AI による大規模な自律型組織の構築
数十億ドル規模のビジネスを構築するには、意欲的な目標、献身的な取り組み、スマートな意思決定が必要です。5 年間でこの数字を倍増させるには、拡張性実現に向けた根本的に異なるアプローチが必要です。
これこそが LTM 社が掲げた目標でした。つまり、従業員数を倍増させることなく、100 億米ドルを達成することです。この目標を実現するために、LTM 社は AI エージェントが従業員と協力して効率、効果、エクスペリエンスを向上させる、まったく新しいタイプの労働力の構築を開始しました。
LTM 社が、従業員数を倍増させることなく、収益を倍増するために、新たなタイプの労働力を構築
LTM 社は、47 か国に 87,000 人の従業員を擁する、売上高 50 億米ドルの IT サービス企業です。同社は世界中で 700 以上のクライアントにサービスを提供しており、効率性を高め、エクスペリエンスを向上させるスマートで安全かつシンプルなワークフローを備える自律型組織というビジョンの実現を目指しています。
現在、1,500 の AI エージェントが組織全体でデジタル従業員として業務を担っています。各 AI エージェントには、従業員 ID、担当マネージャー、明確なロールがアサインされており、トレーニングや年次パフォーマンスレビューを受けています。AI エージェントは、請求書処理やクライアントオンボーディングのコンプライアンス対応から幹部人材の調査に至るまで、幅広い機能をサポートしており、LTM 社のグローバル拠点全体で 24 時間体制で稼働しています。
LTM 社の CEO、Venu Lambu 氏は次のように述べています。「エージェント時代では、人間の従業員と一緒に働くデジタル従業員が、当社の事業拡大と価値提供の基盤となるでしょう」
人間中心のエクスペリエンスを維持しながらプロセスを再考するという課題
LTM 社の急速な成長に伴い、同社のグローバルオペレーション全体が複雑化しました。47 か国 87,000 人の従業員が働く環境の中、業務プロセスはサイロ化され、連携が取れず、一貫性を欠くようになっていました。
HR 部門は、迅速で一貫性のある従業員サポートを求める需要の高まりに直面していました。既存のプロセスでは、人間中心のエクスペリエンスを維持しながらサービスを拡張することが困難でした。
セキュリティ部門では、別の課題に直面していました。従業員が自宅、オフィス、クライアントの拠点などに分散していたため、従来のセキュリティ境界を明確に定義することがますます困難になっていたのです。アナリストには、インシデントに関して統合的に把握する手段がなく、多くの場合、脅威を把握して優先順位を付けるためには、手作業で情報を関連付けなければなりませんでした。
プロジェクト管理もスプレッドシートに大きく依存していました。LTM 社では 8,000 件以上のプロジェクトが並行して進められており、2022 年の LTI 社と Mindtree 社の合併後、信頼できる唯一の情報源が不可欠となりました。
IT 部門も同様のプレッシャーに直面していました。従来、従業員は所定のフォームとポータルを利用して要求を作成していましたが、エンジニアはチケットの手作業でのトリアージやドキュメントの作成に時間を費やしていました。
LTM 社は、こういった部門全体で、孤立した自動化の枠を取り払う必要がありました。また、ガバナンス、セキュリティ、測定可能なビジネス価値を維持しながら、日常業務に AI を導入できる統合的なアプローチが必要でした。
全従業員が AI とのすべてのやり取りに単一のインターフェイスを利用できるソリューション
LTM 社は、ServiceNow AI Platform を使用して、HR、IT、セキュリティ、プロジェクトデリバリの各分野にわたる自律的な運用のための全社的な基盤を構築しました。
このエクスペリエンスの中心となるのが、AI を搭載したデジタルコンパニオンの RAIma です。RAIma は、従業員が AI とやり取りする際の一貫したインターフェイスを提供します。RAIma はロボットのアバターとして始まり、より人間的なペルソナへと進化し、LTM 社のブランドと文化を反映するように設計された音声と表情を備えています。
エクスペリエンスが一元化されている一方で、RAIma の基盤となるインテリジェンスは分散されています。
「RAIma を導入したことで、従業員はただ 1 つのデジタルコンパニオンを確認するだけで済むようになりました」と LTM 社の CIO である Rajesh Kumar 氏は述べています。「バックグラウンドでは、RAIma は複数のエージェントで構成されており、エージェント間プロトコルを利用し、ServiceNow のナレッジベースから情報を取得することで、一貫性のあるサービスを提供しています」
LTM 社はすべての従業員が自分の声が届いていると実感できるように HR を変革
LTM 社は、より広範な HR 再構築プログラムの一環として、ServiceNow HR サービスデリバリ (HRSD) でグローバルな HR エクスペリエンスを構築しました。
RAIma は、従業員のライフサイクル全体にわたって対話型サポートを提供しています。一貫したエクスペリエンスを通じて、従業員が HR 情報にアクセスし、要求を管理し、ケースを解決できるようにします。個別の AI エージェントが特定の HR タスクを担当しながら、従業員に対しては統一されたアイデンティティを提示します。
