IT サービスカタログとは?

IT サービスカタログとは、社内で利用できる IT リソースのデータベースでのことであり、ユーザーのニーズに対して効率的・効果的に応えられるよう設計されています。

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目次
サービスカタログの概要 IT サービスカタログの歴史とは? IT サービスカタログとセルフサービスポータルの違いとは? IT サービスカタログのメリットとは? サービスカタログに含めるべき内容とは? IT サービスカタログに含めるべきではない内容はあるか? 企業は IT サービスカタログをどのように構築するべきか? ServiceNow を導入したサービス要求 ServiceNow Service Catalog
すべて展開 すべて折りたたむ サービスカタログの概要

レストランで食事をする際、最初のリクエストはたいていメニューを見せてもらうことです。メニューには、メイン、サイド、ドリンクなどの一覧があり、それを見ながらどれを注文するかを考えます。そして、食べたいと思ったものを、詳しく説明しなくても簡単に注文できます。簡単で、多くの人にとっておなじみのプロセスです。

IT サービスカタログは、このレストランのメニューと同じような役割を果たします。ユーザーは利用可能な IT サービス、ハードウェア、ソフトウェア、サポートのオプションを参照することができます。そしてこれはメニューと同じように、明確に体系化され、分かりやすいものである必要があります。IT サービスカタログは、顧客から、社内関係者 (顧客向けサービスやその他の職務を遂行するために、サポートやリソースへの簡単なアクセスを必要とする企業内の人) まで、あらゆる利害関係者が利用することを想定しています。

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IT サービスカタログの歴史とは?

20 世紀末、企業が次々と IT サービスを標準プロセスや顧客サービスに取り入れ始めた頃、利用可能な IT サービスをきちんと把握するには、何らかの形で詳細を記した文書が必要だということが明らかになりました。

IT サービスカタログはこのニーズに応えられるよう進化したもので、それ以前から存在した、企業の IT サービスの選定、計画、導入、サポートを標準化するフレームワークである、IT インフラストラクチャライブラリ (ITIL) が元になっています。IT サービスカタログのコンセプトは、2007 年に ITIL v3 の「IT サービスマネジメントのベストプラクティス」として正式に導入されました。それ以降、企業は、IT サービスでの可用性、効率性、顧客満足度を確実なものにするために、IT サービスカタログや同様のデータベースに強く依存し始めました。

IT サービスカタログとセルフサービスポータルの違いとは?

ユーザーへのセルフサービス提供における重要性から、IT サービスカタログはセルフサービスポータルと混同されることもあります。しかし実際には、これら 2 つは別物です。IT サービスカタログが利用可能なサービスや関連するサポート情報のデータベースとして機能するのに対し、セルフサービスポータルは、ユーザーがナレッジベースのナビゲートやサポートチケットの発行を行ったり、社内の IT 部門に連絡したりするためのインターフェイスです。セルフサービスポータルに IT サービスカタログが組み込まれることもよくあります。

IT サービスカタログのメリットとは?

企業内での IT サービスカタログの実装と利用には多くの利点があり、たとえば次のようなメリットがあります。

セルフサービスの強化

効果的な IT サービスカタログの導入により、従業員や顧客は利用可能なサービスの完全なデータベースを参照できるようになります。そのため、自分のニーズをかなり明確に把握しているユーザーは、状況に最適な製品やサービスを特定して要求することができます。この高度なセルフサービス形式により、ユーザーの多くの問題を解決するために必要な時間とリソースが削減されます。

運用効率の向上

包括的な IT サービスカタログは、単なるリスト以上のもので、すべての IT サービス、関連する可用性、ルーティング、プロセス実行に関する情報を詳述するリソースです。これにより企業は、個別のサービスの管理に充てる時間とリソースを削減できるため、結果として全体的な効率が向上します。

最適化された使いやすさ

関連するすべての IT サービスの情報を単一の使いやすいデータベースに集め、そこで確認できるようにすることで、ソリューションを探し当てて IT を要求するまでのハードルの多くが取り除かれます。IT サービスカタログでは、これ以上ない簡潔な形式でサービスを選択して要求でき、要求の進捗について煩わされることはありません。

生産性の向上

自動化ソリューションを IT サービスカタログに組み込むことで、企業は IT 担当者による手動での介入を必要とせずに要求の処理を進められるようになります。簡単な要求を自動的に処理することで、生産性を向上させ、チームは貴重な時間をより戦略的なタスクに充てられるようになります。

