従業員セルフサービスとは?

従業員セルフサービス (ESS) は企業 HR システム内の Web ベースのテクノロジーです。従業員が個人情報を管理し、リソースにアクセスし、管理タスクを独立して実行できるようにすることで、効率が向上し、従来の紙ベースまたは手動プロセスへの依存度が低下します。

HR のデモ
従業員セルフサービスについて知っておくべきこと
従業員セルフサービスの仕組み 従業員セルフサービスを使用する理由 従業員セルフサービスのメリット ESS テクノロジーが重要である理由 効果的なESSシステムの主な機能? 企業による ESS 機能の改善 ESS テクノロジーの実装の課題とは? ServiceNow 従業員センターを使用した ESS

成果を出す企業は、仕事熱心で有能な従業員のおかげで成り立っています。 しかし、こうした従業員をサポートするには、多大な事務作業が必要です。 特にヒューマンリソース (HR) 部門は、効率性と正確性の向上に対し絶えず高まるニーズに直面しています。 給与と給付金に対処し、必須とはいえ時間のかかる大量の書類を処理し、従業員データを管理することに HR 部門の業務時間の大半が占領される傾向があり、同部門が企業にとって真の戦略的資産になることを妨げています。

従業員セルフサービスは、重要なタスクをデジタル化して自動化することで、この負担の多くを軽減するように設計されています。 同時に、ESS は従業員が自分のデータをより直接的にコントロールできるようにします。

 

すべて展開 すべて折りたたむ 従業員セルフサービスの仕組み

一般的に、ESS は従業員が社内のイントラネットまたはポータルから利用できます。 オンラインの従業員エンゲージメントプラットフォームから、検索可能なナレッジベースやインタラクティブな Web アプリケーションに簡単にアクセスできます。自動化されたシステムと高度なユーザーサポートオプションが組み合わされていることもよくあります。 一部の従業員ポータルにはフォーラムやソーシャルメディアスタイルのディスカッションツールもあり、従業員はそこに集まって問題を話し合ったり、疑問点に回答し合ったり、問題解決のワークショップを開いたりすることができます。

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従業員セルフサービスを使用する理由

前述のように、ESS は HR 部門の問題と、サービスを受ける従業員の問題を解決します。 ESS は HR 部門の仕事を容易かつ効果的にする一方で、 従業員も可視性が向上し、HR データの管理方法に意見が言えるようになります。 こういった要素は大きな意味で従業員のエンゲージメント戦略の一部であり、HR プロセス全体を簡素化して従業員エクスペリエンスを改善し、効率的で生産性と費用効果の高い組織作りに貢献します。

従業員セルフサービスのメリット

ESS は経験豊富な HR チームの代わりとなるようには設計されていません。反復的なタスクから HR 部門を解放し、従業員が HR 情報と機能に直接アクセスできるようにします。 ESS の機能を強化すると、次のような多数のメリットが得られます。

  • コストの削減
    これまで HR の時間の大半は、従業員からの問い合わせの回答と従業員情報の処理に消費されてきました。 これらの多くの仕事を ESS に任せることで、HR 部門の負担が軽減されます。 HR 部門が戦略的パートナーになって重要なタスクに集中できるだけでなく、HR 担当者の追加採用やトレーニングを行う必要性も低減します。