この変革により、目に見える改善がもたらされました。AI エージェントは、毎月 14,000 件の HR インシデントとケース解決のメモを生成します。メール対応を支援する AI エージェントにより、毎月 400 時間の業務時間が削減された一方、インシデントの傾向を分析する別のエージェントにより、再割り当て件数が 20% 減少しました。
LTM 社の Chief Human Resources Officer を務める Chetana Patnaik 氏は、HR の生産性が 21% 向上し、オンボーディングに対する従業員満足度は 4.7 から 5.0 に上昇したと述べています。
LTM 社は、2024 年 6 月から 2025 年 7 月までの間に、より広範な変革により、年間で FTE (フルタイム従業員) 55 人分に相当するコストが節減され、導入作業の時間は 50,000 時間削減されると推定しています。プロアクティブなヘルススキャンにより、カスタムワークフローの開発に要する時間を 10,000 時間削減できたほか、構築済みの Impact Accelerators により、カスタムワークフローの実装に要する時間を 13,500 時間削減できました。
Patnaik 氏は次のように付け加えます。「当社の目的は、HR プロセスを簡素化し、より人間味のあるものにすることでした。ServiceNow の導入により、一貫性と統一性を保ちつつ、アジャイルに応答する AI を導入できました」
従来の境界線が消失したグローバル企業を保護する必要性
LTM 社は、セキュリティインシデントレスポンスや脆弱性対応などの ServiceNow セキュリティオペレーションを導入し、より統一されたセキュリティオペレーションを構築しました。
ファイアウォールの変更などの作業においては、自動化されたプレイブックが手動による作業に置き換わりました。緊密な CMDB 連携により、セキュリティアラートにビジネスコンテキストが追加されました。ServiceNow Impact の Jump Start と Tune Up アクセラレーターにより、数四半期かかる可能性があった導入作業が数週間に短縮されました。
インシデントのアサイン時間が数分から 5 秒未満に短縮されました。脅威の封じ込めにかかる時間は数時間から数分に短縮され、インシデントのクローズにかかる時間は 3 分の 1 に短縮されました。
こうした改善により、160 人のセキュリティチームが、従来より 40% 多い業務量を処理できるようになりました。
「当社のクライアントにとって、最も重要なことは何でしょうか?それを一言で表すなら、「信頼」です。統一され、モニタリングされ、自動化されたセキュリティ態勢は、クライアントのデータが安全に管理されていることを証明しています」と、LTM 社の Chief Information Security Officer である Chandan Pani 氏は述べています。
Compass 2.0:プロジェクトデリバリにおける信頼できる唯一の情報源
LTM 社は、ServiceNow 戦略的ポートフォリオ管理 (SPM) 上に構築されたプロジェクト管理ライフサイクルプラットフォームである Compass 2.0 を開発しました。
このプラットフォームは、5 つのアプリケーションを 1 つに統合し、7,000 人のプロジェクトマネージャーとシニアリーダーに信頼できる唯一の情報源を提供します。プロジェクト計画やタスクの追跡から請求まで、さまざまなアクティビティをサポートします。ServiceNow 統合リスク管理 (IRM) は、プロジェクトワークフローにコンプライアンスを組み込み、案件の段階でリスクを把握し、プロジェクトのライフサイクル全体を通じて追跡します。
Compass 2.0 により、レポートの精度が 2.5% 向上し、326,000 時間が削減されました。リアルタイムダッシュボードにより、8,000 を超えるワークストリームが可視化されたことにより、経営幹部のレビューサイクルが 87% 短縮され、年間 210,000 時間が削減されました。
また、LTM 社は 50 以上の AI エージェントをプロジェクトワークフローに展開しています。各エージェントには明確なロールと ID が割り当てられているため、エージェントが反復的な業務を担当することで、プロジェクトマネージャーはより付加価値の高い意思決定に集中できます。
AI 主導型の IT Service Management でチケット数を 30% 削減
LTM 社は、従業員が一度入力するだけでエンドツーエンドの解決が実現できる、よりシンプルで AI 主導型の IT エクスペリエンスへと移行しつつあります。
「当社は ITSM を再構築して、ただ 1 つの簡単な入力でエンドツーエンドの解決をトリガーできるようにしています」と Kumar 氏は述べています。
ServiceNow AI Platform の AI Agents により、従業員リクエストを解析し、関連するコンテキストを取得したうえで、適切なキューにルーティングできるようになりました。RAIma を通じて、従業員は従来のポータルにアクセスすることなく、IT 関連の問題を報告したり、チケットのステータスを確認したりできます。
