「顧客オンボーディング」は、自社の製品とサービスに親しんでもらうために新規顧客を積極的に育て、ガイドするプロセスです。
現代の顧客はもう製品を購入するだけでは満足しません。自分のカスタマージャーニーにおいて、知識が豊富でサポートをしてくれるパートナー (企業) とともに、より積極的な役割を果たしたいと思っています。 企業が購入者と育む関係は、ビジネスの成功を決定付ける可能性を持っています。 ただし、購入者と販売者の関係は自然とうまくいくものではありません。企業には、顧客に心から尽くす姿勢と意図を持った行動が求められます。 その最初の一歩はクライアント候補とのファーストコンタクトです。
顧客オンボーディング (クライアントオンボーディングともいう) はこの関係を優先事項とします。 新規顧客が企業に親しみを持ち、やり取りをすることに慣れるように、継続的なエンゲージメントの基礎を築きます。
新規顧客がすべて末永く愛顧してくれるファンになるとは限りません。 なかにはすぐに離脱して別のオプションを探す人もいます。 そしてこの新規顧客離脱の裏には、初回購入以降もその企業のビジネスにこだわるほどの関心を持てないという理由があります。
効果的な顧客オンボーディングは、このような状況を緩和し、顧客ロイヤルティへの実証された経路を確立することにあります。 簡単に言えば、顧客オンボーディングは、提供されるサービスまたは製品に価値があり、対象企業はやり取りをするに値するとクライアントが認識するように手助けするために存在します。 そのなかで、企業に次のようなメリットをもたらします。
企業のビジネス、製品、サービスに深く親しみを持ち、カスタマージャーニーの初期段階で継続的なガイダンスとサポートを提供してくれるという信頼感を持つ顧客は、不満を抱いたり関心を失ったりする可能性が低くなります。 そのような顧客は企業が提供するものに価値を見出すようになるため、競合他社のオプションを探ろうとしなくなります。
1 回購入して離脱する顧客は、限定的な価値しか企業にもたらしません。 企業が顧客獲得に多額の投資をしても、主要な見込み客が徐々に離れてしまえば、その価値はさらに大きな打撃を受けます。 顧客オンボーディングは、必死に獲得した顧客がリピートしてくれるよう関心を持ってもらい、プロセスにおいて「顧客生涯価値」を高めるよう支援するものです。
これから何が起きるのかを想定できないとき、顧客は不安を覚えます。 効果的な顧客オンボーディングは、顧客の想定を責任を持って管理することができます。たとえば、想定されるカスタマーサービスとサポートのレベル、製品の機能と限界、予想タイムラインなどです。 適切な想定を実施することによって、顧客の不満を取り除くことができます。
今日の顧客は自分のジャーニーへの関心が高いだけでなく、カスタマーエクスペリエンスに対する意見の発信力も高まっています。 これはビジネスにとって大きな恩恵になりえます。 効果的な顧客オンボーディングプロセスを実施していれば、顧客のリピート率が高まるだけでなく、友人知人にも紹介して誘い込むようにもなります。 顧客オンボーディングは顧客紹介率を高めるため、企業が推進するポジティブなエクスペリエンスが効果的なマーケティングツールになるのです。
ひとつとして同じ企業はないように、顧客も一人ひとり違います。 そのため、各企業は自社のニーズと購入者のニーズを満たすような顧客オンボーディングのアプローチを策定する必要があります。 とはいえ、ほとんどの顧客オンボーディングプロセスは同様の構造に従います。
顧客との最初のタッチポイントからオンボーディングプロセスは始まります。 ここにサインアップなどの個人データとその他の詳細情報の提供が含まれる場合、顧客フォームはできるだけシンプルで直観的なものにします。 この最初のステップが顧客にとって簡単なものであればあるほど、顧客がプロセスの先へ進もうとする可能性は高まります。 ソーシャルサインアップオプションの追加も検討しましょう。顧客はボタンをクリックするだけで情報提供ができます。
顧客が情報を提供したら、次は企業の番です。顧客と接触し、ジャーニーの次のステージへと顧客を進めます。 ウェルカムメールはよく使われる手法であり、コミュニケーションの期待値を設定し、感謝を伝え、価値ある顧客リソースへのリンクを提供します。 ただしやりすぎは禁物です。 最初のコミュニケーションが重すぎると顧客は負担に感じてしまいます。
製品を使い慣れるということは、有効な使い方を知っているということです。 ガイド付きチュートリアルは、顧客にセットアッププロセスのすべての手順を解説し、顧客の全体的なエクスペリエンスに大きなポジティブなインパクトを与え、製品の使い方がわからないために離れてしまう顧客が出ないようにすることができます。 一方で、このステップをオプションにすることも同じくらい重要です。すでに製品を使い慣れている顧客や、チュートリアルに興味のない顧客はそれを省略できるようにしましょう。
オンボーディングの一環として、顧客がエクスペリエンスを最大限に活用するために必要な学習リソースへ簡単に直接アクセスできるようにします。 資料、ガイド、インサイト、インタラクティブなナレッジベースは、カスタマーサポートチケットを作成しなくても問題を自分で迅速に解決する機会を顧客に提供します。