  • 休暇管理の改善
    効果的な ESS システムは、休暇申請承認プロセスの多くを自動化します。 従業員は有給休暇の時間数をシステムで追跡し、申請を提出できます。申請は適切な承認チャネルを通して自動送信されます。 さらに、マネージャーも ESS を使用して、病欠の追跡、時間的傾向の特定、従業員の欠勤計画策定方法の改善を行えます。
  • 経費管理の精度向上
    ESS は経費報告プロセスを簡素化します。従業員は、自動化された承認と払い戻しを簡単に利用できます。 従業員ポータルを利用して、インターネットに接続できるデバイスから経費を管理し、出張中でも経費を効果的に管理できます。
  • 給付管理の効率化
    ESS では、承認されたユーザーが従業員の給付に関連するすべての情報を追跡して監視します。 給付金の詳細な範囲や、支払の履歴、雇用主と従業員の分担割合がわかるほか、明細の確認、資格と加入状況の追跡、給付金プログラムの登録も 1 か所で行えます。
  • 従業員の自律性が向上
    パーソナライズされた従業員ポータルなどの ESS ソリューションは、従業員がコントロールを握ります。 従業員に権限を与える便利な ESS によって、従業員は自身の HR 管理に積極的に関わり、情報に基づいて行動し、責任を持つことができるようになります。
  • コンプライアンスが向上
    EEO、FMLA、OSHA といった国の法律や規制に従わない企業には、厳しいペナルティが科されます。 従業員セルフサービスプラットフォームは、コンプライアンス報告の正確性と説明責任を確保します。 レポートを自動化する、コンプライアンス情報を適切な書式にする、法規制の改正をユーザーに通知する機能を備えている場合もあります。
  • 情報へのアクセスが容易
    HR 情報が単一のデータベースに一元化されているので、あらゆるレベルの従業員が質問の回答、承認済みの手順、重要なドキュメントがどこで見つかるかを正確に把握できます。
  • 信頼性の高い分析
    ESS システムは、大量の使用状況データを追跡して収集します。 マネージャーは、組み込まれた分析プログラムを使用して、キャンペーンやイニシアチブの効果を評価し、信頼性の高い HR インサイトを考慮して将来について意思決定できます。
ESS テクノロジーが重要である理由

上記に挙げた利点から明らかなように、従業員セルフサービステクノロジーは現代のビジネスにおいて重要な役割を果たし、オペレーションの改善と組織全体の成功に貢献しています。 ESS テクノロジーがビジネス全体の成功に不可欠である主な理由をいくつかご紹介します。

ESS により作業効率が向上する

ESS システムによってさまざまな HR プロセスが簡素化されるため、効率的で所要時間も短縮されます。 日常的なタスク (休暇申請、経費報告、給付金管理など) を自動化することで、従業員はこれらのアクティビティを迅速かつ正確に完了でき、面倒な手作業を排除できます。 このように効率が改善されることで、組織全体の生産性レベルが向上します。

ESS は事務作業を軽減する

従来の HR 部門は多忙で、多くの場合、書類仕事やデータ入力、繰り返される作業に悩まされていました。 ESS テクノロジーは、従業員が HR 関連の作業を自分でコントロールできるようにすることで、この負担を軽減します。 従業員は自分で個人情報を管理し、休暇を要求し、重要なドキュメントにアクセスするため、HR チームは戦略的イニシアチブや、真の専門知識を必要とする複雑な HR 案件に集中できます。 これにより、組織内の戦略的パートナーとしての HR の役割が強化されます。

ESS がチームの士気を高める

ESS システムは、従業員に HR 関連のタスクに関して自律性をもたらすことで、ポジティブな職場環境づくりに貢献します。 これは従業員の当事者意識と責任感を培い、仕事に対する全体的な満足度の向上に大きく貢献します。 従業員が情報に簡単にアクセスでき、要求に対する回答を迅速に得ることができ、シームレスなユーザーエクスペリエンスを得られるようになると、自分の役割に積極的かつ意欲的に取り組むようになります。

効果的なESSシステムの主な機能?

ESS は HR 管理のなかでも広範なカテゴリであり、業界によってそれぞれ多種多様なシステムがあります。 とはいえ、最も効果的なシステムには共通して次のような機能が搭載されています。

従業員向けコンテンツの公開と配布

組織は ESS システムを使用して、複数のチャネルを通じて重要なコンテンツを作成し、スケジュールを設定して、部門や従業員と共有できます。 これには従業員への配信に使用される一斉メール、お知らせ、リンク、その他のコンテンツが含まれます。 役職や勤務地など、さまざまな基準に基づいて受信者をフィルタリングできます。

従業員の責任とタスク

ESS 内の To Do ページでは、特定の従業員に現在割り当てられているすべてのタスクが一目でわかります。 これには、タスクを完了としてマークするために満たす必要がある条件が含まれます。 従業員は、今後のタスクを並べ直して整理したり、特定のアクティビティを表示するためのフィルターを適用したりできます。