完全な可視性

効果的な IT サービスカタログにより、IT の要求や注文についてのリアルタイムのインサイトが得られます。これにより管理者は、注文量や速度などの重要な測定基準を確認し、信頼できるデータを元に情報に基づく戦略的意思決定をすることができます。

ユーザー満足度の向上

おそらく、IT サービスカタログにより得られる最も大きなメリットは、ユーザーの重要なニーズを満たせるということです。IT サービスの完全なデータベースと関連のリソース情報に簡単にアクセスできるので、ユーザーは投資する時間を短縮しながらも、より多くの情報を得ることができます。こうして全体的なエクスペリエンスが向上し、ユーザーの満足度も高まります。

サービスカタログに含めるべき内容とは?

IT サービスカタログは、ユーザーに利用可能なサービスを伝え、サービス要求を行いやすくし、その他の関連情報でサービス一覧を補完するためのものです。これにはどのような情報を含めればよいでしょうか? 省略すべき情報はあるでしょうか?

IT サービスカタログを作成する際には、次のような詳細を含めることを検討します。

  • サービス名
    提供するサービスを指す名称。ユーザーがサービスの目的をこの名前からおおまかに理解できるように、確立された直感的な命名方法に従って名付けます。
  • サービスのカテゴリ
    そのサービスが、ハードウェア、ソフトウェア、メール、データ管理などの、どのカテゴリに属するのかの定義。
  • サービスの説明
    サービス名から分かる以上の、サービスの詳しい定義。
  • サービスのオーナー
    サービスの履行について責任を負うチームまたは個人。
  • サービスの可用性
    サービスが現在、使用可能/使用不可か、またはスケジュールされた可用性があるかどうかについての情報。
  • SLA
    期待されるサービスレベルを詳述して定義した、サービスプロバイダーとエンドユーザーとの間で結ばれているすべてのサービスレベルアグリーメント (SLA)。
  • サービスのコスト
    該当する場合は、そのサービスのすべての関連コストの内訳。
IT サービスカタログに含めるべきではない内容はあるか?

上記のような詳細はさまざまな業界のサービスカタログで一般的に見られるものですが、何を含めるべきか、含めるべきではないかについての厳密な規定があるわけではありません。たとえば、ユーザーに関係のない詳細事項、または機密情報については、IT サービスカタログからは省略可能/省略すべきです。

さらに、特定のサービスを IT サービスカタログから除外する企業もあります。そのサービスカタログが特定のユーザーのみを対象としている場合などにそのようにします。たとえば、顧客向けの IT サービスカタログには従業員向けのサービスの掲載は不要であり、その逆も同様です。また、サービスカタログには特定のユースケースに合わせた微調整を加えることもできます。対象とするユーザーには不要であったり関係がなかったりするサービスを省略することで、冗長性を排除し、選択疲れを防ぐことができます。

企業は IT サービスカタログをどのように構築するべきか?

IT サービスカタログは、ユーザーが特定の目的を達成するための支援ツールです。したがって、まずその目的を特定して概略化することが、サービスカタログの作成時には重要となります。この作業を進めるために、次のような手順を検討してください。

利害関係者を集める

サービスカタログは大きなものとなる可能性があり、多くの場合、サービス要求についての信頼できる唯一の情報源として機能することになります。カタログ構築のプロセスは、主要な意思決定者を招集することから始めるのが重要です。これにより、プロジェクトの目標をより大きなビジネス目標と整合させやすくなり、何らかの課題に直面した場合でも、そのカタログは必ず経営陣からの支援を受けられます。

さらに、この段階では、社内の複数の IT 分野からメンバーを集めてチームを作ることが不可欠です。そうすることで、さまざまなサービスやプロセスを真に理解している人がカタログの作成に携わることになります。

ユーザーとフルフィルメント実施者を特定する

次の重要な手順は、IT サービスカタログを利用することになるユーザーを特定することです。それが顧客であっても従業員であっても、誰がユーザーであるのか、どのようなサービスを利用するのかを把握することで、企業はニーズやロールに基づいて境界線を定義して設定できます (エンタイトルメントと呼ばれます)。

