NPS でその答えが分かります。 ただし NPS を実施したからといって、関心を示していない顧客が勝手にブランドの推奨者になるわけではありません。 そのためには、NPS インサイトを実用的なソリューションに転換する、専用の顧客管理プラットフォームが必要です。 ServiceNow Customer Service Management (CSM) がお役に立ちます。
CSM は、顧客満足度を向上するために必要なリソースとサポートを提供します。 オムニチャネルのカスタマーサポートオプションからビジネスプロセスの自動化まで、CSM はよりシームレスなカスタマーサービスエクスペリエンスを展開するための作業を連携して自動化します。 CSM は受賞歴のある Now Platform® 上に構築されるため、必要なツールとデータにはいつでもどこでも直接的で一元的なアクセスが可能です。
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