従業員の要求

従業員とマネージャーは、未完了の要求の表示、過去の要求の確認、特定の要求や最新の要求のステータスの確認といったことを、すべて単一のページから簡単に実行できます。

ナレッジベース

従業員ナレッジベースは、HR 関連の有用な情報を検索できるデータベースです。 従業員は、よくある質問への回答や、重要なツールやフォームなどへのリンクをすぐに見つけることができます。

企業情報

従業員は、ESS の組織図で、従業員、役職、責任など、企業の構造を確認できます。

従業員のライブチャット

ESS プラットフォームのライブチャットオプションを使用すると、従業員はライブサポートエージェントとリアルタイムでやり取りできます。 従業員は、表示されたカテゴリのリストから会話トピックを選択するだけです。

従業員フォーラム

従業員は、従業員フォーラムへのリンクから ESS システムに移動し、そこで対話、関与、共同作業することができ、問題解決のワークショップを開催することもできます。

カスタマーエクスペリエンスの向上

これらのメリットは、カスタマーエクスペリエンスの向上に貢献します。 顧客は、正確な到着時間の予測、最小限の待ち時間、配送とサービス要求をリアルタイムで追跡できる便利さを高く評価しています。 ディスパッチソフトウェアは、サービスプロバイダーが顧客の期待に応え、それを上回ることを支援し、顧客満足度とロイヤルティの向上につながります。

企業による ESS 機能の改善

最も効果的な ESS システムは、サードパーティベンダーから提供される傾向があります。 これらのベンダーは、クライアント企業が ESS ソリューションを最大限に活用するために必要なものをすべて確実に入手できるように、リソースとガイダンスを提供しています。 とはいえ、組織がセルフサービスソリューションの有効性を向上させる方法はいくつかあります。 ESS を実装する際には、次のベストプラクティスを考慮してください。

  • 関連性を高める
    ほとんどの従業員セルフサービスシステムの主要なコンポーネントはナレッジベースです。 では、組織のナレッジベースにはどのような情報を含めるべきでしょうか。 もちろんこれは企業や業界によって異なります。そのため、企業は可能な限り最も関連性の高い正確な情報を確保するために積極的に一役買うことが重要です。 最も一般的な従業員の要求やクエリを基に、関連検索に関する検索エンジン分析データを含めるように拡張することで、ナレッジベース情報を有用で包括的にできます。
  • 使いやすさを重視する
    セルフサービスポータルは包括的で有益な情報を提供するものである必要がありますが、世界中の情報をすべて集めても、従業員が操作できなければあまり役に立たないでしょう。 顧客と同様に、従業員やその他の内部ユーザーも、製品を使用する際は快適で手間のかからないエクスペリエンスを期待しています。 効果的な ESS は、エクスペリエンスを最優先し、直感的なデザイン、使いやすい検索機能、データのビジュアル表示などを備えています。
  • ESS をモバイル向けに最適化する
    ESS はオフィス内に留まるものではありません。 モバイル向けに最適化されたセルフサービスがあれば、従業員は移動中でもデータを自由に管理できます。 これは、リモートワーカーと連携する場合に特に重要です。 小さなタッチスクリーンでもすべての機能と使いやすさを提供する専用のモバイルアプリまたはブラウザベースのアクセスにより、従業員は重要な情報にアクセスして、いつでもどこからでも重要なタスクを実行できます。
  • ケース管理機能を統合する
    質問への回答を見つけることは ESS の重要な部分ですが、それは一部に過ぎません。 ケース管理機能を組み込むことで、さらに踏み込んでいきます。 従業員の要求を自動化し、重要なガイダンスと次のステップを提示し、信頼性の高いサポートオプションを含めることで、従業員は別のシステムに移行せずに、必要なときに必要なサポートを受けられるようになります。
  • 分かりやすい ESS にする
    ESS ソリューションを選択する際、組織はコンシューマー主導設計のプラットフォームを優先する必要があります。 このような設計は、従業員が日常生活で利用している分かりやすいインターフェイスと直感的なナビゲーションを模倣するように調整されています。 言い換えれば、従業員は、苦労して操作方法を覚えなくても、ログインしたり、インターフェイスを試したり、機能を使用したりができる必要があります。 これにより、ユーザーの導入率が向上します。
  • トレーニングの優先順位を付ける
    HR チームと従業員が ESS ポータルの使用方法を確実に習熟できるようにすることは、導入の成功に不可欠です。 ESS プロバイダーを探す際には、専任のカスタマーサポートを提供していること、そして専門家のリソースとガイダンスにアクセスできることを条件にしましょう。これにより、HR プロフェッショナルが自信を持って ESS システムを最大限に活用できるようになります。 さらに、組織は従業員トレーニングセッションに投資し、一般的な ESS のユースケースに関する包括的なドキュメントを提供する必要があります。
ESS テクノロジーの実装の課題とは?