同様に、どの個人、チーム、またはグループがどの要求の履行に対する責任を負うのかを明確に特定することも必要です。

利用可能なサービスの定義

どのサービスを IT サービスカタログに含めるかを決定するには、社内のすべての IT サービスの完全なインベントリを作成する必要があります。これは従来のすべてのサービスデリバリ手段を確認し、最も多く要求されたものを特定するということです。そうした利用頻度の高いサービスを特定できれば、それらを更新したり簡素化したりできます。

次に、タイムラインに関連する期待など、エンドユーザーの期待を適切に管理する必要があります。最後に、含まれているすべてのサービスを論理的なつながりに基づいて分類し、関連するキーワードや検索用語でタグ付けする必要があります。これにより、サービスカタログ内を簡単にナビゲートできるようになるだけでなく、レポート生成の測定基準を解釈しやすくなります。また、ユーザーが特定のタスクを実行するために必要なすべての関連サービスに簡単にアクセスできるように、関連する複数のサービス (たとえば従業員のオンボーディングに関連するすべてのサービスなど) をバンドルすることも検討します。

カタログのデザイン

IT サービスカタログは、情報量が多く詳細でありながらも、ユーザーが見ただけで敬遠したりしないようなものにする必要があります。サービスカタログのデザインは、美的感覚と使いやすさに配慮しながら行います。最も重要な詳細 (コスト、可用性、フルフィルメント予定日など) を前面に表示し、ユーザーがサービスを要求するために長すぎたり細かすぎたりするフォームに記入を求めるようなことは避けます。

使いやすさと透明性が、この段階での 2 つの重要な側面です。ユーザーが求める情報を、簡単に把握できる方法で提示します。たとえば、サービス要求が依頼されたら、自動的にステータスのトラッキングと更新の状況が提示されるようなサービスカタログのデザインとします。

カタログのテストと展開

カタログのデザインが完了してすべて機能するようになったら、次の手順は実際のユーザーによるテストです。部署をまたぐ複数ユーザーの中から選定されたフォーカスグループであれば、企業がユーザーによる受け入れを正確に評価するうえで役立ちます。同時にテストの実施も、サービスカタログが既定の事業達成目標に合致しているかどうかを利害関係者が判断する助けとなります。フィードバックの収集と適用を行い、カタログの最終改訂を実施します。

最終的な仕上げが完了したら、カタログを公開してユーザーがオンラインで参照できるようにします。正しいリンクによってユーザーがカタログに誘導されることを確認し、リーチが最大化するように適切なマーケティングチャネルが採用されていることを確認します。

継続的な改善への投資

最後は、重要な測定基準の計測とユーザー行動の継続的な追跡です。これにより、IT サービスカタログの継続的な価値を示したり、解決が必要とされる潜在的問題や、改善が必要とされる部分を特定したりすることが簡単になります。サービスカタログの利用状況を継続的に監視することで、企業は IT サービスカタログを長期間にわたって有効で有益なリソースとして維持できます。

ServiceNow を導入したサービス要求

サービスカタログは顧客や従業員の要求を管理するための一般的なソリューションですが、利用できる選択肢は他にもあります。IT 管理ソリューションとワークフロー自動化のリーダーである ServiceNow は、以下に示すような複数の先進的ソリューションを提供しており、それらはいずれも受賞歴を誇る ServiceNow AI Platform 上に構築されています。

Request Management

ServiceNow Request Management は、従業員セルフサービス向けの AI を活用したソリューションです。Request Management を導入することで、企業は一般的な問題を解決し、ステータスの更新と通知でサービスのフォローアップを行うとともに、従業員がすでに使用しているツールを統合して、作業しやすいエクスペリエンスを自動的かつインテリジェントにサポートできます。

Employee Center

ServiceNow を他の IT 管理プロバイダーとは一線を画す存在にすることに一役買っている Employee Center は、基本的には複数部門の従業員向けポータルで、IT サービスカタログの項目をナレッジベースと統合して、比類のないセルフサービスを提供します。Employee Center は、単なるポータルではありません。企業全体の従業員をつなぎ、従業員が最高の力を発揮するために必要なサポートを提供する高度なエンジンです。

Asset Management

ServiceNow の Asset Management は、情報技術資産を物理面、技術面、契約面、財政面で統合するためのトップクラスのツールです。さらに、運用、フィールドサービス、重要なインフラストラクチャの管理・監視能力で企業を強化し、資産要求ソリューションも提供します。これによってマネージャーと従業員は、簡素化されたプロセスで重要な要求に対応できるようになり、資産の割り当てについても完全な透明性を得ることができます。

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