顧客の多くは製品やサービスのすべての機能を完全に理解せずにそれらを利用しているかもしれません。 必要に応じて、わずらわしくないバナーなどの要素を使って製品の機能を伝え、製品やサービスでできることを顧客が完全に理解できるようにしましょう。
セットアッププロセスで役に立つのはチュートリアルだけではありません。 新製品をよく知るには使ってみることが一番の方法です。実践ガイドがあれば、顧客はこの貴重な経験をガイドに従って安心して進めることができます。 ユーザーはさまざまなタスクを完了することで、実践ガイドによって役立つインサイトを得て、次のステップも見えてきます。
効果的な顧客オンボーディングは、効果的なコミュニケーションなくしては成立しません。 コミュニケーションを活性化するには、顧客が購入を完了した後のフォローアップが大切です。 フォローアップコミュニケーションと定期的な連絡は、顧客にエクスペリエンスを共有し、発生した問題について触れる機会を提供するだけでなく、顧客は大切にされていると感じることができます。 フォローアップは、企業が単に顧客から金銭を受け取るだけでなく、顧客が成功するよう心を砕いていることを示すことができます。
企業の製品にモバイルアプリが含まれる場合、アプリ内通知は継続的なインタラクションを生み、顧客エンゲージメントを持続するための効果的な方法です。 ヒントやアップデートによって、顧客に製品に関する最新情報を常に提供するようにします。 アプリ以外の手段による通知、たとえば SMS メッセージや E メールも効果的です。 いずれの場合も、顧客はオプトアウトを選択できるようにします。
顧客オンボーディングで大切なのは、顧客が企業のビジネスと関わりの中に楽しみを見いだせるようにすることです。 アプリ内通知で主要マイルストーンをお祝いしたり、お祝いメールを送信したりして、顧客の成功に全力を尽くしていること (そしてそれを喜んでいること) を伝えましょう。
顧客オンボーディングの中心は、企業と顧客の熱意です。 ただし、購入者がブランドのファンになるには熱意だけでは足りません。 顧客オンボーディングプロセスを最適化するため、次のベストプラクティスを検討しましょう。
顧客をよく理解すればするほど、顧客オンボーディングも容易になります。 詳細な購入者ペルソナを作成して適用し、顧客分析を採用することで、顧客がどのような課題に直面しているか、あるいは顧客にとって成功とはどのようなものかについて推測する必要はなくなります。
顧客とのコミュニケーションに対する唯一の制限は顧客の「好み」です。 購入者が企業のブランドとのコミュニケーションとインタラクションを受け入れている限り、E メール、SMS、アプリ内通知、電話などを使用して顧客と連絡を取り、ジャーニー全体を通してエンゲージメントを維持するようにしましょう。
顧客の強い関心を引き出す最大の要因は価値です。 あらゆる場面で、企業は自社の製品またはサービスが顧客に対してできることを、明確で関連性の高い事例を通して強調します。 概要的な説明ではなく、実際のデータや具体的な事例を取り入れて顧客が自分の状況に合わせてその価値を評価できるようにします。
新規顧客にはできるだけ情報を提供して、必要なものを選んでもらいたくなるものです。 しかし過剰な情報を一度に提供することは負担になり、大量のタスクとプロンプトに直面すると、多くのユーザーは単に「逃げて」しまいます。 情報は少しずつ提供し、一度に依頼または推奨するアクションは 1 つだけにすることで、すべての顧客が自分に合ったペースで進むことができます。
顧客の成功は企業の成功でもあり、その成功を追跡することは適切な測定基準を採用するということです。 顧客中心の目標をチャート化するために使用できる測定基準は多数あります。たとえば次のようなものです。
- 維持率
- 顧客離脱率
- 顧客転換率
- 機能定着率
- 価値実現までの時間
- 顧客生涯価値
- エンゲージメント率
- オンボーディングサポートリクエスト数
これらをはじめとする測定基準は、オンボーディングプロセスの評価に役立ち、顧客が適切なガイダンスとサポートを各段階で受けているかを判定し、顧客オンボーディングの改善が必要な箇所があれば特定します。
デバイスに任せてすべてが済んでしまうと、新規顧客は簡単に去ってしまいます。 オンボーディングでもっと積極的に顧客中心の役割を果たすことで、企業が頼りにする購入者は企業の製品やサービスに満足して使い方にも慣れていること、個人の目標を達成するために必要なものをすべて手に入れていることを確認できます。 ただし、効果的な顧客オンボーディングは複雑なプロセスになる可能性があります。 オンボーディングを最適化して 1 度きりの購入者をブランドのファンにするには、ServiceNow にお任せください。
ServiceNow カスタマーサービス管理 (CSM) と関連ソリューションは、受賞歴のある Now Platform® のパワーと接続性を活用して、リクエストを自動化し、チームを結び付け、セルフサービスオプションを拡大し、問題が深刻化する前に特定して解決します。 ServiceNow オンボーディングワークフローは、高度な自動化ソリューションを活用して顧客と担当者をつなぎ、タスクを作成し、フォームや書類を回収し、データを集め、アカウントのセットアップを行い、その他にもさまざまなタスクを実行できます。
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