従業員セルフサービステクノロジーを実装するメリットは大きいものの、実装プロセス中に発生する可能性のある課題も認識する必要があります。 ESS 導入を成功させるには、これらの課題を克服することが重要です。

時間とコストの事前投資が大きい

ESS テクノロジーの導入には、時間とリソースの面で多大な初期投資が必要です。 組織はプラットフォームを効果的に使用するために、適切な ESS ソリューションを選択し、特定のニーズに合わせてカスタマイズし、HR チームと従業員をトレーニングするための時間を割り当てる必要があります。 さらに、ソフトウェアのライセンス、インフラストラクチャのセットアップ、データ移行に関連するコストが発生する可能性があります。

ソリューション:まず、包括的なニーズ評価を実施して組織の具体的な要件を特定し、その情報を使用して ESS ソリューションを選択することで、確立された目標との整合性を確保します。 先行コストとランニングコストの両方を考慮した ESS 導入プロジェクトに予算を割り当てます。 最終的な選択を行う際には、スケーラビリティを提供する ESS プロバイダーを選択します。 スケーラブルなシステムは組織のニーズに応じて成長し、頻繁な追加投資の必要性を減らします。

継続的なメンテナンスと監視

ESS テクノロジーでは、最適なパフォーマンスを確保するために、継続的なメンテナンスと監視が必要です。 ビジネスプロセスが進化するにつれて、ESS システムにはほぼ確実に更新、拡張、定期的なバグ修正が必要になります。 データのセキュリティと規制の変化へのコンプライアンスを確保することも、継続的な責任です。 適切なメンテナンスと監視がなければ、ESS システムの有効性は時間の経過とともに低下してしまいます。

ソリューション:重要なシステム更新を延期したり無視したりせずに、 ESS システムの継続的な監視とメンテナンスを担当する専任の IT サポートチームを編成します。 ESS ベンダーが提供するソフトウェアアップデートとセキュリティパッチには、改善、バグ修正、セキュリティ強化が含まれることが多いため、常に最新の状態に保ちます。 従業員には ESS システムの機能と使いやすさについてフィードバックを提供するよう奨励し、そのインサイトを適用してシステムを段階的に調整し、ESS ユーザーの進化するニーズと好みに合わせて改善します。

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ServiceNow 従業員センターを使用した ESS

ServiceNow 従業員センターは、複数部門のサービスデリバリに対応する一元化されたポータルを提供します。これにより、貴社は IT 部門と HR 部門間でサービスソリューションを容易に拡大して、情報の検索、支援へのアクセス、必要なサービスの要求を行うことができるようになります。 従業員センターでは、強化された機能により、コンテンツ公開やキャンペーン、コンテンツエクスペリエンス、従業員コミュニティなどのツールを使用して、サービスデリバリから従業員のコミュニケーションやエンゲージメントまで、ポータルエクスペリエンスを拡張できます。

ServiceNow 従業員センターは、ビルトインのライブチャットと仮想エージェントオプション、詳細なナレッジベース構造、タスク管理、ケース管理など、従来のセルフサービスポータルを超えた機能を備えています。 ServiceNow は、クラウドベースの完全なモバイル最適化により、従業員がどこにいても、HR 管理や IT 管理においてさらに積極的な役割を果たすことを可能にします。

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