ServiceNow Now Assist は、IT エンジニア向けに、チケットが発行された際に AI がインシデント概要を生成し、関連するナレッジ記事を提供します。また、解決済みのチケットをナレッジ記事に変換することで、ドキュメント化もサポートします。
LTM 社は IT 部門全体でチケット件数を 30% 削減し、インシデントの中断を 23% 削減することができました。予定外の機能停止は 8.3% 減少し、予定外の機能停止からの平均復元時間は 72.3% 短縮されました。
専任の AI エージェントが毎月 38,000 件の ITSM インシデントを調査してアクションを提案するとともに、人間も常に状況を把握できるようにしています。また、LTM 社は、ServiceNow IT Operations Management (ITOM) 向けの ServiceNow AI 製品を通じて、アラートからエスカレートされたインシデントも 18% 削減できると予測しています。
「これからの働き方は、より優れた UI を設計することではありません」と Kumar 氏は続けます。「従業員が簡単に仕事をこなせるように、インテリジェントエージェントを設計することが重要です」
AI を日常業務に組み込むことで得られる主なメリット
LTM 社の全社的な変革は、AI が個々のユースケースから日常業務にどのように移行できるかを示しています。
- 1,500 以上の AI エージェント:デジタル従業員は、現在、プロジェクトデリバリ、IT、HR、セキュリティ、ガバナンスの各部門で業務を担っています。
- HR の生産性が 21% 向上:AI を活用した HR オペレーションはチームの生産性を向上させ、オンボーディング満足度は 4.7 から 5.0 に上昇しました。
- IT チケット件数を 30% 削減:AI を活用した IT Service Management により、チケット件数が削減され、インシデント解決が改善されました。
- セキュリティ関連の作業量が 40% 増加:自動化により、160 人のセキュリティチームが、従来よりもはるかに多い作業量を処理できるようになりました。
- 326,000 時間を削減:Compass 2.0 により、プロジェクト管理全体の時間を大幅に削減できました。
- 経営幹部によるレビューの時間が 87% 短縮:リアルタイムのプロジェクトダッシュボードにより、経営幹部によるレビューサイクルが短縮されました。
- 700 以上のクライアント:LTM 社の社内変革は、同社のグローバルなクライアントに向けて、大規模なエンタープライズ AI の実例を実証しています。
組織全体で 1,500 のエージェントを運用している LTM 社は、AI を大規模に管理するためのガバナンスレイヤーを構築
1,500 以上のエージェントが組織全体で運用されているため、ガバナンスも展開に合わせて拡張する必要がありました。
LTM 社は、ServiceNow Impact の製品導入ロードマップを使用して、自社の AI ポートフォリオ全体で AI コントロールタワーの導入順序を決定しました。定期的なヘルススキャンにより、ギャップを早期に特定できるほか、構造化された導入プロセス、一貫した評価、標準化された監査を通じて、AI イニシアチブ全体のモニタリングをサポートします。
これにより、AI インベントリとリスク監視のための単一の SoR が構築されます。次のフェーズでは、リスクと価値のアセスメントを強化し、カスタムレポートを導入して意思決定を強化します。
LTM 社は、断片化された AI ガバナンスを統一されたシステムに置き換えることで、AI 資産管理の効率が最大 80% 向上すると見込んでいます。LTM 社は、組織全体の AI 教育と認定にも投資しています。
「当組織の全従業員が、AI に関する基礎レベルの教育と認定資格を取得する予定です。AI がもたらす影響を理解することは、エージェント主導の世界において、当社がどのように事業を展開し、成功を収めるかという点において不可欠です」と Kumar 氏は述べています。
IT、HR、セキュリティ、プロジェクトデリバリの各分野にまたがる自律型企業の未来
LTM 社は、AI をイノベーションラボから日常業務へと移行させています。同社の自律型組織は、現在、IT、HR、セキュリティ、プロジェクトデリバリの各分野にまたがり、事業全体で目に見える改善をもたらしています。
LTM 社のエコシステム全体で AI エージェントを統合することで、従業員、プロジェクト、プロセスに関するコンテキストを構築することもできます。これにより、時間の経過とともに AI の有用性と影響力が高まるための基盤が構築されます。
「当社の AI エージェントはエコシステム全体に統合されているため、従業員、プロジェクト、プロセスに関するコンテキストを継続的に把握しています。そのため、時間の経過とともに AI の有用性と影響力が高まります」と Kumar 氏は述べています。
LTM 社にとって、この変革は単なる効率化にとどまりません。それは、AI が反復的な作業を担う一方で、人間の従業員が判断、創造性、より価値の高い意思決定に集中できる組織を構築することです。
「効率化は重要です。有用性も重要です」と Lambu 氏は述べています。「ただし、AI のエクスペリエンスを従業員一人ひとりにとって真に有用なものにできれば、私たちの成功はさらに加速するでしょう」